女子高校生時代とは、長い人生の中のほんの一瞬で、とても短く儚いが、決して忘れることのできない友人、出来事、恋、その他多くを経験する大切な時間。2011年に韓国で爆発的ヒットを叩き出し、日本でも話題になった「サニー 永遠の仲間たち」が、篠原涼子、広瀬すずの主演によって、完全リメイクで登場。
映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の作品情報
- タイトル
- SUNNY 強い気持ち・強い愛
- 原題
- なし
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2018年8月31日(金)
- 上映時間
- 119分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
青春 - 監督
- 大根仁
- 脚本
- 大根仁
- 製作
- 市川南
- 製作総指揮
- 山内章弘
- キャスト
- 篠原涼子
広瀬すず
小池栄子
ともさかりえ
渡辺直美
池田エライザ
山本舞香
野田美桜 - 製作国
- 日本
- 配給
- 東宝
映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の作品概要
あの頃は、毎日が楽しくて輝いていた・・・。90年代、女子高生グループ「サニー」を作り上げた6人は、かけがえのない青春時代を送る。それから20年後、彼女たちはそれぞれの道で数々の困難と問題を抱えた女性に変貌する。末期がんに倒れる友人の「死ぬ前にもう一度だけ皆に会いたい」と言う願いを叶えるため、専業主婦・奈美を中心に、あの頃のメンバーが再会を果たす。現在の奈美を篠原涼子が演じ、女子高生時代の奈美を広瀬すずが演じる他、監督は「モテキ」などで知られる大根仁、音楽は90年代を代表するヒットメーカー小室哲哉が担当する。
映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の予告動画
映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の登場人物(キャスト)
- 阿部奈美(大人:篠原涼子 / 高校時代:広瀬すず)
- ごくごく普通の、ごくごく平凡な専業主婦。あるきっかけで再会した高校生時代の親友・芹香のために、転校した高校先でできたグループ「サニー」を再集結させるべく奮闘する。
- 伊藤芹香(大人:板谷由夏 / 高校時代:山本舞香)
- 高校時代の仲良しグループ「サニー」のリーダー。現在は末期がんを患い闘病中。奈美に高校時代のメンバーに死ぬ前に会いたいと懇願する。
- 裕子(大人:小池栄子 / 高校時代:野田美桜)
- ナイスバディなセレブ妻、20年前の仲間に会うことに否定的。
- 心(大人:ともさかりえ / 高校時代:田辺桃子)
- 借金を抱え、風俗嬢をしながらの生活に苦しんでいる。
- 梅(大人:渡辺直美 / 高校時代:富田望生)
- 不動産屋で営業マンとして働いている。高校時代からのぽっちゃりはなお健在。
- 奈々(池田エライザ)
- 高校生としてはかなり大人っぽいクールビューティー。奈美の憧れの女の子。
- 中川(リリー・フランキー)
- 奈美が「サニー」メンバーを探すために雇った探偵。
- 藤井渉(三浦春馬)
- 奈美の転校先の高校で出会った初恋の相手。
映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』のあらすじ(ネタバレなし)
高校生を卒業して、大人になり、結婚をして子供に恵まれ、自分も仕事をしながら毎日を過ごす。そんな当たり前の生活に、阿部奈美はどこか物足りなさを感じている。
ある日、奈美の元に20年前の高校時代に仲良しだった芹香がやって来る。懐かしさに花が咲くが、奈美は芹香ががんに侵されて余命1ヶ月だと知る。芹香は奈美に「サニーのメンバーに会いたい」と呟いた。残されたわずかな時間、奈美は芹香のために20年前の仲間たちを探し始める。
探偵を雇い、あの頃の仲間の「現在」を紐解いていく。そこに見えたのは、数々の問題を抱えながらも懸命に生きている仲間たちの姿。懐かしむ間もなく、奈美は仲間たちを説得する。もろ手を上げて喜ぶ者、拒む者、それぞれだったが、それでも20年前の「あの頃」が再び始まろうとしていた。
映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の感想・評価
超豪華女優陣
今回の作品は、大人になった5人の女性と、高校生だった6人の女の子が登場する。その主演に選ばれたのが大人役・篠原涼子、高校生役・広瀬すず。そしてその脇を名女優たちが固めていく。
現実では篠原涼子、小池栄子、ともさかりえ、板谷由夏、渡辺直美が揃い、お互い「親友!」などと言っている場面はとても想像ができない。あまりにも個性が強すぎて、仲良くできるとも思えないからだ。それが、同じスクリーンの中で揃ってしまうのだから映画の面白いところである。
