12000作品を紹介!あなたの映画図書館『MIHOシネマ』

映画『サクらんぼの恋』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

45歳男性、独身。それに加えて、童貞。中肉中背の冴えないファミリーレストラン店長、山川は気が弱くてお人好しで、誰からでもバカにされ、頭を下げまくる日々。お笑いタレント宮川大輔の映画初主演にして、ピュアで少年の心を忘れない童貞山川を、見事に演じ切る。

映画『サクらんぼの恋』の作品情報

サクらんぼの恋

タイトル
サクらんぼの恋
原題
なし
製作年
2018年
日本公開日
2018年10月27日(土)
上映時間
117分
ジャンル
ヒューマンドラマ
コメディ
監督
古厩智之
脚本
古厩智之
政池洋祐
製作
藤原實
製作総指揮
片岡秀介
キャスト
宮川大輔
桜井ユキ
草川拓弥
前田公輝
佐野ひなこ
柄本時生
明星真由美
菅原大吉
製作国
日本
配給
KATSU-do

映画『サクらんぼの恋』の作品概要

人気お笑いタレント宮川大輔の初主演映画にして、主人公と同じ年齢の45歳中年を演じる。ファミリーレストランの店長にして、童貞の冴えない中年男山川は、憧れのAV女優恩田リナのビデオを見ては自分を慰める日々。そんなある日、山川のもとに女性が駆け込んできたが、その人物がまさかの人で山川はパニックに。『ホームレス中学生』の監督・古厩智之がメガホンを取り、『リアル鬼ごっこ』などの桜井ユキ、アイドルグループの超特急『草川拓弥』らが周りを固める。

映画『サクらんぼの恋』の予告動画

映画『サクらんぼの恋』の登場人物(キャスト)

山川則夫(宮川大輔)
45歳、独身、童貞、中肉中背。チェーンのファミリーレストラン店長をしているが、気が弱い上にお人好し過ぎて、自分をはっきり出すことができず、バカにされる。
恩田リナ(桜井ユキ)
山川と同じアパートの隣の部屋に住むAV女優。山川が憧れている女優。撮影中に嫌気が差して逃げ出す。

映画『サクらんぼの恋』のあらすじ(ネタバレなし)

山川則夫は、45歳にして某チェーン店のファミリーレストランで店長を務めている。ところが、もともとおどおどびくびくした性格と人の良さが相まって、バイトの学生からは馬鹿にされ、お客さんからも怒られ、毎日頭を下げまくる日々。

ストレスばかりがたまる中、唯一の癒しは、こっそり集めた「恩田リナ」が出演しているAVを眺めること。女性経験のない山川にとって、AVはゲームと同じくらい大切な日課の1つ。

そんなある日のこと、たまたま部屋にいた山川の元へ、とある女性が駆け込んでくる。女性はなぜかバスローブを羽織っており、「ちょっとだけ隠れさせて」と妙に訳あり。この女性の素性はいったい何なのかと思いきや、山川は女性を一目見てすぐに誰だか分かってしまった。

目の前に現れたのは、毎日欠かすことなく見続けている、あのAV女優・恩田リナだった。憧れの女優がまさかよりにもよって自分のところへ、やって来た。いったいなぜ?困惑する山川だが、この一生にもう二度とないチャンスを生かせるのか?

映画『サクらんぼの恋』の感想・評価

本当に冴えない男が似合う、宮川大輔

日本のお笑い界を引っ張って行くタレント芸人、宮川大輔。1991年、チュッパチャップスを結成し、お笑い界に入ると、その後ナインティナインや雨上がり決死隊と共に、お笑いユニット「吉本印天然素材」に参加。

それから舞台に出演したり、「人志松本のすべらない話」に出演したり、「世界の果てまでイッテQ!」でお祭り男としてお茶の間を賑わせたりと、メディアに引っ張りだこの人気芸人である。

テレビドラマや映画にもたびたび出演し、その演技力には常に定評があり、安心して見られると評判。今回、初主演を務めるのは冴えない中年男。普段の眼鏡姿を脱ぎ捨て、45歳の独身童貞男を演じ切る。

その見た目はまさに、「冴えない」と言う言葉が似合う中年男。顔はもちろんのこと、話し方も、趣味も、服装も、何もかも冴えない男・山川則夫。宮川大輔の才能溢れる演技力が、どのように発揮されるのか、期待が高まる。

ラブコメでは収まりきらない、切なさと感動溢れるヒューマンドラマ

童貞男性が、憧れの女性に恋をする。そんな憧れの女性が、ある日自分の部屋にやって来る。まるで漫画かゲームでありがちな、都合の良い設定だが、それに出てくる主人公は10代の若い男性ではなく、なんと45歳の中年男。

文章でそれを見ただけでは、好き好んでみて観てみようとはとても思えない内容である。世に溢れるドラマの主人公は、10代や20代の瑞々しく初々しい若人ばかりである。それを、わざわざ45歳にもなる童貞男の恋物語とは、ずいぶん強気な設定だと思わざるを得ない。

だが、現実はどうだろうか。恋物語は、いつの年代でも変わることなく、誰であろうと紡ぐものである。45歳の童貞男の恋物語など、なんてリアリティ溢れる設定だろう。

これは映画ではなく、限りなく現実に近い物語。ただのラブコメディーに収まりきらないヒューマンドラマになっていると、コメントが出るだけあり、設定はコメディーチックだが内容はとても現実的で、すぐ身近でありそうな物語。

