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映画『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

ブラジャーを持ち主に返すために奔走する主人公を描いたロードムービー。まさに、ブラジャー版シンデレラ!?間抜けなのにどこかオシャレ。とんでもない映画がここに誕生。

映画『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』の作品情報

ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を

タイトル
ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を
原題
Vom Lokfuhrer,der die Liebe suchte…
製作年
2018年
日本公開日
2020年1月18日(土)
上映時間
90分
ジャンル
ヒューマンドラマ
コメディ
監督
ファイト・ヘルマー
脚本
レオニー・ガイシンガー
ファイト・ヘルマー
製作
不明
製作総指揮
不明
キャスト
ミキ・マイノロビッチ
ドニ・ラバン
チュルバン・ハマートバ
マヤ・モルゲンステルン
フランキー・ウォラック
パス・ベガ
ポリアナ・マイノロワ
サヨラ・サファーロワ
製作国
ドイツ・アゼルバイジャン合作
配給
キュリオスコープ

映画『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』の作品概要

30年以上に渡って開催されている、日本国内で最も知名度のある映画賞レース、それが東京国際映画祭である。そんな第31回東京国際映画祭において、異彩を放った作品があった。それが本作。全篇において台詞なし、さらには中年男性がブラジャーの持ち主を求め探し歩くという奇抜な設定。そんな他の作品とは一線を画す作風が受け、映画祭では見事に成功を収めた。だからこそ、本作の日本での上映が決定したのである。昔では主流であったものの、現在ではすっかり見る機会のなかったサイレント映画という手法をとっている珍しい作品でもある。笑って、感動もできる映画。

映画『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』の予告動画

映画『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』の登場人物(キャスト)

ヌルラン(ミキ・マイノロビッチ)
定年退職を直前に控えた鉄道運転手。ある日、運転していた鉄道にブラジャーが引っかかっているのを見て、ブラジャーを返す旅に出ることにする。

映画『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』のあらすじ(ネタバレなし)

そこは、狭い住宅街だった。その狭さは、その住宅街の近くを走る電車が近づいた時には、住宅街の住人は慌てて洗濯物を取り込まないと列車に引っかかってしまうほど。定年退職を間近に控えたヌルランが列車を運転していたところ、青いブラジャーが列車に引っかかってしまう。彼がそれに気が付いたのは、彼の最後の運行が終わった時。そして、その繊細で美しいブラジャーを見た時、彼はとあることを決意する。なんと、彼はそのブラジャーの持ち主を見つけ、ブラジャーを返す旅に出ることにしたのだった!果たして彼は無事にブラジャーを返すことができるのか。ヌルランの壮大な旅が今始まる。

映画『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』の感想・評価

全篇セリフなしの難しさ

本作はなんと、全篇セリフなしのサイレント映画。サイレント映画は、セリフが無い分、観客に内容を伝えることが難しいとされている。しかし、本作の日本での公開が決まったのも、昨年開催された大盛況を収めたから。そもそも、映画というものが19世紀以降にできてから約40年間ほどの間、映画は全てサイレント映画だった。今ではすっかりセリフありが主流になっているものの、サイレント映画こそが全映画の原点なのだ。セリフがなくても、観客の心にスッと入ってくる。そんな優秀な作品が本作。セリフありの映画に慣れてしまった現代人も、本作を観てその良さに触れてみよう。

世界各国の美女が集結

本作は、ヌルランがブラジャーの持ち主を探し求め、女性達の元を渡り歩くという物語。そして、その女性達も本作の見所の一つなのである。本作には、なんと世界各国の美女達が総集結!『ルシアとSEX』に出演し、カンヌ国際映画祭で新人女優賞を獲得したパス・ベガや、ヨーロッパ映画賞も受賞した『グッバイ、レーニン!』にも出演しているロシア出身の女優であるチュルパン・ハマートヴァ、ルーマニアの女優で、かつてあのメル・ギブソン監督の映画にも出演経験のあるマヤ・モルゲンステルンなどなど。出身国は異なるものの、全員が見事に圧倒的な美貌を持つ女優ばかり。ヌルランが訪れる先に待ち受けている女優が一体誰なのか、想像しながら見るのも楽しみの一つ。

