映画『X-MEN フューチャー&パスト』の概要:突然変異のミュータント集団X-MENを描く5作目。今作では初期3部作より未来の時代から、不老不死のウルヴァリンが歴史を変えるため、指導者プロフェッサーXの若かりし頃(=4作目の直後)にタイムスリップする。
映画『X-MEN フューチャー&パスト』の作品情報
上映時間:114分
ジャンル:SF、アクション
監督:ブライアン・シンガー
キャスト:ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、オスカー・アイザック etc
映画『X-MEN フューチャー&パスト』の登場人物(キャスト)
- ローガン / ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)
- 自己治癒能力を持つ年齢不詳のミュータントで、実験によりアダマンチウムと言う金属の爪を操るようにさせられた。未来の地球を守るため、精神を過去の自分に移して歴史を変えようとする。武骨な性格。ウルヴァリンは彼の能力に基づいたニックネーム。
- チャールズ・エグゼビア / プロフェッサーX(青年:ジェームズ・マカヴォイ、老年:パトリック・スチュワート)
- サイキック能力を持ち、人の心を読むテレパシーや、相手の動きを一時的に止めることなどができるミュータントで、X-MENの指導者。青年期のチャールズは、前作では明るく聡明な青年だったが、前作で負った傷により半身不随になったことやレイブンを失ったことから、失意のどん底にいる。足を動かすために、能力を奪う副作用のある薬を服用している。
プロフェッサーXはチャールズのニックネームで、X-MENを本格的に始動してからは、こちらの名前で呼ばれることがほとんど。ここでは区別のため、青年期を「チャールズ」、老年期を「プロフェッサーX」と表記。
- エリック・レーンシャー/ マグニートー(青年:マイケル・ファスペンダー、老年:イアン・マッケラン)
- 金属を操るミュータント。かつてはチャールズを友とし世界を救ったが、人類に対する考え方の違いから袂を分かった。能力に気づいたナチスに人体実験をされた、不遇の過去を持つ。自らを「マグニートー」と名乗り、ミュータントのための世界を作ろうとしている。未来の世界では、ミュータント達を救うためプロフェッサーXと協力している。
ここでは区別のため、青年期を「エリック」、老年期を「マグニートー」と表記。
- レイブン・ダークホルム / ミスティーク(ジェニファー・ローレンス)
- 姿を自由自在に変えられるミュータント。本来の姿は青いうろこ状の皮膚におおわれている。エリックに共感し行動を共にしていた。彼女がトラスク博士を暗殺した事件が、のちにミュータントを絶滅の危機に追い詰めるきっかけとなる。エリックの影響か、前作より戦闘能力も冷徹さも上がっている。ミスティークはエリックといるときの、レイブンのニックネーム。
- ハンク・マッコイ / ビースト(ニコラス・ホルト)
- 科学者でもあるミュータント。青い獣のような姿をしており、力が強い。前作での戦い以降、チャールズと行動を共にし、彼を支えている。薬の力で一時的に人間の姿に戻ることもできる。
- トラスク博士(ピーター・ディンクレイジ)
- アメリカの科学者。ミュータントの危険性を訴え、彼らをせん滅するための兵器「センチネル」を開発中。このセンチネルには相手に応じて特殊能力を変えながら戦う力が備えられており、未来世界でミュータントを絶滅の危機に追い詰める。
- ピーター(エヴァン・ピーターズ)
- 超高速で移動できる若きミュータント。エリックをペンタゴンから救い出すのに協力する。母親の知り合いに、金属を操るミュータントがいたらしい。
- アレックス(ルーカス・ティル)
- 前作でチャールズ達と共に戦ったミュータント。炎の光線を出すことができるが、今作ではベトナム戦争に従軍。トラスク博士の実験台にされそうになったところをレイブンに救われる。
- キティ(エレン・ペイジ)
- 物体や壁を通り抜けることができるミュータント。今作ではその力を応用して、相手の精神を過去のその人本人に移すことができる。ウルヴァリンは彼女の力で過去に戻った。
