ケインは夫と共にミャンマーから日本に移住してきた。夫婦の間には子供もおり、皆で慎ましやかに暮らしていた。だが、夫が入国管理局に捕まってしまう。ケインはたった1人で子供を育てなくてはいけなくなり、母国に帰りたいと思うようになる。
映画『僕の帰る場所』の作品情報
- タイトル
- 僕の帰る場所
- 原題
- なし
- 製作年
- 2017年
- 日本公開日
- 2018年10月6日(土)
- 上映時間
- 98分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- 藤元明緒
- 脚本
- 藤元明緒
- 製作
- 渡邉一孝
吉田文人
キタガワユウキ - 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- カウン・ミャッ・トゥ
ケイン・ミャッ・トゥ
アイセ
テッ・ミャッ・ナイン
來河侑希
黒宮ニイナ
津田寛治 - 製作国
- 日本・ミャンマー合作
- 配給
- E.x.N
映画『僕の帰る場所』の作品概要
ドキュメンタリー風に撮影が行われており、俳優経験の少ないミャンマー人達が多数出演している。母親のケイン・子供のカウンとテッくんは本当に血が繋がった家族で、この作品が初めての映画出演となった。日本とミャンマーの間で揺れ動く「移民」の家族について描かれており、世界からも大きな注目を集めている。本作品は既に20カ所以上の国際映画祭で上映されており、「第30回東京国際映画祭・アジアの未来部門作品賞&国際交流基金・アジアセンター特別賞」などの賞を受賞している。
映画『僕の帰る場所』の予告動画
映画『僕の帰る場所』の登場人物(キャスト)
- カウン(カウン・ミャッ・トゥ)
- 小学生。日本語しか話せない。弟(テッくん)がいる。
- アイセ(アイセ)
- カウンとテッくんの父親。ケインの夫。ミャンマーで暮らしていたが、命の危機を感じたため日本に移住する。
映画『僕の帰る場所』のあらすじ(ネタバレなし)
ケインは夫のアイセと共にミャンマーを出て、日本の東京の小さなアパートで慎ましやかに暮らしていた。そんな2人の間には子供がいた。兄のカウンと弟のテッくん。だがある日、アイセが入国管理局に捕まってしまう。
ミャンマーの社会情勢は不安定で、彼らは命の危機を感じて母国を離れていた。日本の入国管理局は身が危なくなった証拠を示せと、ケイン達家族に指示した。もちろん、提出できるような証拠は何もなかった。ケインは慣れない日本語を使いながら、たった1人で子育てを行うことになった。だが、子供達はお父さんに会えないことで不安を感じ、兄弟喧嘩を繰り返すようになってしまう。ケインはこのままでは幸せに暮らせないと感じ、母国に戻りたいと強く願うようになる。
映画『僕の帰る場所』の感想・評価
藤元明緒・長編初監督作品
藤元明緒監督にとって、この映画が長編初監督作品となった。藤元監督は大学で心理学・家族社会学を学んでおり、卒業後にビジュアルアーツ専門学校大阪・放送映画学科に入学している。専門学校の卒業制作で作られた短編映画『サイケファミリア』は、「なら国際映画祭」「ドバイ国際映画祭」「サンディエゴアジアン映画祭」で上映され、高い評価を受けた。
『僕の帰る場所』は14カ国20カ所以上の国際映画祭で上映されており、「第30回東京国際映画祭・アジアの未来部門作品賞&国際交流基金・アジアセンター特別賞」や「第5回バンコクASEAN映画祭・審査員賞」などを受賞している。『僕の帰る場所』は既に世界中から高い評価を受け、注目を集めている。
ミャンマー
ミャンマーは1948年にイギリスから独立し、ビルマ連邦という名称になった。それから軍事政権時代が始まり、1989年にミャンマー連邦へ国名の改名を行うことになる。2015年頃には民主化が行われたが、それにより宗教上の対立が表面化してしまう。ロヒンギャ族と仏教徒とが争い、死者が出るほどの激しい暴動が起きてしまったのだ。しかも、2016年にはミャンマー国軍によるイスラム教徒の虐殺が行われ、数千人規模の死者が出た。
ミャンマーと日本は平和条約締結以降、友好的な関係を続けている。2012年には日本政府が上下水道や道路などの整備を請け負い、ミャンマー側は日本企業の誘致を行ってきた。また、ミャンマーの独立にも旧日本軍は大きく貢献しており、鈴木敬司を始めとした軍人7人にミャンマーの国家最高の栄誉賞が授与されている。
日本の移民について
国際的に移民についてのはっきりとした定義はまだない。だが、基本的に1年間当該国に居住する人のことを移民と呼んでいる。移民の受け入れが一番多い国はドイツだが、日本も現在世界の中でも4番目に移民の受け入れが多い国になっている。1980年代に「ブルーカラー」と呼ばれる職種で人手不足が深刻化し、外国人労働者が数多く受け入れられるようになっていった。現在も少子高齢化に伴う人手不足により、工場や介護の現場で外国人労働者が求められている。
