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映画『町田くんの世界』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『町田くんの世界』の概要:原作は第20回手塚治虫文化賞で新生賞を受賞作の同名コミック。石井監督の抜擢により、演技経験ない細田佳央太と関水渚を中心に学生時代の「わからない感情」を描いていく。同監督は初めて少女漫画原作でメガホンを取っている。

映画『町田くんの世界』の作品情報

町田くんの世界

製作年:2018年
上映時間:120分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、青春
監督:石井裕也
キャスト:細田佳央太、関水渚、岩田剛典、高畑充希 etc

映画『町田くんの世界』の登場人物(キャスト)

町田一(細田佳央太)
優秀そうに見えて冴えない男子高校生。運動も勉強も特に秀でたものはないが、誰にでも優しいことだけは誰もが認めている。恋愛をしたことがなく「好き」という感情に困惑する。
猪原奈々(関水渚)
町田くんの同級生。人気女優だった母親が起こしたスキャンダルを機に人間不信になり、学校にもあまり通っていなかった。保健室で町田くんと出会い、少しずつ素直になっていく。
栄りら(前田敦子)
猪原の中学からの同級生であり、高校では町田くんと同級生である少女。男前気質でだが青春を送る同級生たちを少しうらやましく思っている。陰ながら町田くんと猪原の関係を見守っている。
吉高洋平(池松壮亮)
週刊誌の記者。芸能人のゴシップや人の命を軽んじたような記事を書くことに疲れている。悪意に満ちた世界で、町田くんの存在を知り気にかけるようになる。

映画『町田くんの世界』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『町田くんの世界』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『町田くんの世界』のあらすじ【起】

二人の妹と二人の弟と雑魚寝する町田くんは長男である。妊婦の母・百香の手伝いをする町田くんの朝は騒々しかった。百香のリクエストで夕食用のハンバーグのことばかり考えていた町田くん。誰にでも優しい町田くんは通学中のバスでは、皆スマホに夢中な中老人に席を譲るのだった。美術の授業中、誤って彫刻で「ハンバーグ」と彫ってしまった町田くん。慌ててケガをした町田くんは保健室でクラスメイトの猪原奈々と遭遇する。

人嫌いで授業もさぼりがちな猪原に手当てしてもらった町田くんは、心から感謝をする。素直な町田くんの姿勢に猪原は戸惑うのだった。帰り道、町田くんは風船を手放してしまった少年のために四苦八苦する。しかし運動が苦手な町田くんは川へ落ちてしまう。その姿を見た猪原は町田くんを少し気にするようになった。

週刊誌の記者をやっている吉高。悪意に満ちた世の中に不満を覚え、ゴシップや人の命を軽んじた記事を書くことに疲弊し続けていた。ある朝、通勤中にバスで老人に席を譲る町田くんの姿を見かけた。同じ学校の女子高校に「キリストと呼ばれている」と噂される様子を見ていた吉高は、町田くんのことを覚えるのだった。

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映画『町田くんの世界』のあらすじ【承】

ある夜、夕ご飯の買い出しに出た町田くんはナンパされた猪原を見かけ声をかける。猪原の表情を見て「よくないこと」だと思ったのだ。助けてくれた町田くんに素直になれない猪原だが、人嫌いになったのは人気女優の母親のスキャンダルにより人間不信になったことが原因だと明かす。そしてロンドンに住んでいる叔母を当てに留学を検討していることを話すのだった。翌日、町田くんに感化され始めた猪原は、クラスメイトの栄に声をかけるようになった。

町田くんの靴箱に一通のラブレターが入っていた。それは西野が猪原に宛てたものである。西野の熱い気持ちを知った町田くんは告白する機会をつくるも、西野は降られてしまう。しかし食い下がる西野は一度だけデートしてほしいと頼み込み、猪原は町田くんと3人ならと了承するのだった。恋する西野の姿を見て、町田くんは恋について考えるようになった。そして人と向き合うようになった猪原は、きちんと考えて西野の告白を断った。

徐々に町田くんに惹かれ始めていた猪原。校舎裏で泣いているさくらを慰めている町田くんを見かけた。何気なく頭をぽんぽんと撫でた町田くんの姿を見た猪原はショックを受けてしまう。そのあと落ち込んだ様子の猪原を見かけた町田くんは声をかけ、猪原の頭をなでようとしたが、拒絶されてしまう。気づけば猪原のことを考えていた町田くんは、妹に頭をなでることの意味を聞くのだった。

さくらは町田くんの優しさに惹かれ猛アピールを始めた。一向に自分になびかない町田くんにしびれを切らしたさくらは、心配そうに見守る猪原へ「告白宣言」をした。動揺した猪原は町田くんの家の前で待ち伏せしたが、不満ばかり口にしてしまい逃げ出すのだった。

映画『町田くんの世界』のあらすじ【転】

町田くんに告白したさくら。しかし「好きって何ですかね」と問いかけられたさくらは元カレの氷室のことを思い返してしまった。そのころ猪原は氷室にしつこく声をかけられていた。母親のことを話題にされ気分を害した猪原だが、さくらの告白を丁寧に断る町田くんを見かけ安心するのだった。帰り道、町田くんと一緒に過ごした猪原は、七夕祭りに誘うのだった。

