実在した伝説の殺人鬼、フリッツ・ホンカ。4名もの女性の命を残虐に奪い、1970年代のドイツを恐怖の渦に叩き落とした伝説の人物が、とうとう実写映画化。彼が起こした恐るべき事件から目を背けるな。
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』の作品情報
- タイトル
- 屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ
- 原題
- Der Goldene Handschuh
- 製作年
- 2019年
- 日本公開日
- 2020年2月14日(金)
- 上映時間
- 110分
- ジャンル
- サスペンス
- 監督
- ファティ・アキン
- 脚本
- ファティ・アキン
- 製作
- ヌアハン・シェケルチ=ポルスト
ファティ・アキン
ヘルマン・バイゲル - 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- ヨナス・ダスラー
マルガレーテ・ティーゼル
カーチャ・シュトゥット
マルク・ホーゼマン
ハーク・ボーム
トリスタン・ゲーベル
グレタ・ソフィー・シュミット - 製作国
- ドイツ・フランス合作
- 配給
- ビターズ・エンド
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』の作品概要
『クリーピー 偽りの隣人』や『テッド・バンディ』など、実在した殺人鬼を主人公に描いた作品は数多く存在する。そして、2020年に新たな殺人鬼に焦点を当てた映画が誕生した。本作の主人公、フリッツ・ホンカは1970年代に人々を恐怖のどん底に陥れた連続殺人鬼。現在でも営業しているバー、『ゴールデン・グローブ』で娼婦を誘い、自宅の屋根裏部屋で殺害していた彼。なぜ彼は殺人鬼になったのか、恐ろしい彼の手口と反省に、生々しく迫った一本。俳優陣の演技力や、高度な特殊メイク技術にも注目。
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』の予告動画
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』の登場人物(キャスト)
- フリッツ・ホンカ(ヨナス・ダスラー)
- 1970年代に活躍した、実在した連続殺人鬼。4名の女性の命を自宅である屋根裏部屋で奪った。
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』のあらすじ(ネタバレなし)
1970年代のドイツ。その頃のドイツは、まさに最悪の状況下にあった。第二次世界大戦で敗北を喫し、国全体が暗く沈んでいた。人々は、寂しさを埋めるように夜になると『ゴールデン・グローブ』というバーに集って酒を飲み交わす。そして、そのバーにフリッツ・ホンカという男性も通っていた。ハンブルクという場所にある、安く狭いアパートの屋根裏部屋に住んでいたフリッツ。鼻が曲がっており歯もボロボロ、とお世辞にも外見が良いとは言えないフリッツに、恋心を抱く女性はいなかった。しかし、彼にはとある秘密の趣味があった、娼婦を自宅である屋根裏部屋に連れ込んでは、夜な夜なとある行為を繰り返すフリッツ。誰もフリッツに興味を抱かない故に、誰からも気付かれることのなかったその恐るべき行為とは。
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』の感想・評価
実在する店、ゴールデン・グローブ
『ゴールデン・グローブ』、アメリカにおいて名誉ある賞レースと同じ名前を持つその店は、ドイツのハンブルクにあった。その場所で、本作の主人公、フリッツ・ホンカは娼婦を誘っては、次々と殺人を繰り返してきたのである。日本であれば、そういった曰く付きの店は直ぐに閉業となることが普通。しかし、なんとこの店は今でも営業している。さらには、店頭には堂々と『フリッツ・ホンカ』という看板が飾られている。自ら殺人鬼が通っていたことをアピールするなど、益々日本ではありえない出来事。本作を見た後にドイツを訪れ、是非フリッツ・ホンカが実際に通っていた店の雰囲気を味わってみるのも、本来なかなかできない体験になるのではないだろうか。
圧倒的な再現
公式サイトが、とある写真を公開した。それは、本物のフリッツ・ホンカの写真と、今回彼を演じることになったヨナス・ダスラーが扮するフリッツの写真を並べたもの。そして、その写真が今大きな話題となっている。フリッツ・ホンカは、外見に恵まれなかったためどんな女性からも相手にされてこなかった。斜視や、事故に遭ったがために曲がってしまった鼻、無精髭から後退した生え際など、その全てが完全に再現されているのだ。その再現率の高さは、生々しいと言ってもいいほど。まさに、現代に蘇ったフリッツ・ホンカと言っても過言ではない。実際に、こんな人物が殺人を犯していたのだ、とリアリティを持って見ることができる作品に仕上がっている。
俳優、ヨナス・ダスラーの演技力
本作の主人公、フリッツ・ホンカがゴールデン・グローブで殺人を犯していたのは、40代の頃。そのため、本作で焦点が置かれるのも、彼が40代の頃だろう。しかし、本作でフリッツを演じるのは、まだ23歳の若手俳優、ヨナス・ダスラー。容姿に恵まれず誰にも相手にされなかったフリッツに対して、ヨナスは紛うことなき美形。そんな彼がフリッツを演じるにあたり、なんと毎日3時間を要する特殊メイクを受けたという。さらには、猫背から喋り方など、フリッツを見事なまでに再現してみせたヨナス。その高い演技力から、『注目すべきヨーロッパの若手映画人10人』にも選出されている。本来の自分とは全くの別物に見事成り切ってみせた、ヨナスの存在感に注目が集まる。
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』の公開前に見ておきたい映画
テッド・バンディ
最新作が実在した殺人鬼、フリッツ・ホンカを主役に描いた物語であることに対し、こちらも実際の殺人鬼、テッド・バンディを主人公に描かれている。これまでその甘いマスクから2枚目役を演じることが多かったザック・エフロンを主役に起用したことでも大きな話題となった。テッド・バンディは、法廷で『極めて邪悪、衝撃的に凶悪で卑劣』と裁判官に言わしめたほどの残虐な人物。なんと、アメリカ国内30州に渡り、30人をも殺害したとされ、実際にはそれを上回る数を手にかけたとされている、狂気の人物。なぜ彼はそれほどに犯行を重ねたのか、彼は殺人鬼でありながらも何故多くの女性に心酔されたのか、など、彼の人生に迫った作品。
詳細 テッド・バンディ
愛より強く
本作の監督を務めたファティ・アキンは、まさしく天才。カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭という、世界三大映画祭と呼ばれる3つの賞レースを、36歳という若さで全て獲得したのである。本作は、そんなファティ監督が2004年に手がけた作品。主人公であるジャイトは、最愛の妻を失った悲しみから、酒とドラッグに溺れてしまう。そして、この世の全てを恨んだ彼は、自殺という道を選んでしまう。しかし、自殺に失敗した彼は、精神病院に収容されることに。そこで、彼はシベルという女性と出会う。自らの目的のために、ジャイトに結婚を持ちかけるシベル。断ったものの、彼女の押しに負けたジャイトは、第二の人生をシベルと歩むことになるのだったが…?
