『君の名は。』で社会現象を引き起こした新海誠監督の最新作。前作から3年が経過し、ますますパワーアップして帰ってきた。今作は壮大なロードムービーに仕上がっている。日本全土を巡り、鈴芽達が辿り着く『終わり』とは。
映画『すずめの戸締まり』の作品情報
- タイトル
- すずめの戸締まり
- 原題
- なし
- 製作年
- 2022年
- 日本公開日
- 2022年11月11日(金)
- 上映時間
- 不明
- ジャンル
- アニメ
ラブストーリー - 監督
- 新海誠
- 脚本
- 新海誠
- 製作
- 川口典孝
- 製作総指揮
- 吉澤佳寛
- キャスト
- 原菜乃華
松村北斗
深津絵里
染谷将太
伊藤沙莉
花瀬琴音
花澤香菜
松本白鸚 - 製作国
- 日本
- 配給
- 東宝
映画『すずめの戸締まり』の作品概要
扉を開けた先に広がる美しい光景。予告映像で流れるその『全てが混じり合った』圧倒的な映像美に、誰もが引き込まれたことだろう。この美しい色彩と緻密な風景画こそが、新海誠の真骨頂である。前作から3年。皆が待ち望んだ新海誠の新作が誕生したのだ。声優には厳しいオーディションの末、原菜乃花と松村北斗が選出された。『君の名は。』以降大躍進を続ける上白石萌に続くことができるだろうか。今や世界が認める監督となった新海誠の新作に対して、世間からの期待値はあまりに高い。果たして製作陣は、その高いハードルを越えていくことができるのだろうか。唯一無二の世界観に没頭しよう。
映画『すずめの戸締まり』の予告動画
映画『すずめの戸締まり』の登場人物(キャスト)
- 岩戸鈴芽(原菜乃華)
- 九州で暮らす女子高校生。導かれるように扉を開いてしまったことで、世界の命運を賭けた事態に巻き込まれていく。
- 宗像草太(松村北斗)
- 鈴芽の前に現れた不思議な青年。扉を閉める『閉じ師』として全国を渡り歩いている。
- ダイジン
- 草太と鈴芽の前に現れた謎の猫。草太を椅子に変えてしまった。
映画『すずめの戸締まり』のあらすじ(ネタバレなし)
鈴芽は、九州の町で暮らす平凡な女子高生だった。彼女はある日、宗像草太という一人の青年に出会う。なぜか彼のことが気になった鈴芽は、こっそりその青年の後を追うことに。その最中辿り着いた山中の廃墟。すっかり瓦解しかけているその場所に、なぜか一つの扉だけが残されていた。何かに導かれるように鈴芽はその扉に手をかけた。それからというもの、全国各地で扉が開いてしまう事件が起きるようになる。扉の向こうからは災いがやってくるため、草太はその扉を閉じて回る閉じ師をしていたのだ。そして、謎のダイジンという存在が現れ、草太を椅子の姿に変えてしまったのだ。果たして鈴芽は、草太の代わりに扉を閉めることができるのか。
映画『すずめの戸締まり』の感想・評価
新海誠ワールド再び
初めて新海監督の作品を見た人は、まず作品の美しさに圧倒されることだろう。監督にはそれぞれのカラー、持ち味というものがある。新海作品の魅力といえば、目を眩ませるような豊かな色彩と、細部まで拘り抜いた緻密な風景描写。特にこの風景については本人も強い拘りを持っているようで、その書き込み量は回を重ねるにつれ更に増してきている。そんな新海ワールドのファンを公言している芸能人も多い。かつて新海誠作品の声優を務めた神木隆之介や花澤香菜などもその1人だ。多くの人から愛され続けている新海誠作品。果たして本作も、新海誠ワールドが存分に堪能できるだろうか。ぜひ映画館で美しい映像を目に焼き付けよう。
RADWIMPS×新海誠
今となっては、RADWIMPSは新海作品を語る上では外せない存在となった。両者が初めてタッグを組んだのは、伝説の作品『君の名は。』。『なんでもないや』や『前前前世』など、作中の音楽を全て手がけたRADWIMPSは、見事その年の日本アカデミー賞最優秀音楽賞を獲得した。それだけではない。何と、次にタッグを組んだ『天気の子』でも再び同賞を獲得しているのだ。映画に音楽の存在は必要不可欠だ。音楽の出来次第で映画の評価が大きく左右されると言っても大袈裟ではない。それは『Let it go』の爆発的ヒットにより、最早社会現象にまでなった『アナと雪の女王』の前例を見れば分かることだろう。本作でもきっと作品にベストマッチした楽曲が用意されるはず。その先に、もしかすると3回目の最優秀音楽賞が見えてくるかもしれない。
終わりの物語
終わりという言葉に思い浮かべるイメージは何だろうか。別れ、廃退。物悲しい印象を受ける者も多いのではないだろうか。しかし、全てのものには終わりがある。終わりがあるからこそ始まりは存在する。本作は、様々な扉を『締めて』いく物語。そう、本作は始まりではなく終わりの物語なのである。しかし、鈴芽達が扉を閉めることを止めようとする存在がいる。正しい終わりを迎えられなければ、全てが狂いかねない。だからこそ、鈴芽達は扉を閉めていくのだ。全ては、『正しい終わり』を迎えるために。本作を見れば、その終わりすらも楽しめるようになるかもしれない。今後の人生観を変えうるかもしれない一作。
映画『すずめの戸締まり』の公開前に見ておきたい映画
君の名は。
