映画『X-MEN ファースト・ジェネレーション』の概要:突然変異したミュータント集団X-MENの活躍を描くマーベル・コミックの『X-MEN』実写化シリーズの第4弾。X-MENの指導者プロフェッサーXの若かりし頃を描き、映画の中の時系列としては一番昔に当たる。
映画『X-MEN ファースト・ジェネレーション』の作品情報
上映時間:131分
ジャンル:SF、アクション
監督:マシュー・ヴォーン
キャスト:ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ケヴィン・ベーコン、ローズ・バーン etc
映画『X-MEN ファースト・ジェネレーション』の登場人物(キャスト)
- チャールズ・エグゼビア / プロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ)
- サイキック能力を持ち、人の心を読むテレパシーや、相手の動きを一時的に止めることなどができるミュータント。頭もよく、皆の指導者的存在となっていく。アメリカの豪邸で生まれ育った。プロフェッサーXはチャールズの能力に基づいたのちのニックネーム。
- エリック・レーンシャー / マグニートー(マイケル・ファスペンダー)
- 磁力を使って金属を操るミュータント。第二次大戦時にユダヤ人として強制収容所に入れられ能力を開花、そのせいで母を殺されナチスに実験対象とされるという、不遇の少年時代を送った。怒りに燃え、実験を行ったシュミット博士への復讐を誓っている。マグニートーはエンリケののちのニックネーム。
- レイブン・ダークホルム / ミスティーク(ジェニファー・ローレンス)
- 姿を自由自在に変えられるミュータント。本来の姿は青い鱗のような皮膚で覆われており、自分の姿にコンプレックスを持っている。そのため、普段は普通の人間女性の姿に変身している。ミスティークはレイブンののちのニックネーム。
- ハンク・マッコイ / ビースト(ニコラス・ホルト)
- CIAの研究所で働く研究員。実は獣のような足をもつミュータントだとわかり、チャールズ達と共に戦いに身を投じる。自分の姿にコンプレックスを持っており、突然変異を直す薬を自主開発中。
- モイラ(ローズ・バーン)
- ミュータントに理解のあるCIA職員。事件の裏にあるミュータントの存在に気づき、遺伝子の突然変異を研究しているチャールズに協力を要請する。
- クラウス・シュミット博士 / セバスチャン・ショウ(ケヴィン・ベーコン)
- 元ナチスの研究者で、エリックを実験した張本人。現在ではセバスチャン・ショウと名を変え、自分もエネルギーを吸収し操る能力を手に入れた。手下のミュータント達と共に、第3次世界大戦を起こそうと目論んでいる。
- エマ・フロスト(ジャニュアリー・ジョーンズ)
- ショウの部下。チャールズと同じサイキック能力と、ダイヤモンドのような体に変身する能力を持っている。
- アレックス(ルーカス・ティル)
- チャールズにスカウトされたミュータント。自分の体から炎を発することができる。
- ショーン(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)
- チャールズにスカウトされたミュータント。口から超音波を発する。訓練とハンク特製の翼で空も飛べるようになった。
- エンジェル(ゾーイ・クラヴィッツ)
- チャールズにスカウトされたミュータント。昆虫のような羽をもち、物を溶かすつばを飛ばす。チャールズ達を裏切りショウの味方となる。
- アーマンド(エディ・ガデギ)
- チャールズにスカウトされたミュータント。場所に応じて姿を変える「生存適応能力」をもつ。
映画『X-MEN ファースト・ジェネレーション』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『X-MEN ファースト・ジェネレーション』のあらすじ【起】
