映画『屍憶 SHIOKU』の概要:2015年に公開された日本と台湾の合作ホラー映画。テーマは「冥婚」で、生者の男性が死者の女性との婚約を迫られる恐怖を描いている。主演は台湾の俳優・吳慷任、ヒロイン役は日本の女優・田中千絵が務めた。
映画『屍憶 SHIOKU』の作品情報
上映時間:89分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、ホラー
監督:リンゴ・シエ
キャスト:クリス・ウー、ニッキー・シェ、田中千絵、ヴェラ・イェン etc
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映画『屍憶 SHIOKU』の登場人物(キャスト)
- リョウ・チョンハオ(ウー・カンレン)
- テレビ番組のプロデューサーを務める男性。最愛の恋人・イーハンとの結婚を間近に控えている。赤い封筒を拾ったことで、冥婚の新郎に選ばれる。
- ワン・イーハン(田中千絵)
- リョウの恋人。心優しく、とても美しい女性で、ハオを心から愛している。
- リン・インイン(イェン・ヂョンラン)
- 高校生の少女。祖母からの隔世遺伝で霊感を受け継いだため、度々霊に襲われる。
- ヂャン・カイシアン(チェン・チューシアン)
- リョウの親友で、仕事の良きパートナーでもある男性。友達想いな性格をしている。
映画『屍憶 SHIOKU』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『屍憶 SHIOKU』のあらすじ【起】
暗闇の中で佇む1人の男性。彼の名はリョウ・チョンハオ。リョウは灯りのある方へ進んでいくと、赤い布とランタンで美しく飾られた廟(台湾の神社)に辿り着く。
しかし、廟内には数体の奇妙なマネキンが配置され、廟内中心にある赤い椅子には、台湾の花嫁衣装を纏い、ベールで顔を隠している女性が座らされていた。
新婦の顔は赤い布で隠されており、どのような表情をしているのかは把握できなかった。その時、「そろそろお時間です」と語る女性の声が廟内で響き、新郎らしき男性が複数の男に両腕を掴まれ、廟内へやってきた。
新郎が嫌がり抵抗した衝撃で、新婦の体は動かされ、その顔が露呈する。新婦の眼球は、白目の部分が黄色く染まり、赤い血管が痛々しく張り巡らされていた。新婦の恐ろしい形相を見たリョウは、恐ろしさで目を覚まし、これが夢であったと気がつく。
飛び起きたリョウだったが、隣に眠る恋人・イーハンの言葉で、なんとか落ち着きを取り戻す。リョウはイーハンとの婚約を控えており、幸せに満ちた生活を送っていた。
朝にジョギングへ出かけたリョウは、公園の木の根元に赤い封筒が挟まっていることに気がつく。リョウはその封筒を手に取るが、一瞬目を離した隙に、封筒はどこかへ消えてしまう。
リョウは、帰宅すると浴室で体を洗い、鏡に写る自分を見つめる。すると、左胸に3本のひっかき傷を発見し、覚えのない傷に疑問を抱く。
イーハンは、出勤しようとするリョウに「寒くなるわ」と言い、彼の首にマフラーを巻く。その時、イーハンは首に痛みを感じるが、大丈夫だと言うと、自身の右肩をさする。
舞台は高校に変わり、16歳の誕生日を迎えた少女・インインは、親友のリンバオから、祝福メッセージを受け取る。全ての授業が終わると、リンバオはインインに何か食べに行こうと提案する。インインはその提案をとても嬉しく思った。
しかし、リンバオの隣には、顔面の半分を破損している犬がおり、霊感が強いインインは、その犬がリンバオの大切なペットだと気がつく。それと同時に、リンバオの携帯が鳴り、彼女の犬が亡くなったと連絡が入る。食事は中止となり、インインは放心状態の親友を見送った。
映画『屍憶 SHIOKU』のあらすじ【承】
