父の日登志が他界し、東麟太郎は久しぶりに実家に帰った。母のアキコが通夜ぶるまいとして最初に出した料理は、目玉焼きだった。麟太郎は母の手料理を食べながら、家族が一緒に暮らしていた幼い日々に思いを馳せた。
映画『最初の晩餐』の作品情報
- タイトル
- 最初の晩餐
- 原題
- なし
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2019年11月1日(金)
- 上映時間
- 127分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- 常盤司郎
- 脚本
- 常盤司郎
- 製作
- 杉山麻衣
森谷雄
鈴木剛 - 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- 染谷将太
戸田恵梨香
窪塚洋介
斉藤由貴
永瀬正敏
森七菜
楽駆
牧純矢 - 製作国
- 日本
- 配給
- KADOKAWA
映画『最初の晩餐』の作品概要
サザンオールスターズ初のドキュメントムービー『FILM KILLER STREET-Director’s cut-』を手がけたことで有名な常盤司郎の長編映画監督デビュー作。本作の制作に当たり、常盤監督が7年の構想をかけている。父・日登志の通夜で振る舞われた通夜ぶるまいをきっかけに再建する家族の様子が描かれている。永瀬正敏が他界した父・日登志を演じ、斉藤由貴が妻のアキコを演じた。そして、染谷将、戸田恵梨香、窪塚洋介が2人の子供をそれぞれ演じている。
映画『最初の晩餐』の予告動画
映画『最初の晩餐』の登場人物(キャスト)
- 東麟太郎(大人:染谷将太 / 少年時代:牧純矢 / 幼少時代:外川燎)
- 7歳の頃に両親が再婚する。父・日登志と血が繋がっている。現在、カメラマンとして活躍している。
- 北島美也子(大人:戸田恵梨香 / 少女時代:森七菜)
- 11歳の頃に両親が再婚する。麟太郎の姉。父・日登志と血が繋がっている。「小さなキズ」を抱えている。
- 東シュン(大人:窪塚洋介 / 青年時代:楽駆)
- 17歳の頃に、両親が再婚する。母・アキコと血が繋がっている。22歳の誕生日に突然家を出て行く。それから15年、実家に戻って来ることはなかった。日登志の通夜のため、久しぶりに実家に顔を出す。
- 東アキコ(斉藤由貴)
- 約20年前に日登志と再婚した。日登志の遺言を受け、手料理を通夜ぶるまいとして振る舞う。
- 東日登志(永瀬正敏)
- 65歳になる直前に他界する。アキコの夫。登山家。シュンと一緒に山に登ったことがある。
映画『最初の晩餐』のあらすじ(ネタバレなし)
65歳になる直前、父親の日登志が亡くなった。カメラマンとして活躍している息子の麟太郎は、姉の美也子と共に病院の食堂にいた。麟太郎は父の遺体と対面し、久しぶりに実家へと戻った。傍では、家族が慌ただしく通夜の準備を行っていた。
母のアキコが通夜ぶるまいの食事をキャンセルしていた。代わりに出された最初の食事は、目玉焼きだった。父の遺言で、アキコの手料理を通夜ぶるまいに出すよう指示があったのだ。親戚達がざわつく中、麟太郎はすぐに気がついた。出された目玉焼きは、父親が初めて作ってくれた料理だった。
麟太郎は幼い日々に思いを馳せた。父の日登志と母のアキコは再婚同士で、お互い連れ子がいた。アキコにはシュンという男の子がおり、麟太郎や美也子は新しく兄ができることになった。手探りながらも何とか家族になろうと頑張っていたある日、一本の電話が全てを変えた。
映画『最初の晩餐』の感想・評価
常盤司郎初の長編映画監督作品
監督・脚本・編集を担当したのは、本作が長編映画監督デビュー作となる常盤司郎。常盤はCM、ミュージックビデオ、映画と多様なジャンルで活動している。2006年にロックバンド・サザンオールスターズ初のドキュメントムービー『FILM KILLER STREET-Director’s cut-』を手がけたことで一躍有名になった。
さらに、常盤が監督&脚本を務めた短編映画『皆既日食の午後に』(11)が「ギリシャ国際短編映画祭2014 ・インターナショナル部門」にノミネートされており、これからの活躍が期待される人物だと言える。そんな常盤が構想7年かけて脚本を作ったのは、父を亡くしたある家族の物語。「通夜ぶるまい」を通して再建される、家族の様子が描かれている。
家族にとって思い出の味
主人公・東麟太郎の父である日登志が他界したことから物語が始まる。日登志の通夜が営まれ、通夜ぶるまいが振る舞われることになった。「通夜ぶるまい」とは通夜が終わった後に弔問客に酒食を振る舞うことである。故人を偲ぶ時間として、大切にされている。
本作ではその「通夜ぶるまい」で、母・アキコの手料理が振る舞われる。それは、日登志が残した遺言の指示を受けてのものだった。アキコが作る手料理は、日登志が1冊のノートに書き残した思い出の味を再現していた。麟太郎達家族は父の思い出の味を通して、一緒に過ごしたかつての日々に思いを馳せていくことになる。姉の美也子が抱えている「小さなキズ」とは何なのか、長男のシュンはなぜ家を出て行ったのか、東家が抱える秘密が明らかになっていく。
主要人物の幼少期や青年期を演じた子役&新人俳優に注目!
