映画『とらわれて、夏』の概要:ジョシュ・ブローリン主演のラブストーリー。共演はケイト・ウィンスレット、ガトリン・グリフィス、トビー・マグワイア。原題は「LOBOR DAY」。「JUNO ジュノ」のジェイソン・ライトマン監督の2013年米国映画。
映画『とらわれて、夏』 作品情報
- 製作年:2013年
- 上映時間:111分
- ジャンル:ラブストーリー
- 監督:ジェイソン・ライトマン
- キャスト:ケイト・ウィンスレット、ジョシュ・ブローリン、ガトリン・グリフィス、トビー・マグワイア etc
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映画『とらわれて、夏』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『とらわれて、夏』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『とらわれて、夏』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『とらわれて、夏』 あらすじ【起・承】
ある年の夏。母親アデル(ケイト・ウィンスレット)は、シングルマザーで、息子ヘンリー(ガトリン・グリフィス)と郊外の森にある一軒家に住んでいた。
離婚後、母親は鬱で情緒が不安定な時が多く、中学生の息子ヘンリーはそんな母親を懸命に支えていた。
週1回の買い出しの日。スーパーへ出かけた2人は、服などの日用品を買っていると、
漫画コーナーに1人でいるところをヘンリーは男に声を掛けられた。
男は、脇腹から血をにじませていて、“助けて欲しい!車に乗せてくれるか?”と言う。
母親アデルは、男の要求を断ろうとするが、息子ヘンリーの身の安全を考え、従うのだった。
車に男を乗せ、アデルの家へ。男の名は、フランク(ジョシュ・ブローリン)。
盲腸の手術が終わった後、刑務所を脱走したらしい。足も少し引きずっていた。
フランクは、危害を加えないと約束し、日没までかくまって欲しいと告げた。
テレビでは、脱走犯フランク・チェンバースの捜索のため、道路は渋滞していると伝えられていた。彼は殺人罪で18年もの間、獄中にいたらしい。
フランクは、言葉どおりアデルたちに危害を加えないが、もし誰か来たら人質の振りをしてもらうと言う。そこで、アデルが人質として、キッチンの椅子に縛り付けられた。
その間、フランクは肉を取り出して料理を始めた。ヘンリーもアデルも、彼と一緒に食事をしたのだった。
金曜日の朝。ヘンリーは、フランクに“どうやって逃げたの?”と聞く。
盲腸の手術後、看守が休憩といって煙草を吸うために部屋を出た時に、逃げたらしい。
ヘンリーは、料理の他、車の修理や床そうじなどあらゆる家事をこなしてくれた。その合間にヘンリーには、まるで親子のようにキャッチ・ボールをしてくれるのだった。
父親の浮気が原因で、別れたため、ヘンリーにとって父親のように接してくれるフランクの存在が大切になってゆく。それは、母親アデルも同じだった。彼女は、頼れる人をずっと求めていたから。
その日の午後、近所に住むジャーヴィス(J・K・シモンズ)がアデルの家を訪ねてきて、熟した桃を大量に持ってきた。ヘンリーは、“母はシャワー中で出られない。”と代わりに対応した。
そんな対応させたフランクに対して、アデルは“息子は父親を求めている・・だけど、息子の気持ちを利用しないで!”と諫めた。
それから、3人はピーチ・パイを作り始めた。“下手でもいいから、塩を入れるのを忘れるな!”とフランクは料理を教えてくれながら、アデルと一緒に手でこねるのだ。
美味しいピーチ・パイが出来た。フランクは、今夜この家を離れると告げた。
しかし、アデルは“ここにいて”と彼を引き留めるのだった。
少年の飼っているハムスターが今夜も活発に動き始めた。
映画『とらわれて、夏』 結末・ラスト(ネタバレ)
土曜日。フランクは、階段を直し、ヘンリーにはタイヤ交換の仕方を教えてくれた。
