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映画『パピヨン(2017)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『パピヨン(2017)』の概要:1973年公開の同名映画、『パピヨン』のリメイク版。第一次大戦後であり第二次大戦前という狭間の時代を舞台に、無実の罪で終身刑に課せられた男が、長年に渡りあきらめずに脱獄を図る様子を描く。アンリ・シャリエールという実在の人物が自らの体験を基に出版した本が原作となっている。

映画『パピヨン』の作品情報

パピヨン

製作年:2017年
上映時間:133分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス、伝記
監督:マイケル・ノアー
キャスト:チャーリー・ハナム、ラミ・マレック、イヴ・ヒューソン、ローランド・ムーラー etc

映画『パピヨン』の登場人物(キャスト)

アンリ・シャリエール(チャーリー・ハナム)
パピヨンという名で呼ばれている。パリでヤクザのような職に就き金庫破りの名人として名を馳せていたが、ある日無実の罪で捕まってしまう。粗野な性格に見えて義理堅い部分も併せ持つ。
ルイ・ドガ(ラミ・マレック)
偽造紙幣作りの名人だが、偽の国債を発行した罪で逮捕される。頭は良いが体力はなく、過酷な流刑地で生き延びるためにパピヨンを頼りにする。
セリエ(ローラン・モラー)
パリでヤクザのような職に就き豪勢な生活を送っていたが、ある日無実の罪で捕まってしまう。粗野な性格に見えて実は義理堅い部分も併せ持つ。
ジュロ(マイケル・ソーチャ)
流刑地でパピヨンとドガが出会う人物。移送時から脱獄を企てており、悪知恵が働く。
ウォーデン・バロット(ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン)
パピヨン達が収容された監獄の刑務所長。囚人達を日々受け入れ過酷な労働をさせる任務に慣れきっており、情の通じない冷淡な性格。
ネネット(イヴ・ヒューソン)
パピヨンの恋人。彼が逮捕された際にも一緒におり、パピヨンの無実を知っている。

映画『パピヨン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『パピヨン(2017)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『パピヨン』のあらすじ【起】

時は1931年、第一次世界大戦と第二次世界大戦の狭間の時代のパリ。アンリ・シャリエール、別名パピヨンは金庫破りの仕事に臨んでいた。彼は裏社会と繋がりを持ち金を稼いでいたが、ある日仲間の裏切りにより、恋人のネネットと過ごしていたところに警察が踏み込み殺人の罪で逮捕されてしまう。

恋人と共に無実を訴えるもそのまま終身刑となり、フランス領ギアナにある流刑島へ連行される。島へ向かう船の中、パピヨンは意気消沈する間もなく脱獄をするための策略を巡らせる。目をつけたのはルイ・ドガという男である。噂によると彼は偽造紙幣制作の犯罪者で、偽国債発行の罪により逮捕されたという。大量の金を自らの体内に隠し持っていると聞き、パピヨンは脱獄のための金を見返りに彼の護衛役を申し出る。初めは拒否していたルイだったが、連行船でのあまりのひどい待遇、暴力が横行する環境に恐れを覚え、パピヨンと行動を共にすることを決める。

島へ収監された囚人達は揃いの服を着せられ、厳しい戒律のもと過酷な労働を課せられることになった。もともと体力のないルイは初めこそ「妻が控訴してくれる、もうすぐ帰れる」と楽観的だったが、次第に消耗していく。彼が周囲の男達に襲われそうになるたびにパピヨンが身を挺して守っていた。そんな日々の中、徐々に二人の間に利害関係だけではない友情が芽生え始める。

島へ入る時にジュロという男と親しくなった二人だが、彼はわざと怪我をし、比較的警備の緩い病棟へ移っていた。しかし、隙を見て脱出しようとしたジュロは島周辺の厳しい警備に捕まり、囚人達の目の前で斬首刑に処せられてしまう。パピヨンとルイは死体の処理を命じられ、監視役がつく中ジュロの体を森の中へ運んでいく。だが、体力のないルイが力尽きて倒れ込むのを見た監視役は、彼に暴力を振るう。暴行を止めようとパピヨンが監視役を殴り、その騒ぎを聞きつけた他の警備が飛んでくる中、パピヨンは川を渡って逃走を図る。