- ストーム(ハル・ベリー)
- 天候を操ることができるミュータント。未来の世界で、ウルヴァリンらと共に戦っているX-MENメンバーの一人。
映画『X-MEN フューチャー&パスト』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『X-MEN フューチャー&パスト』のあらすじ【起】
2020年代、ミュータント達は絶滅の危機にひんしていた。敵対する人類たちが、対ミュータントの人型兵器、センチネルを作りだしたからだ。センチネルはミュータントの能力に合わせて自在に姿や能力を変えることができた。モスクワでセンチネルに襲われたキティは、仲間の一人を過去に送り、仲間達の命を救う。
プロフェッサーX、ストーム、ウルヴァリン、そしてかつての敵マグニートーは、キティ達に合流する。絶望的な今の状態を回避するため、キティの力を必要としていたのだ。キティは仲間の精神のみを過去の肉体に送る能力を持っていた。1973年にセンチネルを発明していたトラスク博士は、ミュータントを使って人体実験をしていた。彼をミスティークことレイブンが暗殺、しかしそのせいで彼女は捕えられ、変身能力をもつDNAが採取され、センチネルが完成してしまったのだ。プロフェッサーXはこの過去を変えようとしていた。ウルヴァリンがその役に志願する。
目覚めると、ウルヴァリンは1970年代にいた。この時代にはミュータントの数はそれほど多くなく、ミュータントを危険視するトラスク博士はまだ異端だった。ベトナムのサイゴンでは、トラスクの元に移送されそうになっているアレックス達ミュータントを、レイブンが助け出す。
ウルヴァリンは昔のプロフェッサーX、チャールズの開いた学校を訪ねる。しかしエリックとレイブンを失い、ベトナム戦争を機に学校も閉鎖、チャールズは失意の底にいた。今は薬で歩けるようになっているが、その代わりに能力を失っていた。チャールズはレイブンを取り戻すため協力を決意する。
映画『X-MEN フューチャー&パスト』のあらすじ【承】
トラスク博士の研究所に潜入したレイブンは、活動を共にしたミュータント達が人体実験で殺された事を知る。トラスク博士がパリでのサミットに参加することも。
ウルヴァリン、チャールズ、ハンクは超高速で動けるミュータント、ピーター・マキシモフの元を訪ねた。3人はピーターとともに、ペンタゴン(国防総省)へ潜入、大統領暗殺の罪で捕えられていたエリックを救出する。しかし、エリックとチャールズの確執は深まっていた。しかしこれからレイブンの身に起こることを知り、互いに協力することになる。
パリ。レイブンはサミットの参加者の1人に変身し、サミットに潜入する。トラスクはサミットで、センチネル開発のための協力を要請していた。正体がばれ乱闘になったところにチャールズ達が現れる。トラスクは暗殺されずに済んだが、エリックがレイブンを殺そうとし、レイブン達は一般人の前に異様な姿をさらしてしまう。そのために政府はトラスク博士の主張を信用し、ミュータントを危険視、センチネル計画を承諾してしまう。トラスク博士はレイブンが撃たれた血痕からDNAを採取する。
足が動かなくなり薬を打とうとするチャールズを、ウルヴァリンは説得する。まだ未来は変わっていない。チャールズの能力でレイブンを見つけなければならないのだ。チャールズは薬を打つのをやめ、再び足を失う代わりに能力を取り戻すことを決意する。
映画『X-MEN フューチャー&パスト』のあらすじ【転】
トラスク博士は部下のストライカーに、レイブン本人を捕まえるよう指示する。エリックはセンチネル計画を阻止するため、再び単独行動を取っていた。
チャールズはセレブロを使ってレイブンを探し出そうとするが、失敗。心がまだ能力に対応しきれていないのだ。ウルヴァリンは自分の頭を通して、チャールズ自身の未来の姿を見せる。その中でプロフェッサーXはチャールズに、恐れを捨て、希望を持つよう伝える。チャールズはセレブロを使い、レイブンを説得しようとするが、トラスクへの復讐心に心を奪われているレイブンは、耳を貸そうとしない。レイブンはトラスク博士を殺しにワシントンへ向かっていた。
