映画『君の膵臓をたべたい(アニメ)』の概要:人と関わりを持たずに生きてきた“僕”は、病院で一冊の本を拾う。それは学校でも人気者の山内桜良のものだった。彼女は膵臓の病気を患っており、余命幾ばくも無かった。桜良に気に入られた“僕”は、次第に彼女に振り回されていく。
映画『君の膵臓をたべたい(アニメ)』の作品情報
上映時間:108分
ジャンル:青春、ラブストーリー、アニメ
監督:牛嶋新一郎
キャスト:高杉真宙、Lynn、藤井ゆきよ、内田雄馬 etc
映画『君の膵臓をたべたい(アニメ)』の登場人物(キャスト)
- 僕(高杉真宙)
- 人と関わりを持とうとしない性格。誰かを名前で呼ぶことを避け、また自分も名前で呼ばれることを好まない。彼の頭の中では他人との関係は自己完結しており、それ以上の関係になることを望んでいない。読書が好きで、高校では図書委員。
- 山内桜良(Lynn)
- 膵臓の病気で長くは生きられない。共病文庫という日記をつけている。いつも明るくてクラスの人気者。クラス委員長と以前付き合っていたが、合わずに別れた過去がある。病気のことは家族以外、誰にも話していない。
- 恭子(藤井ゆきよ)
- 桜良の親友。長い付き合いから桜良のメンタルの弱さを知っているため、“僕”に振り回されているのではないかと心配する。
映画『君の膵臓をたべたい(アニメ)』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『君の膵臓をたべたい(アニメ)』のあらすじ【起】
他人と関わろうとせず、一人で読書ばかりしている“僕”は、ある日、病院で一冊の本を拾う。その本には“共病文庫”という手書きのタイトルが付けられており、中には日記が書かれていた。内容から察するに本の書き手は膵臓が悪いらしく、寿命が短いことが読み取れた。しばらくすると、本の持ち主が声をかけてきた。それは“僕”と同じ高校に通う山内桜良だった。
桜良は病気のことは友人にも誰にも伝えていなかったが、“僕”に本を読まれてしまったため、正直に話し出した。だが、“僕”はあまり強い関心を示さなかった。それを面白いと思った桜良は“僕”に興味を覚え始める。“僕”は図書委員だったが、翌週には桜良も図書委員となり、二人はいろんなことを話すようになった。
病気のことを内緒にしてほしいとお願いされた“僕”は、桜良に半ば強引にいろいろな場所に付き合わされることになった。焼肉屋に連れて行かれた際、桜良から、もし自分が死んだら私の膵臓を食べてもいいと冗談っぽく言われる。その後もスイーツ店などに付き合わされるが、二人の関係を見たクラスメイトは付き合っているのかと噂話をし始める。人付き合いを全くしない“僕”に、もっと他人と関わったほうがいいと忠告する桜良。
映画『君の膵臓をたべたい(アニメ)』のあらすじ【承】
“僕”は、なぜ桜良が自分にちょっかいを出してくるのか疑問だったが、桜良は“僕”が病気のことを知っても他の人とは違って、自分に真実と日常をくれると信じていた。桜良には恭子という親友がいたが、彼女はクラスでも目立たない“僕”と人気者の桜良が仲良しになったことを快く思っていなかった。それでも桜良は“僕”に関わるのをやめない。桜良は死ぬまでにやりたいことのリストを作り、それに“僕”を付き合わせるようになった。
連休がやってきた。“僕”は桜良に付き合わされ、突然に博多まで泊まりの旅行に連れて行かれる。ホテルの手違いで同じ部屋に泊まることになった二人は、“真実か挑戦ゲーム”をしてお互いのことを知っていった。だが、偶然に桜良のバッグの中を見てしまった“僕”は、そこに入っていた大量の薬に気がつき、彼女が死ぬという現実を突きつけられて複雑な気持ちになる。
桜良と“僕”が旅行に行ったことを知った恭子は、桜良を心配して“僕”に強い口調で言った。中途半端な気持ちで彼女に関わることはやめてほしいと。少し落ち込んだ“僕”に、桜良は自分の好きな本を貸したいと言いだす。その本は、サン・テグジュペリの『星の王子さま』だった。未読だった“僕”はそれを借りに桜良の家へ。
桜良は“僕”に、私を彼女にする気はないよねと確認したあと、突然に抱きついて恋人でも好きでもない人といけないことをしたいと言いだした。それはリストにあることだったが、半分は彼女の冗談だった。桜良は笑ったが、気分を害した“僕”は思わず桜良を押し倒してしまう。そのことに桜良は驚き、思わず泣き出してしまった。彼女を傷つけてしまったと感じた“僕”は、その場から逃げるように去って行った。
雨の中を歩いていると、桜良の元カレであったクラス委員長と出くわした。彼は“僕”と桜良の関係に嫉妬しており、一方的に“僕”を責めると殴りかかってきた。そこに追ってきた桜良が現れる。彼女は元カレのしたことを軽蔑し、彼を追い払うと“僕”にさっき自分がしてしまったことについて謝罪した。仲直りした二人は今回のことでお互いの距離を縮め、“僕”は本を借りて帰っていった。
映画『君の膵臓をたべたい(アニメ)』のあらすじ【転】