新海監督と言えば本作を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。勿論、新海監督にはそれ以外にも数多くの名作が存在する。しかし、それほどまでに本作の存在は大きい。日本歴代興行収入では堂々の第4位を獲得し、本作の大ヒットを受け、新海監督は『注目すべきアニメーター10人』にも選出されている。日本だけではなく世界でも認められた傑作。山深い田舎町で暮らす女子高生宮水三葉、そして、東京に暮らす立花瀧。全く関わりのない2人の身に、ある日信じ難い出来事が起こる。なんと、2人の精神と身体が入れ替わってしまっていたのだ。翌朝互いの身体に戻った2人だったが、その奇妙な出来事は幾度となく続いた。次第に打ち解けていく両者だが、突然三葉からの連絡がパッタリと途絶えてしまい…?実は彼女の身には、信じ難い出来事が起きようとしていた。
詳細 君の名は。
魔女の宅急便
新海監督曰く、最新作はとある作品の影響を強く受けているという。その作品こそが本作。日本が世界に誇る巨匠、宮崎駿の大ヒット作。しかし、ストーリーや設定などを見比べてみても両者の間にそれほど共通点はないかのように思われる。インスピレーションを受けて、そこから独自の世界観をどこまでも広げている監督の発想力の豊かには舌を巻くばかりである。主人公のキキは、13歳の魔女の女の子。魔女には13歳の夜に家を出て、新しい場所で修行をするというしきたりがあった。13歳の夜、家族に見送られながら空に飛び立った彼女が辿り着いたのは、小さな港町コリコだった。少女は、その街で様々なことを学んでいく。大人になってからもぜひ見返したい一作。
詳細 魔女の宅急便
ほしのこえ
今では独自の世界観と表現で、唯一無二の存在として映画界に名を馳せている新海監督。そんな新海監督が初めて手がけたアニメ映画こそが本作。25分という短編映画ではあるものの、その殆どを新海監督が一人で手掛けたという意欲作である。当時まだ今ほど名前の売れていなかった新海監督だが、25分という短さ、単館上映であるにも関わらず、劇場に行列ができる、DVDを6万枚以上売り上げるという伝説を次々と打ち立てた。当時から新海監督が非凡な才を発揮していたことがよく分かる一作。主人公は2人の高校生。固い絆で結ばれていた2人だったが、1人が国連宇宙軍の選抜に選ばれ、宇宙へと飛び立つこととなる。離れてもメールのやり取りを続けていた2人だったが、彼らの距離が離れるにしたがってメールの間隔は徐々に空いていき…?
詳細 ほしのこえ
映画『すずめの戸締まり』の評判・口コミ・レビュー
#すずめの戸締まり
面白かった。
「君の名は。」や「天気の子」のようにどこかエキセントリックなものではなくどちらかと言えばオーソドックス。
とは言え、決して守りに入るのではなく攻めるべき所は攻めている所に好感。
日本各地の情景・風土を見事に映画に落とし込んでいる手腕には思わず唸る。 pic.twitter.com/nfsVuBpW9x— センタ (@UdonsukiMimiu) November 13, 2022
『すずめの戸締まり』
驚かされ、魅了され、圧倒される。
2回目の方が凄く刺さった。
本作は、『君の名は。』『天気の子』を経て生まれたアンサーなのかもしれない。こんな時代だからこそ人と人との繋がりが大事なことだと改めて気付かされる。壮大で包み込まれるような作品。大傑作。 pic.twitter.com/s0pQJZTcWh— ムービーメン (@Stan_n_movie) November 12, 2022
すずめの戸締まり、内容がとても良かったので、たぶん興行的にも大ヒットすると思うんですが、ネタバレを踏むと踏まないので、だいぶ感想が違ってくる作品なので、見ようと思ってる人はなるべく早く、できれば明日にでも映画館に行って、先入観のないまっさらな状態で、初見を迎えた方が絶対に良いです
— ひきこうもり (@Hikikomori_) November 11, 2022
『君の名は。』や『天気の子』は切なさやもどかしさと壮大なスペクタクルが作品の魅力でしたが、『すずめの戸締まり』はダイナミックな展開ながらも、先の2作よりストレートな表現で、観終わった後にとてもスッキリした気持ちになれる。そんな映画です🤭私は好きです✨#すずめの戸締まり pic.twitter.com/J4iHC0dfeA
— バクスター (@baxtersan) November 12, 2022
『すずめの戸締まり』
震災×ロードムービーだったら『風の電話』という傑作映画が既にあって、こちらがロードムービーとしてのクオリティーがむっちゃ高いのでどうしても見劣りしてしまう。
旅の道程で出会った人達との交流で主人公の心情がどう変化したのかがロードムービーの醍醐味だと思う。 pic.twitter.com/AwgUtIPCzI— 四畳半 (@baiken0815) November 13, 2022
映画『すずめの戸締まり』のまとめ
時を越える系統の作品は、長年人々を魅了し続けるジャンルの一つ。『時をかける少女』や『バタフライ・エフェクト』など、タイムリープをする作品は数多く存在する。どこまでも続いていけそうな物語の広がりと、現実と乖離したワクワク感。それらが人々を魅了するのだろう。そして、新海誠もそういった作風を得意としている。代表作『君の名は。』も過去と現在を繋ぐ物語であるし、本作もそう。さらに本作では、過去と現在だけでなく未来も含めた全ての時間軸を繋げているという。しかし、タイムリープものは物語を構成することが非常に難しい。タイムパラドックスなど、様々な問題や矛盾点が生じやすいのだ。果たして本作は、それらの困難を乗り越え作品を成立させることはできるのだろうか。
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