映画『嘘はフィクサーのはじまり』のあらすじ・感想・評価(ネタバレなし) | MIHOシネマ

「嘘はフィクサーのはじまり」のあらすじ・感想・評価(ネタバレなし)

政治的不安定な現在の日本に、鋭い切込みを入れる忖度コメディ映画が遂に登場。アメリカの名俳優・リチャード・ギア演じる、巧みなウソで超大物政治家たちとお知り合いになったフィクサーが、イスラエル首相と仲良くなったことで、ニューヨークで暗躍を始める。

嘘はフィクサーのはじまりの作品情報

嘘はフィクサーのはじまり

タイトル
嘘はフィクサーのはじまり
原題
Norman
製作年
2016年
日本公開日
2018年10月27日(土)
上映時間
118分
ジャンル
ヒューマンドラマ
コメディ
監督
ヨセフ・シダー
脚本
ヨセフ・シダー
製作
オーレン・ムーバーマン
ギデオン・タドモア
エヤル・リモン
デビッド・マンディル
ミランダ・ベイリー
ローレンス・イングリー
製作総指揮
ジム・カウフマン
アマンダ・マーシャル
キャロライン・カプラン
マイケル・グレディ
キャスト
リチャード・ギア
リオル・アシュケナージ
マイケル・シーン
スティーブ・ブシェーミ
シャルロット・ゲンズブール
ダン・スティーブンス
ハンク・アザリア
ハリス・ユーリン
製作国
イスラエル
アメリカ
配給
ハーク

嘘はフィクサーのはじまりの作品概要

世界金融の中心の町、ニューヨーク。リチャード・ギア演じるフィクサーのノーマンは、嘘を重ねて金融界を牛耳るユダヤ人上流階級に自らをねじ込ませていく。そしてついに、イスラエル首相からお墨付きをいただくまでに発展するのだが、それが国際紛争手前までの事態を引き起こす羽目に。女優を引き立たせる名優と名高いリチャード・ギアが、今回引き立たせるのはイスラエル首相とユダヤ人。監督は、アカデミー賞やベルリン・カンヌ国際映画祭でも高評価を得ているヨセフ・シダーが脚本と共に担当する。

嘘はフィクサーのはじまりの予告動画

嘘はフィクサーのはじまりの登場人物(キャスト)

ノーマン・オッペンハイマー(リチャード・ギア)
自称フィクサーの高齢者。さりげないウソをつくのが得意で、あらゆる人脈を持っている。
ミカ・エシェル(リオル・アシュケナージ)
イスラエルの敏腕政治家。ノーマンと出会った3年後イスラエルの首相選に当選する。
フィリップ(マイケル・シーン)
ノーマンの甥っ子の弁護士。ノーマンが有名投資家に近づくために、投資家の秘書を紹介する。
アレックス・グリーン(シャルロット・ゲンズブール)
イスラエルの法務省に勤める女性検察官。ミシェル主催のパーティーからの帰り、ノーマンと出会う。

嘘はフィクサーのはじまりのあらすじ(ネタバレなし)

アメリカ・ニューヨーク、そこは世界の金融の中心地として、ありとあらゆる人種やあらゆる階級の人間が生活をしている。その町で、初老の男性ノーマン・オッペンハイマーは自称フィクサーと名乗り、ある思惑を抱いていた。

柔らかく優し気な表情の先に、物腰柔らかな瞳をしたノーマンが先に見据えているのは、金融の地ニューヨークの一端を牛耳るユダヤ人の上流階級。そこに君臨する人たちと近づくことを目標に、ノーマンは小さな嘘を重ね人脈を気付いてきた。

そして、次に目を向けたのは有名な投資家の2人。ノーマンは甥っ子フィリップの弁護士と言う立場を利用して、投資家の秘書とコンタクトを取り、徐々に距離を近づけていく。だが、思ったように進まないと分かると、彼が今度目を付けたのは、イスラエルからニューヨークを訪れていた敏腕政治家のエシェル。