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映画『パピヨン』のあらすじ【承】

川を抜け密林の中逃げ続けるパピヨンだったが、密通して脱獄の橋渡しをしてくれるはずだった男は実は刑務所長とつながっており、彼の裏切りにより刑務所へ連れ戻される。
刑務所には決まりがあり、脱獄を企てた者は2年間の独房暮らしを課せられる。その後労働に戻されるが、万が一再度脱獄を図った場合は5年間の独房暮らし、そして最後は「デビルズ島」と呼ばれる悪魔の島へ流されるという。

独房へ入れられることになったパピヨンは、3畳ほどしかない暗く湿った部屋での生活を強いられる。出てくる食事は何が入っているかわからないスープ状の粗末なものだったが、ある日鍋の中にココナッツが入っていた。蓋の裏側を見ると、「これから毎日これを届ける」という手紙。ルイが監視の目を盗んで行ったパピヨンへの差し入れだった。それを食べたパピヨンは次第に体力を取り戻し、独房の中でもトレーニングを行い、筋肉の落ちた体に力を蓄えようとする。

しばらく後、いつものようにココナッツ入りの鍋がパピヨンの独房へ届けられた時、ある刑務官がそれを怪しみ中身を点検する。何者からかの囚人への差し入れが発覚し、パピヨンは刑務官から連日詰問を受ける。しかし、彼は口を割らない。刑務所長であるウォーデンが美味しそうなスープと引き換えに協力者の名前を言うよう迫った時も、パピヨンは自白を拒絶するのだった。怒った刑務所長はその日からパピヨンの食事を半分にするよう命じる。ますます痩せこけ髪はすべて白髪になってしまうパピヨンだったが、彼はどうにか2年間の独房生活を生き抜く。

映画『パピヨン』のあらすじ【転】

独房を出たパピヨンは病棟で養生することになり、そこでルイと再会する。彼は持ち前の頭で生き抜き、囚人ながらも刑務所長のサポートをする経理係となっていた。ルイの妻は彼を弁護していた弁護士と再婚したという。「そんな女は忘れろ」、とルイに笑いかけるパピヨン。この日から2人の脱獄計画が再開した。

セリエ、マチュレットという2人の囚人を仲間に引き入れることになったパピヨンとルイ。外部の人間も参加する映画上映会が開催されて警備が手薄な夜、パピヨンと同じく病棟にいるマチュレットが監視役の気を引いているうちに鍵を盗み、逃げ出すことを企てる。予想外の雷雨にも助けられ、計画は途中まで予定通りに進むが、逃走中ルイが足を骨折する怪我を負う。川に用意していたボートに乗り込み海へ出た4人だったが、嵐で転覆しそうになる中仲間割れが始まってしまう。怪我をしたルイを足手まといだと言い、彼を殺して少しでも船を軽くしようとするセリエ。ルイを守ろうとセリエと殴り合いになるパピヨンだったが、ルイはセリエが持っていたナイフを奪い、セリエを殺すことになる。残った3人は彼を海へ投げ捨て、航海を続ける。しかし大きな嵐がボートを襲い、3人はある土地へ流れ着く。

そこはコロンビアの海沿いにある村で、村人たちの介抱により3人は生き延びていた。怪我を理由にそこに残ろうとするルイとマチュレットだったが、パピヨンは一人村を去ろうとしていた。しかし、その道中、刑務所からの追っ手が村に迫っているのを見つけてしまう。ルイを守ろうと必死に村へ走るパピヨンだったが、ルイを見つけた所で刑務官達に捕まってしまうのだった。

島へ連れ戻された2人は、再び別れ別れになる。パピヨンは2度目の脱獄の罪により、またしてもあの独房に5年間閉じ込められることになった。ひどい環境の中で動くこともできないくらいに衰弱し、幻覚を見るようになるパピヨンだったが、驚異的な精神力で5年間を生き抜くのだった。

映画『パピヨン』の結末・ラスト(ネタバレ)

