映画『王宮の夜鬼』の概要:朝鮮王朝時代。人を襲う怪物、夜鬼の存在を知った国王側近が国の転覆を企て、王家が存亡の危機に瀕する。夜鬼の蔓延を食い止めるため、清に家出していた第二王子が祖国へ戻り、市井の兵と共に奮闘する様子を描いたゾンビアクション歴史劇。
映画『王宮の夜鬼』の作品情報
上映時間: 121分
ジャンル:ホラー、歴史
監督:キム・ソンフン
キャスト:ヒョンビン、チャン・ドンゴン、チョ・ウジン、チョン・マンシク etc
映画『王宮の夜鬼』の登場人物(キャスト)
- イ・チョン(ヒョンビン)
- 朝鮮の第二王子。父王に王位を望まれるほどの聡明な人物であるが、王宮を嫌い長い間、清に家出している。思慮深く聡明な兄王子を慕っており、遺書を受け取って朝鮮へ戻る。武に長け察しが良く、聡明で賢い。
- キム・ジャジュン(チャン・ドンゴン)
- 王の側近。軍事を司る兵曹判書。王を手玉に取り王位簒奪を企む。自分の望む国を手に入れるため、夜鬼を利用し王位に就こうとする。強い執着を持ち政治に長けているが、あくどい。
- パク(チョ・ウジン)
- 武官の従事官。兄王子の側近であったが、命令に従いチョムルポへ逃れる。兄王子の遺書をチョンへ届け、助けを乞う。忠義に厚く確固たる信念を持っている。チョンへと王になるための信念を生き様で教える。
- ハクス(チョン・マンシク)
- チョン王子の侍従。口うるさく心配症であるが、チョンをとても大切にしている。武力には乏しいが、細やかな気遣いができる人物。愛情深く、最期までチョンを心配していた。
- トッキ(イ・ソンビン)
- 市井の娘で、弓矢が得意。女の身で夜鬼と戦いチョムルポを守っている。強い信念を持ち、チョンに王としての信念を教える。
- イ・ジョ(キム・ウィソン)
- 朝鮮の王でチョンの父。王の器でないことを自覚しており、王としての役割に辟易としている。心を病みジャジュンに着け入れられ人間不信となる。2人の息子に愛情はあるものの、王と父親の狭間で苦悩している。
映画『王宮の夜鬼』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『王宮の夜鬼』のあらすじ【起】
朝鮮王朝時代。明と清によって板挟みとなっていた朝鮮は、強力な武器を持たず危うい均衡をどうにか保っている状態だった。ところが、王イ・ジョは側近で兵曹判書のキム・ジャジュンばかりを頼りにして、王子の注進にすら耳を傾けようとしない。そこで、王子は国を守るために武官のパク従事官へと密かに命じて黒船から600丁の火縄銃を仕入れようと考えた。しかし、このことに気付いたジャジュンが謀反を企てていると事を明るみにしてしまう。
王子は自らが首謀者であると名乗りイ・ジョの目前で命を絶った。彼は清にいる弟イ・チョン王子へ遺書を送っており、後のことをチョンへと託したのである。
その3日後、近くの島に停泊していた黒船を沈め謀反の証拠として火縄銃を回収したジャジュン。その船には夜鬼と呼ばれる謎の感染病にかかった男も乗っていた。夜鬼となった男に噛まれた兵士は、たったの一晩で白目になり血を求め自らの家族を喰らい、近隣の人々へと次々に襲い掛かる。襲われた者もまた夜鬼となり、一夜にして小さな町チョムルポを壊滅させた。
兄の知らせにより王宮へ向かうべく、侍従のハクスと共にチョムルポへ入ったチョン。近衛兵と思われる一団と出会ったが、即座に自分を殺しに来たのだと気付き戦闘が開始。しかし、騒ぎに気付いた夜鬼がどこからともなく現れ、戦闘は混乱状態に。そこへ、パク侍従官率いる市井の兵が現れ、チョンとハクスを助けてくれるのだった。
避難所へ向かったチョンは、異形の者どもが夜鬼であることと王宮の現状をパクから知らされる。王宮へ戻ればチョンは世子として立太子されることになるが、彼自身王宮を嫌っているため、助けを求めるパクに応えようとはしない。チョンは兄の遺言に従い、身重の王太子妃を清に逃がさなければならなかった。