偶然を装ってノーマンはエシェルに話しかけ、彼に高級ブランドの靴をプレゼントする。そして月日は流れて3年。彼はついに、政治家からイスラエル大統領に大出生したエシェルとコンタクトを取ることに成功する。

嘘はフィクサーのはじまりの感想・評価

新たなリチャード・ギアの発見

日本人監督・黒澤明がメガホンを取った『八月の狂詩曲』や、『HACHI 約束の犬』『Shall we Dance?』などにも出演し、日本人ファンも多くいるアメリカの名俳優リチャード・ギア。1990年公開の『プリティ・ウーマン』でゴールデン・グローブ賞にノミネートされると、女優を引き立てる俳優として名が知られることになる。

その後、2002年の『シカゴ』ではゴールデン・グローブ賞主演男優賞を受賞する。ヒューマンドラマを中心に、サスペンスやコメディにも多く出演しているが、この度のコメディ映画にはニューヨークタイムズもリチャード・ギアの新たな一面を見たと絶賛している。

ニューヨークには実に様々なユダヤ人が、金融の中心地であらゆる地位を築いている。自称ユダヤ系のフィクサーを名乗る男・ノーマンが、政治界に顔を効かせるまでの手腕は、観ていて爽快なところがある。また、嘘で塗り固められた肩書きによって窮地に追い込まれたギアの表情も、これまで見たことのないような彼の一面であると言える。

リチャード・ギアが役作りにかけた情熱

世界で最もセクシーな男性にも選ばれたことのある2枚目ハリウッドスターこと、リチャード・ギア。彼が、今回の映画にかける情熱は並々ならぬもので、リチャード・ギアはシェークスピアの名作『ヴェニスの商人』に登場する宮廷ユダヤ人から、今作のフィクサーのイメージをインスパイアされている。

世界中から差別を受けたユダヤ人は、職に就くこともままならず、貴族への貸し付けを得意とした銀行マンや金融業者、貿易商などの職に就く。それが後に、経済界で成功を収め政界へ顔を効かせるようになった人物を、宮廷ユダヤ人と呼ぶようになる。

フィクサーとは、仲介者や調停者と言った意味合いを持ち、ごたごたを解決してくれる御用聞きのような人のことを言う。また、俗語のような言葉で言えば「便利屋」や「何でも屋」と言われる人たち。財政界の大物の「何でも屋」となれば、いろいろなところに顔が利くのは当然のこととして、あらゆる人から一目置かれるのも必至。

撮影の1年前から念入りに役作りを研究し、歩き方や立ち居振る舞いなど、財政界のフィクサーに相応しい人物像を作り上げ、お堅くなりすぎずお調子者の愛されるキャラクターに仕上げたリチャード・ギアに感服する。

まるで日本へのメッセージが込められた珠玉の1作

2017年、流行語大賞にも選ばれ、国会で頻繁に使われるようになった言葉がある。「忖度」である。読み方が難しく、「そんたく」と一回で読めない人もおり、また日常会話でなかなか使う言葉ではないので、馴染みのない人の方が多い。

忖度とは、相手の心情を推し量るという意味合いを持つ。簡単に言えば、相手が何を考えているのかを考えるときに使う言葉。フィクサーであるノーマンの立場をまさに表現しているとも言える。なぜなら「何でも屋」であるノーマンは、大統領や財政界の大物の困りごとや悩み事を「忖度」して問題を解決しなければならないからである。

日本は現在、政治的に安定しているとは言えない。様々な疑惑があり、憶測が飛び、相手の懐を探るような国会中継が度々流れている。リチャード・ギア演じるノーマンの傑作すぎる忖度コメディで、政治混乱に切り込みを入れたいところだ。

嘘はフィクサーのはじまりの公開前に見ておきたい映画

映画『嘘はフィクサーのはじまり』の公開前に見ておきたい映画をピックアップしています。『嘘はフィクサーのはじまり』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

シカゴ

アメリカミュージカルの本場ブロードウェイで、1975年初上映されたミュージカル『シカゴ』。その後、爆発的な人気を博し、多くの再公演を重ね2002年についに映画化するまでに至る。

