これまで、数多くの名作を世に送り出してきた作家、重松清。重松清による名作はこれまで何度も映像化されてきたが、今年、そのリストに新たな一作が加わる。実力派キャストも揃った期待作。
映画『ステップ』の作品情報
- タイトル
- ステップ
- 原題
- なし
- 製作年
- 2020年
- 日本公開日
- 2020年7月17日(金)
- 上映時間
- 118分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- 飯塚健
- 脚本
- 飯塚健
- 製作
- 勝股英夫
松井智
多湖慎一
清水武善
佐竹一美
松田陽三 - 製作総指揮
- 寺島ヨシキ
- キャスト
- 山田孝之
田中里念
白鳥玉季
中野翠咲
伊藤沙莉
川栄李奈
岩松了
日高七海 - 製作国
- 日本
- 配給
- エイベックス・ピクチャーズ
映画『ステップ』の作品概要
出演するあらゆる作品でそのキャラクターに見事になりきり、圧倒的な演技力と存在感で見る者を魅了する俳優、山田孝之。そんな彼の新しい出演作は、娘と父親の10年間を描いた感動家族物。山田孝之以外にも、國村隼や広末涼子といったベテラン陣が揃った豪華キャスト。さらには、これまで数多くの感動作を世に残してきた重松清の作品を原作としているため、俳優陣に脚本に、そのクオリティは保証されたも同然。妻を早くに失い、幼い娘と二人きりで生活していくことを余儀なくされた健一の苦悩と、そんな中で起こる日々の小さな幸せに、思わず魅入ってしまうこと請け合い。
映画『ステップ』の予告動画
映画『ステップ』の登場人物(キャスト)
- 武田健一(山田孝之)
- 妻に先立たれシングルファーザーになってしまった美紀の父親。自分一人で美紀を育て上げる決心をする。
- 武田美紀(田中里念 / 白鳥玉季)
- 健一の娘。幼い頃に母親を失い、母親の温もりを知らずに育つ。思春期に入り父親とぶつかる日々を過ごすが…?
映画『ステップ』のあらすじ(ネタバレなし)
武田健一は、その日まで幸せな日常を送っていた。結婚して3年の妻との関係は良好だし、一人娘の美紀も可愛らしい。しかし、その日は突然やってきた。妻が、30歳という若さで亡くなってしまったのだ。まだ小さい子供と二人残され、途方に暮れる健一。親戚が、美紀を引き取ろうかと声をかけてくれるものの、妻の思い出が残る家で、美紀と二人で暮らしていくことを決意する健一。しかし、男手一つで女の子を育て上げることは、決して簡単なことではなかった。保育園から美紀が小学校を卒業するまでの10年間、様々な壁にぶつかりながらも真っ直ぐに家族と向き合った健一と、その愛を受けて育った美紀の姿を描き切った家族愛の物語。
映画『ステップ』の感想・評価
山田孝之が父親役!?
本作で山田孝之が演じるのは、妻に先立たれ、シングルファーザーになってしまった父親役。そんな山田孝之のデビューを覚えているだろうか。彼が映画初主演を飾ったのは、『電車男』でのこと。当時まだ若干20歳、その前のドラマ初出演に至っては10代の頃のこと。その当時から類稀なる才能を発揮していた山田孝之は、それから長年第一線で活躍を続けてきた。そして、本作ではそんな彼がとうとう父親役に。年齢としては36歳のため父親役を演じることは何ら不思議でもないのだが、なんとも時の流れを感じてしまう。年齢を重ねたことで、これまでとはまた違った役柄を演じていくことになるであろう山田孝之。果たして、新たな分野でも見事圧倒的な演技力を見せることができるのか。
重松清らしいストーリー
重松清、『流星ワゴン』や『きみの友だち』、『とんび』など数多くの名作を残してきた、日本に住む者なら多くが耳にしたことのある、現代日本を代表する作家である。昔から第一線で活躍している彼だが、実はまだ50台。90年代には既に直木賞の候補に名前が挙がり、作品がNHKで映像化されているなど、如何に彼が若い頃から活躍し続けているかがよく分かる。それだけ非凡な才能を発揮している重松清が得意とするのは、揺れ動く人間関係を繊細に描き出すこと。これまであらゆる人間関係をテーマに作品を手掛けてきた彼が、本作で注目するのは親子の関係性。つまり、本作は彼の才能が遺憾なく発揮されるジャンルであると言える。重松清が描く父と娘の感動の物語に、思わず劇場で涙を流してしまう人も多いはず。
父親と娘の関係
近年、イクメンなどの言葉も流行し、父親も育児参加することが当然になってきた世の中。しかし、中々母親と同じようにすることは難しいのもまた事実。10カ月間お腹の中に宿していたことで親としての意識も父親より芽生えやすく、さらにはその後も一緒に過ごす時間が父親と比べて長いため育児技術の習得や関係性も構築しやすい。特に今回の場合は、子供が女の子のため、同性故に母親の方が感情を理解しやすいということもある。しかし、そんなことは言っていられないケースもある。今回はまさにそのパターン。母親を若くして失い、父親と一人娘だけで生きていくことになった武田家。色々と手探りの中で、果たして二人はどのように距離を縮めていくのか。四苦八苦する父親の様子を見守ろう。
映画『ステップ』の公開前に見ておきたい映画
大人ドロップ
元々は樋口直哉が執筆した小説であり、本作は2014年に池松壮亮主演で実写化された映画作品。最新作の監督を務めた飯塚健がメガホンを取った。高校生の繊細な心模様を丁寧に切り取った作品。高校生の由は、内気な生徒だった。ある日、友人の始から、同じクラスの杏と自分と一緒に出かけて欲しいと頼まれる。始が、杏と二人きりで出かけることに緊張したためだった。そこに、春という生徒も加わり結局4人で出かけることになった一行。しかし、途中で始が杏を怒らせてしまったことで集まりは最悪の結果を迎える。その流れで由と杏の間にも微妙な距離ができてしまい、そのまま彼らは夏休みを迎えた。しかし、杏が突然転校をするということで彼らの前からいなくなってしまい…?
