「海辺の映画館 キネマの玉手箱」のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

日本が誇る名監督、大林宣彦。そんな大林監督の遺作となった本作。遺作に相応しい豪華キャストを揃え、彼のこれまでの映画界への貢献に、心より礼を尽くした。

海辺の映画館 キネマの玉手箱の作品情報

海辺の映画館 キネマの玉手箱

タイトル
海辺の映画館 キネマの玉手箱
原題
なし
製作年
2019年
日本公開日
2020年7月31日(金)
上映時間
179分
ジャンル
アドベンチャー
戦争
監督
大林宣彦
脚本
大林宣彦
内藤忠司
小中和哉
製作
不明
製作総指揮
奥山和由
キャスト
厚木拓郎
細山田隆人
細田善彦
吉田玲
成海璃子
山崎紘菜
常盤貴子
高橋幸宏
製作国
日本
配給
アスミック・エース

海辺の映画館 キネマの玉手箱の作品概要

80代となった、日本が誇る名監督、大林宣彦。彼は、病に苦しみながらも新たな作品を手掛けていた。それが本作。そして、本作は大林監督の遺作となった。同じく、長年日本映画史を牽引してきた存在である山田洋次監督も、そんな大林監督に宛ててメッセージを送っている。20年ぶりに、自身の故郷である尾道で撮影を敢行した大林監督。最後にして、原点に立ち返ったまさに彼の映画人生を締めくくるに相応しい一本。そんな彼が、渾身の一作に込めた、視聴者に向けた熱いメッセージとは。

海辺の映画館 キネマの玉手箱の予告動画

海辺の映画館 キネマの玉手箱の登場人物(キャスト)

馬場毱男(厚木拓郎)、鳥鳳介(細山田隆人)、団茂(細田善彦)
瀬戸内キネマの最終日に劇場にいた青年達。なぜか、映画の世界にタイムトリップしてしまい、戦争を実際に経験することになる。
園井恵子(常盤貴子)
移動劇団『桜隊』の看板女優。しかし、翌日桜隊がいる広島では、原爆が投下されることを主人公達は知っており…?

海辺の映画館 キネマの玉手箱のあらすじ(ネタバレなし)

瀬戸内キネマ、それは、尾道の海辺にひっそりと佇む映画館。そして、そんな瀬戸内キネマも、長い歴史に幕を閉じる日がやってきた。閉館のその日、3人の若者がオールナイト興行『日本の戦争映画大特集』を鑑賞していた。しかし、その時奇跡が起こる。稲光が劇場を包んだ。すると、なんと彼らは映画の世界にタイムリープしていたのだ。戊辰戦争、日中戦争、沖縄戦、そして原爆投下前夜の広島。あらゆる戦争を実際に目にした彼ら。そんな彼らは、移動劇団『桜隊』の人々と出会う。桜隊の人々を救いたい。そう強く思うようになった一行は、桜隊の運命を変えるべく動き出す。しかし、歴史を変えるということは並大抵のことではなく…?

海辺の映画館 キネマの玉手箱の感想・評価

あらゆる映画表現の駆使

映画の歴史は古い。遡ること130年ほど前、エジソンやリュミエール兄弟と言った天才発明家の元、現在の映画に繋がる写真技術を活用したスタイルが確立された。その後、アニメ映画やトーキー、ミュージカル、CGなど様々な技法が用いられるようになっていく。それも一重に、技術者、製作陣が、自分の中にあるイメージを、より正確な形で視聴者に伝えるため。中には、時代の進歩と共に、あまり用いられることのなくなった技法もある。本作では、映画史を支えてきたそんなあらゆる表現方法を巧みに取り入れている。今まで知らなかった、あまり見ることのなかった表現方法を知ることができるのだ。そして、興味を惹かれるものがあれば、是非その時代を彩った作品に挑戦してみよう。

名監督の遺作

本作の監督を務めている大林宣彦は、1940年台から自主映画を作成してきた。その長いキャリアの中で、『時をかける少女』や『青春デンデケデケデケ』、『HOUSE ハウス』など、数多くの作品をこの世に生み出してきた。文化厚労省も受賞した、まさに日本を代表する映画監督である。大林監督の作品を見て映画の世界に足を踏み入れた者も少なくない。しかし、そんな大林監督も2020年にこの世を去った。本作は、大林監督の遺作となったのだ。勿論これからも彼の作品は色褪せないが、彼の独特の世界観が今後この世に新たに表現されることはないのだ。長年日本映画界に貢献してきた名監督に敬意を示し、是非スクリーンに足を運ぼう。

