映画『THIS IS ENGLAND』の概要:80年代イギリス。フォークランド紛争で父を亡くし、学校でもいじめられ孤独を感じる少年ショーンはスキンヘッズのグループと交流する中で、次第に移民排斥を唱えるイギリス国民戦線にのめりこんでいく。イギリスの社会の多様性に隠れた暗い現実を、同国のリアリズム映画の視点から監督シェーン・メドウズが自身の経験をもとに描いた作品。スキンヘッズのスタイリッシュなファッションも注目された。
映画『THIS IS ENGLAND』の作品情報
上映時間:98分
ジャンル:青春、ヒューマンドラマ、歴史
監督:シェーン・メドウス
キャスト:トーマス・ターグーズ、スティーヴン・グレアム、ジョー・ハートリー、アンドリュー・シム etc
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映画『THIS IS ENGLAND』の登場人物(キャスト)
- ショーン(トーマス・ターグーズ)
- 軍人の父をフォークランド紛争で亡くした少年。学校の帰り道で出会ったウディーに誘われ、スキンヘッズの仲間に加わる。初めは服装や髪型などのスタイルだけで満足していたが、コンボからイギリス国民戦線の話を聞き、父の名誉のためにと右翼活動にのめりこんでいく。
- コンボ(スティーヴン・グレアム)
- 作中では明かされない何らかの罪で三年間の服役を終え戻ってきたウディーの旧友。刑務所の経験から、移民反対の意見を持つようになり、イギリス国民戦線の支持者となる。非常に短気な性格で、怒り始めると誰も止められない。ウディーの恋人ロルと昔関係を持ち、今でも彼女を思っている。
- ウディー(ジョー・ギルガン)
- スキンヘッズのリーダー的存在。スキンヘッズの象徴である坊主頭とドクターマーチンのブーツ、デニムジーンズ、シャツ、サスペンダーなどをスタイリッシュ決めているが、コンボとは違い、政治的な思想には全く興味がなく、そのことから仲間を分裂させてしまう。
- スメル(ロザムンド・ハンソン)
- ウディー達の仲間で、ショーンと恋に落ちる女の子。スキンヘッズのグループの中、一人だけニューウェイヴのファッションと化粧を身にまとい、かなり個性的。本名はミシェル。
- ロル(ヴィッキー・マクルア)
- スキンヘッズの仲間の一人で、ウディーの恋人。ショーンの髪型の件で母親に素直に謝るなど、誠実な性格で、コンボの差別的な物言いに反感を露わにしていることからも、正義感が強い一面も伺える。
- ミルキー(アンドリュー・シム)
- ウディー達の仲間の中で唯一白人ではなく、ジャマイカ系の黒人で、コンボからターゲットにされる。落ち着いた性格で、コンボとも音楽の趣味で意気投合するが、あるきっかけで暴力に発展してしまう。
- ガジェット(アンドリュー・エリス)
- ウディーの仲間だったが、ふくよかな体形をからかわれるのが嫌で、グループの分裂の際コンボの仲間になる。
- ピューキー(ジャック・オコンネル)
- ショーンやガジェットと同じく一度はコンボと共にイギリス国民戦線の活動に参加する気だったが、集会の後にその思想に疑問を持ったことからコンボの逆鱗に触れ、ウディーの元へと戻る。
映画『THIS IS ENGLAND』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『THIS IS ENGLAND』のあらすじ【起】
10歳の少年ショーンは、フォークランド紛争で父を亡くした。学期最後の日に同じ学校に通うハーヴェイという男子に服装と戦死した父についてからかわれたことで喧嘩になり、学校で罰則を受ける。落ち込んでいた彼は帰り道にウディー率いるスキンヘッズのグループと出会い、悩みを打ち明けるうちに打ち解けていく。しかし、新入りのショーンをよく思わないガジェットにより追い出されてしまう。居場所のないショーンは、寂しさを紛らわすように海岸で一人パチンコを撃ったりして過ごす。
ショーンに対して申し訳なく思ったガジェットはショーンの家に謝罪に行き、ウディーたちの仲間に迎える。居場所を見つけたショーンは、ウディーたちのスキンヘッズのスタイルに触発されていく。みんなと似たブーツを買い、仲間のロルに髪を剃ってもらい、ウディー達からシャツとサスペンダーをもらうなどして、本格的にスキンヘッズの仲間入りを果たすのだ。
映画『THIS IS ENGLAND』のあらすじ【承】
スキンヘッズの仲間たちと一緒に行動するうちに、スキンヘッズのグループの年上の少女スメルと恋に落ちたショーンは、仲間の家でのパーティーで彼女を裏庭に誘いキスをする。そんな中、家の中でくつろいでいたウディー達の元に、刀を持った大男が襲撃に入る。混乱していたウディーにもう一人の男が飛びかかってきたが、それはウディーのかつての仲間で刑務所での三年間の服役を終えたばかりのコンボだった。