染谷将太、戸田恵梨香、窪塚洋介、斉藤由貴、永瀬正敏が物語の中核を担う東家の家族を演じた。誰が主演を務めてもおかしくないほど、実力がある俳優ばかりである。彼らの演技も素晴らしいものであるが、本作では特に染谷将太、戸田恵梨香、窪塚洋介の3人の過去を演じた子役達にも注目してもらいたい。
染谷将太の幼い頃を演じたのは、牧純矢と外川燎の2人。2人ともテレビやCMを中心に活躍している。そして、戸田恵梨香の少女時代を演じたのは、行定勲監督が手がけたWEBCMで芸能活動を開始した森七菜。窪塚洋介の青年時代を演じたのは、2017年にオーディションを勝ち抜き芸能活動を始めることになった新人俳優の楽駆。いずれもこれからの活躍が期待される人物のため、ぜひ注目してもらいたい。
映画『最初の晩餐』の公開前に見ておきたい映画
空海 KU-KAI 美しき王妃の謎
染谷将太の代表作。夢枕獏の小説『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』を元に制作された作品。日本×中国が合同で制作を行い、中国の映画監督チェン・カイコーがメガホンを取った。第30回東京国際映画祭でオープニング上映されている。染谷は主演を務めるに当たり、中国語を学んだ。そして、全編中国語のセリフに挑戦している。
7世紀の中国(唐の時代)。日本の若き僧侶・空海は、遣唐使として長安を訪れた。その時、皇帝が不審死を遂げる事件が起きる。宮殿内には猫がいた痕跡があり、皇帝は呪われて殺された可能性があった。空海は辞職させられた元記録係のホアン・シュアンと一緒に、事件の調査を行うことにした。事件の鍵を握るのは、日本人・阿倍仲麻呂と国中を狂わせた絶世の美女・楊貴妃の存在だった。空海は真実を明かすことができるのだろうか。
デスノート
戸田恵梨香の代表作。原作・大場つぐみ、作画・小畑健による少年漫画を元に制作された作品。関連のグッズが発売されるなど、社会現象を巻き起こすほど大きな話題を集めた作品。続編となる『デスノート the Last name』(06)や10年後の世界を描いた『デスノート Light up the NEW world』(16)が公開されている。戸田は主要人物の1人、弥海砂を演じた。
警察庁刑事局長の息子である夜神月は優秀な人物で、将来警視総監になることを夢見ていた。しかし、法で裁ききれず、不起訴となった凶悪犯がたくさんいることを知ってしまう。夜神は絶望感に苛まれた。そんなある日、一冊の落ちている黒いノートを手にする。それは、ノートに名前を書き込めば人を殺すことができる「デスノート」だった。夜神は「デスノート」の所有者である死神のリュークと行動を共にし、デスノートを使って凶悪犯を始末していった。
詳細 デスノート
ピンポン
窪塚洋介の代表作。松本大洋原作の青春漫画を元に制作された作品。映画『タイタニック』(1997)にCGアニメーターとして参加したことでも有名な曽利文彦が監督を務め、「クドカン」の愛称で知られている宮藤官九郎が脚本を執筆した。窪塚は卓球が上手いと自負する主人公のペコを演じた。ARATA、竹中直人、荒川良々など豪華なキャストが脇を固めている。
ペコと幼馴染のスマイルは片瀬高校に入学し、卓球部に入部した。しかし、卓球が上手い自信があったペコは練習に参加せず、近所の卓球場に入り浸っていた。そんな中、ペコは試合に出場するが、上海からの留学生・チャイナや幼馴染のアクマに敗れてしまう。一方、顧問の小泉はスマイルに実力があることに気づき、指導を行った。だが、スマイルはやる気を出さず、自分の全力の力を出そうとはしなかった。