エリックはトラスクの研究所に侵入し、思考コントロールを防ぐヘルメットを取り戻す。
未来の世界。プロフェッサーXたちの隠れ家にセンチネルの集団が向かってきていた。ストームやマグニートーたちは、時間稼ぎのためセンチネルと戦う。
チャールズ達3人はワシントンの式典に潜入、レイブンを探す。そこでは完成したセンチネルが公開されていた。チャールズは必死にレイブンに語りかける。一方エリックは、野球スタジアムを飛ばし、会場へ向かう。するとセンチネルが作動、会場を射撃し始めてしまった。エリックはセンチネルの移送中に、そのボディに金属を流し込んでいたのだ。大統領やトラスク博士達は地下のシェルターに避難する。しかしそこには、シークレットサービスに変身したレイブンもいた。
未来の世界では、センチネルの圧倒的な数に、仲間達が次々と倒れていく。
映画『X-MEN フューチャー&パスト』の結末・ラスト(ネタバレ)
エリックはセンチネルを操り、ウルヴァリン達にも攻撃を差し向ける。ウルヴァリンはエリックによって水の底に沈められてしまう。シェルター内ではレイブンの正体がばれる。しかしその瞬間、エリックがシェルターをホワイトハウスから引っ張り出した。エリックは各国のテレビ中継を使って世界に語りかける。自分達の力を見せつけ、ミュータント達に結束を呼び掛けたのだ。
未来の世界。マグニートーは「自分達がしてきた争いは無駄なことだった」とプロフェッサーXとあらためて和解をする。
自ら前に進み出た大統領に対し、エリックは銃を向ける。センチネルは大統領もミュータントと判断し、攻撃を仕掛ける。大統領に化けたレイブンだったのだ。彼女はエリックにプラスチック製の銃を撃ち、気絶させる。再びトラスク博士に銃口を向けるレイブンに、チャールズは「君は今人間達を守った、未来は変えられる」と説得する。今しも未来の世界では、センチネルがプロフェッサーX達を全滅させるところだった。レイブンは銃を降ろし、その瞬間未来は変わった。センチネルもプロフェッサーXたちもその場から消え失せる。
エリックはその場から逃げ去り、レイブンもその場から去る。しかしチャールズはまた2人と会える希望を捨てはしなかった。
ウルヴァリンが目覚めると、そこは「恵まれし子らの学園」だった。未来に戻ってきたのだ。その未来では、センチネルとの戦争などなかったかのように、皆平和に学園生活を送っていた。そしてそこには、すでに亡くなったはずのジーンとスコットがいた。レイブンの選択によって、歴史は別の道を歩み始めたのだ。
映画『X-MEN フューチャー&パスト』の感想・評価・レビュー
人気アメリカンコミック原作映画の第5弾。未来で危機に瀕したミュータントたちを救うため、X-MENの一人、ウルヴァリンが過去の改変に挑む姿を描く。
久々に帰ってきたヒュー・ジャックマンの名演もさる事ながら、前作のテイストと以前の3部作のテイストが絶妙に融合し、今までにないX-MENが表現されている点が見事。始めの3部作と過去を描いた前作を繋ぐという設定だから出来る新旧のキャストの共演にも注目。(男性 20代)
意識のみを過去に移動させる時、遡る時間が長いほど負担が大きくなるために強靭な肉体が必要と言うことでウルヴァリンが選ばれて過去に移動する。そして過去のマグニートーとプロフェッサーと合流する。そんな展開の本作品、現在がボロボロなところを、移動した先の1973年が長閑な感じのギャップに、長い年月での苦闘がにじみ出ていると感じました。
そしてウルヴァリンが過去で任務遂行して現代に戻ったとき、スコットやジーンが和やかな表情でウルヴァリンを迎えられる。その雰囲気に任務は成功したのだと感じました。このシリーズでこれだけ穏やかな感じが出ると本当に平和って感じがして、いい結末だと感じる作品でした。(男性 40代)
シリーズの中でもかなり人気の高いシリーズ5作目となる今作は、新3部作の2作目に位置する作品で前作から10年後が舞台となっています。
シリーズを全て見ている私としては、旧シリーズとこの新シリーズのX-MENのキャラクターを繋ぐストーリーになっていたことが最高に感動しました。