テレビ番組のプロデューサーを務めるリョウは、「冥婚」という呪われた婚礼の特集を組み、リポーターの女性(日本人)と専門家の男女を呼び、撮影を行っていた。
冥婚は、死者(主に女性)と生者を結婚させる、言わば呪われた結婚で、中国の男性優位社会の影響を受けて作られた婚礼方法の一種だと言われている。
昔の中国では、未婚のまま亡くなった女性は、先祖の墓に入ることができず、死後に婚礼の儀を行うことがあった。
生者の新郎を選ぶ手順は簡単で、新婦(死者)の髪や思い入れの深い物を赤い封筒に入れ、封筒を故意に人目のつく場所に置き、それを手に取った男性が新郎として選ばれるというものだった。
仕事が終わり、リョウは玄関からイーハンを呼ぶが、何も応答がない。イーハンはシャワーを浴びており、しばらくするとリビングに姿を現した。婚約を間近に控えた2人は、ウェディングドレスを目に焼きつけ、「綺麗だ」と言うと、幸せそうに笑うのだった。
深夜、インインは自室ですやすやと眠っていた。しかし、鳥のぜんまいおもちゃが勝手に動き出し、インインは目を覚ます。ベッドから抜け出すと、見に覚えのない血だまりが床に広がり、クローゼットが勝手に開き始める。奇怪な現象は続いたが、母親が仕事から帰ってくると、不思議とそれらの現象は止んだ。
インインの母親は、台所で食器を洗い終わると、元気のない彼女に「どうしたの?」と声をかける。怪奇現象に悩むインインは、母親に仕事から早く帰ってくるように頼む。娘を心配した母親は、なるべく早く帰宅できるように、仕事先と相談すると答えた。
その後、インインが自室のベッドで寝ていると、黒い手がベッドの下から現れ、インインは叫び声をあげ、母親が駆けつけるも、インインは母親に心配をかけないように、悪い夢を見たと説明した。
リョウの親友・カイシアンは、あるDVDをリョウに渡す。それは結婚式の際に流すDVDで、リョウはサプライズとして、結婚式当日にそれを上映し、イーハンを驚かす計画を立てていた。
自宅でDVDを視聴していると、イーハンが訪れ、うっかりDVDの内容を見られそうになる。その晩、リョウは再び悪夢を見て、はっと夜中に目を覚ます。隣ではイーハンがぐっすりと眠っていた。
映画『屍憶 SHIOKU』のあらすじ【転】
カイシアンは、悪夢に悩み元気をなくしているリョウを心配し、番組で関わった霊媒師の女性・シュエンヂェンの元へ彼を連れて行く。
彼女が語るには、リョウはこの世に生を受けた時から、花嫁の霊に取り憑かれており、前世のハオは、その花嫁の霊によって殺害されていた。
シュエンヂェンは、リョウの出生地から見て東北の方角で、何か奇妙な死亡事件あったかを調べ、霊のルーツを見つけることを2人に勧めた。
早速図書館の新聞コーナーへ赴いたリョウとカイシアンは、1930年6月12日の交通事故の記事を発見し、その被害者男性の顔がリョウにそっくりなことに気がついた。
インターネットの画像検索で、事故現場近くの写真を見つけ、クリックすると、その事故に関するサイトが現れた。写真をズームすると、突然花嫁の霊の姿が写り、リョウは驚く。
インインは、学校で行われる水泳合宿に参加し、同級生・フイからプールに纏わる怖い話を聞く。それは恋人の男子生徒によって溺死させられた女子生徒の話だった。その女子生徒の遺体はまだ見つかっていない、とフイは語る。
その後、フイは突然プールで溺れ、インインはフイの脚に女子生徒の霊が絡みついているところを目撃する。
フイは一命を取り留めたが、インインはその後、トイレで女子生徒の霊に襲われてしまう。霊に乗り移られたインインは、その女子生徒が埋葬された場所まで行くと、地面を掘り出し、彼女の骨を見つけ出すのだった。