また、広瀬すずが演じる女子高生時代の女の子たちも、一癖も二癖もありそうなコギャルたちだ。90年代、確かにこんな女子高生たちいたなとしみじみしてしまう程に違和感がない。彼女たちは全力で90年代の女子高生になり切っている。これは、ぜひ現在30代~40代の大人女性に見て欲しい映画で間違いない。強烈な女優たちが、ふと大切だった何かを思い出させてくれるかもしれない。
強い気持ち・強い愛、続く90年代の名曲の数々
日本版の副題にもなっている「強い気持ち・強い愛」は、1995年小沢健二が発売したシングルで、劇中でもこの楽曲が使われている。更に「そばかす」や「やさしい気持ち」「LA・LA・LA LOVE SONG」など名曲が次々と登場する。
映画の音楽担当が小室哲哉というところも、この映画を楽しむポイントである。90年代の日本音楽業界を牽引してきた小室哲哉だからこそ、この映画の音楽担当に相応しい。SUNNYの公式Twitterでは、小室氏が今作のために24曲をオリジナル制作したとも宣伝されている。
劇中では、監督・大根仁らしい歌とダンスのシーンが盛り込まれているが、それを小室哲哉の手掛ける曲たちが華々しく飾っていく。予告映像を見ているだけで思わず笑顔になってしまうような、そんなハートフルな映画の公開が、とても待ち遠しい。
90年代の流行りもの
90年代の女子高生と言えば何を思い出すだろう。広瀬すずら女優たちがポーズを取っている女子高生を見ても、当時の面影がいくつもちりばめられている。そう、まず何といっても彼女らの足元を覆う「ルーズソックス」。あの頃の女子高生の99%がルーズソックスだったのではと思われる程、大流行した靴下のスタイル。
更に、パンツが見えてしまいそうな程短い「ミニスカ」、少し肌を浅黒く焼き、目の周りを黒く覆うアイラインとキラキラのアイシャドウが特徴の「ヤマンバメイク」。映画ではかなり抑え気味ではあるものの、90年代女子高生だったアラフォー女子からしたら、懐かしいばかりである。
現代の清楚系女子高校生とは全く違い、何もかも強気で、本当に向かうところ敵なしの状態だった当時の女子高校生たち。女子高校生役の広瀬すずも、予告映像で見る限りでは最初の印象は「根暗」「地味」「ダサい」等だが、クラスメイトたちのおかげで段々とあか抜けていく。高校生になり、少し大人に近づいたことで一気に弾ける子たちもいたなと懐かしんでしまうシーンが盛り込まれている今作で、現代と過去を懸命に生きる彼女たちをスクリーン前から応援したい。
映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の公開前に見ておきたい映画
サニー 永遠の仲間たち
今作のSUNNYは韓国の映画をリメイクした日本版であるからには、ぜひこちらの元々の映画を観て欲しい。2011年に韓国で上映され、観客動員数740万人を記録した大ヒット映画だ。監督のカン・ヒョンチョルは、前作『過速スキャンダル』でも800万人を動員したことで有名だ。今作の監督・大根仁もこの映画のファンだったことから、今作の構想が浮かび、映像化までこぎつけたとのこと。
韓国版のDVDでもレビュー評価は高く、星5の評価も多い。韓国版では、70年代80年代のヒットナンバーが劇中で流れ、耳にしたことのある曲も多いのではないだろうか。80年代当時の韓国は、ソウルオリンピック開催や国内の高度成長時期でもあり、更に学生運動やデモの多い時代でもある。そうした激動の中を懸命に生きる女子高校生たちの、青春と友情がテーマの物語は見ていてとても胸を打たれ、そこにはきっと国の違いなどありはしないのだろう。
詳細 サニー 永遠の仲間たち
モテキ
SUNNYの監督を務める大根仁の初監督作品でもある、2011年公開の『モテキ』。久保ミツロウの漫画が原作となっており、テレビドラマも制作されたほどの人気作品だ。映画を制作するにあたっては、作者久保ミツロウがドラマ版の1年後のストーリーを完全オリジナルで書き下ろしている。大根仁はモテキで監督の他、演出と脚本を担当している。
ストーリーは、冴えない30歳間近の草食系男子・藤本幸世に訪れる人生最初で最後の「モテ期」。ある日突然女の子たちから次々と連絡が入り、あたふたしながらも数々のデートイベントをこなしてく藤本。彼を取り巻く女性たちと、親友との人間味溢れるストーリー。
原作の「モテキ」は4巻で連載が終了し、人気絶頂での幕引きともなったため、ドラマや映画で更に人気に拍車がかかった作品とも言える。映画では、監督を大根仁が担当するだけあって音楽とダンスにかなり力が入っている。ミュージカル映画のようなストーリー展開と、日本人好みのラブストーリーが、ほのぼのとした映画好きにはたまらない。
詳細 モテキ
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?
