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映画『レイクサイド マーダーケース』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『レイクサイド マーダーケース』の概要:原作は東野圭吾のミステリー小説『レイクサイド』。湖畔の別荘で行われていた中学受験用の親子合宿で、思いがけない殺人事件が起こる。ミステリーではあるが、子供を溺愛するあまり暴走していく親のエゴと葛藤が丹念に描かれている。密室劇のような構成で、役所広司、薬師丸ひろ子、柄本明などの実力派キャストによる演技合戦が見もの。

映画『レイクサイド マーダーケース』の作品情報

レイクサイド マーダーケース

製作年:2004年
上映時間:118分
ジャンル:ミステリー、サスペンス、ヒューマンドラマ
監督:青山真治
キャスト:役所広司、薬師丸ひろ子、柄本明、鶴見辰吾 etc

映画『レイクサイド マーダーケース』の登場人物(キャスト)

並木俊介(役所広司)
広告関係の仕事をしている。子連れの美菜子と結婚し、血の繋がらない娘の舞華の父親となる。3歳の頃から育ててきた舞華のことは、心から愛している。しかし、仕事仲間の女性カメラマンと不倫中で、美菜子とは別居状態にある。閃光過敏症で、強い光に弱い。
並木美菜子(薬師丸ひろ子)
並木の妻。バツイチで、前夫との子供の舞華を連れて並木と再婚した。舞華をどうしても有名私立中学の修文館に入学させたいと思っている。何かの拍子に未来が見えるという予知能力がある。
藤間智晴(柄本明)
開業医。息子が舞華と同じ塾に通い、修文館を目指している。塾講師の津久見を呼んで、自分の別荘で中学受験用の合宿を開く。恐ろしいほど冷静沈着で、物事に動じない。
藤間一枝(黒田福美)
藤間の妻。ひたすら夫の指示に従う控えめな女性。
関谷孝史(鶴見辰吾)
建設会社社長。並木家とともに、藤間の別荘での合宿に親子で参加する。少々愚鈍な感じの息子の将来を心配している。感情的。
関谷靖子(杉田かおる)
関谷の妻。美菜子の短大時代からの親友で、舞華と同い年の息子がいる。息子も修文館を目指している。
高階英里子(眞野裕子)
並木の若い愛人。プロのカメラマンで、自立した女性。並木の家庭を壊すことは望んでいない。修文館出身で、同校の受験用のパンフレット写真を撮影した。
津久見勝(豊川悦治)
塾講師。修文館を首席で卒業した実績を買われ、親子合宿の先生を任されている。子供たちには熱心に指導をしているが、エゴ丸出しの親のことは、内心軽蔑している。つかみ所のない人物。
並木舞華(牧野有紗)
12歳になる並木の娘。継父の並木にもよく懐いている。賢明な美少女で、美菜子にとっても自慢の娘。大人は誰も気づいていないが、蝶を踏み潰すような残酷な一面がある。

映画『レイクサイド マーダーケース』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『レイクサイド マーダーケース』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『レイクサイド マーダーケース』のあらすじ【起】

広告関係の仕事をしている並木俊介は、女性カメラマンの高階英里子が写真撮影をしているスタジオにいた。並木は閃光過敏症のようで、カメラのフラッシュがたかれるたびに、苦しそうに目を抑える。

撮影終了後のスタジオ。薄暗いスタジオ内のソファーには、逢瀬を楽しんだ並木と英里子が横たわっている。並木には、9年前に結婚した美菜子という妻がいるが、夫婦関係は破綻しかけていた。ただ、美菜子の連れ子の舞華のことは愛しているらしく、中学受験を控えた娘のことを心配していた。英里子はなぜか不敵な笑みを浮かべ、「娘さんは必ず合格するわ」とささやく。

湖畔の別荘。修文館という難関私立中学を目指す3組の親子が、塾講師の津久見を迎え、お受験用の合宿を行なっている。ここは開業医の藤間の別荘で、この合宿には藤間親子、関谷親子、そして並木親子が参加していた。関谷の妻の靖子は、美菜子の短大時代からの親友だった。