大林監督からのメッセージ

大林監督は、この作品にとあるメッセージを込めている。それは、『映画と踊れ!映画は未来を変えられる』。コロナウイルス、世界情勢を揺るがす恐ろしい感染症が世界を襲った。その他にも、人々の暮らしを脅かし続ける出来事は次々と起こり続けている。まさに、暗い闇が世界を覆っているのだ。後ろ向きになることも多いだろう。娯楽に手を出す心の余裕も中々ないかもしれない。しかし、辛い時にこそ、前を向くことが重要。本作でも、主人公達が戦争という辛い環境の中でも、希望を捨てず、自分にできることを直向きに行う姿を描いている。長年、日本映画史を支え続けてきた大林監督が、これからの世代を担う若者達に向けて放つ、最後の熱いメッセージ。

海辺の映画館 キネマの玉手箱の公開前に見ておきたい映画

映画『海辺の映画館 キネマの玉手箱』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。『海辺の映画館 キネマの玉手箱』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

青春デンデケデケデケ

これまで数多くの作品を手掛けてきた大林監督。その中でも、あの日本アカデミー賞にノミネートされるほどの人気を誇ったのが本作。元々は芦原すなお執筆の小説であり、第27回文藝賞、第105回直木賞を獲得するなどその時代のあらゆる賞を総なめにしたモンスター作品。その後、舞台化や漫画化などあらゆるメディア化がなされたが、その中でも一番の成功と言ってもよいのが、大林監督による映画化である。舞台は、1960年台の四国、観音寺市。当時一世を風靡したバンド、ザ・ベンチャーズに感化された四人の高校生達が主人公。高校入学後、彼らはバンド活動に身を捧げる決意をする。しかし、まずは楽器を集めるところから。様々な困難が迫り来るが、青春の勢いさえあればなんでもできる!

詳細 青春デンデケデケデケ

夜のとばりの物語

映画を表現する方法は数多くある。事実、最新作ではトーキー、無音、ミュージカルなど様々な手法を駆使して物語が展開していく。様々な形で自分の感性を表現するために、先人達があらゆる表現方法を模索してきた結果である。そして、本作も先人が残した特徴的な手法を用いている。その手法は、影絵。手掛けているのは、セザール賞や英国アカデミー賞など様々な賞を獲得し、果てにはレジオン・ドヌール勲章まで授与された、フランスを代表する名監督、ミッシェル・オスロ。六つの短編集によって構成されており、それぞれで異なる愛の物語が描かれている。なんと言っても見事なのは、全編を通して描かれる圧倒的に美しい影絵。光と影が彩る世界から目が離せない。

詳細 夜のとばりの物語

一枚のハガキ

あらゆる名作を発表し、長年第一線で活躍してきた映画監督が、幸いなことに日本には多く存在する。しかし、人間である以上、誰にも必ず命の終わりはくる。最新作を手掛けた大林監督も、惜しまれながらも2020年にこの世を去った。そして、本作も日本映画界を彩った、とある名監督の遺作。その人物とは、新藤兼人。戦争も経験した、日本最高齢の映画監督として知られていた人物だ。その長いキャリアの中で、彼が遺した作品は49作品にも及ぶ。2011年に製作した本作を機に、元々引退を発表していた同監督。彼が亡くなったのが2012年。まさに、最期の最期まで、映画を撮り続けたプロ中のプロ。人生の集大成と言っても良い、あらゆる経験、技術、感性が詰め込まれた渾身の一作。

詳細 一枚のハガキ

海辺の映画館 キネマの玉手箱の評判・口コミ・レビュー

海辺の映画館 キネマの玉手箱のまとめ

多くの命を奪い、人々の生活に大きな傷跡を残した第二次世界大戦。そんな悪夢のような出来事から、75年もの月日が経過した。しかし、日本が再び戦争に身を投じることは幸いにもなかった。つまり、今を生きる殆どの人が、戦争を実際に経験したことがないのである。本作の主人公達もその一人。もし、再び日本が戦争に巻き込まれたら。ないと願っていても、絶対にあり得ない話ではないのだ。もし、そのまさかの日が訪れたとしたら。果たして自分はどのように行動するだろうか。あらゆる表現方法を取り入れた、芸術的な一本。

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