映画『チーム・バチスタの栄光』の概要:東城大学付属病院では難易度の高い心臓移植手術「バチスタ手術」が行われていた。手術を行うのは、第一外科助教授の桐生を筆頭とした「チーム・バチスタ」である。最近患者の術中死が相次ぎ、心療内科医の田口は調査を依頼される。
映画『チーム・バチスタの栄光』の作品情報
上映時間:120分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ミステリー
監督:中村義洋
キャスト:竹内結子、阿部寛、吉川晃司、池内博之 etc
映画『チーム・バチスタの栄光』の登場人物(キャスト)
- 田口公子(竹内結子)
- 東城大学付属病院の不定愁訴外来(通称、愚痴外来)に勤める心療内科医。ちょっと天然なところがある。心優しい女性。
- 白鳥圭輔(阿部寛)
- 厚生労働省の職員。東城大学付属病院の院長の知り合い。不遜で毒舌。人を怒らすことも傷つけることも何とも思っていない。
- 桐生恭一(吉川晃司)
- 東城大学付属病院の第一外科助教授。「チーム・バチスタ」の執刀医。動物に例えると、鷲。フロリダの心臓疾患専門病院で働いていた。
- 鳴海涼(池内博之)
- 桐生の義理の弟。動物に例えると、コヨーテ。桐生と共にフロリダの心臓疾患専門病院で働いていた。腕の怪我が原因で、外科医から病理医に転身する。
- 酒井利樹(玉山鉄二)
- 「チーム・バチスタ」の第二助手。自信過剰でプライドが高い。動物に例えると、スピッツ。垣谷のことを軽視している。
- 大友直美(井川遥)
- 「チーム・バチスタ」の一員。看護師。感情的で大げさな性格。動物に例えると、巻貝。
- 羽場貴之(田口浩正)
- 「チーム・バチスタ」の一員。人工心肺の操作を行う臨床工学技士。普段は温和だが、妻に対しては怒鳴り声を上げる。裏表がある人物。動物に例えると、カメレオン。
- 氷室貢一郎(田中直樹)
- 「チーム・バチスタ」の一員。麻酔医。常に多忙で、疲労困憊している。真面目な性格。動物に例えると、白ヤギ。
- 垣谷雄次(佐野史郎)
- 「チーム・バチスタ」の第一助手。桐生の右腕。辛抱強い努力家。動物に例えると、モグラ。指先の訓練のために、米粒に般若心経を書いている。
映画『チーム・バチスタの栄光』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『チーム・バチスタの栄光』のあらすじ【起】
東城大学付属病院の不定愁訴外来(通称、愚痴外来)に勤める心療内科医の田口公子は、銀婚式のお祝いで世界一周に旅立つ上司に代わり院長の元を訪れた。そこに、第一外科助教授の桐生恭一が現れる。桐生は難易度の高い心臓移植手術「バチスタ手術」を26回も成功させた凄腕医師だった。しかし、その「バチスタ手術」が最近失敗し続けていた。田口は原因を解明するよう院長に頼まれる。
田口は断り切ることができず、調査を行うことになった。まずは第一外科から届いた資料を読んだ。東城大学付属病院の「チーム・バチスタ」は、桐生を筆頭に組織されたチームである。メンバーは第一助手・冠動脈バイパス手術の専門家の垣谷雄次、第二助手・熱血漢の酒井利樹、麻酔医・氷室貢一郎、人工心肺の操作を行う臨床工学技士の羽場貴之、看護師・星野響子、切除範囲を決める病理医・鳴海涼である。鳴海は桐生と共にアメリカで修業を積んでいた。子供の患者は治っていたが、大人の患者は死亡する傾向にあった。
田口はまず始めに垣谷に話を聞きに行った。垣谷は結婚してチームを外れた星野の後任である大友直美に対して、不満を抱いている様子だった。大友がチームに加入したのは、手術の失敗が始まったときだった。