親子面接の練習中、子供たちは部屋に迷い込んだ蝶が気になって仕方がない。舞華は、足元にやってきた蝶を、スリッパで踏み潰す。それを見て、2人の男の子は舞華と微笑み合う。面接に必死の親たちは、そんな子供たちの残酷なやりとりに全く気づいていない。

英里子と一夜を明かした並木は、遅刻して別荘へやってくる。美菜子は夫の浮気を疑い、現在夫婦は別居中だった。今日もだらしない格好で遅刻してきた並木を、美菜子は厳しい口調で咎める。しかし舞華は、そんな並木をにこやかに迎えてくれる。

面接で、津久見から修文館の志望理由を聞かれた並木は、しどろもどろになってしまう。さらに舞華の継父であることに触れられて不機嫌になり、津久見に注意される。美菜子は、並木の態度に苛立ちを募らせていた。

追い打ちをかけるように、英里子が突然並木を訪ねてくる。仕事に必要な書類を届けにきたということだったが、それは明らかに嘘だった。しかし英里子は、「家庭を壊す気はない」といつも言っており、並木は彼女の行動を不審に思う。

並木はもともと、親が押しつける中学受験に反対だった。しかし美菜子は、修文館への進学こそが、舞華の幸せに繋がると信じていた。みんなの前では体裁を取り繕っていたが、2人きりになった途端、美菜子の怒りが爆発する。美菜子は、英里子がただの仕事仲間ではないことにも気づいていた。並木は、英里子に渡された書類の中に、彼女が隠し撮りした美菜子の写真が入っているのを見て、肝を冷やす。

同じ頃、英里子は津久見と話をしていた。実は英里子は修文館出身で、仕事で修文館のパンフレット用の写真を撮影していた。津久見の提案で、英里子は夜のバーベキューにも参加することになる。

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映画『レイクサイド マーダーケース』のあらすじ【承】

英里子が修文館出身だと知り、親たちは彼女に興味を示す。英里子は、自分の中学受験のせいで両親が離婚してしまったのだと語り、過熱する親の姿勢に疑問を呈す。しかし藤間たちは、修文館に入学させることが子供のためだと頑なに信じていた。

別棟の貸別荘で寝泊まりしている津久見と子供たちが帰り、英里子も席を立つ。英里子は今夜、湖畔のホテルに宿を取っていた。去り際、英里子は並木のジャケットに何かの鍵を忍ばせ、「ホテルのラウンジに10時」と耳打ちして帰っていく。

並木は、美菜子の鋭い視線を感じながら、「急な仕事で今夜は東京へ戻る」と断って、別荘を出る。その後、ホテルの駐車場に車を停め、英里子の携帯に電話するが、彼女は出ない。しばらく車の中で時間をつぶしている時、並木はジャケットの中の鍵に気づく。その後も英里子と連絡がつかず、並木はあきらめて別荘へ引き返す。同じ頃、津久見と子供たちの別荘で、電話の着信音が鳴り響いていた。

帰ってみると、別荘は異様な雰囲気に包まれていた。戸惑う並木に、藤間はリビングに転がった英里子の死体を見せる。美菜子から「私が殺したの」と告白され、並木は驚愕する。並木が出た直後、英里子から「2人きりで話したい」と電話があり、美菜子はここで彼女と会った。英里子は、並木と別れないなら舞華や学校に全てを暴露すると美菜子を脅し、カッとなった美菜子は彼女を陶器で撲殺したらしい。

並木はすぐに警察へ通報しようとするが、藤間に止められる。中学受験のための親子合宿で、不倫がらみの殺人事件が起こったとなると、別荘の持ち主の藤間親子や同席した関谷親子にも多大な迷惑がかかる。何より、3人の子供たちの合格は絶望的だろう。「子供たちのことを考えてくれ」と他の親に説得され、並木は通報をためらう。

並木は美菜子と2人にしてもらい、舞華は責任を持って自分が育てると約束して、彼女に自首を勧める。しかし美菜子は、舞華のためにも絶対に捕まりたくないと言い張り、2人は口論になる。それを藤間が止め、英里子の死体を処分して事件を隠蔽することを提案する。