そのお礼に、アデルはフランクにダンスを教えるのだった。
一方、ヘンリーはスーパーでよく見かける同級生のレイチェルが気になっていた。彼女は、ヘンリーに向かって、“人工甘味料は駄目よ!”と言う。
彼女もまた、親の離婚に振り回された経験を持つらしい。
スーパーでの買い物に、男性用のひげそりが含まれていたことから、店員から疑いの目で見られてしまう。そこを自分用だと言って切り抜けるヘンリー。
だが、帰ってきたヘンリーを待ち受けていたのは、更なる困難だった。
近所に住む、車いすの少年バリーの世話を強引に頼まれてしまう。アデルは、困惑し断ろうとするが、押し切られてしまう。
フランクは、車いすの少年バリーも加えて、野球を楽しんだ。フランクが投げ、ヘンリーが打つのだった。
夕方。テレビのニュースで、脱獄犯フランクについて報道されている中、バリーの迎えが来た。ニュースで流れていることもあり、フランクについて知ったバリーは異常な興奮を見せた。
日曜日。ヘンリーは、極秘任務だと言われて、“プリンスエドワード島”について本を借りてきて欲しいと母親に頼まれた。カナダに移住する計画をアデルとフランクは立てているらしい。
ヘンリーが、図書館で本を読んでいるとまた、レイチェルに会った。彼女は、自分の権利について調べているらしい。2人で話していると、脱獄犯フランクの話題になった。
彼女は、“男の人を追い出さないと、あなたが追いだされることになるわよ。”とヘンリーに忠告するのだった。
ヘンリーは週末に、元父親と新しい家族に会った。ヘンリーと同じ年頃(中学生)の異母兄弟がおり、元父親の妻はにこやかな笑顔だった。
家に帰ると、母親アデルはフランクとダンスを楽しんでいた。
“あなた以外に愛する人が出来たの。カナダで人生をやり直すつもりよ。”と母親から告げられてしまう。
“僕はどうなるの?”と問うヘンリーに、“もちろん、3人で行くのよ。あなたを置いていくわけがないわ”と母親はヘンリーを抱きしめるのだった。
月曜日。3人はカナダに逃亡するため、荷造りを始めた。ヘンリーは、再び、レイチェルと会い、カナダに行くことを告げた。
“ボニー&クライドみたいね!”と笑うレイチェル。そんなレイチェルから、ヘンリーはキスされて驚く。
一方、母親アデルは、不安を感じていた。フランクの傷が開いたため、化膿止めの薬を買いに行こうとした車の中で、自身の負い目をフランクに語るのだった。
ヘンリーを出産後、妊娠をするものの流産を繰り返すようになったこと。そのため、夫に不倫され、離婚したと言う。“もう産めないの!”と泣くアデルに、“君を救いたい!”とフランクはアデルを抱きしめるのだった。
フランクは思い出していた。自身の結婚で、遊んでばかりいた妻マンディを殺した過去を。
“俺の子供なのか?”と問い詰めたことも。
火曜日。ヘンリーは、元父親に手紙を書き、ポストに入れた。その帰りにパトロール中の警官、トレッドウェル巡査(ジェームズ・ヴァン・ダービーク)に呼び止められてしまう。
1人で帰れると言ったが、始業式なのに学校に行ってないヘンリーは疑われ、パトカーで家まで送られることに。
ヘンリーが警官を連れて現れたことに驚く、母親。そんな様子を見て、“旅行ですか?”と執拗に疑う、巡査の言動に戸惑うが堪えた。
巡査の疑いをなんとかかわして、銀行に向かう親子だったが、高額の引き出しは出来ないと銀行で足止めを食ってしまう。事件性を疑われたのだった。
息子の機転でその場をなんとか収めて帰宅したが、車いすの少年バリーの母親にフランクが見つかってしまう。
警察はついに動いた。フランクはアデルとヘンリーを拘束すると、“刑が30年増えても、あと3日一緒に過ごしたかった”とアデルに別れを告げた。
こうして、2人は解放され、フランクは再び捕まってしまう。フランクは10年が追加されて15年の刑に服すことになった。
母親アデルは、息子ヘンリーの養育権を放棄し、ヘンリーは元父親に引き取られた。
“彼と一緒にいれば、満たされるのに・・。”とアデルは呟く。
