映画『セイフ ヘイヴン』の概要:「きみに読む物語」など恋愛小説の名手ニコラス・スパークスの作品を映画化。ミステリー仕立てで描く恋愛物。出演はジョシュ・デュアメル、ジュリアン・ハフ。「ショコラ」のラッセ・ハルストレム監督の2013年映画。
映画『セイフ ヘイヴン』 作品情報
- 製作年:2013年
- 上映時間:116分
- ジャンル:ミステリー、ラブストーリー、ファンタジー
- 監督:ラッセ・ハルストレム
- キャスト:ジョシュ・デュアメル、ジュリアン・ハフ、コビー・スマルダーズ、デヴィッド・ライオンズ etc
映画『セイフ ヘイヴン』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『セイフ ヘイヴン』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『セイフ ヘイヴン』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『セイフ ヘイヴン』 あらすじ【起・承】
深夜遅く、着の身着のまま逃げ出してきた女性が実家に駆け込んだ。”エリン、どうしたの?”と母は憔悴しきった娘を抱きしめた。その後、エリンはアトランタ行きのバスに乗り、新天地を目指した。
しかし、ボストン市警の刑事・ケヴィン(デビッド・ライオンズ)がエリンを追っていた。エリンを乗せたバスは、サウスポートという小さな港町に停車した。海を眺めていたエリンは、この町が気に入り住むことに決めた。
エリンは、ケイティ(ジュリアン・ハフ)と名前を変え、港近くのカフェで働き始めた。また森のコテージを買い、住むことに。ケイティは、港のそばの雑貨店で、店番をするアレックス(ジョシュ・デュアメル)とその娘レクシーと出会う。
レクシーの勧めで、床の色を黄色に塗ることに決めた。妻を病気で亡くしたシングルファーザーのアレックスは、ケイティを何かと気遣い、自転車をくれた。そんな厚意に慣れていないケイティは、自転車をアレックスに返してしまう。
ケイティは、近所に住むという女性ジョー(コビー・スマルダース)と親しくなり、助言をもらった。”この南部の町では、物をもらうのは当たり前のことよ。”と。
ある日、アレックスの息子ジョシュが転落して溺れてしまう。その事態を発見したのはケイティだった。自転車の件でケンカした2人だったが、友情を取り戻した。その後は、アレックスと家族ぐるみで付き合うようになった。
ビーチに行って楽しく過ごした。しかし、母親の死から立ち直れない息子ジョシュは、父親に”なんで写真を撮るの?”と反発した。変わらない愛情で接するアレックスだったが、息子ジョシュの気持ちとすれ違い、子育てで悩んでいた。
”とても楽しかったわ。”とケイティはアレックスに伝え、初めて自宅に招いた。すると、アレックスは床に足がハマってしまい、怪我をしてしまう。
その後、ケイティはサウスポートでの暮らしに慣れ、魚を突く漁にも挑戦。そんなケイティをアレックスは、カヌーに誘う。アレックスの父親から、関節が痛むから雨が降るだろうと言われるが2人は出かけてゆく。
映画『セイフ ヘイヴン』 結末・ラスト(ネタバレ)
ケイティはアレックスとカヌーを楽しんだ。その途中、大雨に振られてしまう。迎えを待つ間、2人はゴリラの話をしたり、ダンスを踊った。
アレックスの親友が迎えに来てくれたが、夜遅く帰宅したにも関わらず、アレックスの子供達は寝ずに待っていた。娘レクシーは、”パパがいないと眠れないの。”と甘えた。アレックスは死んだ妻が残した息子への手紙の事を思い出した。
一方、エリンことケイティを執拗に追う警官ケヴィンは、エリンの元夫だった。エリンへ暴力を振るうだけでなく、エリンを殺人犯として全国指名手配したのだ。それを知った上司は怒り、彼を停職処分にした。
しかし、彼のストーカー行為は収まらず、エリンの実家に訪れてはエリンの母親を脅すのだった。その後も、ケイティは元夫に襲われる悪夢を見てはうなされていた。
だが、アレックスとデートを重ねるうちに恋人同士に。”床が直ったのよ。見てみる?”と初めて部屋に誘い、2人は結ばれた。
ある日、花火の注文で警察署を訪れたアレックスは、ケイティがエリンという名前で殺人犯として全国指名手配されている事を知り、驚く。
ケイティに”去れ!さもないと親友に話す!”と言うアレックス。ケイティは、アレックに誤解されたまま真実を告げることなく、この町を離れることを決意した。
それでも、ケイティをあきらめきれないアレックスは、追いかけ、愛を告白した。こうしてケイティを取り戻したが、すぐそばまで元夫の脅威は迫っていた。
夏祭りの日。アレックスの店を訪れた元夫ケヴィンは、警官を装い、店番をしていたレクシーに話しかけた。”この人を見たことないかい?”とケイティの写真を見せた。レクシーは知らないと答えた。
町は祭りでにぎわいを見せ、昼間はマーチングバンドの演奏、夕方はダンスパーティが開かれていた。元夫ケヴィンは、エリンがアレックス一家と仲睦まじい様子を見た。