1944年ポーランドでは、ユダヤ人の強制収容が行われていた。幼きミュータント、エリック・レーンシャーは両親から引き離され、磁力を操る力を開花させる。
同じころ、ニューヨーク。幼きチャールズ・エグゼビア(のちのプロフェッサーX)は、家にいるのが自分の母親の偽物だと気付き、頭の中に話しかける。それは姿を自由に変えられる少女のミュータント、レイブンだった。おなかがすいて家に忍び込んだのだ。2人は友だちになる。
エリックは能力に気づかれ、ナチスに捕らわれる。そこでエリックは母親を殺され、怒りのあまり能力を暴走させた。ナチスのシュミット博士はそれを喜び、実験を開始する。
1962年。エリックは成長し、シュミット博士への復讐を誓う。一方アメリカのオックスフォード大では、チャールズが遺伝子の突然変異を研究しながら気楽な大学生活を送っていた。チャールズとレイブンは一緒に暮らしていた。ただし、親友として。チャールズはレイブンを恋愛対象としては見ていなかった。
CIAのエージェントモイラは、クラブのパーティーに潜入していた。モイラは秘密の部屋で密談をするヘンドリー大佐を発見する。相手はセバスチャン・ショウと名を変えたシュミット博士率いるミュータントの集団で、ヘンドリー大佐はソ連に対するミサイル配備をするよう脅されていた。モイラは「突然変異」を研究しているチャールズの元を訪ねる。
映画『X-MEN ファースト・ジェネレーション』のあらすじ【承】
マイアミのクルーザーでは再びショウとヘンドリー大佐が密会していた。大佐はショウに手りゅう弾を向けるが、ショウはそのエネルギーを吸収して倍返しにし、大佐を殺してしまう。
CIAに呼ばれたチャールズは自分の能力を告白する。その場には、のちにミュータントをせん滅しようとするウィリアム・ストライカーの父もいた。CIA長官はチャールズ達を追い出してしまうが、モイラはチャールズに協力することにする。
エリックがショウのクルーザーに忍び込むが、海に突き落とされてしまう。その時チャールズ達が軍を連れ攻撃を仕掛けた。しかし、ショウの部下達の、サイキック能力や竜巻を起こす力に阻まれ、うまくいかない。チャールズは、エリックの存在にも気付く。命を投げ出してクルーザーを止めようとするエリックを、チャールズは助け出す。エリックは助かったが、ショウは逃げてしまった。
CIAの研究所に案内されたチャールズ達は、研究員のハンクと出会う。彼もまた、正体を隠してきたミュータントだった。ハンクはレイブンに一目ぼれする。レイブンはハンクの発明した能力を無効化させる薬に興味を持つ。自分の姿を嫌っていたからだ。ひとりショウを追おうとするエリックに、チャールズは「我々も仲間が必要だ」と説得する。研究所では「セレブロ」(チャールズの能力を使って世界中のミュータントを見つけ出せる機械)が発明されていた。チャールズとエリックはセレブロを使ってミュータントたちをスカウトし始める。
友となったチャールズとエリックは今後について語り合う。政府の対応に楽観的なチャールズに対し、悲しい過去をもつエリックは悲観的だった。他のミュータントたちは、互いの能力を見せあいながらばか騒ぎをしていた。ことの重大性を忘れはしゃぐレイブンに、チャールズは失望する。
映画『X-MEN ファースト・ジェネレーション』のあらすじ【転】
モイラ、チャールズ、エリックはショウを捕まえるため、ソ連将校の屋敷近くに潜入する。しかし屋敷に来たのはエマだけだった。業を煮やしたエリックは屋敷を急襲、潜入する。エマを捕え、心を読んだチャールズは、ショウがアメリカとソ連との核戦争をもくろんでいることを知る。
そのころショウは、ミュータントたちを狙ってCIAの研究所を襲っていた。ショウはチャールズ対策にと、心を読まれないヘルメットをかぶっている。ショウは彼らをスカウトしに来たのだ。自分達を恐れる人間達に味方するか、ショウとともに世界を支配するか。ショウ側に着いたエンジェルを止めようとして、アーマンドが犠牲になってしまう。