医者の藤間は、冷静に死体の処分方法を指示し、並木もみんなに押し切られる形で、それに加担する。自分の浮気が発端となっているだけに、並木も強いことは言えない。並木は英里子の死体をビニール製のテーブルクロスに包み、車に積み込む。男たち3人は車で湖に向かい、女たちは室内を掃除する。

男たちは、湖岸で英里子の死体を下ろし、衣服を剥ぎ取る。藤間は、英里子の身元をわからなくするため、ライターの火で指紋を焼き消し、石で歯や顔面を破壊する。並木と関谷は、藤間の行為を直視できない。その後、ビニール内に重しの石を詰め、並木と藤間がボートで死体を運ぶ。関谷は車に待機して、見張り役を務める。

湖の真ん中付近で、並木と藤間は英里子の死体をボートから捨てる。その時、ビニールに巻いたロープが船底に引っかかり、並木は自分のライターを使う。イニシャル入りのそのライターは、藤間のつけた懐中電灯の光に動揺した並木が、湖に落としてしまった。並木のライターは、ボコボコと音を立てて沈む英里子の死体とともに、湖の底へ消えていく。湖岸の関谷は落ち着かず、立て続けにタバコを吸っていた。地面に捨てた吸殻は、関谷がその場を離れた数分の間になくなっていた。どうやら、何者かが3人を尾行し、痕跡を消したようだ。

映画『レイクサイド マーダーケース』のあらすじ【転】

別荘に戻り、関谷は暖炉で英里子の衣服を焼き始める。藤間は英里子のコートを残し、彼女の持ち物をチェックする。その中には、ホテルの鍵があった。藤間は美菜子に、英里子になりすまして明朝ホテルをチェックアウトするよう指示を出す。美菜子が持ち出した英里子の荷物は、藤間と並木が彼女の東京の部屋へ運ぶことにする。英里子が行方不明になった場所が、この湖では困るからだ。藤間はどこまでも冷静だった。

深夜、並木は美菜子をホテルまで送っていく。英里子の部屋で、すぐに彼女の荷物をチェックする並木を、また美菜子が責め始める。並木は未だに、英里子が美菜子に会いにきたという話が信じられなかった。並木の知る限り、英里子はそんなタイプの女ではないのだ。

翌朝、並木と藤間は美菜子から英里子の荷物を受け取り、東京へ向かう。途中のスタンドで、藤間が車外へ出た隙に、並木は英里子の残した鍵で彼女の仕事用バッグを開ける。その中には、津久見が美菜子たち母親や学校関係者と密会している写真が入っていた。どうやら、津久見は裏口入学を斡旋していたらしい。

夜、津久見と子供たちが別荘へ夕食を食べにくる。並木は津久見を外に呼び出し、「英里子を殺したのはあなただろう」と詰め寄る。英里子は何かの拍子に津久見の不正を知り、その証拠写真を撮って彼を脅した。そのため津久見は英里子を殺害し、親たちに隠蔽工作をさせた。しかし津久見は、並木のその推理を否定する。並木は激昂するが、子供たちがやってきたので口をつぐむ。

昨日の午後、英里子が津久見のところへ来て、彼を脅迫したのは事実だった。目的は金だったようだが、英里子は教育者としての津久見の姿勢も批難していた。その後、津久見は子供たちを雑木林に連れていき、「僕は誰よりも君たちのことをよく知っている」と語っている。「僕は君たちのために生きている、がんばろう」と言われ、子供たちは何かを決意したような顔で、その場を去っていく。津久見は子供たちに、何を伝えたかったのだろうか?