アクションよりも、キャラクターたちの人間ドラマが今作の見所になっています。絆や繋がっているからこその葛藤は回を重ねるごとに深くなり更に魅力的に感じました。(女性 30代)
やはりタイムトラベルものは面白い。そして、シリーズの中でも秀でた人気を獲得しているウルヴァリンが過去に戻るなんて、興奮しない方が無理という話だ。
これまでのシリーズ(旧三部作)と『ファーストジェネレーション』から続く新シリーズとを繋げるという、大きな事を今作は成している。同名のキャラクターを、老年期と青年期を同時に一つの映画として鑑賞できるなんて。
しかし、過去を改変したことによって、旧三部作とは歴史上繋がらなくなってしまうという複雑な展開になってしまった。繋がったのに、繋がらなくなってしまった。お話としては最高に面白いが、そのせいで次作からは「旧三部作しか見ていないよ」という方には、すぐには理解しづらい状態になっている。(男性 30代)
関連作品
次作 X-MEN アポカリプス
前作 X-MEN ファースト・ジェネレーション
みんなの感想・レビュー
チャールズが心を閉ざした理由。
ウルヴァリンがタイムワープした’70年代は、軍事企業トラスクがセンチネルの製造に着手しはじめた頃だった。
トラスクの暴走を止めるためにはミュータントが一体となり阻止する必要があったが、それが出来ない事情があった。
チャールズは、妹の様に可愛がっていたレイヴン/ミスティーク(ジェニファー・ローレンス)に去られ、彼女がミュータントを救う目的で軍に侵入しているのに心を痛めていた。
エリック/マグニート(マイケル・ファスベンダー)はJFK暗殺犯としてペンダコン地下牢に幽閉されていた。
現実から目をそむけ続けるチャールズに、俺の心を読めというウルヴァリン。
時を彷徨い続け、死ぬことすら出来ないウルヴァリンの生き様に、涙したチャールズは、未来のミュータントの危機に立ち向かう事にする。
ヴェトナムでは、トラスク(ピーター・ディンクレイジ)の命により軍人ストライカー(ジョシュ・ヘルマン)がミュータント狩りを行なっていた。
レイヴンは、トラスクが、ニクソン大統領(マーク・カマチョ)に承認を貰い、センチネルを量産しようとしているたくらみを知り、ハボック(ルーカス・ティル)らを軍の基地から脱走させる。
しかし、未来の記憶では、レイヴンがセンチネルの製造DNAに関わっている事から、エリックはレイヴンを殺そうとする。
チャールズは彼女に1人で問題を解決しようとせず戻って来いと諭す。
またしてもエリックとチャールズの見解が分かれただけでなく、ウルヴァリンは、その場にいたストライカーにより、過去のトラウマがよみがえり戦闘不能になってしまう。
エリックは、ポリカーボネイト製のセンチネルのボディに鉄骨を埋め込み、未来で悪用される過去のお披露目会の時点で壊してしまう。
結果として、エリックは黙って去り、チャールズは残された生徒たちと共に学園を築く事となる。
ウルヴァリンはどこに戻るのか。
センチネルが消えた後、ウルヴァリンは滅亡寸前の未来に戻らない。
『X-men』シリーズの最初、サイクロップス(ジェームス・マーズデン)らが迎えるあの最初のシーンに戻る。
彼は呆然としている。何故ここなのかと。
そんな彼の身の上に起こっているのをしっているのはチャールズだけ。だが今自分の前に居るチャールズは年老いている。
チャールズは『君の身の上に起こった事をはなしてくれないか』という。
そこでウルヴァリンは、ようやく心の安定を得るシーンが印象的でもある。
ウルヴァリンは、過去に戻る時に、チャールズから、過去の自分は人間として未熟だ。エリックとうまくうやっていけるかどうか君に任せると頼まれる。
俺は辛抱強い性格じゃないと、難色をしめすウルヴァリンだが、彼は、エリックは、センチネルの事件を通して成長する姿を目の当たりにする。
映画のラストで、チャールズに『何が起きたのか話してくれないか』とチャールズがウルヴァリンに聞いたその真意は、
自分があの時、どの様に人間的成長をとげたのか聞きたかったからではないだろうか。
この映画はカテゴリーとしてはSFだが、こうした人間ドラマとしてみても、面白い映画でもある。