研究所の惨状を目にしたチャールズ達は、生き残ったレイブン達を訓練することを決意し、自分の生家に皆を連れていく。ここがのちの「恵まれし子らの学園」となる。チャールズは皆が能力をコントロールできるよう、訓練する。普通の姿でいることに気を取られているレイブンに、エリックは本来の姿でいるよう諭す。それを聞いてレイブンの気持ちは変わってきていた。また、怒りだけでパワーをコントロールしてきたエリックに、チャールズは楽しい思い出もあったことを思い出させる。エリックは巨大なアンテナを動かすことに成功した。
一方ショウに脅され、ソ連はキューバに核ミサイルを配備、実質的な宣戦布告となる。第3次大戦が目前に迫っていた。
ハンクが見た目をふつうの人間に戻す薬を完成させた。「本来の姿を誇りに思いたい」と思うようになったレイブンに対し、ハンクは自分の醜い足を気にするあまり「青いままの外見は美しくない」と言って傷付けてしまう。ハンクはひとりで薬を注射する。しかし彼の体に異変が起こる。変異細胞が増幅し、青い獣のような姿になってしまったのだ。
エリックが部屋に戻ると、レイブンが待っていた。本来の姿を「完ぺきだ」とほめてくれるエリックに、レイブンは心惹かれていた。レイブンは人間の姿に変身するのをやめ、世界と戦おうとしないチャールズに反発するようになっていく。
映画『X-MEN ファースト・ジェネレーション』の結末・ラスト(ネタバレ)
核ミサイルを積んだソ連の船を、今まさに米軍が撃墜しようとしていた。船はショウの手下に乗っ取られていた。チャールズ達はハンクの発明した戦闘機で現場に向かう。チャールズはソ連将校を操り、船を撃墜させ事なきを得る。ショウと手下達は潜水艦で、近くの海深くに潜んでいた。
ショウはプランBとして、潜水艦の燃料棒からパワーを吸収し始めていた。エリックが磁力で潜水艦を持ち上げ投げ飛ばすが、チャールズ達の戦闘機も島に不時着してしまう。ハンク達が手下と戦う間に、エリックは潜水艦のリアクターを止めに行く。チャールズは戦闘機から指示を出していた。エリックはショウと鉢合わせするが、ヘルメットのせいでチャールズの力が届かない。エリックは絶体絶命の状態から、ショウのヘルメットを奪い取った。その瞬間、チャールズがショウの動きを止める。エリックはチャールズのテレパシーをヘルメットで遮断し、ショウを殺してしまう。
米ソ両方から、ミュータント達に向け攻撃命令が出された。ヘルメットをかぶったままのエリックが現れ、人類は敵だと説く。ついに彼らに向かって無数のミサイルが飛んできた。しかしエリックは、それらすべてを艦隊の方へ向けようとする。チャールズはエリックの善良な部分に呼び掛けるが、エリックは聞こうとしない。2人がこぶしの争いをする中、モイラが謝ってチャールズを撃ってしまう。エリックは友チャールズが撃たれたのを見てミサイルの誘導を辞める。艦隊の人々の命は救われた。
「ミュータントの世界を作ろう」と説くエリックと、人間との共存を望むチャールズは袂を分かつこととなった。レイブンと元ショウの部下達がエリックに従う。駆け寄った仲間に、チャールズは「脚の感覚がない」と訴える。弾は腰に当たり、彼は車いすでの一生を送ることとなったのだ。モイラの身を案じたチャールズは、モイラにキスをし、自分達についての記憶を消した。エリックは「マグニートー」と名を変え、CIAに捕らわれていたエマを仲間に加え、活動を開始する。
映画『X-MEN ファースト・ジェネレーション』の感想・評価・レビュー
人気アメリカンコミック原作映画の第4弾。今までのシリーズから過去に遡り、最初のX-MENたちの姿を描く。
過去作のように世の中にミュータントの存在が認知されていないことを逆手に取り、当時の時代背景を濃く反映し歴史の裏側の出来事として表現されている点に注目。後のストーリーにつながる伏線が多く描かれているのと、過去作に繋がるキャラクターの関係性の変化が見どころ。(男性 20代)
