ドニー・イェン、アンディ・ラウという今人気のアジアスター2人がバディを組んで活躍する、香港のマフィア・クライム映画。実際に存在した組織をモデルに2人がのしあがり、友情を築いてゆく様を描く。
映画『追龍』の作品情報
- タイトル
- 追龍
- 原題
- 追龍/Chasing the Dragon
- 製作年
- 2017年
- 日本公開日
- 2020年6月26日(金)
- 上映時間
- 128分
- ジャンル
- アクション
フィルム・ノワール - 監督
- バリー・ウォン
ジェイソン・クワン - 脚本
- バリー・ウォン
- 製作
- ドニー・イェン
アンディ・ラウ - 製作総指揮
- ドニー・イェン
アンディ・ラウ - キャスト
- ドニー・イェン
アンディ・ラウ
フィリップ・キョン
ケント・チェン
ユー・カン
フェリックス・ウォン
ブライアン・アーキン
ベン・ウ - 製作国
- 中国
香港 - 配給
- インターフィルム
映画『追龍』の作品概要
中国と香港が協力して製作。今熱い二人のアジア俳優、ドニー・イェンとアンディ・ラウをダブル主演に据えて、マフィアの闇の中をのしあがる姿を、アクションを交えながらハードに描き上げる。バディ物としても、アクションとしても非常に優秀な一作だ。公開後から非常に評価も高かったが、ようやく日本に登場することができた。こだわりを詰め込み、まさに男のロマンを煮詰めたような仕上がりの究極のアジア・ノワールになっており、期待が持てそうだ。
映画『追龍』の予告動画
映画『追龍』の登場人物(キャスト)
- ン・シーホウ(ドニー・イェン)
- 不法移民として香港に渡った中国人。マフィアの暴動に加わったことから警察に捕まったが、ロックに助けられて彼に恩を感じるようになる。
- リー・ロック(アンディ・ラウ)
- 香港警察。シーホウが警察から暴行されているのを見て彼の命を案じ、保釈してやる。その後、シーホウから危機を救われることになり、ふたりの間には絆ができる。
映画『追龍』のあらすじ(ネタバレなし)
1960年、シーホウは中国から不法移民として香港へと渡る。そこでマフィアの暴動に加わったことから警察に拘束されることになり、現場にいたイギリス人の指揮官からひどい暴行を受ける。見かねた香港警察のロックはシーホウを助けることにし、保釈してやるのだった。
数年後、ロックは警察とマフィアの間で身動きが取れなくなり、陰謀へと巻き込まれてしまう。絶体絶命の窮地に立っていたロックを救ったのは、裏社会に入り込んでいたシーホウだった。恩を感じていたシーホウはやっとロックに恩を返すことができたものの、その際に制裁として足を不自由にされてしまう。お互いを助け合ったシーホウとロックの間には、絆が生まれた。
マフィアと警察が手を組む汚れた世界のなかで、二人は互いに助け合いながら上を目指してゆくことになる。
映画『追龍』の感想・評価
ドニー・イェンの実績
代表作「イップ・マン」の新作「完結」も日本公開を控え、まさに脂の乗った俳優の一人だ。近年では「スター・ウォーズ」や「トリプルX」など、人気シリーズへの出演も記憶に新しい。
彼の強みは演技力だけではなく、その驚異の身体能力でもある。カメラの前でどういったアクションをすれば最も画面に美しく映るのかまで把握しており、作品やキャラクターによって演じ分けができるその才能は、ほかのアクション俳優と一線を画す彼の能力と言えるだろう。既に50代も半ばを過ぎたが、その若々しい容姿と動きは全く衰えを感じさせない。落ち着いた佇まいが魅力のドニー・イェンだが、本作での彼らしからぬ髪型、髭を生やした珍しい風体も一見の価値ありだ。
アンディ・ラウの実績
ドニー・イェンとダブル主演を張るアンディ・ラウもまた、数々の作品で活躍してきた名俳優だ。武術から大成したドニー・イェンとは対照的に、彼は幼少時より映画やドラマと関わりが深かった。彼が今までに出演した映画の数は110本以上にのぼる。デビュー当時から現在まで、そのほぼ全てのキャリアを香港映画で築き続けている。
代表作としては「インファナル・アフェア」シリーズが有名だ。シリーズ3作目「終極無間」では金馬奨・最優秀主演男優賞を獲得。その他にも数々の賞を受賞してきている。ドニー・イェンもアンディ・ラウも、主演どちらともが互いに劣らぬ人気と実力を兼ね備えていることから、本作はまさに夢のタッグの実現ということになる。
バリー・ウォンの実績
そのタッグをまとめあげる監督は、バリー・ウォンとジェイソン・クワンだ。ジェイソン・クワンは撮影を主に行っていたため監督経験は浅いが、バリー・ウォンは非常にベテランの監督である。香港出身だが、中国で映画を製作しているという橋渡し的な存在でもある。
バリー・ウォンは監督の他にも脚本を書いたり、俳優として出演したりと多才な能力を持つ人物だ。非常に多くの作品を監督しており、こちらもアンディ・ラウに負けず劣らず100作品以上に関わっている。「インファナル・アフェア」のパロディであるコメディ作品の監督をするなど、その守備範囲も幅広い。本作でのダブル主演の個性をまとめあげるには、うってつけの才能なのではないだろうか。
映画『追龍』の公開前に見ておきたい映画
イップ・マン 序章