再会を喜んだのも束の間、コンボはショーンに紹介されると、握手を鼻で笑ってあしらうなど冷たい態度をとる。また、刑務所での経験を話すコンボの口調は、アフリカ系の人々に対する差別意識がむき出しだった。彼は刑務所での日々ですっかり人種差別的なイギリス国民戦線に傾倒していたのだった。
次の日、集まったウディー達はコンボについて意見が分かれた。否定的なロルやミルクに対して、ガジェットやピューキーはコンボが自分の考えを自由に語っているだけと主張する。そんな中、コンボがその場に現れ、仲間たちを自宅に誘う。彼は移民のせいでイングランドとイングランド人のアイデンティティーが侵されていると語る。ウディーはコンボの意見に反対し、仲間とその場を去ろうとするが、反移民派の話に共感したピューキーやガジェットは一緒に出ていくことを拒む。そしてショーンもまた、戦死した父のためにとコンボ達と共に国民戦線への道を選ぶ。
映画『THIS IS ENGLAND』のあらすじ【転】
コンボ達は移民排斥を唱える政治家の集会を訪れる。自分たちは人種差別主義者ではなく、あくまで愛国者だと主張し、移民たちは自国に帰るべきだという主張に賛成するコンボ達。しかし、帰りの車でピューキーがその思想に反対する意見を口にすると、怒り狂ったコンボは彼を暴力的に車から追い出してしまう。
フットボールで遊んでいる移民の子供達にナイフを向けて「二度とこの通りに現れるな」と脅すなど、コンボ達の活動は過激化していく。また、ショーンの顔にも優越感に浸ったような笑みがこぼれていた。
グループの次のターゲットはショーン宅の近所のパキスタン人経営の店だった。パキスタン系に対する差別的な発言で悪態をつくショーンを追い出そうとする店主に向かってナイフを向けたコンボ。店主がひるんでいる間に店の商品を盗み、そのまま車で逃げだすコンボ達。向かったのはその日18歳の誕生日を迎えたスメルの家だった。そこでウディー達と顔を合わせるが、面倒を避けたいウディーは自分の仲間たちを連れて早々とその場を去ってしまう。残ったコンボ達は盗品でパーティーを続けるのだった。
映画『THIS IS ENGLAND』の結末・ラスト(ネタバレ)
誕生日パーティーで、ショーンはスメルに恋人になってほしいと言い、二人は関係を深めていく。コンボもウディーの恋人でありながら実は長年想いを寄せていたロルを仕事場の近くで待ち伏せ、告白する。「一緒に過ごした夜が人生最良の時だった」と語る彼に対し、ロルはそのことを早く忘れたいと言い拒絶する。悲しみに暮れるコンボの目の前に現れたのは、恋人と歩くミルクだった。ロルのことで落ち込んでいたコンボは、ミルクに大麻を分けてもらいたいと頼み、仲間の集まる家に招く。
すっかりハイになった仲間とリラックスした時間を過ごしたミルクとコンボは黒人音楽とスキンヘッズの文化の繋がりについて語り、和解する。しかし、ミルクが自身の貧しいながらも愛の溢れた生い立ちを語ると、コンボは自分より恵まれた環境で育った彼を疎ましく思い始める。心配したショーンはコンボをなだめようとするが、コンボはミルクに殴りかかって重傷を負わせてしまう。血だらけのミルクを見たコンボは、泣きながら謝罪するがミルクは意識不明のまま返事がない。
衝撃的な経験を経て、ショーンはかつて一人で過ごした場所に戻り、イングランドの国旗である聖ジョージの旗を海に向かって投げ捨てる。
映画『THIS IS ENGLAND』の感想・評価・レビュー
最高にスタイリッシュでクールな作品でした。
UKミュージックやファッションが好きな方なら一見の価値ありだと思います。
内容は、80年代を舞台とした社会派ドラマです。ただ堅苦しいものでなく、少年目線から見た情勢やカルチャーを描いているので、あまり気負わずに鑑賞できました。
鑑賞後は余韻に浸り、そして自分なりにじっくり考えるきっかけとなりました。
タイトルに引っ張られた訳ではないですが、ものすごく“イギリス映画らしい!!”と感じました。(女性 20代)
スキンヘッズのファッションや音楽など80年代のUKカルチャーの描き方が最高すぎて、ストーリーに入り込むより先にそちらに興奮してしまいました。個人的には彼らのスタイルを見ているだけで楽しかったです。
12歳の男の子なんて子供だと思っていましたが、彼が関わる同年代の仲間たちは自分の思想やビジョンをしっかりと持っていて、そのために行動を起こすなど子供だと侮っていたことを恥ずかしく思いました。
少し過激な思想ではありますが、何かに共感したり、同じ目的を果たそうとすることは自分の意思や意見を持たずに生きるより何倍も良いだろうと感じる作品でした。(女性 30代)
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