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映画『日本の首領 完結篇』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『日本の首領 完結篇』の概要:『ヤクザ戦争 日本の首領』(77)の大ヒットを受け、シリーズ2作目となる『日本の首領 野望篇』(77)に続いて製作され3部作の完結篇。前作では佐分利信と三船敏郎の共演が実現し、その2人を上回る大物俳優として、本作では片岡千恵蔵が登場する。

映画『日本の首領 完結篇』の作品情報

日本の首領 完結篇

製作年:1978年
上映時間:131分
ジャンル:ヒューマンドラマ、フィルムノワール
監督:中島貞夫
キャスト:三船敏郎、菅原文太、大谷直子、佐藤慶 etc

映画『日本の首領 完結篇』の登場人物(キャスト)

佐倉一誠(佐分利信)
関西最大のヤクザ組織「中島組」の組長。組長になって30年、日本の首領になるという野望を達成するため、血なまぐさい抗争を続けてきた。普段は寡黙で温厚そうに見えるが、怒ると怖い。長年の抗争による死者数は524名、逮捕者は延べ21438名を数える。
大石剛介(三船敏郎)
関東のヤクザ組織を一本化した「関東同盟」の会長。佐倉の最大のライバルであり、中島組と関東同盟は常に一触触発の状態。妻との間に郁子という年頃の娘がいる。頭の切れる経済ヤクザで、金儲けに長けている。
大山喜久夫(片岡千恵蔵)
右翼の大物で、現在の日本の首領。癌で危険な状態になるが、一宮の手術により復活を果たす。日本の政治団体と任侠団体を全国的に統合した「大日本同志会」を結成し、さらに大きな権力を持ちたいと目論んでいる。
一宮恭夫(高橋悦史)
佐倉の娘婿。佐倉の長女の登志子と結婚し、佐倉ファミリーの一員になった。有能な外科医で、大山の手術も執刀した。ヤクザではないが、佐倉に歯向かった若頭の辰巳を暗殺した過去がある。
川西明(菅原文太)
中島組傘下の川西組組長。大石に銃を向けたことがある武闘派のヤクザ。抗争で下半身に銃弾を受け、車椅子生活を送っているが、今でも中島組幹部として佐倉に貢献している。
宮原宏(寺田農)
川西の子分の整理屋。倒産しそうな会社に近づき、詐欺まがいのことをして金を搾り取っていく。川西の右腕とも言える存在で、様々な場面で活躍する。
刈田重徳(西村昇)
悪徳政治家。政民党中同会会長で、前建設政務次官。カラオケが異常に好きで、妾にやらせている銀座のクラブでもずっと歌っている。妾に産ませた春夫という息子が、大石の娘と婚約する。
木村由紀子(大谷直子)
宮原たちによって自殺に追い込まれた木村産業社長の娘。川西に300万円で買われ、その後、刈田の愛人になる。自分がのし上がるために男を利用するタイプで、刈田の死後は一宮を愛人にする。

映画『日本の首領 完結篇』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『日本の首領 完結篇』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『日本の首領 完結篇』のあらすじ【起】

右翼の大物であり、日本を陰で牛耳っている首領の大山喜久夫が倒れ、東京の東亜第一病院に緊急入院する。関西最大のヤクザ組織「中島組」の組長・佐倉一誠と関東のヤクザ組織を一本化した「関東同盟」の会長・大石剛介は、大山の病室へ駆けつける。意識を取り戻した大山は、遺言として政治団体と任侠団体を統合する「大日本同志会」の実現を佐倉と大石に頼む。しかし、佐倉と大石は明確な返答を避ける。2人は首領のイスを狙っており、大山にこれ以上の権力を持たせるわけにはいかなかった。

ホテルに戻った佐倉を、大山の秘書が訪ねてくる。秘書は大山から託された遺言状を佐倉に渡し、大山が佐倉の娘婿の一宮に自分の手術の執刀を頼みたがっていると話す。大山は癌であり、一宮は学会で最新の癌手術について発表したばかりだった。

大石は娘の郁子と妻を連れ、サイパン旅行へ行く。大石は、サイパン島をリゾート化してラスベガスのような巨大カジノを作ろうとしており、その視察を兼ねての旅行だった。

郁子が滞在していたグアム島では、覚醒剤密輸をめぐる縄張り争いで、関東同盟傘下の新藤組と中島組傘下の川西組系坂口組との抗争事件が起こる。この事件で坂口組長を殺した新藤は関東同盟を除名され、後に水死体となって発見される。警察は新藤の死を自殺として処理したが、他殺の線も濃厚だった。

川西は銃弾を受けて下半身が不自由になったため、車椅子生活を送っているが、大石剛介にチャカを向けた男として有名で、現在も手広いシノギで中島組の資金調達に貢献している。川西の子分の宮原は有能な整理屋で、西宮に広大な工場と敷地を持つ松原産業の子会社・木村産業を計画倒産に追い込む。社長の木村は、松原産業の敷地を日本住宅公団が買い取る話があり、松原産業が子会社を助けてくれると話していたが、結局は追い詰められて自殺する。