二人は、やりたいことリストを一緒にこなしていき、夏休みに突入した。しかし、桜良の状態が悪くなり彼女は入院することになった。お見舞いに行った“僕”は、桜良からもう一度だけ“真実か挑戦ゲーム”をしたいと言われる。ゲームに勝った“僕”は、君にとって生きるとは何かと尋ねた。彼女は、生きるとは誰かと心を通わせることだと答えた。それを聞いて素直に感心した“僕”に抱きついてくる桜良。悪戯ではなく、誰かの体温を感じたいと言う言葉に“僕”は不安を強めていった。
入院が伸びたことを伝えられた“僕”は心配を募らせる。病院の近くの公園に花火を見に行った際、“僕”は桜良に生きていてほしい気持ちを伝えた。桜良はそれをとても喜び、二人は花火を見ながら抱きしめあった。
退院の日がやってきた。“僕”はカフェで桜良が来るのを待っていた。“僕”は桜良のおかげで以前とは別人のような明るさを手にしていた。桜良と共に過ごすうちに、彼女の素晴らしさを感じ、彼女のようになりたいと思うようになっていたのだ。メールで、私を褒めなさいと言われた“僕”は、桜良のようになりたい、彼女のようになるにはどうすればいいかと考えて一つの言葉に辿り着く。それは“君の膵臓を食べたい”というものだった。“僕”はその言葉を桜良に送信する。
しかし、夕方になっても桜良は待ち合わせ場所に来なかった。帰宅した“僕”はテレビのニュースで桜良が通り魔に刺されて死亡したことを知り、愕然とする。“僕”は桜良の葬儀にも通夜にも行かず、部屋に閉じこもって『星の王子さま』を読みふけった。
亡くなってからしばらく経って、落ち着いた“僕”は桜良の死に向かい合うために彼女の実家へと向かった。桜良の母親に共病文庫のことを話すと、母親は泣きながら喜び、本を持ってきてくれた。母親は“僕”が現れたら本を渡すように桜良から頼まれていたのだった。
映画『君の膵臓をたべたい(アニメ)』の結末・ラスト(ネタバレ)
共病文庫には日々の桜良の思いが綴られていたが、終わりのほうに遺書の下書きが書かれていた。そこには“僕”に宛てたメッセージが書かれており、桜良が“僕”に対してどのような気持ちを抱いていたのかが記されていた。
“僕”は桜良に憧れを持っていたのだが、実は桜良もまた“僕”に同じ気持ちを持っていたのだ。誰かを幸せにできる君のようになりたいと。桜良は“僕”との関係をありきたりの言葉では言い表せないと思っていた。そして、辿り着いた言葉は“君の膵臓を食べたい”という言葉だった。
それを読んだ“僕”は、母親に桜良の携帯を持ってきてもらった。メールをチェックした“僕”は、自分が送ったあのメールが既読になっていることを知った。全く同じように思っていた自分の気持ちは桜良に届いていたのだ。感情を抑えられなくなった“僕”はその場で号泣した。帰り際、母親から名前を聞かれた“僕”は、春樹だと答える。
桜良から共病文庫を譲り受けた“僕”は、恭子に真実を告げることにした。本には恭子に宛てた遺書もあったからだ。現れた恭子は終始冷たい態度だったが、本を読むと号泣した。恭子は桜良が病気だったことを伝えなかった“僕”に怒りを覚え、絶対に許さないと言って去って行った。だが、意を決し後を追った“僕”は今までのことを謝り、勇気を振り絞って言った。いつか僕の友達になってほしい、と。
それから一年後、“僕”は桜良の墓参りに来ていた。彼女の死後、“僕”は桜良のような人間になると決めた。桜良のように人を認め、愛せるようになろうと。手を合わせる“僕”の隣には恭子がいた。二人は友達になることができたのだ。夏の爽やかな風が吹き抜ける中、季節外れの桜の花びらがひとひら、風に舞っていった。
映画『君の膵臓をたべたい(アニメ)』の感想・評価・レビュー
原作に忠実に作られており、アニメだけが持つ雰囲気がとても良く出た作品。テーマ曲の使い方や構成などは『君の名は。』後のアニメ映画だと感じさせる。アニメ版の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』とも似ているが、あちらとは違いこちらは成功している。終盤のメルヘンチックな描写も『星の王子さま』繋がりから、あのような描写なのだと分かるし、無理がない。それでいて原作で感じた切なさをぶち壊さずに組み上げているのは、見事な表現力、演出力だと思う。(MIHOシネマ編集部)
人と関わることに興味の無い「僕」が余命僅かな「桜良」と出会い、少しずつ変わっていく姿を描いた今作。原作を読んでいたので結末は知っていましたが、『文字』で読んだ感動をそのまま目で見て味わえる作品でした。
本を読むことは心に栄養を与えてあげることだと思います。本を読むことで心を豊かにし、他人と関わらなくても人間的な内面は出来ていくと思っている私は「僕」に物凄く共感しました。しかし、桜良との出会いで今まで見ていた世界が全く「別物」のように美しく見えたこと。これは文字だけでは想像しきれず、映像で見られたことにとても感動しました。
原作、アニメ版共に物凄く良い作品だったので、実写版にも期待して見ようと思います。(女性 30代)
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