移住してきた外国人労働者が日本の社会で求められている一方、日本の若者の失業が深刻な問題として取り上げられている。さらに、不法滞在を行っている外国人の子供達世代をどのように取り扱えばいいのか、新たな問題が浮上してきている。そして、生活保護を必要としている外国人が約5万世帯ほどあるなど様々な問題が起こっており、政府は対応に追われている。
映画『僕の帰る場所』の公開前に見ておきたい映画
ライフ・イズ・ビューティフル
ヒューマンドラマ作品。ロベルト・ベニーニが監督・脚本・主演を務めており、「第71回米国アカデミー賞・主演男優賞」など7部門の賞を受賞・ノミネートされている。また、主人公の妻を演じたのは、実際にロベルトの妻であるニコレッタ・ブラスキである。物語の舞台は第二次世界大戦時の北イタリアの田舎町で、ユダヤ人の迫害について描かれている。
ユダヤ系イタリア人のグイドは、美しいドーラに一目で恋に落ちた。2人は結婚し、息子のジョズエが誕生する。幸せに暮らしていたある日、ナチス・ドイツ軍によって強制収容所に送られてしまう。グイドとジョズエは、ドーラと離れ離れになってしまった。だが、陽気なグイドは、息子に暗い表情を見せなかった。
6才のボクが、大人になるまで
ヒューマンドラマ作品。4人の俳優が家族を演じ彼らの成長を追うため、実際に12年間に渡り断続的に撮影が行われている。アメリカ合衆国元大統領のバラク・オバマもこの作品に好意的な意見を述べており、批評家からの評価の高い作品でもある。「第64回ベルリン国際映画祭・監督賞」を受賞するなど、数々の賞を総ナメにしている。
オリヴィアは夫と離婚し、子供達(6歳のメイソンJr.と姉のサマンサ)を引き取って育てることにした。元夫のメイソン・シニアはバンドの曲作りのために別の場所で暮らしていたが、子供達に会うため結局オリヴィア一家の近くに引っ越してきた。メイソンJr.と家族の間に12年の月日が流れた。その間に様々な問題が起きるが、メイソンJr.は家族の助けを借りながらそれを乗り越えてきた。
再会の街で
ヒューマンドラマ作品。アメリカ同時多発テロ(9.11事件)によって妻子を失った男性と大学時代の友人が再会し、交流を深めていく様子が描かれている。俳優・脚本家・コメディアンなど様々な場で多彩な活躍を広げているアダム・サンドラーが、妻子を失った男性を演じている。
妻子と幸せな日々を送っていたアランは、ある日大学時代の友人・チャーリーを見かける。アランは車に乗っていたので声をかけることができなかったのだが、歯科医であるはずのチャーリーがペンキ缶を持って歩いていたことが気にかかった。後日アランはチャーリーと再会を果たし、彼が9.11事件で家族を失っていたことを知る。チャーリーの心の傷は癒えておらず、深い悲しみの中にいた。
詳細 再会の街で
映画『僕の帰る場所』の評判・口コミ・レビュー
僕の帰る場所。日本で暮らしていたミャンマー人が母国に帰るだけの話だけど子役の演技が自然すぎる、なかなか凄いと見ていて、舞台挨拶が苦手なので早々に帰ろうと思ったら抜けるタイミングを逃して話を聞いてしまった。本当の親子だったのか。成程。でもあまり考えさせられることろはない。素直な映画
— akazawa_t (@akazawa_t) 2018年10月7日
『僕の帰る場所』はドキュメンタリーに見える部分もあるけど、しっかり準備して作り込まれた映画のようで驚きました。私は前から気になっていたから今日初日に観に行ったけど、満席で、皆気になっていて観たいと思う映画だったのかなと思います。私も観に行ってよかった!パンフも買ったから読みます。
— ぴょん (@planetalindo) 2018年10月6日
映画『僕の帰る場所』のまとめ
命の危機を感じた一家が、ミャンマーから日本に移住してくる。だが、入国管理局の審査は厳しく、家族は日本で幸せには暮らせなかった。それでも日本で暮らしていたのは、子供達が日本語しか話せず、生活に慣れているのが日本だからである。それに、ミャンマーに戻れば、再び命の危機を感じながら生きなければならない。日本に留まるのかミャンマーに戻るのか、家族は決断を迫られることになる。この作品は実話をベースに作られており、実際に「移民」達が抱える問題にスポットが当てられている。家族の愛を感じながらも、とても考えさせられる作品になっている。
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