詳細 ピンポン
映画『最初の晩餐』の評判・口コミ・レビュー
『#最初の晩餐』を鑑賞。
2つの家族が一つになろうとした軌跡を、亡くなった父親の遺言ノートにあった料理を通して追っていく。
家族の在り方を問うような本作。
自分も10歳の時から継母と暮らし始めた事もあり、自分のことを振り返る時間をこの作品から与えてもらいました。 pic.twitter.com/pkB9cL8pV2— yokito (@yogini_yokito) 2019年11月2日
家族なんて所詮他の人だし血が繋がっててもそうでなくても凸凹だ。何を食べるかじゃなく誰と食べるかとかよく言うけれど、ずっと残っているごはんは高価なものでもすごく美味しかったものでもない。そんな綺麗事をいわない、それでも十分栄養になるごはん映画だった。染谷くんだーいすき。#最初の晩餐 pic.twitter.com/rRR14JKT2K
— づっか (@_zukkaa) 2019年11月2日
#最初の晩餐 父の葬儀に集う家族の人間模様。熱過ぎず冷めない作品温度が心地よい。音楽もよい。景色もよい。斉藤由貴は風雪を経たベストアクト。他の役者も…兎に角全てよい。初の長編!?常盤監督ありがとう。一箇所違和感あったけどとるに足りない。日本語を解して邦画観られる幸せ。腹減った。 pic.twitter.com/LYYoyIK7Qi
— きうじ@最初の晩餐 (@2_qg2) 2019年11月1日
映画『#最初の晩餐』感想①
父親が亡くなったお通夜から葬儀後の約1日半くらいの間の内容。
全体的に、柔らかい優しい空気感の作品。後半辺りに、少し複雑な事情も出てきますが、それも、最後の締め方で、微笑ましく心が和むように出来上がっている。
私は、このテイストの映画、非常に好きです。 pic.twitter.com/gumT5pig8d— ナガグツ (@nagagutu_happy7) 2019年10月29日
最初の晩餐 ★★★★☆ 常盤司郎 永瀬正敏、染谷将太、戸田恵梨香、窪塚洋介 初耳な監督の映画にこれだけスターが揃うからには、さぞ良い脚本だったに違いないと観たが、思い出の料理を通して亡き父の面影を見せていく素朴な作りがとても良い作品だった そして森七菜が彼らに負けない輝きを見せる
— tkr21 映画 (@tkr_21) 2019年11月2日
現代は食事をちょっと軽んじている気がします
食事は様々な豊かさを構築する行為で
豊かさを構築出来た食事にはその時の気持ち感情思いが付随してより鮮明に味を記憶に残す
ちょっと忘れてしまっていたことを思い出させてくれました
森七菜が着実にキャリアを重ねているのも好感でした#最初の晩餐 pic.twitter.com/YEzqm1LWR1— 瀧澤貴(本人)【PrayForKyoani】 (@birth0517hello) 2019年11月2日
映画『最初の晩餐』のまとめ
父の通夜で振る舞われた「通夜ぶるまい」は、父が作ってくれた思い出の味だった。主人公の東麟太郎は「通夜ぶるまい」を通して、家族で過ごした時間を思い出すことになる。東家は平凡な家庭とは言い難く、様々な問題がこの家族にはあった。長女の美也子が抱えている小さなキズ、長男シュンが突然家を出ていったこと、シュンが出て行くのを止めなかった両親の態度。東家に何があったのか具体的には映画を見ないと分からないため、ぜひその目で確かめて欲しい。
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