31歳のポーラは、10年も付き合っていた恋人に突然捨てられる。住む家をなくしたため、恋人が飼っていた猫と共に友人宅を回ることにした。しかし、友人は助けてくれず、実家の母ですら自分のことを受け入れてはくれなかった。
映画『若い女』の作品情報
- タイトル
- 若い女
- 原題
- Jeune femme
- 製作年
- 2017年
- 日本公開日
- 2018年8月25日(土)
- 上映時間
- 97分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- レオノール・セライユ
- 脚本
- レオノール・セライユ
- 製作
- 不明
- 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- レティシア・ドッシュ
グレゴワール・モンサンジョン
スレマン・セイ・ンディアエ
ナタリー・リシャール - 製作国
- フランス
- 配給
- サンリス
映画『若い女』の作品概要
本作品の監督・脚本を務めたレオノール・セライユは、この作品で長編映画監督デビューを果たした。レオノールはこの作品の脚本を、フランス国立映画学校の卒業制作のときに書き上げた。主役を演じたレティシア・ドッシュは今注目の若手女優で、本作品で「2018年リュミエール賞・最有望女優賞」を受賞した実力者である。レティシアは恋・職・宿・お金を失った女性が、やけっぱちになりながらも必死に生きようとする姿を見事に演じきった。
映画『若い女』の予告動画
映画『若い女』の登場人物(キャスト)
- ポーラ(レティシア・ドッシュ)
- 31歳。10年間付き合っていた恋人に捨てられる。無職・宿無し・無一文。嘘吐き・泣き虫・見栄っ張りな性格。
映画『若い女』のあらすじ(ネタバレなし)
31歳のポーラは、10年も付き合っていた恋人に突然捨てられる。泣き叫んでも怒っても、恋人は戻ってこなかった。ポーラは住む家をなくしてしまったため、恋人が飼っていた猫と共に友人宅を回った。しかし、友人は助けてくれず、実家の母ですら自分のことを受け入れてはくれなかった。
ポーラは無職・宿無し・無一文になった。やけっぱちになりながらも、パリの街を彷徨い歩き求人を探した。その中で、子守とショッピングモールの下着売り場の求人を見つけ働くことになる。子守の仕事は住み込みだったため、寝るところも確保できた。ポーラはやっと落ち着いて暮らせると安堵するが、またしても問題が起きようとしていた。ポーラの人生は一体どうなってしまうのだろうか。
映画『若い女』の感想・評価
個性的なヒロイン
普通、物語のヒロインと言われて想像するのは、周りから好かれている女性や、心優しい女性だったりするのではないだろうか。だが、本作品のヒロインであるポーラは、嘘吐き・泣き虫・見栄っ張りと最悪な三拍子が揃っている。しかも、無職・宿無し・無一文という、とてもヒロインに似つかわしくない女性である。
ポーラという女性は、物語のヒロインより現実世界の女性にとても近いと思う。恋人と上手くいかなかったり、仕事が上手くいかなかったりすることは誰でもあるのではないだろうか。それに、ポーラほど激しくなかったとしても、見栄を張ってしまったり嘘を吐いたりすることは誰でもあることだ。物語の最初で強烈な個性を放つのでとても驚かされるが、次第に親近感が沸いてくる。ポーラは他の映画にはない、そんな特別なヒロインだと思う。
レオノール・セライユ
本作品の監督・脚本を務めたのは、若きエースレオノール・セライユである。レオノールはこの作品の脚本を、フランス国立映画学校の卒業制作として書き上げた。それを映像にするために監督して作品に携わり、2017年「カンヌ国際映画祭・新人監督賞」を見事受賞したのである。
レオノールは1986年生まれで、ポーラと同じ31歳である。31歳という若さにも驚かされるが、彼女が学校を卒業したのは2013年なので、脚本を作り上げたのはもっと若い頃なのである。その年でこの作品を作り上げたのが純粋に羨ましくもあり、驚きでもある。しかも、本作品が初めて制作した長編映画なのである。レオノールの才能はとても素晴らしく、これから注目すべき監督と言える。
パリ
フランスのパリが物語の舞台となっている。パリと言えばフランスの首都で、アートやファッションの世界的な中心地と言えるほどおしゃれな場所である。可愛いカフェや高級ブティックなどが立ち並び、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』が展示されていることでも有名なルーヴル美術館が存在する。
しかし、本作品で登場するパリは、そんなおしゃれな場所ではない。地下鉄やショッピングモールなど、ごく普通の生活圏内で使う場所が登場する。31歳であるポーラの「等身大のパリでの暮らし」を見ることができるのだ。他の映画では見られない場所のため、パリに行ったことがないという人には特に真新しく映ると思う。この映画を見ながら、何気ないパリでの日常を楽しんで欲しい。
映画『若い女』の公開前に見ておきたい映画
マダム・イン・ニューヨーク