詳細 大人ドロップ
電車男
本作の元になった小説は、インターネット掲示板である2チャンネルが全盛期を誇っていた時代に発表された。ある日、この2チャンネルに投稿された一連の記事が全ての始まりとなった。山田孝之の映画初主演作品となったのが本作。初主演とは思えない圧倒的な演技力で、世間の注目を掻っ攫った。『電車男』は、その日電車内で酔っ払いに絡まれていた一人の女性を助けた。すると、後日その女性からエルメスのカップが送られてきたのである。その後、その女性と少しずつやり取りを交わすようになった電車男。しかし、電車男は彼女いない歴=年齢の冴えないオタク。そんな彼が恋の駆け引きに長けているはずもない。そこで彼が頼ったのは、彼の居場所であるネットの住人達だった!?ちなみに、タイトルの電車男とは、本記事を投稿していた人物のハンドルネームから来ている。
詳細 電車男
恋妻家宮本
これまで数多くの名作を生んできた重松清の作品で、数多くメディア化された作品の一つ。最新作が妻を失い、娘との関係性を描いた家族物であることに対して、本作は子供が成長し、久しぶりに夫婦だけの時間を過ごすことになった、夫婦の関係性に注目した家族物。息子の正が、就職、結婚で家を出ることとなった陽平と美代子夫婦。何十年ぶりに、夫婦二人だけの時間がやってきたのである。しかし、元々が優柔不断という性格もあり、陽平はそんな環境に中々なじむことができない。さらに、そんな中妻が記入済みの離婚届を見つけてしまい…?長年連れ添った夫婦が、第二の関係性を構築していく時間を描いた家族の物語。果たして、美代子と陽平の夫婦の関係性はどうなるのか。
詳細 恋妻家宮本
映画『ステップ』の評判・口コミ・レビュー
『ステップ』試写
妻を亡くした男と娘の10年史。自分の至らなさ、周囲への申し訳なさ、悲しさや寂しさを抱えながら生きてきた二人。誰にも言えない本音を吐露するモノローグが突き刺さる。
直球勝負の重松清ストーリーと真向勝負する山田孝之。國村隼さんが無双。まぁこれは泣くよねぇ…#ステップ pic.twitter.com/VQHSRSeC6d— ☠️背◢⁴⁶骨☠️ (@1192seborn) July 16, 2020
『#ステップ』
共に10年を過ごした気分。
「乗り越えるものじゃない」という言葉が印象的で、壁の亡き妻の赤いマジック線を消すことなく、共に今を生きる姿が本当にグッときました。登場人物の誰に想いを馳せても目頭が熱くなってしまい、大分最初の段階から泣いてしまいました。観てほしい。本当に pic.twitter.com/5Sbznm47KT— 秘密基地を作れ (@himitukichibi) July 17, 2020
先日鑑賞した「マザー」とは対照的なファザー映画やったね😄👍
なぜかな…
ずっと涙がこぼれ続けていたよ😭💦
家族の在り方を示してくれていて
すごく前向きになれるよね🤔✨
人生には辛いことがいっぱいあるけれど、それにどう立ち向かうのか…
自分自身のステップになる作品かもね…😌✨ pic.twitter.com/60SU6sVNuR— Leona🌻映画垢 (@1ose9Leona) July 18, 2020
#ステップ 冒頭から涙腺への刺激が容赦なく何度も泣かされた
父親の目線、娘の目線、義父母との関係性、主人公に関わる人々、全ての何気ない日常をとても丁寧に描いている。年代別の3人の娘が子役と呼べないレベルだったし、ケロ先生は可愛いすぎて癒しだけど健一とのシーンは考えさせられる。必見。 pic.twitter.com/f8mDtmWMI4
— nao (@sairi_yui_TG) July 17, 2020
『ステップ』映画館にて83本目。
父子家庭10年の“ステップ”。父として努力を重ねても日々の感情・境遇の変化に戸惑い苦しむ。良き理解者に囲まれても人間の心は複雑だ。父娘で成長する10年の軌跡に想いを馳せ必然的に感涙。役者全員が本物の家族のような自然の演技で物語に没入させる。 #EDDIE映画2020 pic.twitter.com/KGeeKvcWH4— EDDIE@Kings28-36👑 (@eddie2yuji) July 19, 2020
映画『ステップ』のまとめ
揺れ動く繊細な人間関係を描き出すことに定評がある作家、重松清。そんな彼が新たに注目した人間関係が、父親と娘という繋がり。親子でありながらも、別姓であるが故、理解できないこともある。今回の場合、母親がいないために父親が母親代わりも勤めなければいけない。シングルファーザー、父親と娘、思春期の娘の父親への反発。次々と親子の前に立ちはだかる壁だが、しかし、根っこには硬く結ばれた親子の絆がある。思わず涙してしまう感動作。本作を見て、人の優しさに触れよう。
みんなの感想・レビュー