シリーズ4作目の今作は、シリーズの時系列で言うと1番昔のお話です。『X-MEN』の誕生を描いた今作は前の3作で明らかにならなかった謎も解明され、ファンにはたまらない内容になっていました。
エリックの闇の秘密や、ミスティークの居場所が変わってしまった原因など「なるほど」と思う点が沢山ありました。ミスティークを演じるジェニファー・ローレンスがとてもよかったです。『ハンガー・ゲーム』のカットニスとはまた違う魅力がありました。(女性 30代)
『X-MEN』シリーズの中で最も刺激的で興奮もたらす作品を選ぶとしたら、間違いなく今作を選択する。
マグニートが、なぜプロフェッサーXと決別して人間達に反旗を翻すようになったのか。その理由が語られるだけでも胸が熱くなるが、彼の友情と自分の信じる正義とふたつの選択の中で揺れ動く感情。その人間ドラマがとても熱く、切ない。それと、これまで車椅子に座っていたプロフェッサーXが不随になる前のお話なので、元気に格好良くアクションしているのもなんだか嬉しい。(男性 30代)
関連作品
次作 X-MEN フューチャー&パスト
前作 X-MEN ファイナル ディシジョン
みんなの感想・レビュー
ヘルファイヤークラブは、全身をダイヤモンドに変えるテレキネシス美女・エマ(ジャニュアリー・ジョーンズ)を使い冷戦に持ち込み、米ソ連間で核戦争を勃発させようとしていた。
チャールズとエリックは、ヘルファイヤークラブが、その手始めとしてキューバに核兵器を送り込もうとしているのを察する。
ショウに1人で立ち向かおうとするエリックに対し、人間の中にはまだ自分たちに理解を示すものも居ると諭すチャールズ。だが、エリックは人間不信の念が拭い去れない。
エリックことマグニート、チャールズことプロフェッサーXも、イデオロギーこそ全く違うもののお互いを尊敬していて、人間的に好きな相手だった。
しかし重要な局面に瀕し、彼らは重要な結論を強いられてしまう。
スカウトされた若手ミュータントたちも、最初は合コン気分。特殊能力を持つが故に阻害されていたものたちが始めて同士が居る事に喜びを感じ、はしゃぐ。
ミュータント同士が、ニックネームで呼びあう様になった所以は、この頃に描かれる。
彼らの特性を生かしてニックネームにすればいいのではと、はしゃぐ少女時代のミスティークの素顔が画面にアップになる。後の彼女の顛末を知るものとしては哀れでもある。
それだけに、彼らは自分たちの能力を認めてくれるもので、身の安全を明日保障してくれるものであれば、誰でもいいという浅はかな考えに流れてしまう。
だからこそ彼らはヘルファイヤークラブに、ダーウィンが殺される姿を目の当たりした時、手のひらを返すかの様に敵側に移ってしまうのだ。
チャールズが車椅子になった理由は、モイラが向けた銃弾がチャーズルの腰椎に命中したからだった。
彼だけが、人間とミュータントの唯一の架け橋でもあった。特にエリックにとっては。
チャールズは、それでも人類を憎むなとエリックに言う。だがエリックにはそれが出来ない。
その結果エリックは、チャールズを傷つけた人類を憎む事で、自分が最も忌み嫌うタイプのもの『マグニート』として生まれ変わってしまう。
『X-men』シリーズはヒュー・ジャックマンはハル・ベリーなど次世代スターを生み出した事でも知られている。今回の作品も同様に、チャールズとエリックを演じるのはジャックマンらの後輩格に当たる、ジェームス・マカヴォイとマイケル・ファスペンダーである。
彼らは、この映画出演前から頭角を現し始めていて、この映画出演後には、作品を選びつつ、才能を広げているのが判る。
またミスティークを演じたジェニファー・ローレンスは、この映画出演後『ハンガーゲーム』の主演女優として一躍脚光を浴びた。
この様な才能ある若手を纏めるのが『キングスマン』で、キレキレのスパイ映画を世に送り出したマシュー・ヴォーン。
そこに今まで『X-men』シリーズの監督、製作を手がけてきた、ブライアン・シンガーの手が加わるのだから、観ないというわけにはいかないだろう。