大石がサイパン島開発計画のために設立した南太平洋開発会社には、総理大臣も全面的なバックアップを約束してくれる。しかし、次期総裁選ではライバルの平山幹事長と際どい勝負になることが予想されており、大石に応援を頼む。一方、佐倉は、四国平山会発足記念パーティーに出席していた。平山もサイパンのことは耳にしており、この開発計画が成功したら大石が名実共に日本の首領になるだろうと佐倉に警告する。

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映画『日本の首領 完結篇』のあらすじ【承】

一宮が執刀した手術が成功し、大山は命の危険を脱する。一宮から報告を受けた佐倉は、中島組幹部に大山の遺言状を見せる。遺言状には「自分の跡を継ぐ者は佐倉しかいない」と書かれていたが、佐倉は大山が自分と大石に二股をかけて、勢力を盛り返そうとしていると考えていた。

その席で、佐倉はサイパンの件をどう思うか幹部たちに尋ねる。川西の情報によると、このプロジェクトには5年間で1000億円の予算がつぎ込まれるらしい。大石の狙いはサイパンにラスベガスのような巨大カジノを作ることで、それが実現すれば、大石は莫大な金を手にする。佐倉は、大石がいずれ大山を殺し、次に自分が狙われるだろうと語る。

手術の成功で佐倉に借りができた大山は、アメリカの上院議員を紹介する見返りに、サイパンのプロジェクトを中島組との共同事業にするよう大石に命じる。しかし、大石はその申し出を断る。

大山は、サイパン島開発プロジェクトを関東同盟に独占させると、大石が権力を持ちすぎると危惧していた。大山は秘書を通して、これを阻止して欲しいと佐倉に頼む。佐倉の方では、中島組でサイパンの件を肩代わりできないかと提案する。

松原産業と日本住宅公団の癒着について調べていた宮原は、この件にも関東同盟が絡んでいることを突き止める。関東同盟は日本住宅公団に評価価格よりも高い値段で松原産業の土地を買わせて、ひと儲けするつもりだった。宮原は政民党中同会会長の刈田を味方につけ、住宅公団総裁を脅してもらう。刈田に「暴力団からリベートを受け取って、100億からの税金を使うのは国民に対する背信行為だ」と脅された住宅公団総裁は、松原産業の件は白紙に戻すと言い出す。刈田はその見返りとして、川西に買われた木村の娘の由紀子をあてがわれ、2人で温泉旅行に出かけていた。

刈田は由紀子に惚れ込み、妾にやらせていた銀座のクラブを由紀子に譲る。ところが、不思議な縁で大石の娘の郁子と刈田が妾に産ませた息子の春夫が恋に落ち、結婚したいと言い出す。ずる賢い刈田はすぐに大石側へ寝返り、郁子と春夫の婚約を祝福する。刈田と親戚になることは、大石にとっても都合が良かった。

川西は松原産業の社長が向かった銀行にパクリ屋を派遣し、松原産業の50億円分の手形をパクらせる。松原産業の会社更生法申請についての説明会に出席した川西は、その手形を伝家の宝刀にして、関東同盟の計画をぶち壊してしまう。この一件で、中島組と関東同盟は今まで以上に対立を深めていく。

子分たちが対立を深める中、佐倉と大石は静かに腹の探り合いをしていた。今のところ、大山は大石の方を警戒し、佐倉を味方につけようとしていた。大石もそのことに気づいており、南太平洋開発会社を中島組と共同経営にしてもいいと言い出す。

映画『日本の首領 完結篇』のあらすじ【転】

刈田を手なずけた大石は、アメリカの上院議員とのサイパンでの会合に、議員の刈田を送り込む。刈田はアメリカ側への賄賂の4億円を持ち、春夫をお供にしてサイパンへ旅立つ。

上院議員は刈田から4億円の賄賂を受け取り、タバコ代と明記された領収書にサインする。しかし、ルームサービスを装った3人組の強盗団に襲撃され、4億円が奪われてしまう。強盗団は警察に追われ、逃走中に3人とも死亡したため、事件そのものは単なる強盗事件で処理されたが、日米の政治家の間で多額の金銭が授与された事実は大きな問題となる。

刈田は東京地方検察局に呼び出され、金の出所を聞かれる。追い詰められた刈田は重病を装い、東亜第一病院に入院する。この病院の外科部長は大石に買収されているため、刈田を面会謝絶にして、外部との接触を断つ。

大山は、刈田が賄賂の領収書を持っているという情報を入手し、一宮にそれを盗んでくるよう命じる。一宮は泥棒をするのは嫌だと断るが、大山は病院の理事長をしており、研究に必要な設備や費用、そして外科部長の地位まで与えると一宮を口説く。