ドニー・イェンの代表作「イップ・マン」の一作目。実在した人物を元に脚色を加えたカンフー映画で、まさに達人といった風体のドニー・イェンを堪能できる。礼儀を持ち戦う信念の男であり、日用品を武器に柔軟に戦う熟練の彼の技を誰でも好きになってしまうはずだ。
日本人が悪役扱いになる中国映画的な展開は日本人にとっては居心地が悪いものの、それを補っても余りある名作である。フィクションとして目を瞑りつつ、物語とアクションの部分をしっかりと楽しんでほしい。この映画で十分に楽しめたと感じたら、是非続編にも手を出していってもらいたいと思う。「序章」のあとは「葉問」「継承」を見ておけば、新作の「完結」に追いつくことができる。
詳細 イップ・マン 序章
インファナル・アフェア
アンディ・ラウの主演作にして代表作の一つ。警察に潜入しているマフィアと、マフィア組織に潜入している警察官のダブル主演による対決物。他国においてリメイクを繰り返されており、香港のノワール映画の最高傑作と言っても過言ではない。ラウもまだ若く、今とは違った魅力がある。
本作と同じように、男の生きざまを描き上げた作品である。短いながらも二人の間の年月と、葛藤を見事に表現している。主演が同じということを除いても、ジャンルの予習としても見ておくべき映画の一つかもしれない。こちらもシリーズものではあるが一作だけでの完成度も非常に高いため、何か一つだけ予習を、というならこの映画にすべきであるのは間違いないだろう。
詳細 インファナル・アフェア
ヒート
アル・パチーノとロバート・デ・ニーロによるクライム映画。アメリカで製作された映画だが、こちらもほぼダブル主演のマフィアものである。刑事と犯罪組織のボスという敵対関係にある二人のやり取りは相棒のようでありながらも、結局は対決を避けられぬ宿敵である。非常にもどかしい関係性を見事に描き出す、ハードボイルドの傑作だ。
女性を困らせながらも育まれる男同士の友情は、このジャンルにありがちなかっこよさの様式美だ。人と人との感情の描写だけではなく、白熱する銃撃戦も見所の一つである。二人が織り成すせめぎあいを緻密に描いたことで非常に長い映画にはなっているものの、だからこそ腰を据え、じっくりと堪能しておきたい一作だと言えるだろう。
詳細 ヒート
映画『追龍』の評判・口コミ・レビュー
「追龍」鑑賞! 悪人にも守るべきルールと貫く仁がある、そんな裏社会に生きる男たちの友情、生きざまを香港ノワール特有の外連味たっぷりで描く。観賞後の余韻もどこか心地良い、良質ノワール映画でしたよ!本当、待った甲斐があった。 pic.twitter.com/1HuW7kJG0e
— S字 (@Gulogulo_wv) July 25, 2020
「追龍」観たー。あのさ、凄かったんだけど…アンディ・ラウとドニー・イェンが人生を半分こするとこを見る日が来るとは思わなかった。てゆーか錯綜する片思いが凄い。ほんとすんごいものを見てしまった…暗黒時代の香港の光と影、とゆーより影と影。闇から光を求めて這い上がる男たちの美学。痺れる。
— ゆうき (@_yuukixxx) July 24, 2020
追龍 かつての香港、チンピラから麻薬王への成り上がり。警察と黒社会がガッツリ組み、賭博麻薬売春を取り仕切り、九龍城砦を駆け回るワクワクしかないムチャクチャな時代。ドニー・イェンとアンディ・ラウ、それぞれの男気が格好良い。いくら富を得ても大切な人を失うのはやだね。熱かった! pic.twitter.com/2wseAICRrt
— マーブルス (@marblestrick) July 25, 2020
『追龍』鑑賞。
香港ノワールの思った以上に渋くって、濃いやつだった。
この二人だけで外しようがないのだけれど
ドニー・イェンの成り上がり悪党っぷり、最近の流れからだと(笑)意外性もあって良かった。
その中にもやっぱり味のある人情味は良い意味で当然有り。
こんなタッチ、やっぱ今も要る! pic.twitter.com/S9qR17dRWV— とりから (@torikara14) July 25, 2020
#追龍
2大スターが贈る極上の香港ノワール実録物。九龍城の作り込み,重厚な物語,拳から銃へ激しさを増すアクション,圧倒的熱量に魂が宿る。生死も富も天が決める?ふざけるな。生死は運命が,己が決めるんだ。植民地支配,仲違い,仁義を超え背中を預け合い,運命に抗う2人の悪の美学と友情に涙した pic.twitter.com/WenRpnDKVp— Tom@映画垢 (@movie_watcjer) July 24, 2020
映画『追龍』のまとめ
キャスト面で奇跡のようなコラボが実現しているにも関わらず、実力派が揃っていることでただのお祭りで終わらない一作に仕上がっている。マフィアものならではのストーリーの渋さ、かっこよさを堪能しながらも、画面から直接アクションというエンタメを得ることもできる。どの要素に興味がある人でも、きっと満足させてくれる仕上がりになっているだろう。彼らのキャリアがここで交差するこの一瞬を、しっかりと見ておきたい。
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