インインは病院で目覚めたが、地面を掘っていた時の記憶はなかった。インインの母親は、ベッドの近くに座ると、自分達の家系は元々霊感がある特殊な家系である、とインインに語った。インインの元へ霊がやって来るのは、何か伝えたいメッセージがあり、成仏させてほしいという気持ちがあるからだと母親は語る。
映画『屍憶 SHIOKU』の結末・ラスト(ネタバレ)
1930年の事故現場近くの洋館に行けば謎が解ける、と感じたリョウは、車を走らせ1人でその洋館へ向かう。
シュエンヂェンは、悪霊化した花嫁の霊からリョウを守ろうとするが、儀式の途中、霊に体のコントロールを奪われ、自害してしまう。
リョウは洋館に入り、奥へ進んでいくと、突然夢で見た冥婚の場面に遭遇する。しかし、今度は自分が新郎の姿へ変わり、死体の花嫁と結婚の儀を行うことを強制される。花嫁は元々美しい女性だったが、顔面が崩れてしまう疾患にかかり、自殺を計った、と彼女の父親は語る。恐怖のあまり、その場から逃げ出したリョウは、森の中を走り、車に轢かれる。
その頃、退院したインインは、自宅で1人の女性の霊と遭遇し、彼女に導かれ、向かいの家へ足を運ぶ。向かい側の家に住んでいるのはリョウだった。リョウの家には死臭が漂っており、風呂場へ向かうと、浴槽の中に死体を発見する。その死体はリョウの恋人・イーハンのもので、女性の霊の正体はイーハンだった。
インインがハオの自宅から出ようとすると、そこにカイシアンが現れる。インインから事情を聞いたカイシアンは、彼女と共に車で洋館へ向かう。
車に轢かれたリョウだったが、それは前世の記憶が再現されただけで、リョウ自身は死んではおらず、暗い洋館内で目を覚ます。カーテンで隠された寝台には、花嫁の死体が眠っており、リョウはその姿を見て恐怖を抱く。
リョウは、イーハンと幸福な生活をしていると思い込んでいたが、実はイーハンは既にリョウの手によって殺されており、前世の冥婚相手である花嫁の霊が、ずっとイーハンの振りを続けて、彼と暮らしていたのだ。花嫁の霊は、イーハンに寄り添うと、「私達は永遠に一緒よ」と語る。
その後、洋館に辿り着いたインインとカイシアンは、花嫁の死体の隣で眠っているリョウを見つけ、驚愕する。インイン達は、花嫁の死体を地面に埋葬し、呪いが収まることを祈った。
リョウは病院に運ばれ眠っていたが、彼の側には美しいイーハンの魂が寄り添っていた。目を覚ましたリョウは、イーハンの温かい存在を感じるのだった。
映画『屍憶 SHIOKU』の感想・評価・レビュー
イーハン役の田中千絵さんは、名前の通り日本人である。しかし、とても美しい中国語を話すため、本当は台湾人なのでは?と感じてしまう程、素晴らしい演技を見せてくれる。
ラストの回想シーンでは、花嫁の霊に呪われ、愛するイーハンを殺してしまったリョウの姿が描かれるが、取り憑かれた彼を責めることもできず、可哀想だと思うことしかできなかった。死しても尚、自分を殺害したリョウを愛し続け、守ろうとしたイーハンの愛情は偉大である。リョウを前世からストーカーし続けた花嫁は、少し可哀想な面もあるが、かなりのヤンデレ気質で、自己中心的で、恐ろしい女性だと感じた。(MIHOシネマ編集部)
死後の世界の霊と現実の世界の人間が結婚するという難しい設定でしたが、ストーリーも少し理解しきれないシーンがありました。
前世からリョウを思い続けていた霊はわかるのですが、イーハンのふりをしてリョウと結ばれるというやり方がよく分かりませんでした。それが現実の世界の出来事なのか妄想なのかが分かりづらいので最後にそういう事かと納得出来るのではないでしょうか。
日台合作という事で日本の要素も期待しましたが、ヒロインも中国語を話すのでそれほど日本感はありませんでした。(女性 30代)
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