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映画『写真の女』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『写真の女』の概要:父親が遺した小さな写真館を継ぎ、孤独な日々を送る女性恐怖症の男。偶然山道で出会った大きなけがをした女性と共に過ごすこととなり、共に心の傷を癒していく過程を追う。串田壮史監督の長編映画デビュー作。

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映画『写真の女』の作品情報

写真の女

製作年:2020年
上映時間:89分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、ミステリー
監督:串田壮史
キャスト:永井秀樹、大滝樹、猪股俊明、鯉沼トキ etc

映画『写真の女』の登場人物(キャスト)

械(永井秀樹)
一人で小さな写真館を営む男性。幼い頃にメスカマキリがオスカマキリを捕食する様を見たことがきっかけで女性恐怖症になってしまった。淡々と過ごしていた日々で今日子と出会い、考え方を変え始める。
今日子(大滝樹)
元人気バレエダンサー。引退後も他人に見られる快感欲しさでSNSに依存している。山で自分の写真を撮影していた時、怪我をしてしまい械と出会う。

映画『写真の女』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『写真の女』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『写真の女』のあらすじ【起】

父親が遺した町の小さな写真館を営む械。家族写真を撮影しに来店する客も年々減ってしまい、写真を補正加工するレタッチャーとしての仕事が多くなっていた。その日も「このおじいさんお願い」と馴染みの葬儀屋が遺影の作成依頼に訪れた。寡黙な械は依頼にうなずき黙々と写真の加工を始める。

作業中、一人の女性が来店しお見合い写真の撮影を依頼した。先客の葬儀屋は「急ぎではないから」と女性を優先させ撮影風景を眺める。女性は械が写真を補正する様子を見て、「もっと」と欲張った加工を依頼し始めた。留まることのない欲を黙って受け止める械。別人のような写真を手に女性は店を後にするのだった。

葬儀屋は「大変な仕事だね」と械の肩を叩く。女性の写真を補正することに慣れてしまっている械は黙って補正前の写真を箱に収め、葬儀屋に依頼された写真を仕上げ手渡すのだった。

仕事終わりに銭湯へ行き、夕食を温めながら大事に育てているカマキリの世話をする。独身である械の日常は、幼い頃から好きな昆虫にまつわることで満たされているのだった。

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映画『写真の女』のあらすじ【承】

実は械は女性恐怖症である。休日も一人で山へ向かい昆虫の写真を撮って過ごす。しかしその日は山に不思議な女性も来ていた。ぴたっとしたスポーツウェア姿の女性は自身の写真を撮影しようとして失敗した様子である。

なぜか心を惹かれた械。徐に近づいてしまった械に女性は声をかけてきた。胸に大きな傷を負ってしまった女性。械は女性を車に乗せドラックストアへと連れていく。会話をすることはない械だが、写真館へと案内した。

女性の写真を撮ることになった械。今日子と名乗った女性はSNSに自分の写真を1日今井投稿していることを話す。話を聞きながら昆虫の写真を補正する械。その仕事っぷりを見た今日子は胸の傷を補正して欲しいと械に依頼する。

何を話しても返事をしない械を、強引に食事へ連れ出した今日子。一方的に話し続ける今日子は広場の時計から鳴り響く曲に乗り踊り出した。その日今日子は械の家に泊めてもらうことにする。夜な夜な自分のSNSを見て、バレエダンサーであった過去の栄光に浸るのだった。

映画『写真の女』のあらすじ【転】

翌朝、図々しく歯ブラシを並べて置いていた今日子に苛立った械。すぐに自宅から追い出すが、馴染みの葬儀屋が再び招いてしまった。文句を口にはしない械は、今日子にどう接するべきか悩んでいた。

お見合い写真を依頼した女性が再び来店した。先日の写真をさらに加工して欲しいと言うのだ。言われるがまま加工する械を横目に、今日子は「それじゃ別人になっちゃう」と女性を止めようとする。しかし女性は「他人の目に映る姿が本当の自分だ」と言い切るのだった。

今日子はスポンサーとの契約を切られてしまった。「フォロワーの求める今日子と今の今日子にはズレがある」と言われ意気消沈する今日子。偶然遭遇した葬儀屋を勝手に招き、3人で夕食を済ませるのだった。

その後も、械に写真を撮ってもらい補正まで依頼していた今日子。胸と顔の傷を消してもらっていたが、ある夜補正前に戻してもらいSNSへ投稿をした。予想に反してフォロワーたちからいいリアクションをしてもらい今日子は満たされるのだった。

映画『写真の女』の結末・ラスト(ネタバレ)

葬儀屋は7歳で亡くなった娘の写真を持って写真館を訪ねた。「若くすることができるなら年を取らせることもできるのか?」という葬儀屋は20年後の娘の姿を想像したくなったのである。その夜、葬儀屋は械が加工した写真を前に酒を飲むのだった。

幼い頃にメスカマキリがオスカマキリを捕食するところを見て以来、女性が苦手になってしまった械。今日子と過ごす日々で少しずつ気持ちが変わってきていたが、ある日今日子の胸の傷が一向に治らないことに疑問を抱いた。

今日子はようやく人に認められたきっかけである傷が癒えてなくなることが怖くなっていた。あえて傷ついた部分に触れて治らないようにしていた今日子。ある日、目覚めてすぐにSNSをチェックすると加工せずに掲載した写真が「生々しい傷」を理由に全て削除されてしまった。

自傷する今日子をそっと抱きしめた械。病院へ連れていき、自ら輸血を申し出た械。目覚めた械は初めて今日子と食事した夜に訪れた広場で飼っていたカマキリを離した。そこにはメスのカマキリがいたためオスカマキリは食べられてしまう。その様子を見た今日子は悲しむが、械は「食べられたオスだけが相手が生きているという実感を得られる」とほほ笑むのだった。

映画『写真の女』の感想・評価・レビュー

主人公がようやく口を開いた唯一のセリフに全てが詰め込まれていたように思う。自分を認めることは実に難しい。孤独な男女が言葉なくとも互いに認め合い必要とし合う様は、とても艶やかであった。画像処理や偽りでは見出せない「美しさ」は何か。承認欲求が入り乱れるSNS時代において誰もが一度は疑問を抱くであろう「本質」。先が読みづらく、サスペンス的な展開で魅了してくれる一作であった。(MIHOシネマ編集部)

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