『四月は君の嘘』で知られる新川直司が新たに手がけるのは、女子サッカーを題材とした熱いスポーツ作品。ひたむきにサッカーと向き合う少女達の、あまりに眩しい青春に感動必死。
映画『さよなら私のクラマー ファーストタッチ』の作品情報
- タイトル
- さよなら私のクラマー ファーストタッチ
- 原題
- なし
- 製作年
- 2021年
- 日本公開日
- 2021年6月11日(金)
- 上映時間
- 不明
- ジャンル
- アニメ
スポーツ - 監督
- 宅野誠起
- 脚本
- 高橋ナツコ
- 製作
- 不明
- 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- 島袋美由利
若山詩音
内山昂輝
逢坂良太
土屋神葉
白石涼子
遊佐浩二 - 製作国
- 日本
- 配給
- 東映
映画『さよなら私のクラマー ファーストタッチ』の作品概要
本作の主要人物の殆どが登場する『さよなら私のクラマー』は、2016年から2021年にかけて『月刊少年マガジン』で連載されていた人気コミック。『四月は君の嘘』で知られる新川真司の渾身の一作であり、前作とは違い非常に動きのある絵、展開で読者を驚かせた。しかし、本作の基になっている作品はまた別に存在する。それこそが、『さよならフットボール』。作者が『四月は君の嘘』より以前に執筆した作品である。昔から作者を応援していたファンからすれば、10年以上越しに叶った夢のような企画なのだ。作者の徹底的な取材の元完成した、あまりにも熱い作品。
映画『さよなら私のクラマー ファーストタッチ』の予告動画
映画『さよなら私のクラマー ファーストタッチ』の登場人物(キャスト)
- 恩田希(島袋美由利)
- 男子サッカーの世界で戦う女子中学生。成長するにつれ生じてきた男子との体格差に悩んでいる。
- 山田鉄二(内山昂輝)
- 希とは幼いころからのチームメイトで、現在キャプテンを務めている。希を心配している。
- 谷安昭(土屋神葉)
- 希の影響でサッカーを始めた顔なじみ。現在は他校サッカー部のキャプテンを務める。
映画『さよなら私のクラマー ファーストタッチ』のあらすじ(ネタバレなし)
男子と混ざって、日々サッカーに明け暮れていた主人公、恩田希。彼女達も成長し、中学校へと進学した。すると、彼女は一切、レギュラーで使ってもらえなくなったのだ。それは、成長に伴う身体の変化が原因だった。男子はより筋肉質になり、希は当たり負けすることが多くなった。さらに、体力的にも差が開いてしまい、監督は希を起用しなくなったのだ。それでも諦めない希。中学2年生の新人戦、希が所属する中学は、江上西中学校と対決することになる。その中学は幼馴染である谷安昭が主将を務める学校。彼に、女子が男子に敵うわけないと馬鹿にされたことをきっかけに、彼を何とか見返したいと思う希。試合に出して欲しい、と監督に直談判する希だったが…?
映画『さよなら私のクラマー ファーストタッチ』の感想・評価
本編に続く前日譚
本編の恩田希は高校生。女子サッカーの世界で日々戦う希を描いたストーリーとなっているが、本作はまだ希が中学生の頃、つまり前日譚に当たる作品なのだ。女子サッカーで活躍している本編とは一転、男子と混ざってサッカーに明け暮れる希。元々本編が好きだった人にとっては、ここから希の長きにわたる戦いが始まったのか、ここから本編に繋がったのかと思うとたまらないものがあるだろう。また、本編を知らない人にとっては、ここからさらに羽ばたいていく希の姿が本編で見られることになる。中には、前日譚や後日談を蛇足という人もいるだろう。しかし、そう判断する前に、是非本作を見て欲しい。本作が単なる人気にあやかった蛇足ではなく、よりシリーズを完璧なものとする必要不可欠な作品であることが分かるはず。
思春期の葛藤
思春期、それは非常に不安定な時期である。第二次性徴を迎え、女性はより女性らしく、男性は男性らしく体つきが変化していく。肉体面だけでなく、精神面でも変化を迎える非常に繊細な時期。そんな変化は、若者達を大いに惑わせる。本作の主人公、恩田希も、そんな突如としてやってきた成長に苦しむことになる。これまでは当然のように男子に混じってサッカーをしていたのに、突如体格差や体力差が顕著となり、全く歯が立たなくなってしまうのだ。しかし、前線で戦うことを諦めきれない希。そんな彼女の苦しみを、周囲のチームメイト、顧問、両親はどう見るのか。彼女の葛藤、そして、彼女を中心とした人間関係を丁寧に丁寧に描写した名作。
今しかできない、わたしの挑戦