そして5年後、独房を出たパピヨンはデビルズ島という囚人が最後に行き着く死の島へ送られる。そこでは過酷な労働こそないが、生きる死人のような囚人達が無気力に暮らしていた。パピヨンはその場所で、生き別れになっていたルイと再会する。ルイは5年前島へ戻された後に刑務所長に逆らい、彼の怒りを買いこの島に流されていたのだった。

年月と共に2人の姿は様変わりしていたが、友情はまだ生きていた。ルイが一人で暮らす部屋の壁には、彼が5年かけて描いてきた壁画があった。以前の骨折により片足を引きずってはいるが、彼なりにこの島で生き抜いてきた様子が伺え、もう最初の頃のひ弱な様子はない。パピヨンはルイと共に島の崖から海を見下ろし、物思いに耽っていた。そして、ある日興奮した様子でルイに再・脱獄計画を打ち明ける。

彼は海に投げた木の実が潮に流されて次第に遠ざかっていく様子を見るうち、ポイントは潮目に乗ることだと発見したのだ。いかだを作って2人で逃げよう、と話すパピヨン。ルイはうなずき、かつてパピヨンに送り続けたこともあるココナッツの実でいかだを作り始める。しかし、準備をする中でパピヨンの象徴でもある蝶々が囚人服の端切れに描かれたものを密かに瓶に詰めるのだった。

決行の日、2人は崖を訪れる。いざ飛び降りようとした時、ルイは「僕は残る」とパピヨンに告げる。驚き説得しようとするパピヨンだったが、ルイの表情を見て何かを悟ったように言葉を止める。2人はおそらく同じ思いを胸に、握手を交わして抱き合う。そして、夕焼けが空を染める中パピヨンは断崖絶壁から海へ身を投げる。ルイが崖の上から固唾を飲んで見守る中、海面へ浮上してきたパピヨンは、それまで「ドガ」と呼んできた友人に「ルイ!」と叫ぶ。2人は笑顔で拳を上げ、称え合う。これが2人の別れになるのだった。

時は変わって1960年代。無事に脱獄を果たしたパピヨンは老境に差しかかり、自らの体験を本にすることを決心する。まだ逃亡中で指名手配されている身ではあったが、妻に説得されたという。その時出版社の人間に渡した資料の中に、ルイが彼に持たせた蝶々が描かれた端切れが大事に保管されていた。彼は晩年になり、ようやく故国から許されている。

映画『パピヨン』の感想・評価・レビュー

凄まじい体験を目の当たりにし、しかしこの話はそう遠い過去に起こったものではないということに改めて驚く。どこまでが脚色されていない事実なのかはわからないが、最後島に残ることを決めたルイは、自らがパピヨンの脱獄の足手まといになることを悟っていたのだろう。また、パピヨンはルイのその思いに気づいて尊重したのだろう。
誤認逮捕で人生を狂わされながらも劣悪な環境の中生き延び、密かな友情を得、生涯それを大事にしていたアンリ・シャリエールという男の不屈の精神にただ感嘆した。(MIHOシネマ編集部)


1973年に公開されたオリジナルを既に視聴済みだった為ストーリーは全て把握していたが、より痛々しさが増した描写やその内容を改めて観て、本当に凄まじい実話だったのだと思った。

しかしながら、オリジナル版のスティーヴ・マックイーンとダスティン・ホフマンの表情から溢れ出ていた年月の経ち方とか、歳の取り方のリアルさのほうが心を揺さぶられたのは事実だ。それでも本作でのラミ・マレックら旬な俳優の熱演も十分観る価値はある。(女性 20代)


オリジナル版は観たことがないのでリメイクとしての評価は分からないが、辛くて苦しい地獄のような状況で生まれた、パピとドガの友情のような、共依存のような関係は観ていてとても心に刺さった。
思わず目を背けたくなるような残酷な描写や、俳優たちの鬼気迫る演技によってより一層胸に迫る過酷な生死の狭間の表現は、観ていてとてもしんどかったが、それでも彼らを、彼らの生き様を見届けられて良かったと思う。
今なお名作と謳われるオリジナル版もいつか観てみたい。(女性 30代)

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