大人だけの面接練習の場で、並木は中学受験に疑問を感じていると正直に答える。そこから他の親と議論になり、英里子殺害の真相を追究し始める。英里子をビニールに包む時、並木は彼女の爪に泥がつまっていたことを思い出していた。並木は、全員で英里子を別の場所で殺害し、自分を巻き込むために偽装工作したのではないかと疑っていた。藤間は並木に全てを話すべきだと判断し、津久見の口から事件の真相が語られる。

映画『レイクサイド マーダーケース』の結末・ラスト(ネタバレ)

津久見が親に斡旋していたのは裏口入学ではなく、試験問題の漏洩だった。英里子はその不正に気づき、証拠写真をネタにして、津久見を脅した。昨晩、英里子と津久見は湖畔の雑木林の中で、取引する予定だった。津久見は脅迫の件を藤間に告げたあと、約束より数分遅れて待ち合わせ場所に向かう。そして、待ち合わせ場所の手前で、石で頭部を殴られた英里子の撲殺死体を発見する。

ちょうどそこへ、並木の浮気を疑い、密かにホテルへ向かっていた美菜子が通りかかる。美菜子はすぐに警察を呼ぼうとするが、津久見がそれを止める。死体の周辺には、子供たちのものと思われる足跡があったのだ。

津久見は藤間を呼び、どうするべきか相談する。藤間夫婦も関谷夫婦も、そして美菜子も、我が子だけは犯人でないと信じたかった。しかし合宿中、子供たちは同じスニーカーを履いており、足跡から犯人を特定するのは不可能だった。ちなみに津久見も、同じスニーカーを履いていた。みんなは結論を出すことをあきらめ、協力して事件を隠蔽することに決める。そして、英里子の死体を別荘へ運び、美菜子を犯人にして、並木を巻き込んだのだった。

事件現場の雑木林で、真相を聞いた並木は、どうしてもこの話が信じられない。子供たちに、英里子を殺す動機がないからだ。津久見は、「子供の犯罪に明確な動機を求めるべきではない」と断り、自分と英里子の話を盗み聞きし、子供たちは彼女の存在が受験の邪魔になると感じたのではないかと推測する。それでも食い下がってくる並木に、津久見は「子供は親を見て育つんだ!」と声を荒げる。子供たちは、自分たちを溺愛する親の醜さに気づきながらも、親の期待に応えようと必死で頑張っていた。津久見自身、そんな親に育てられ、それをただ悲しいと感じてきた。そして、「皆さんの足並みさえ揃えば、私にもやれることはある、プロですから」と言って、去っていく。

残された親たちは、子供のことがわからないと打ち明け、それでも可愛い我が子を守ってやりたいのだと力説する。藤間は、「自分が犯人になれば、彼は本当の父親になれるかもしれない」という美菜子の言葉を伝え、「子供が幸せに生きるためなら、いくらでも自分の手を汚すのが本物の親だ」と並木を説得する。美菜子と舞華に必要とされていることを知り、正論を吐き続けてきた並木が押し黙る。

翌朝、別荘へ戻った並木は、自分の母親に電話をかけていた。その声で目を覚ました美菜子は、並木が本気で舞華の受験と向き合う気になってくれたことを知る。並木は、他の親たちと足並みを揃え、英里子の件を忘れることにしたようだ。予知能力のある美菜子に、中学の制服を着て微笑む舞華の姿がはっきりと見える。

湖底に沈んだ英里子の死体は朽ちていき、白骨化する。頭蓋骨の眼球部分には、並木のイニシャル入りのライターが挟まっていた。美菜子には、この未来も見えているのだろうか…。

映画『レイクサイド マーダーケース』の感想・評価・レビュー

東野圭吾作品は好きですが、この映画は失敗だと思います。別荘で起きた殺人事件の物語です。主人公は勉強合宿で来た家族の義理の父という立ち位置です。なぜ主人公は真相を知らされなかったのかが、離婚寸前の奥さんを庇ったことと矛盾している気がします。伏線も未回収のものがあり、サスペンスとして靄が残る終わり方です。全体として主人公に感情移入できませんでした。合宿に遅れて、更に準備も無い。そして、ラストに一方的に正義を語る心理とは。(男性 20代)

みんなの感想・レビュー

  1. うとい より:

    並木の光に弱い設定は何か意味があるの?
    ライターを誤って落とすための設定?

    たばこの吸い殻の証拠を隠滅したのは子ども達って事?