『見たら呪われる』作品。どの国でも、根強い人気を誇るこのジャンルが、今度は韓国で誕生。ホラー作品でデビューを果たした、ホラーの申し子であるキム・ジンウォン監督が世に送り出す渾身の一作。
映画『ワーニング その映画を観るな』の作品情報
- タイトル
- ワーニング その映画を観るな
- 原題
- Warning: Do Not Play
- 製作年
- 2019年
- 日本公開日
- 2020年8月21日(金)
- 上映時間
- 86分
- ジャンル
- ホラー
- 監督
- キム・ジンウォン
- 脚本
- キム・ジンウォン
- 製作
- 不明
- 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- ソ・イェジ
チン・ソンギュ
キム・ボラ - 製作国
- 韓国
- 配給
- ブラウニー
映画『ワーニング その映画を観るな』の作品概要
拷問ホラー作品で鮮烈なデビューを果たしたキム・ジンウォン監督が新たに手がけたホラー作品。見た者が死んでしまうという、恐ろしい作品をテーマにした一作。なんと、撮影地である廃墟は、実際に韓国内で心霊スポットとして知られている場所だと言う。そんな場所で撮影しているのだから、もしかすると、何か映ってはいけないものが映っている、不可思議なことが起きてもおかしくはない。ストーリーも勿論、撮影地までにも拘った渾身の一作。なぜ人は、禁じられるとその行為をしたくなるのだろうか。『見てはいけない』作品。
映画『ワーニング その映画を観るな』の予告動画
映画『ワーニング その映画を観るな』の登場人物(キャスト)
- ミジョン(ソ・イェジ)
- 映画監督を志す若者。突然難題を突きつけられて頭を抱えているところで、人が死ぬというホラー映画の存在を聞きつける。
映画『ワーニング その映画を観るな』のあらすじ(ネタバレなし)
映画監督の卵であるミジョンは、頭を抱えていた。プロデューサーに、ホラー映画の脚本をたったの2週間で仕上げるようにと命令されてしまったのだ。困り果てたミジョンだったが、ある時面白い噂を耳にする。それは、呪われたホラー映画の存在。その映画は、とある大学で、映画学科の卒業制作としてこの世に誕生した物だったが、その上映中、観客の半分が途中で逃げ出し、さらには心臓発作で死者も出たのだという。その曰く付きの映画に興味を持ったミジョンは調査を進めていた。すると、その映画の監督だという男から連絡が入り…?果たして、その映画に隠された謎とは。
映画『ワーニング その映画を観るな』の感想・評価
見てはいけない作品
本作の原題は、『Warning: Do Not Play』、直訳すると、警告:再生してはいけないという意味になる。しかし、禁じられると余計にやりたくなる、というのが人間の不思議な心理。やってはいけないと言われればやりたくなるし、見てはいけないと思うと、余計に見たくなる。そして、自信を制御できなかった結果、身の破滅を招くことだってあるのだ。特に、最新作の場合はそんな軽率な行動が、命にも関わってくる。もし、自分だったら、スリルに満ちたその禁忌から目を背け、正しく自分を守ることができるだろうか。決して見てはいけない作品、最新作を観終わった後、果たしてあなたはどうなっているだろうか。
映画に隠された謎とは
映画を見たら人が死ぬ、などということは普通に考えればあり得ない。しかし、本作では実際にそれが起きているという設定だ。あり得ないことがあり得てしまうのがフィクションの世界なのだからそれは当然。しかし、肝心なのはどのようにしてそれが起こるか、である。リングのように何か怨念のようなものが関係しているのか、それとも人為的なものなのが、はたまたもっと異なる理由があるのか。こういった系統の映画で重要なのが、まさにその点。フィクションなのだから飛躍していても問題はないが、そこに如何にストーリーを練り込めるかで、映画の質が変わってくる。なぜ、その作品を見ると人が死んでしまうのだろうか。果たして、その理由を見事に視聴者の期待を超えるものに仕上げられるのか。
韓国映画の魅力
日本における韓国作品の人気は、想像以上に高い。韓流ドラマと呼ばれるそれは、『冬のソナタ』や近年では『愛の不時着』など、時折日本全土を巻き込むほどの空前ブームを巻き起こす。勿論、ドラマだけでなく、映画も同様。近年で言えば、『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー作品賞を獲得したことからも分かる。では、一体韓流作品の何が人々をそれほどまでに魅了するのだろうか。まずは、あまりにもドラマチックな展開が上がるだろう。恋愛、戦争、ホラー、どのジャンルにおいてもよく練り込まれたストーリー展開は、視聴者の興味を掴んで離さない。そして、それを演じる俳優陣の演技力の高さも重要。日本とは異なる倫理観で製作された物語が、日本人にとっては新鮮に映るといったこともあるかもしれない。これからの映画史を語る上で、韓国映画の視聴は最早必須と言えるだろう。