女性が主人公のヒューマンドラマ映画。ガウリ・シンデーが監督・脚本を務めており、この作品で長編映画監督デビューを果たした。インド映画(ボリウッド映画)の特徴は、登場人物達が歌って踊って感情や言葉を表現することである。しかし、今作品はそんなボリウッド映画とは一線を画している。日本人にとって、これほど受け入れやすいボリウッド映画は他にないと思う。家族の世話に追われて自分自身を見失っていく母親の心情が、きちんと言葉や表情で表現されている。
シャシは夫の命令でインドからニューヨークに行き、結婚する親戚の手伝いをすることになった。シャシは料理が得意な良妻賢母だった。しかし、英語を上手く話すことができず、会話がままならなかった。すると、他人や子供から、今どき英語が話せないなんてと馬鹿にされてしまう。シャシの胸にその言葉が深く刺さった。しかも、夫はシャシの気持ちなど理解してくれず、菓子作りしかできないと馬鹿にした。そこで、シャシは家族に内緒で英語を勉強することにした。
エリン・ブロコビッチ
女性が主人公のヒューマンドラマ。主人公のエリン・ブロコビッチは実在の人物である。彼女は高濃度の六価クロム溶液を長期にわたって土地に垂れ流した大企業相手に訴訟を起こし、史上最高額の和解金を勝ち取ったことで一躍有名になった。エリンを演じたのは女優のジュリア・ロバーツで、「英国アカデミー賞・主演女優賞」など、この作品で数々の賞を受賞・ノミネートした。
シングルマザーのエリン・ブロコビッチには、3人の子供がいた。しかし、職を探している状況で、金銭的な余裕は皆無だった。そんな時、追突事故に巻き込まれて怪我をしてしまい、余計な出費が増えてしまう。エリンは生活のために、事故のときに雇った弁護士の元に行き、半ば無理矢理雇い入れてもらうことにした。エリンはそこで書類の整理を行っているときに、大企業が水質汚染を起こしていることを知る。
詳細 エリン・ブロコビッチ
マイ・インターン
コメディ×ヒューマンドラマ映画。ロバート・デ・ニーロ×アン・ハサウェイが主演を演じたことで話題になった。仕事と家庭に奮闘する女性と、そんな彼女を支える年上のインターン生の姿が描かれている。ジュールズと年上のインターン生であるベンの心が近づいているのが、よく表されている。特にジュールズがベンに対して、自分の最高の親友だと伝えている場面が印象的である。
ジュールズは夫と子供に囲まれて幸せに暮らす傍ら、ファッション通販サイトを運営して女社長としてバリバリ仕事をこなしていた。そんな彼女の会社に、シニアインターンのベンがやって来る。ベンが70歳の高齢者だったため、ジュールズは始め不安に襲われた。しかし、ベンは真面目で明るく、すぐにオフィスの人気者となった。ジュールズもベンの存在に救われていく。
詳細 マイ・インターン
映画『若い女』の評判・口コミ・レビュー
『若い女』これすごく良かった。自分をミューズとして扱った年上のカメラマンから突然捨てられるヒロイン。周りの人と違ってなぜ自分には居場所が見つけられないのか…とパリの街を彷徨う主人公に注ぐ温かすぎない眼差しが絶妙。その周りの人達も書割りでなく、それぞれの生活を感じさせる厚みがある。
— 丙ウマ・サーマン (@hinoeumathurman) 2018年8月26日
ー映画『若い女』ー
カンヌ国際映画祭でカメラドールを受賞。何もかもを失った不器用な主人公ポーラの、かっこつけない等身大のパリでの生活を描いた作品。
8/25〜ユーロスペース他でロードショー— TigerLilyTokyo (@TigerLilyTokyo) 2018年8月26日
本日から公開の『若い女』の主人公の女性が出会う人々と交わされる一つ一つの瞬間、言葉がどれもかけがえがなく、それらすべてが彼女の人生を作っていることが丹念に描かれている。そして人と向かい合い、言葉を交わすこと自体でアクションであり、映画の可能性であることを示してくれる。#若い女
— Abi Sakamoto (@ElleaWatson) 2018年8月25日
「若い女」@ユーロスペース
ヴェーラで「そして僕は恋をする」を観た後は、ユーロで最新のフランス恋愛映画。恋人に捨てられ猫と一緒にパリを彷徨う女性の物語と言えばオシャレ仏映画の定番に聞こえますが、冒頭の主人公の毒舌に引きます。だけど次第にナイーブさが見えてきて中々素敵な映画でした。— 三田 ドミニク (@hunger_city) 2018年8月26日
映画「若い女」を観る。
周りに振り回され、そして振り回わすフランス娘のパリでの生活の闘い(?)を描く、ちょっぴりポップでインディーズ・テイストな作品。
こういう作品は好きだな。
面白く観た。 pic.twitter.com/Og2XpPbjoM— Boop&Nipper (@h07kei) 2018年8月26日
映画『若い女』のまとめ
恋人に捨てられたポーラが、玄関の前で喚いている場面は少しびっくりすると思う。だが、悲しみを抱えながらも必死に生きようとしている彼女の姿に、次第に惹かれていくものがある。ある意味ポーラの行動や生き方は、無様と憐れむようなものかもしれない。だが、現実に生きるということは、彼女のように無様になってしまうこともあるのだと思う。すごいと憧れたりするのではなく、「分かる分かる」と共感しながら見られる作品だと思う。
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