2017年に公開された夏のアニメ映画。2016年に『君の名は。』が公開されたことで、同じような夏映画として比較されるが、映画好きの評価は高い。元々は1991年にフジテレビのTV企画で1時間ものドラマとして制作されたことがきっかけ。その約20年後に、アニメ映画化の企画が持ち上がり、アニメ業界でも異色の個性を持つ制作会社シャフトが担当する。
更に、「化物語」や「傷物語」など西尾維新の小説の映像化を担当した新房昭之が監督を務めることで、映画公開前から期待度はかなり上がっていた。SUNNYで女子高校生役を演じる広瀬すずは、この作品のヒロイン及川なずなの声優も担当している。
主人公・島田典道は、夏祭りの当日同級生のなずなに一緒に花火を見ないかと誘われる。だが、なずなが母親に連れて行かれてしまったことで2人の駆け落ちは失敗し、典道はなずなともう一度同じ日をやり直すために、1日を繰り返す決意をする。タイムループする世界で、2人の恋の結末の物語が静かに始まって行く。
映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の評判・口コミ・レビュー
映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』感想。名作韓国映画のリメイクという無謀な企画を、2つの世代の女優たちが力業で成し遂げた日本映画。「大根仁監督がガールズムービーを撮った」というより、出演女優たちがこの映画に「日本の女子の現代史」を吹き込んでガールズムービーにしてしまったのだと思う。
— cdb (@C4Dbeginner) 2018年9月2日
「SUNNY 強い気持ち・強い愛」、現在45歳前後でおそらく未婚であろう篠原涼子演じる主人公の兄が最近再びモーニング娘。にハマり始めたことを批難され、口の悪い母親が「もう死んでほしいわー」といった陰口のセリフを発した瞬間、限界中年の小生は涙が出てしまい、そこから先の記憶がない。
— 山上街 (@thank_soul) 2018年9月1日
『SUNNY 強い気持ち・強い愛』鑑賞。青春時代を共に過ごした女子高生グループの再会を描いた大根仁監督作品。オリジナル版の韓国映画が傑作の時点で一定の面白さは保証済み。広瀬すずや池田エライザといった旬の若手女優が顔を並べる場面は圧巻。日本のコギャル文化を取り入れた脚色の上手さに痺れた。 pic.twitter.com/cVGAxCG7lC
— だよしぃ (@purity_hair) 2018年9月2日
225「SUNNY 強い気持ち・強い愛」鑑賞。
オザケンが頭から離れない(笑)
夫婦で鑑賞👫
SUNNYのメンバーと同世代の我々夫婦には懐かしくてたまらなかった❗️
ちなみに妻はギャルでは無かったとの事😅韓国映画のリメイクだけど、こちらの方が個人的には断然おすすめです👍 pic.twitter.com/jlXymARzjx
— Nissy (@nissy_uk) 2018年9月2日
「SUNNY 強い気持ち・強い愛」鑑賞。もうね、高校生編の6人が全員魅力的過ぎ。あの「プライド持ってコギャルやってます」感がホントに素晴らしい。あの6人のスピンオフ作ってくれませんかね大根監督。
あと、やっぱオザケン最高。
— G-2 (@gen1law) 2018年9月2日
映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』のまとめ
過去の自分たちと現在の自分たちが物語の中で交錯する作品と言えば、懐かしいものだと『おもひでぽろぽろ』などだが、今作はそのノスタルジックなテーマを、青春と歌とダンスでミュージカル調にし、見ている者を感傷に浸らせるだけの単調な映画とは一味違う魅力を作り出している。あの頃、本当に何であんなに楽しかったんだろうと振り返りたくなるような、見ていると懐かしさに溢れる映画であることは言わずもがなだが、それだけではないあの頃の自分にもう一度戻してくれる不思議な映画であることもまた、間違いない事実である。
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