その頃、夜鬼を密かに捕えていたジャジュンは、これを利用して王位を簒奪しようと考える。奴はイ・ジョの側室を夜鬼に噛ませ王の殺害を命じた。翌朝、目論見通りイ・ジョは夜鬼と化した側室に噛まれてしまう。
映画『王宮の夜鬼』のあらすじ【承】
同じ頃、パク従事官の仲間で女の身でありながら勇敢にも夜鬼と戦う市井の娘トッキから、王子にしては低俗だと罵られたチョン。王宮へ向かうべく意を決したところで、トッキとパクが派兵を願い出る。現段階では、どうにか夜鬼をチョムルポのみに抑えてられているが、このままでは数日しかもたない。トッキとパクはチョンを護衛するため、共に王宮へと向かうことになった。
夜鬼は陽の光に弱く日中は物陰に隠れている。完全に倒すには首を断つか火で焼くか、陽の光に晒すしかない。ジャジュンは河を隔てたチョムルポからの者どもを王都へと入れないよう命じていたが、暗殺したはずのチョンがまだ生きていると知り彼らを王宮へ迎え入れることに。イ・ジョはチョンからチョムルポの現状を聞き、逆賊と夜鬼の一掃を命じたが、チョンは王太子妃を清へ逃がし世子にはならないと断言。
チョンは王から軍を預かり、王太子妃を清に逃がす手はずを整える。ところが、ジャジュンによりパク達が逆賊だと判明し、拘束されてしまう。更に王が夜鬼に噛まれたと知ったチョン。その頃、イ・ジョは清からの使者を歓待していたが、病状は徐々に悪化。その上、ジャジュンによって解放された夜鬼が王宮内で蔓延し始める。宴もたけなわになった頃、とうとうイ・ジョが夜鬼へと変貌を遂げてしまう。ジャジュンによって王が殺された場面へ居合わせたチョンは、ここにきてようやく全てがジャジュンの企みであることを知るのだった。
放たれた夜鬼によって朝鮮はすでに滅亡したと言っても過言ではない。ジャジュンは新たに王として名乗りを上げる。夜鬼の大群が宴会場へと襲い掛かって来たため、周辺は騒然となった。宴に参席していた王太子妃を助け、夜鬼を始末しながら逃走を図る。ハクスの助けもあり、一先ずはその場から逃れることに成功した。
映画『王宮の夜鬼』のあらすじ【転】
その足でパクが拷問されている場所へ。近衛兵に全兵の招集を命じ、王宮の門を全て閉じる。夜鬼を王都へと出してしまえば、本当に朝鮮が滅亡してしまう。近衛兵が生存者を救出し、建物の一角に立て籠もる。ジャジュンはこの機に乗じてチョンをも始末し、王位簒奪を狙っていた。
牢に捕縛されていたトッキ達を助けたチョンは、必死の攻防をしながら牢を破壊しつつ足止めをしてどうにか生存者を牢から逃がした。そうして、やがて夜が明ける。夜鬼は陽が昇る直前、一斉に物陰や森へと姿を消した。
重臣たちはジャジュンを王と認め、日中に夜鬼を始末する計画を立てる。ところが、物陰から現れた夜鬼に不意を突かれたジャジュンは、不覚にも夜鬼に噛まれてしまう。このことで、重臣とも揉めてしまい、その場にいた全員を殺す羽目になってしまった。
夜鬼と化した王の亡骸を偲んだチョンは、近衛兵から状況を聞く。昨夜の夜鬼の数はおよそ500匹。戦闘により指揮を執っていた将軍が夜鬼に噛まれたことが分かるが、チョムルポへ向かわせた軍を呼び戻すには必要な存在だ。チョンは王になることを厭っているが、王太子妃の説得により、指導者となって夜鬼の一掃計画を立てることにした。
正殿に夜鬼を集め、焼き討ちすれば一網打尽にできる。残りは地道に排除して行くしかないが、多勢を相手取るよりはよほどましである。配下と協力体制を取り、準備は着々と進められた。
その頃、夜鬼に噛まれた左手を自ら斬り落としたジャジュンは、王衣を身に纏い武器庫の地下へ潜伏。しかし、すでに遅くその身は夜鬼へと変貌しかけている。そこへ、火薬を取りに訪れたチョン一行は、地下にてジャジュンと遭遇し危うく殺されそうになるが、ハクスのお陰でどうにか助かる。だが、そのせいで逃げ遅れたハクスはジャジュンによって無残にも殺されてしまうのだった。
映画『王宮の夜鬼』の結末・ラスト(ネタバレ)
じきに日が暮れようとしていた頃、突発的に夜鬼が群れを成して現れる。王太子妃を逃がすため、仲間の一人が身を挺し夜鬼に噛まれてしまった。一同は悲愴な表情で彼の息の根を止める。