ヘンリー(トビー・マグワイア)は成長して、“ファーム・スタンド・ベェーカリー”というピーチ・パイの店を開店させた。フランクと共に作った思い出の味だった。
数年後、ヘンリーのもとへフランクから手紙が届いた。
“ママがもし、まだ独りなら、手紙を出してもいいだろうか?”と。
ヘンリーは返事を書き、フランクと再会した。母親アデルは今、フランクと暮らしているのだった。
映画『とらわれて、夏』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『とらわれて、夏』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
夏の恋、その危うい関係
ジョシュ・ブローリンの演技が観たくて借りたのですが、相変わらず渋くていい。
彼が居候しながら家の手伝いをしたり、シングルマザーの息子ヘンリーとキャッチ・ボールをする様子はのどかです。
シングルマザー役のケイト・ウィンスレットは、うつ病で頼りない感じが時に目に余りますが、脱走犯に体を縛られているシーンがなんともいえずセクシーです。
シングルマザーとのひと夏の恋がメインのように見えますが、実は息子の性への目覚めも描いています。個人的には、懸命に母親を支えようとする息子の姿に心打たれました。
やはり家族には、父親が必要。車のタイヤ替えやキャッチ・ボールなど父親でなければ、教えることのできない事があるということ。
もし、シングルマザーとのひと夏の恋だけが描かれているとしたら、おそらく私は観なかったであろう。
ただ、わずか5日間の恋なのに観客には1カ月ぐらい一緒に3人がいるのではないかと錯覚させるほど、濃密に描いています。
特にピーチ・パイを作るシーンは、3人の絆が印象的で彼が脱獄犯であることを完全に忘れさせてしまう。
近所の人になかなか気づかれないのも不思議なのですが、そんな展開の強引さが魅力的な映画だと思います。
ジェイソン・ライトマン監督の魅力
カナダ出身の映画監督・脚本家で、「マイレージ・マイライフ」や10代の少女の妊娠を扱った「JUNO ジュノ」などの代表作があります。
作風は、明るさと皮肉さ、そして主人公の強い信念を持った生き方を描く作品が多い。
昨年、大ヒットした「セッション」の製作総指揮も務めており、いい作品作りには尽力を惜しまないようです!
本作では、ジョイス・メイナードの原作に惚れこみ、映画化を決意したのだそう。
いい年の取り方と存在感を魅せる、ジョシュ・ブローリンの起用もポイントで、奥様受けする配役ですよね。
甘くなりすぎない恋愛物であり、親子という絆がスパイスになっています。
ジェイソン・ライトマン監督の次回作は、アニメの演出で、映画とは違った新鮮な作品作りに期待できそうです。
映画『とらわれて、夏』 まとめ
ひと夏の恋、というド定番な恋愛を扱っているのもかかわらず、脱獄犯とシングルマザーの恋を爽やかに表現しているところに好感が持てます。
同時に少年の性への目覚めや成長を描いている点にも注目です。残念なのは、トビー・マクワイアー演じる、大人になった彼の出番が少ないこと!
この作品の魅力は、人物造型が優れている点です。男性がいないと何もできない弱い女性像を演じる、ケイト・ウィンスレット。
加えて、ジョシュ・ブローリンのワイルドな魅力。知的で、母親に献身的な息子のキャラクターなどが素晴らしい。ひと夏の恋という、一瞬の恋を永く継続させる愛に変える魔法なのでしょう。
あなたもそんな夏に、とらわれてみませんか?
みんなの感想・レビュー
とても、とても、いい映画を観たと思いました。
3人でピーチパイを作るシーンは、監督の演出の妙、役者たちの演技力があれば、わざわざいろんなセリフをこねくり回さなくても、観る者に何もかもすべて伝わるのだと、再認識させられました。
作り方を間違えたら陳腐になってしまう、そんな危険性を秘めた展開の物語を、じつに見事に仕上げたものだと感嘆しました。
静かな感動。いつまでも消えない余韻。本当に観てよかったです。
ただ、この邦題はちょっと??と思いました(笑)