映画『ワーニング その映画を観るな』の公開前に見ておきたい映画
アントラム 史上最も呪われた映画
見た人間を狂わせる、という映画は、最新作以外にも存在する。アントラム、という言葉を耳にしたことはあるだろうか。それは、1979年にアメリカで製作されたとされる、映画のタイトルである。そして、それは多くのカルト映画ファンの中では、伝説としても扱われている作品なのだ。本作は、公開後様々な映画祭に出品されたのだが、この映画を見た観客が次々と命を落とすという事件が起こったのだ。しかし、曰く付き映画という触れ込みは、皮肉にもさらに人気を呼んだ。そして、さらに死者を増やす結果となってしまった。それ以降フィルムは封印され、40年以上人の目に触れることはなかったのだった。しかし、本作の監督であるデイビッド・アミートが本作をオークションで買い取った。そして、とうとう、呪われた映画がこの世に蘇る。
詳細 アントラム 史上最も呪われた映画
リング
『見たら呪われる作品』系統の作品で、日本人にとって馴染み深いのはやはり本作ではないだろうか。ジャパニーズホラーの代表作と言っても過言ではないほどの有名シリーズ、それが『リング』である。その人気は国内だけに留まらず、2002年にはアメリカ進出も果たした。本作のキーとなっているのが、『呪いのビデオ』。見た者は、必ず1週間後に命を落とすという、都市伝説的な存在。自分の姪が、不可解な最期を遂げた、テレビ局のディレクター、浅川玲子。調査を進めていた彼女は、姪の死にこの呪われたビデオが関係していることを突き止める。さらに調査を進めるため、元夫で超能力者の高山竜司に協力を依頼した玲子。そして、二人はこのビデオに秘められた、恐ろしい呪いに巻き込まれていくのだった。
詳細 リング
パラサイト 半地下の家族
前述した通り、韓国映画は現在最も注目されている映画のジャンルの一つ。そして、その火付け役はまさしく本作だろう。監督は、これまで『母なる証明』や『グエムル-漢江の怪物-』、『殺人の追憶』など、数多くの名作を世に送り出してきた韓国の名監督、ポン・ジュノ。そして、同監督は本作で歴史的快挙を果たす。非英語作品初となる、アカデミー作品賞を受賞したのだ。勿論、その他の賞も本作が総なめ。まさに、2019年の映画界の覇者となったのだ。本作は非常に練り込まれた作品であるため、心から楽しんでもらうためにあらすじ表記は避ける。それほどまでに、最後の最後まで、全てが視聴者を見事騙して見せる圧巻の一本。一つの映画のジャンルには止まらない、まさに傑作。
詳細 パラサイト 半地下の家族
映画『ワーニング その映画を観るな』の評判・口コミ・レビュー
ワーニング その映画を観るな
いやいや怖かったよ。
観客に死人まででた呪われた映画の真相を探るうちに未曾有の恐怖に出会っていく。描き方が巧みで、また雰囲気の作り方が独特で観客の心の裏側を突いてくる。
怖いから一人で観ないでね、、。8月21日公開
キネカ大森にて pic.twitter.com/g58LmA97Iy— NISHI THE WILD (@ryuugo0420) August 23, 2020
前RT。
「ワーニング その映画を観るな」<暗転>、映画そのものとしても、ホラー映画としても、およそいい出来とは思えず、韓国でも大コケしている作品だが、久しぶりに観てとても満足した。
俳優鑑賞に限らない韓国映画観は、是非、観ておくべき作品。時間があったらまた書くよ。— SARU (@saruKmovie) August 23, 2020
『ワーニング その映画を観るな』(2019 韓 監督: キム・ジンウォン)
駆け出しのホラー映画監督のヒロインが都市伝説的「見たら死ぬホラー映画」に取り付かれる。Jホラー、モキュメンタリー、スプラッター、メタフィクションと趣向は盛り沢山、焦点は合ってないという印象— F・骨 (@herenkera1) August 21, 2020
映画『ワーニング その映画を観るな』のまとめ
ホラー作品。見る者を選ぶが、やはり映画界においてトップレベルで人気のジャンルの一つ。そして、興味深いのは、各国のホラー作品の作風の違い。ハリウッドのホラー作品と言えば、血飛沫が舞い、悪霊と戦うなど、ハリウッドらしい、派手な物が多い。一方で、日本のホラーは、徐々に迫ってくる恐怖、派手なアクションというよりは、メンタル面を抉ってくる、暗い雰囲気の物が多い傾向にある。どちらが好きか、恐怖を感じるかは人それぞれだが、そういった違いを感じてみるのも楽しみの一つ。そして、本作は韓国で制作されたホラー作品。ホラー作品の中でも、『見てはいけない』系統の人気は根強い。同様のテーマを扱いながら、各国でどのようなストーリー展開の違いが出てくるのか注目しよう。
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