くだらないのに心温まる物語

中年男性が、偶然拾ったブラジャーを持ち主に返すべく、街で暮らす女性達の元を訪ね歩く。本作のあらすじを一言で纏めるならばこうなるだろう。そして、これだけを聞くと、少し気持ちが悪いと感じる人ももしかするといるかもしれない。しかし、本作を観終わった後に抱く感情は、爽快感とほっこり感、そして、愛おしさだ。それを証明するかのように、第31回東京国際映画祭では高い評価を得た本作。高齢のヌルランが必死になって旅をする様子を見ているうちに、次第に彼に感情移入をしてしまう。どのようにしてこの内容を感動ものに仕上げたのか。監督や演者の技量が問われると共に、視聴者の期待も集まる一本。

映画『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』の公開前に見ておきたい映画

映画『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

レッドタートル ある島の物語

本作は、2016年に公開された、日本、フランス、ベルギー合作のアニメーション作品。そして、日本からは日本人ならば誰でも知る、日本が誇るスタジオジブリがアニメーション制作として参加したのである。フランスが関わっている作品という点も共通しているが、さらには、現代における珍しいサイレント映画という点でも最新作と共通している。主人公は、嵐の海に飲まれ船から投げ出されるも、九死に一生を得て無人島に辿り着いた一人の男性。他に住んでいる人間は誰もいないその島で、男性はウミガメや鳥達との生活を余儀なくされる。何度も脱出を試みるがうまくはいかず、絶望する男性。そんな中、彼は1匹の赤いウミガメと出会う。そして、その後、彼の身には次々と不思議なことが起きていくのだった。

詳細 レッドタートル ある島の物語

リトル・ミス・サンシャイン

ロードムービーとは、主人公が旅に出て、その旅の道中で起こる様々な出来事を映した映画のジャンルの一つ。主人公がブラジャーを返す旅に出る最新作もそんなロードムービーに該当するが、ロードムービー作品の中でもトップレベルの人気を誇るのが今作。メキシコ州に暮らすフーヴァ一家は、様々な問題を抱えていた。母親のゲイの兄は自殺未遂事件を起こし、父は仕事ばかり。長男は夢を叶えるまでは全く喋らないという謎の誓いを立てていて、祖父は麻薬中毒で施設から追い出されたばかり。そんな中、娘のオリーヴがカリフォルニアで開催される美少女コンテスト、『リトル・ミス・サンシャイン』に出場することになる。お金や様々な問題から、彼らは古びた黄色いマイクロバスに乗り込み、家族全員でカリフォルニアへの旅に出ることになるのだった。

詳細 リトル・ミス・サンシャイン

シンデレラ(1950)

本作のテーマがテーマなだけに、ディズニーの王道である本作と比較されて怒るファンももしかするといるかもしれない。しかし、基本的なストーリーの流れは、最新作と本作は似通っているのだ。シンデレラでは王子はガラスの靴の持ち主の女性を探し、本作ではブラジャーの持ち主を探し歩く。ただ、ガラスの靴がブラジャーに変わった、それだけなのだ。シンデレラは、元々グリム兄弟が発表した数多くある童話のうちの一つ。そのシンデレラに着目し、アニメーション映画化したのが、有名なディズニーである。意地悪な継母とその娘達に囲まれ、シンデレラは辛い日々を送っていた。そんな中、お城で舞踏会が開かれることになる。だが、勿論シンデレラは連れて行ってもらえるはずもない。そんな時、魔法使いが彼女の目の前に現れて…?

詳細 シンデレラ(1950)

映画『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』の評判・口コミ・レビュー

映画『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』のまとめ

現代では滅多に見ることが無くなったサイレント映画。サイレント映画の魅力を改めて教えてくれるのが本作。セリフが無い分、演者の演技やカメラワークなどで視聴者に語りかけるしか無い。そのため、本作では美術にかなりの力が注がれている。まるでおとぎ話のような可愛らしい世界観の街並みなど、まさに『観ていて楽しくなる』作品。果たしてヌルランはブラジャーの持ち主を見つけ出し、彼女にブラジャーを返すことができるのか。そのとんでもない設定だけで、観客の心を既に鷲掴みにしている本作。ヌルランが四苦八苦する姿を温かく見守ろう。

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