完全に日が暮れた頃、パクが計画を実行しようと言い始める。彼は自らが噛まれたことを明らかにし、正殿に残って夜鬼を集めて火をかけることに。チョンは王太子妃を連れて一旦、清へと逃走し安全を確保した後、再び朝鮮へと戻る決意を固めた。
チョン一行が密かに正殿から逃走すると、パクが太鼓を鳴らし始める。夜鬼は音に誘われぞくぞくと集まった。彼はできる限りの夜鬼を集め、まだ意思があるうちに火をかける。ところが、その火をジャジュンに踏み消されてしまう。パクは夜鬼へと変貌を遂げる寸前で、奴によって刺されてしまった。
いつまで待っても火の手が上がらない。異変に気付いたチョンは、トッキに王太子妃と後のことを頼み正殿へ戻ることにする。正殿へ辿り着くと玉座にはジャジュンが座っている。大太鼓の傍には白目になったパクがいた。彼は最期まで逃げろと言っていたが、チョンは大太鼓を打ち鳴らしつつ、襲い掛かる大勢の夜鬼と激しい戦いを繰り広げる。音によって更に夜鬼が集まって来る。どうにか火をかけようと奮闘するも、夜鬼が多過ぎて上手く火が広がらない。すると、とうとうジャジュンが刃を向けて来る。奴と対峙しながらどうにか火を点けようとするが、最早それどころではない。
そこへ、異変を察したトッキが近くまで向かい火矢を射かける。矢は見事に正殿へと到達し、夜鬼が容易に消せない場所で火が燃え続ける。チョンは正殿の梁を登り、階下へと火種を落とした。瞬く間に正殿に火が燃え広がったが、ジャジュンだけはチョンが逃げて行く様子を見つめる。奴は正殿の屋根へ逃れたチョンを追い、刃を交えた。
激しい戦闘を繰り広げた後、どうにかジャジュンを倒す。奴は正殿の屋根と共に階下へと落ちて行った。そこへ、ようやく引き返して来た軍が到着。正殿の前に集まっていた夜鬼を一掃する様子を屋根の上から見守っていたチョンは、王宮を救おうとする多くの民の姿を目にして涙を浮かべようやく、王位に就くことを決意。彼はその後、軍を引き連れ再びチョムルポへと夜鬼討伐に向かうのであった。
映画『王宮の夜鬼』の感想・評価・レビュー
世界でシンドロームを巻き起こした『新感染 ファイナル・エクスプレス』に次ぐゾンビアクション。今作は舞台が朝鮮王朝時代に設定されている。主役の王子役を、観客を惹きつけてやまないヒョンビンが演じ、玉座を簒奪する絶対悪の側近を、韓国を代表する俳優チャン・ドンゴンが演じている。
ゾンビアクションであるため、パニックムービーになるだろうと予想していたが、それだけではなく側近が玉座に執着する様子と王子が王として成長していく様子もしっかりと描かれている。加えてアクションも素晴らしく迫力がある。中でもチャン・ドンゴンの演技はさすがに素晴らしく、自ら手首を切り落とすシーンなど圧倒的で鬼気迫っている。対してヒョンビンは正統な英雄役を演じており、2人の対決シーンも必見である。(MIHOシネマ編集部)
ジャジュンがとにかくイヤなやつで彼の言動や行動全てに腹が立ちましたが、チャン・ドンゴンが演じることで悪だけどかっこいい存在になっていたと思います。また、ジャジュンの悪役っぷりが増すにつれて、ヒョンビン演じる、チョンの王子としての魅力も高まるので推しを見つけながら見ると、より楽しめるのではないでしょうか。
兄弟の絆や側近の裏切り、そして夜鬼の存在など見所が詰まった作品になっています。世界観は複雑ですが、ストーリー自体は難しくないので楽しんで見られる作品です。(女性 30代)
韓国の王宮物語と言えば堅い作品というイメージがあるが、今作は分かりやすいストーリーで気楽に鑑賞できる。剣術によるアクションも気合が入っていて見応えある。韓国のゾンビ物と言えば俊敏なイメージがあるが、今作もそれを裏切らない。更に、夜鬼(ゾンビ)を国家の陰謀に利用したりと、少々捻った活躍を見せてくれるので新鮮味も感じた。韓国映画に期待するポイントをしっかり押さえたうえで、内容も面白く文句なし。(男性 20代)
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