本作の紹介文としてよく使われているのがこの言葉。青春とは、案外その真っ最中には気がつかないものである。時間が経って、過去を振り返った時に初めて、ああ、あれは青春だったんだな、と思い至るのである。人間は成長する生き物だ。限界、ということは現実的にはないのかもしれない。全ては本人の心持ち次第。しかし、やはりその時にしかできないこと、というのは必ず存在する。本作のヒロイン、恩田にとっては、男子と混じって第一線でサッカーをする、男子サッカーのフィールドで戦うという挑戦は、今その時にしかできないことだったのかもしれない。例え高い壁であっても、今しかできないそのことに挑戦する、それはあまりにも尊いこと。本作を見た後、あなたも何かに挑戦する勇気がもらえるはず。その気持ちを忘れることなく、前に進む推進力としよう。
映画『さよなら私のクラマー ファーストタッチ』の公開前に見ておきたい映画
四月は君の嘘
本作の元となったコミック『さよなら私のクラマー』。本作を執筆した漫画家が、新川直司。そして、この新川が過去に執筆した作品こそが、この『四月は君の嘘』なのだ。第37回講談社漫画賞少年部門を獲得した名作である本作は、アニメ化や実写映画化など、次々とメディア展開が広がっていった。主人公の有馬公は、かつて天才ピアニストだった少年。しかし、母の死をきっかけにピアノの音が聞こえなくなり、ピアノから遠ざかってしまう。14歳の春、公は運命的な出会いを果たす。その相手は、天才バイオリニスト宮園かをり。同い年の彼女の演奏を聞き、母の死以降止まっていた彼の時間が動き出す。しかし、かをりにはとある秘密があった。音楽を通して動き出す少年少女達の物語。
詳細 四月は君の嘘
ソウル・サーファー
最新作は、女性スポーツ選手をテーマに描いた作品。美しく凛々しく、スポーツに打ち込む女性選手は、多くの観客の目を奪い魅了する。そんな女性スポーツ選手をテーマに描いた作品は多い。その中でも、本作はトップレベルの人気を誇る。サーファーを目指した女性を主人公に据えた本作は、なんと実際に起きた実話。彼女はただのサーファーではない。14歳の頃、彼女はサメに襲われ、左腕を失っていたのだ。スポンサーがつくほど、将来が期待されていた若きサーファーだったベサニー。左腕を失ってからもサーファーになる夢を諦めきれないベサニーだったが、ライバルに惨敗するなど成績は奮わない。その時、彼女が選び取った道とは。後にプロサーファーとなった女性の感動のストーリー。
詳細 ソウル・サーファー
図書館戦争
女性が男性に敵わないと誰が決めたのだろうか。確かに、筋力、体力的に男性が有利な点もあるだろう。しかし、だからと言って女性が男性と同じラインで戦えないというわけでは決してない。本作の主人公笠原郁も、男性の中で戦う女性。『メディア良化法』という法律が制定された世の中。委員会によって不適切と認識された図書は、無慈悲にも検閲されてしまう。そんな事態から図書を守るために立ち上がったのが図書隊。その中でも図書特殊部隊と呼ばれる隊員達は、前線で日々厳しい任務に当たっていた。そして、そんな特殊部隊に、女性で初めて配属された人物こそ、5年前の愛しの王子様を探し続ける、笠原郁だった。岡田准一と榮倉奈々という、原作ファンも納得の完璧なキャスティングにも注目。
詳細 図書館戦争
映画『さよなら私のクラマー ファーストタッチ』の評判・口コミ・レビュー
映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ 鑑賞終了
映画として纏まっていたし良かったけど原作ファンとしては色々物足りない!
公開延期でTV版と順番が逆に。正直クオリティはTVよりちょい上程度でお察し。
女子サッカーが題材なので男女の体格差や筋肉の質、物語の根幹を固める良い脚本でした
— あさるとん@通常 (@asaruton) June 11, 2021
映画『さよなら私のクラマー ファーストタッチ』のまとめ
女子サッカーは、近年大きな注目を集めつつある。女子サッカーの日本代表チーム、通称『なでしこ』は、2011年にアジア初となる、FIFA女子ワールドカップで優勝を飾るなど目覚ましい活躍を見せた。その活躍は人々を勇気づけ、なんと2011年にはチーム全体に国民栄誉賞が授与されるという驚くべき事態も生じた。それだけ、スポーツが、スポーツ選手が人々に与える影響は大きいのだ。作者である新川直司の繊細な心理描写は、前作である『四月は君の嘘』で証明済み。きっと、映画館で涙する人が続出であろう、アニメファンのみならず大注目の一作。
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