清純派女優の不倫スキャンダルをものにした吉高。妻に嬉しそうに報告するが転職を勧められてしまい、息子の寝顔を見つめた。翌日、雨の中たたずむ町田くんと猪原の姿を見かけ気にかけていた。スキャンダルを露わにすることで、女優の子供が苦しむことになる。本当に正しいことなのかわからなくなった吉高に対して、上司は煽るように記事の掲載を急かすのだった。

氷室はモデルの仕事もしていたが、うまくいっておらず不安定になっていた。猪原に興味を持っていた氷室は町田くんに「好きなものを聞いてきてほしい」と頼むのだった。翌日の放課後、町田くんは猪原を誘った。ついに興味を持ってくれたと期待する猪原だったが、「氷室から好きなものを聞いてほしいと頼まれた」と正直に言われ傷ついてしまった。バスを飛び降りた猪原に動揺した町田くん。妊婦に席を譲るも、即座にバスを飛び降りた。偶然その様子を見ていた吉高は、追ってバスを降りる。「どうしてそんなに人に優しくするの?」と問いかけた吉高に対して、「好きな人に悲しい顔をさせてしまったけれど、好きな人ってなんでしょう?」と問いかけ返す町田くん。吉高はただただ町田くんを「いい人だ」と確信するのだった。

猪原を探し、もう一度きちんと話そうとした町田くん。しかし百香に陣痛が訪れた。「ここで待ってて」と猪原を残し病院へ向かった。弟を抱き上げ、奇跡だと泣きじゃくった町田くんだが、猪原の元へ戻った時にはもう姿はなくとぼとぼと帰宅するのだった。

映画『町田くんの世界』の結末・ラスト(ネタバレ)

アマゾンで研究に勤しむ父親が帰国した。悩んでいる町田くんに対して、母親との馴れ初めを話し始めた父親。「わからないことがあるから、この世は素晴らしい」という父親の言葉を受けて、町田くんは猪原の自宅へ走り出すのだった。

みんなに優しい町田くんを独占したくなってしまった猪原。「もう関わらないで」と言ってしまった猪原は学校も休みがちになり、留学を急ぐことにする。一方で猪原の言葉に困惑し続けている町田くんは人に優しくできなくなってしまっていた。

猪原の留学が決まり、町田くんを心配する氷室や西野。さくらから猪原を神社で引き留めているという連絡を受けた氷室は、保健室にたたずんでいた町田くんを急かした。栄は自転車の鍵を渡し、背中を押す。道中、風船を木に引っ掛けてしまった少年を助けた町田くん。一方で猪原は空港へ向かっていた。偶然同じ電車に乗っていた吉高は、上司の反対を押し切って書き上げた原稿「町田くんの世界」を猪原に読ませるのだった。

町田くんに会いたくなったという猪原に視界に、風船に捕まって空を飛んでいる町田くんが入ってくる。ほかの乗客たちはスマホに夢中で気づかないが、吉高も町田くんを見つけ二人は追いかけ始めた。荷物を捨てて町田くんの元へ飛んだ猪原。これからどうするかという猪原に対して、「わからない、けどゆっくりいこう」という町田くん。カモによって風船を割られてしまった二人はプールに落ちた。「何が見えるの?」と問いかけた猪原に対して、「今は猪原さんしか見えない」と町田くんは正直に告白するのだった。

映画『町田くんの世界』の感想・評価・レビュー

冴えない主人公に著名な主人公は不適格だったのだろうか。つかみどころがないほどピュアな「町田くん」は何色にも染まっていない役者を当てて成功であったように見える。新人2名の抜擢の脇を固める著名な役者たち。しかし学生役には厳しい年齢の役者が勢ぞろいであった。なんとも言い難い違和感と浮遊感あるキャラクターのいい化学反応により実写として見ていて疲れない仕上がりになっていたように感じた一作。「わからないことから目を背けてはいけない」という世の中の大人に向けたような言葉の数々は印象深い。(MIHOシネマ編集部)


本作は、ドジで不器用な町田君の恋模様を描いた少女漫画原作の青春ヒューマンラブストーリー作品。
気付けば、不器用だけどみんなのことが好きで優しい、変な走り方の町田君が大好きになっていた。
終盤のファンタジックな展開に意表を突かれたけど、きっと2人は結ばれたのだと思う。
善意の塊のような町田君だけでなく、周りの人たちの優しさにほっこりした。彼の優しさがちゃんと還ってくるところが良かった。笑い所も多くて気軽に笑って楽しめる幸福度の高い作品だった。(女性 20代)


ジャンルもよく分からない不思議な作品。ヒューマンドラマ、ラブストーリーとあるが、コメディ感が強すぎてコメディとしか思えない。恋愛要素や人それぞれの性格の違い、人間性が盛りだくさんの作品でありながらもコメディ色が強い為、軽い気持ちで観られる作品。反対に真剣に観るのは難しいと思う。そして、何より脇役のキャスト陣が意外にも豪華で驚かされる。前田敦子、高畑充希、仲野太賀、池松壮亮といった若者に人気の俳優が多数出演しており、その視点でも楽しめる作品となっている。(女性 20代)

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