映画『The Kids』の概要:一組の中学生カップルが子供を授かり、共に働きながら育てようと奮起する。片親で育った子供たちは二人で協力し合い生きていこうとするが、現実に突き付けられた大きな問題を粛々と描いた一作。
映画『The Kids』の作品情報
上映時間:90分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、青春
監督:サニー・ユイ
キャスト:ウー・チエンホー、ウェン・チェンリン、クー・ユールン、カオ・モンチェ etc
映画『The Kids』の登場人物(キャスト)
- バオリー(ウー・チエンホー)
- 年上のジアジアに片思いしていたところ、偶然女子生徒にいじめられているところを助けることになり関係を持つようになる。在学中に子供を授かり、中退して食堂で働きだすがギャンブル好きの母親に頭を抱えている。
- ジアジア(ウェン・チェンリン)
- バオリーとの間に子供を授かる少女。父親から酷い暴力を振るわれる生活を送っており、良くない噂を立てられていた。バオリーとの生活が始まってからはカフェの店長と不倫関係を持っている。
- 店長(クー・ユールン)
- ジアジアが働き始めたカフェの店長。妻子がある身ながら、仕事の振りをしてジアジアを連れ出し体の関係を続けている。
映画『The Kids』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『The Kids』のあらすじ【起】
テストのカンニングが見つかってしまったバオリーは友人と一緒に廊下に立たされていた。バオリーは好意を寄せている一つ年上のジアジアを見かけ目を奪われる。友人は気持ちを伝えるよう茶化すが、バオリーは実に真剣であった。
数人の女生徒がバケツを持ってジアジアの後を追っていくのを見かけたバオリー。居ても立っても居られず、友人のジャージを借りて屋上へ向かう。女生徒たちとすれ違うと「関わるな」と激怒されるがバオリーはジアジアの元へ駆けつけた。水浸しになっているジアジアにジャージを渡しその場を去ろうとしたバオリー。しかし、ジアジアは「少しだけ一緒にいて」とか細い声でお願いをするのだった。
同級生たちが放課後遊んでいる中、バオリーはある弁当屋でバイトを始めた。毎日ひどく叱られながらも、周囲の人の優しさに触れながら賭け事に明け暮れる母親のためにも必死に働いている。一方でジアジアはバイト先のカフェの店長と不倫関係を続けているのだった。
映画『The Kids』のあらすじ【承】
ジアジアとの間に子供を授かったバオリーは責任感に押しつぶされそうになっていた。少ない給料の中で新居も検討している。一方でジアジアはカフェで店長の妻から子供を引き取りたいという女性を紹介され戸惑いを隠せずにいた。店長との関係は誰にも見つからないように必死である。バオリーの母親に手伝ってもらいながら子育てをしているジアジアもまた、多くのプレッシャーに押しつぶされそうになっていた。
厳しいバイト先の大将だが、ある夜バオリーにたくさんの子供用の洋服やおもちゃを譲ってくれた。実は離婚して子供と離れ離れになっていると初めて知ったバオリー。狭いワンルームながら、息子の二ウコウと一緒に暮らせていることに感謝するのだった。
ジアジアのバイト終わり、必ず迎えに行くバオリー。帰宅中、ジアジアを求めるもバオリーは拒絶されてしまう。さらには新居について母親に提案すると「何も知らない子供だから騙されている」と一蹴されてしまうのだった。
映画『The Kids』のあらすじ【転】
学生時代、男子生徒から人気だったジアジア。恋愛の噂も多いジアジアに密かに思いを寄せていた奥手なバオリー。ジアジアのリードで二人の関係はあっという間に進展していった。
息抜きに友人とビリヤード場へ出かけたバオリー。ジアジアと店長が一緒に車に乗っているところを見かけたと聞くが、バオリーは信じなかった。引っ越して新たな環境を作れれば、元気のないジアジアを喜ばせることができると思っていた。
誠実な仕事ぶりが評価され、チップをはずんでくれる顧客ができたバオリー。一方でジアジアは店長との関係に深く感情移入していく。妻の存在を気にかけながらもネックレスのプレゼントをもらい気持ちを高ぶらせる。そしてバオリーからサプライズで花をもらっても喜ぶことはできなかった。
日中、ニウコウの面倒をみてくれているバオリーの母親だが、貯金の使い込みと多額の借金が発覚した。これからの生活に希望を見出せなくなったジアジアは「付き合っている人がいる」と言い残し家を出て行ってしまうのだった。
映画『The Kids』の結末・ラスト(ネタバレ)
実家に戻ったジアジアは父親にひどい暴力を受け、バオリーの元に突き返された。しかしジアジアは店長のことを頼ってしまう。用意してもらったホテルに身を寄せ、生活費も工面してもらう始末である。
ジアジアの行方を捜すようになったバオリーは連日仕事を遅刻するようになり、何にも身が入らなくなってしまった。見かねた大将が声をかけるも、バオリーは上の空である。一方でジアジアはニウコウを養子縁組に出すため話を進めていた。
ジアジアの行方が掴めないバオリーは、店長から情報を聞き出そうとするが頑なに断られ暴力で対抗してしまった。せめて金銭面だけでも解決しようと、友人と一緒に裏稼業に手を出すようになってしまう。さらには強盗も犯してしまい救いようのない状況に陥っていた。
いつも買い物に行っていた店の帰り道、ジアジアは偶然にも逮捕されたバオリーとすれ違った。そのまま刑務所へ同行したジアジア。3~5年の刑期を科せられるだろうバオリーとようやく目を合わせ、止まった時間を思い返すのだった。
映画『The Kids』の感想・評価・レビュー
物語はなんの前振りもなく始まった。そして突き付けられる「中学生による子育て」という現実。明るい空気感など期待してはいなかったが、あまりに辛辣な環境に少し気は引けてしまう。しかし物語は終盤、軸となるバオリーとジアジアの意思がしっかりと見えてくるようになり希望を少しだけ抱かせてくれた。16歳という幼さに危機感を見出しながらも、「父母」となった二人をしっかりと見つめる良作であった。(MIHOシネマ編集部)
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