夜。花火を見に行くと出かけたアレックスと息子ジョシュ。家に残ったケイティとレクシーの前に元夫ケヴィンが現れた。外で話そうと誘い、レクシーを家の最上階に居るよう言い聞かせた。
”あなたのところには戻らない。”というケイティに逆上したケヴィン。ガソリンを撒き、家に放火されてしまう。船にいたアレックスは、炎が上がったのを見てレガシーを必死に救助した。だが、家は全焼してしまう。
ケイティはケヴィンに殺されそうになるが、正当防衛でケヴィンを銃で撃った。数日後、思い出が全て失われてしまったと泣くジョシュ。しかし、焼け残った品から、病気で死んだ母親がジョシュに宛てた手紙が見つかった。
この手紙に家族は励まされた。そして、アレックス一家に迎えられたケイティにも、亡き妻からの”夫を愛する女性へ”という手紙が!手紙には、”あなたも彼と同じ気持ちなら家族になって欲しい。あなたは私にとって1番大切な人。家族の事をどうかお願い”と記してあった。
こうして、ケイティはアレックスの家族となり幸せに暮らした。
映画『セイフ ヘイヴン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『セイフ ヘイヴン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
多様な愛の形が胸を打つ、ラブストーリーの進化形
ミステリー・タッチで始まる展開に工夫があり、観客は尋常でない愛に放り込まれます。そんな緊迫感と対照的に主人公ケイティが新天地として選んだ、海辺の小さな町。
友情から愛情へ発展してゆく過程やケイティと恋に落ちる雑貨店店主が子供の事で悩む姿など、多様な愛の形を描いているのが素晴らしい。原作者のニコラス・スパークスがプロデューサーとして映画に関わっている点からも力を入れているのがよく分かります。
特に開放感あふれる自然の中でのカヌーや子供達と触れ合うビーチのシーン。主人公ケイティの恋の高まりや感情の表現が丁寧に描かれている点に注目して下さい。
加えて最大の見せ場となるのが、亡くなった妻からケイティへ宛てた”手紙”です!原作者ニコラス・スパークス作品の特徴なのですが、まだ見ぬ相手との懸け橋となる小道具~手紙が涙を誘います。手紙と恋愛の相性は抜群!
手紙に託された愛がこの映画の核であり、観終わった後も余韻が残ります。
ラッセ・ハルストレム作品の楽しみ方
原作者ニコラス・スパークスとラッセ・ハルストレム監督。2人が組めば、上質なラブストーリーが楽しめます。互いの才能が衝突することなく、調和しているのは男女の恋だけでなく、家族愛も描き不変的な物語だからです。
またラッセ・ハルストレム監督作品に共通する、ヒロインの尊い生き方や火事のシーンに注目したいと思います。ヒロインは、幸せ探しといっても困難な事の連続で元夫の影に怯えながら生きてきました。
「ショコラ」でも、住む場所を転々としながら娘を育てる女性を描いています。この2つの作品でも、”自分の居場所”が物語の鍵になっています。その点に多くの女性が共感するのではないでしょうか。
また火事のシーンが必ず描かれ、人間の醜さや業の深さを感じさせます。もし、この火事でアレックスが娘を失っていたらと思うと苦しくなります。
設定の面から見ても、ヒロインの運命を援護するように”海辺の小さな町”としているのがいい。美しい自然に癒されるというのも、この作品ならではの鑑賞ポイントです。
相手から返事が貰えなくても、答えが聞けなくても自分の想いを伝えるために手紙を書くことは絶対に間違っていないし、誰かの心に必ず残るものだと教えてくれる作品でした。
アレックスとレクシーの関係は正直上手く行きすぎだと思います。街の雰囲気や人柄もあるとは思いますが、こんな簡単に子供たちとも絆を深められるとは思いません。
しかし、最後の亡くなった妻からの手紙で全てがチャラになりました。息子へはもちろん、夫が愛することになる女性に対しても手紙を書いていたなんて素晴らしすぎる奥さんですよね。
この作品を見ると誰かに手紙を書いて想いを伝えたくなるでしょう。(女性 30代)
映画『セイフ ヘイヴン』 まとめ
Eメールや電話など通信手段が発達している現在、本当に切ない恋愛は成立しないと言われています。しかし、恋愛小説の名手ニコラス・スパークスと人間ドラマに長けたラッセ・ハルストレム監督の手にかかれば、胸を打つロマンスとして心に刻まれます。
特に”手紙”の持つ温かさ・魅力は大きく、誰かに想いを伝えるのに最高の手段だと思います。この映画を観れば、”手紙”を書きたくなりますよ!
”手紙”も素敵なのですが、家族愛の描き方に魅力を感じます。パートナーや家族の事で悩む人にもぜひ観て欲しい。”自分の居場所”とは、”愛がある場所”なのだと実感できるでしょう。
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