田口は酒井に話を聞きに行った。酒井は垣谷が桐生のペースについて行けていないことを指摘し、足を引っ張っていると話した。そして、垣谷が手術の失敗を一番喜んでいると思っていることを話した。助教授になることを夢見ていた垣谷にとって、桐生の存在は邪魔だからだった。
大友は自分のせいだと落ち込んでいた。看護師の仕事である機械出しのタイミングが合わず、桐生をイラつかせている自覚があった。田口は詳しく話を聞く前に泣き始めた大友を見て唖然とした。次に羽場に話を聞きに行った。羽場は普段は温和だが、妻と電話で話すときは怒鳴り声を上げるなど裏表がある性格だった。
映画『チーム・バチスタの栄光』のあらすじ【承】
東城大学付属病院に、西アフリカの少年兵アガピ・アルノイドが運ばれてきた。重い拡張型心筋症を患っていた。反米ゲリラであることからアメリカが治療を拒否したため、「チーム・バチスタ」が手術を行うことになった。
田口は氷室に話を聞いた。氷室はゆっくり食事を食べられないほど忙しく働いていた。氷室は子供の手術の方が、桐生は得意だと感じていた。次に、鳴海に話を聞きに行った。鳴海は手術の失敗に心当たりがない様子だったが、殺人ではないかと疑っていた。田口は鳴海の手首の傷が気になった。鳴海はそれに気づき、外科医として手術を執刀しているときに不注意で切ったことを話した。それから病理医に転身したのだ。
田口と外科教授の黒崎が見守る中、アガビの手術が行われた。手術は成功し、大友は泣いて喜んだ。田口は調査の結果を事故と結論づけた。そんな彼女の前に、院長に調査を依頼された厚生労働省の白鳥圭輔が現れる。院長は白鳥と話すときは自分の気持ちを守るよう忠告し、後のことを田口に任せた。白鳥は「チーム・バチスタ」の中に犯人がいると睨んでおり、田口の調査を嘲笑った。
映画『チーム・バチスタの栄光』のあらすじ【転】
白鳥は田口と共に黒崎に話を聞きに行った。実は、黒崎はアメリカから桐生を呼び寄せることに反対していた。黒崎は垣谷を助教授にしようと思っており、口出ししてきた院長に不満を持っていた。白鳥はわざと黒崎を怒らせるような発言をした。そして、怒っている黒崎を見てただの目立ちたがりだと判断し、犯人から除外した。
白鳥は怒らせるような発言をし、垣谷の様子を確認した。そして、犯人ではないと断定する。白鳥が相手を怒らせるたびに田口が恨まれるため、田口は不満を持つ。次に、白鳥は大友と酒井を同時に呼んで話を聞いた。白鳥は大友を追い詰めるように話した。大友は手で顔を覆って泣きじゃくった。だが、白鳥が手を掴んで顔を確認すると、涙は出ていなかった。白鳥は酒井に対しても追い詰めるように話した。酒井は逆上し、白鳥を殴った。
バチスタ手術を受ける患者の小倉が不安を抱き、不定愁訴外来に訪ねてきた。田口は話を聞き、励ました。小倉は手術を受ける決心をつけ、氷室がエピドラ(硬膜外麻酔)を行った。その後、小倉の容態が急変し、緊急手術を行うことになる。田口はフロリダに調査に行って空港に帰ってきた白鳥に連絡を取った。白鳥は手術を止めるよう指示した。だが、田口が手術室に駆けつけたときには、既に小倉の手術が始まっていた。
小倉が死亡してしまう。白鳥は手術室に駆けつけ、オートプシー・イメージングを行うことを宣言した。遺体をMRIにかけ、死亡原因を探るのだ。田口は小倉の死にショックを受け、仕事にも支障をきたしてしまう。
白鳥はフロリダでの調査結果を田口に話した。フロリダには桐生と鳴海が勤務していた心臓疾患専門病院があった。鳴海の傷は桐生がつけたものだった。交通事故による複数同時手術が行われ、そのときにメスが誤って鳴海に当たってしまったのだ。
映画『チーム・バチスタの栄光』の結末・ラスト(ネタバレ)
白鳥と田口は犯人について考察した。白鳥は鳴海のことを疑っていたが、田口はそれを否定した。それは、桐生が鳴海のことを信頼しているからだった。手術中、切除範囲は鳴海が決めており、桐生は目を瞑って確認していないことからも明らかだった。田口と白鳥は手術ビデオを見てあることに気づく。