刈田のお供をしていた春夫は、襲撃されたホテルで宮原を目撃していた。それを大石に話し、検察でもこのことは話すつもりだと伝えておく。この事件に暴力団が絡んでいることを隠したい大石は、どうするべきか思案する。

その翌日、春夫は自宅マンションで情婦だった歌手とガス中毒によって死亡していた。警察は泥酔してガスを消し忘れたことによる事故と判断するが、刈田は大石が春夫を殺したのだと確信する。そして、次は自分の番だと怯え始める。

一宮は大山から催促の電話を受け、夜中に病院へ向かう。しかし、一宮が領収書を盗む前に、刈田は外科部長の手で毒殺されていた。由紀子が領収書を持っていると知った一宮は、彼女を食事に誘う。

関東同盟は宮原を拉致して、川西の指示でサイパンの事件を起こしたのかと詰問される。しかし、宮原は絶対に口を割らなかったため、監禁先で射殺される。

大山は川西を呼び出し、一宮から手に入れた領収書を見せて勝利宣言をする。この領収書は大石を破滅させる切り札であり、大石を潰せば現在の内閣も崩壊する。大山はなかなか自分に従わない佐倉も潰すつもりで、川西を呼んでいた。しかし、佐倉には子供の頃からの恩があるため、川西は大山の誘いを断る。

川西から領収書の件を聞いた佐倉は、大山と取引した一宮に激怒する。佐倉は鬼のような形相で一宮を殴り、大山を殺すよう命じる。大山を殺すことは医者としての自分を全否定することになるため、一宮は「私は中島の人間ではありません」と必死で抵抗する。しかし、最後に佐倉から「お前は辰巳を殺したじゃないか」と言われ、何も言い返せなくなる。

映画『日本の首領 完結篇』の結末・ラスト(ネタバレ)

アメリカで事情聴取を受けていた上院議員が、大山との関係を暴露する。大山は地検の捜査を免れるため、東亜第一病院へ入院する。大山から連絡を受けた一宮は、病院へ向かう。病院へ行く前、一宮は妻の登志子に、もし佐倉と縁を切ると言ったら、自分と父親のどちらを選ぶかと尋ねる。登志子は、そんな質問には答えられないと正直に言う。

大石は東京地検特捜部に召喚され、事情聴取を受ける。上院議員の証言により、大石には外為法違反、密輸、贈収賄、さらには殺人の容疑までかかっていた。郁子は「春夫さんは父に殺された」と地検に投書を寄こしており、大石は窮地に立たされる。

大山に味方して医者として大成するか、それとも佐倉ファミリーの一員として大山を暗殺するか、一宮は悩んでいた。しかし、大山が「所詮、ヤクザはヤクザだ」と大石や佐倉を罵り、意気揚々と勝利宣言するのを見て、大山を毒殺する。

大山の葬儀の席で、川西は密かに手に入れた4億円の領収書を関東同盟の幹部に見せ、サイパンの開発事業は中島組で全部持ってもいいのだと話す。川西は、どんな強引な手段を使ってでも、佐倉を首領のイスに座らせるつもりだった。

一宮は罪の意識に苦しみ、荒れた生活を送るようになる。一宮が由紀子の所に入り浸るようになったため、登志子は娘を連れて大阪の実家へ帰っていた。そんなある日、由紀子の店で酒を飲んでいた一宮の前に川西が現れる。川西は、佐倉に心配をかけている由紀子と一宮に腹を立てていた。店を出た川西は、領収書を奪いにきた関東連合の連中に狙撃され、病院へ向かう車の中で息絶える。亡くなる前、川西は付き添ってくれた一宮に「あんたも中島の身内やったら、これいるはずや」と言って、自分の銃を渡す。

11月。前内閣は総辞職に追い込まれ、平山が新総裁に就任する。佐倉は自分の勝利を確信し、ついに首領のイスを手に入れたという感慨にふける。しかし、平山の祝賀パーティーに向かう新幹線の中で、心臓発作を起こして呆気なく死んでしまう。佐倉の死により、大石が大逆転勝利で首領のイスを手にする。

それからしばらくして、由紀子は銀座に新しいクラブをオープンする。一宮は医者を辞めて由紀子のヒモになり、落ちぶれた様子で酒を煽っていた。そこへ、釈放された大石と政財界の大物たちがやってくる。彼らは大石を日本の首領と呼び、乾杯する。その様子を見て、一宮は川西のポケットから奪っていた4億円の領収書を燃やす。

一宮が挨拶に行くと、大石は佐倉へのお悔やみを述べ、一宮も仲間に入れてくれる。一宮は川西にもらった銃を取り出し、大山を殺したのは自分だと打ち明け、大石に自分を撃ち殺せと命じる。しかし、大石は冷静にそれを断り、「ヤクザになるのは医者になるほど楽じゃない」と、一宮を一喝する。その言葉に触発された一宮は大石に発砲し、大石のボディガードに射殺される。由紀子が「うちの店や、やめて」と叫び続ける中、大石は無言で去っていくのだった。

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