舞台は1920年代アメリカ・シカゴ。主人公のロキシー・ハートは、スターになることを夢に見ている世間知らずの派手な女性。しかし、愛人を射殺した罪で刑務所に入れられてしまう羽目に。ところが、そのスキャンダルを利用して、ロキシーはスターの地位に登り詰めようと画策する。

この映画は、アカデミー賞で12部門ノミネートし、作品賞や助演女優賞など6部門を受賞した。リチャード・ギアは、敏腕弁護士としてロキシーがスターに上るチャンスを作る役をこなす。

ジャズミュージカルコメディであるこの映画では、法廷でも構わずジャズが鳴り、人々は歌い、踊り出す。リチャード・ギアの「セクシー男優」「女優を引き立たせる男優」の名に偽りはなく、映画発表当時のポスターは、魅惑の色気溢れるジェントルマンになり切っている。

女性を虜にしてしまうリチャード・ギアの魅力は、この映画を観れば一目瞭然と言える。

詳細 シカゴ

食べて、祈って、恋をして

ジュリア・ロバーツ主演、2010年公開のアメリカ映画。結婚や離婚や恋を繰り返して、自分自身を見つめ直す旅に出るヒューマンドラマ。

この映画では、『嘘はフィクサーのはじまり』で音楽を担当している三宅純が楽曲を提供している。元はジャズトランペッターだった三宅だが、作曲家としても頭角を現し、CMや映画、アニメなど数多くの楽曲を提供している。その数は優に3000作品を超える。

その作品の中には、カンヌ国際映画祭で受賞しているものもある。また、イタリア・インド・バリ島など世界を巡り、美しい風景を収めた映画でもあり、見どころ満点である。

日本の監督大友克洋氏も絶賛されている、稀代のサウンド・クリエイターが織り成す、オリジナリティ溢れるミュージックは、映画ととてもマッチしていて心温まること請け合い。人生に何かを求めて探し続けている女性を応援する、軽やかでポップな音楽を聞きながら、ジュリア・ロバーツが美しく笑顔になる様を見て欲しい。

詳細 食べて、祈って、恋をして

フットノート

今作の監督・脚本を手掛けたヨセフ・シダー氏が、2011年に公開したイスラエルのドラマ映画。カンヌ国際映画祭では脚本賞を、アカデミー賞では外国語映画賞にイスラエル代表作品として選ばれる。今作と同じく監督・脚本を担当し、ヘブライ大学で教鞭を取る父と子の関係を描いている。

宗教学を専門としている父エリゼルは、冴えない男で業績もパッとせず評価は低い。だが、そんな父から生まれた息子ウリエルは、優秀な上に器用で高い評価を受ける。家族と一緒にいるのはとにかく居心地が悪く、自分を評価してくれない学会のレベルが著しく低いのだと主張して自尊心を保つ日々。

そんなある日、エリゼルのもとに学会からイスラエルで最も権威がある「イスラエル賞」が贈られるとの連絡があり、エリゼルは大喜び。しかし、実はその賞を受賞するのは息子のウリエルで、エリゼルへの連絡は間違いだったのである。

それからのエリゼルとウリエルのやり取りは、妙にリアルでそれぞれの反応がとても面白おかしく描かれている。イスラエルではコメディとして公開されている映画だけあり、美しいイスラエルの街並みと相まって、観ていて飽きません。

詳細 フットノート

嘘はフィクサーのはじまりのレビュー・評判・口コミ

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嘘はフィクサーのはじまりのまとめ

日本は昔から、相手を思いやるという風習があり、「忖度」と言う言葉は約10世紀頃から使われていたほど古くから使われてきた言葉。映画自体は2016年に製作されたものだが、忖度という言葉が流行語を得、政治的に不安定なこの時期だからこそ、上映するにはもってこいである。そんな映画を、ハリウッドの名優・リチャード・ギアがコミカルに演じるとあれば、ブラックジョーク溢れる内容でもついつい微笑ましくなり口角が上がってしまいそうである。

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