バチスタ手術が行われる直前、田口と白鳥は院長、桐生、鳴海を呼び出し、手術ビデオを流しながら話した。すると、下のモニターに手術映像が流れているにも関わらず、桐生は流れていないと言い出した。白鳥はズバリ、見えていないことを指摘した。桐生は観念し、塞隅角緑内障で視界の下半分が見えないことを明かした。手術場所は、鳴海が桐生に教えていた。桐生は手術を待ち望んでいる患者を見捨てることができず、医師であることを続けていた。調査の依頼をしたのは、自分の今後を占うためだった。そこには、一連の事件は目のせいではない、まだ医師としてやれるという願いが込められていた。白鳥はきっぱり桐生にメスを置くべきだと伝えた。
桐生は「チーム・バチスタ」を垣谷に任せることにした。桐生はサポートとして手術を見守った。鳴海も病理医として手術を見守った。垣谷の判断の元、手術は順調に進み成功した。患者が運ばれた後、手術室に白鳥や院長が現れる。白鳥はMRIを撮ったことにより、小倉の死因が分かったことを話した。脳のMRIを確認すると、脳がずれていた。エピドラのとき、吸入麻酔薬を使って脳幹部付近に圧力をかけて殺害したのだ。犯人は氷室だった。今日の手術でも氷室はその手段を行おうとしたが、田口が前もって薬を取り替えておいたので事なきを得たのだ。
氷室は娯楽で犯行を行ったと述べた。子供が死ななかったのは、エピドラを使用しないからだった。田口は初めて会ったとき、犯行に気づいて止められなかったことを悔やんだ。その後、田口が落ち込んでいると、患者達が現れ励まされる。田口は泣きながら皆の優しさに笑顔を浮かべた。桐生はメスを置く覚悟を決め、田口に感謝の気持ちを伝えた。
映画『チーム・バチスタの栄光』の感想・評価・レビュー
桐生と鳴海の行いにも驚かされたが、最後にもうひと展開あったことにさらに驚かされた。まさか氷室の性格が破綻しており、娯楽のために犯行を行っていたとは思わなかった。いけ好かない白鳥と人間味溢れる田口のコンビは、対照的でおもしろかった。氷室の残忍さが怖くて嫌な気持ちになったが、最後に患者達が田口に優しくしているのを見て温かな気持ちで見終わることができた。医療用語は難しかったが、きちんと説明があって見ている人に優しい作品だと思う。(MIHOシネマ編集部)
医療分野を描いた作品の中ではかなり秀逸な映画です。さすが医師が書いている小説が原作なだけあります。テンポ良く進み、どんでん返しもあるストーリーは見応えがあります。専門用語も多いですが、分かりづらいことはありません。
ただ、小説では男性が主人公なので、映画でなぜ女性に変えたのか理解に苦しみます。田口医師のダメっぷりは男性の方が、特にドラマで演じていた伊藤淳史の方が良く表現できていると思います。原作のファンならドラマの方が原作に忠実です。白鳥圭輔は原作から容姿がかけ離れていますが、嫌味でロジカルな性格は映画の中でも健在です。個性あふれるキャラクターが揃った作品です。(女性 30代)
原作とは違い、主人公が女性となっているのでドラマ版も今作も見ていませんでしたが、友人に勧められて鑑賞しました。
原作ファンは、文字を読んで想像をふくらませて楽しんでいるので映像化されるとガッカリしてしまうことが多いのですが、今作の場合は主人公を女性に変えているということで、それが良い方向に働いていてあまり比べることなく見られたかなと思います。
田口と白鳥の絶妙な掛け合いもなんだか微笑ましくて、とても良い作品だったなと感じました。キャストもとても豪華なので見ていて飽きません。(女性 30代)
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