詳細 愛より強く
僕たちは希望という名の列車に乗った
本作の主演を務めたヨナス・ダスラーは、まだ23歳という新進気鋭の俳優。そんな彼は、元々舞台俳優ということもあり、映画に出演したことがあるのは最新作と本作の2作品だけ。日本では2019年の5月に公開されたばかりという本作は、東西冷戦下の東ドイツで実際に起きた話が基になっている。テオとクルトの二人は、それまでエリート高校に通う、普通の高校生だった。しかし、たまたま出向いた映画館で、ハンガリーで起こった民衆蜂起の映像を目にしてしまう。そのニュースに大きな衝撃を受けた二人は、仲間達と黙とうを行った。しかし、その行為がドイツへの反逆行為と見なされてしまったのだ。政府は、今回の出来事の首謀者を明かすように仲間達に迫る。そこで、仲間達がとった行動とは。
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』の評判・口コミ・レビュー
『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
蔑まれ孤独なホンカがお前ならと酒を奢り更に持たざる女性の上位に立つ。一度結んだ主従関係は彼の様々な欲求の捌け口となり殺しすら精神安定剤。けど如何せん彼も器用でなく更にアル中が制御不能に。そんな不様な腐臭に吐き気催すもどこまでも人間やから嫌になるw pic.twitter.com/BsiLp50aRp— コーディー (@_co_dy) 2020年2月15日
『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』映画館にて33本目。
実際の事件を知る意味ではいい。ただ映画として評価しづらい。他の殺人鬼と異なり彼には全く美学を感じなかった。酒浸りの癇癪もち、計画性も何もない。狂った殺人鬼の日常を淡々と見せられただけ。ヨナス・ダスラーの怪演は◎。 #EDDIE映画2020 pic.twitter.com/uFqtsrVYUM— EDDIE@Kings21-33👑 (@eddie2yuji) 2020年2月15日
『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』鑑賞
一人の殺人犯を鮮烈に描いた傑作。
健全さを捨てた俳優陣の演技と、悪臭が漂ってきそうな画作りが見事👏
ホンカの行動は常軌を逸し過ぎず
誰もが持つ欲望のほんの少し先に成されるが故に、思わず強く惹き込まれる。
弱者が弱者を貪る現実的な地獄を観た🙇♂️ pic.twitter.com/8wguVOLYMU— 毛玉þ@映画垢 (@Hero_fights) 2020年2月14日
屋根裏の殺人鬼/フリッツ・ホンカ
映像に二日酔いする、強姦殺人死体解体ゲロウジ。ここまで地獄を煮込んだ闇鍋が、実話だってんだから笑うに笑えないでも超楽しい
戦争の傷痕は兵士以外にも勿論ある、劣悪環境で弱者がより弱者を食う最悪食物連鎖
23でありながら40代を見事に演じてたヨナスやばす pic.twitter.com/90iW4Ia1Do
— nok (@meow2888) 2020年2月15日
【屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ】
1970年代にドイツを震撼させた実際の連続殺人事件を撮った映画。リアル(に見えた)ゆえに淡々としていてそれが汚さや侘しさ、悲しさを際立たせていて何度も「見たくねぇな」と思った。観終わった後に重たい澱がいつまでも腹の底に残る感じ。#タヲ映画備忘録 pic.twitter.com/Lw2KSKPn8w— tawo (@tawotawo_R) 2020年2月15日
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』のまとめ
この世には、多くのサイコパス診断や殺人鬼をテーマにした作品が存在する。なぜ人々は、殺人鬼の反省に興味を抱くのだろうか。本来、人間には理性という、自分達を抑制するリミッターが存在する。そして、そのリミッターは通常、超えられることができないものなのだ。しかし、こういった殺人鬼達は、そんなリミッターを気にも留めていない、若しくは最初から持ち合わせていないのだ。自分では到底できるはずもないことをやってのける殺人鬼達。そんな彼らに、人々は忌み嫌いつつも、思わずその半生や思考に興味を持ってしまうのではないだろうか。今作の主人公、フリッツ・ホンカの思考を、果たして私達は理解できるのだろうか。
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