いくつになっても、人間は前を向ける

台本を読んだ主演の宮川大輔や、ヒロインの桜井ユキは、映画の内容をとてもピュアで前向きになるとコメントしている。人間、生きていると知らず知らずのうちに自分を守るために殻を作り、境界を作り、壁を作ってしまいがちになる。

そして、自分の限界を決め、いつしか前へ進むことを忘れてしまう。目標もなく、目的もなく、変わらない日常、同じことを繰り返す。自分を否定して、自分を嫌いになったところで、自分は自分以外には決してなれない。それでも嘘をついて生活していくことを、「大人」だと言う人もいる。けれど、人はいつだってどの瞬間からでも変わることができる。

どれだけみじめでダサくてカッコ悪く見えても、人は自分を変えることができる。冴えない45歳童貞の中年男だった山川則夫が、恩田リナに出会ったことで、自分と向き合うようになり、自分を変えていく。

必死に前を向く人間は、傍で見ている人にはとても魅力的に映り、恩田リナはそんな山川則夫に心惹かれていく。前へ進みたい人へ、今いる場所で戸惑い足踏みしている人へ、山川則夫が励ましのメッセージを、観客へ語り掛けてくれる。

映画『サクらんぼの恋』の公開前に見ておきたい映画

映画『サクらんぼの恋』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『サクらんぼの恋』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

漫才ギャング

1990年代から多くの映画に出演しているタレント芸人、宮川大輔。その出演作品の中でも、『漫才ギャング』は、お笑い芸人・品川庄司の品川祐が原作した小説の映画化作品。

コンビ結成10年目の売れない漫才コンビが解散となり、ボケとネタを担当していた飛夫はトラブルに巻き込まれ、留置所に入ると、そこで不良の龍平に出会う。そして、ひょんなことから飛夫は龍平と漫才のコンビを組むことになる。

品川自ら脚本の他にも監督を務め、佐藤隆太と上地雄輔のW主演として話題となり、出演者もほとんどがお笑い芸人ばかり。宮川大輔は、佐藤隆太演じる主人公・飛夫や、飛夫の元相方・保に金を貸した借金取り。

お笑いが好きで、漫才で頂点を取ることを夢見ている飛夫と、飛夫と出会ったことでお笑いの面白さを知った龍平。飛夫と取っ組み合いをしたり、漫才の舞台を見に来たりと何かと飛夫を気に掛けていた金貸しの金井は、金貸しでありながら素直に漫才を褒める人情味溢れるキャラクター。

生粋の関西弁で、勢いもあり、宮川大輔ならではの配役である。

詳細 漫才ギャング

THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング・ビューティ

桜井ユキの初主演として、2017年に公開されたヒューマンドラマ。高橋一生とサーカス団の団員として暮らすアキ、29歳。毎日サーカスで催眠術にかかり、観客を賑わせていたアキは、いつしか現実と妄想世界の境界線が曖昧になってしまい、精神が破綻しようとしていた。

どうして生きるのか、何が目標だったのか、生きる目的とは何だったか。アキの意識の中に残っているのは、恋人でありサーカス団の経営者のカイトとの大切な時間。

現実と妄想の世界が、アキの中で交錯する。アキの世界の境界線が崩れたとき、アキの人生が再生され始める。

監督、二宮健のオリジナル脚本で、観客の視線を外させない力強い世界観の中で、『サクらんぼの恋』の恩田リナと、どこか似たような生活をしているアキを、桜井ユキは見事に演じ切る。

詳細 THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング・ビューティ

ホームレス中学生

漫才コンビ・麒麟の田村裕による自叙伝を、『サクらんぼの恋』でも監督・脚本を務めた古厩智之がメガホンを取る。主演を、WaTの小池徹平が担当し、池脇千鶴やいしだあゆみ、柄本時生などが脇を固める。

ストーリーは、田村が麒麟の相方である川島と出会うまでの物語。幼い頃、実際に公園で生活していた経験のある田村は、段ボールでの生活を強いられていた。父親から告げられた一家離散宣言、バラバラになる兄や姉。

一学期の終業式が終わり、明日から夏休みだとウキウキだった田村を襲う悲劇。友人の恩恵で家に泊めてもらったり、民生委員会のおばちゃんが何かときに掛けてくれたり、生活保護を申請し空き家に住まうことができるようになったりと、なかなか騒然で普通の人が喧々したことのない人生を歩んでいる。

だが、その絶望的な人生であっても、田村は笑顔を忘れずに、時にはぶつかりながらも多くの人と深いつながりを作っていく。暗くなりがちな設定だが、コミカルでユーモラスに描かれているので、重くなりすぎず最後まで見ることができる。

詳細 ホームレス中学生

映画『サクらんぼの恋』の評判・口コミ・レビュー

映画『サクらんぼの恋』のまとめ

この映画の主演が宮川大輔でなければ、見向きもしなかったかもしれない。宮川大輔が不器用ながらも恋をしていく中年男性を、芸人ではなく1人の人間として全力でぶつかっていく。その体当たりな演技が、この映画の魅力をさらに引き出しており、最後には涙まで出てきそうなくらいの切ないラブストーリーになっているのだろう。主題歌を担当するスキマスイッチの「Baby good sleep」が映画と妙にシンクロし、なおさら感動せずにはいられなさそうである。

みんなの感想・レビュー