現在の科学技術は、この人物がいなければあと数十年は発展が遅かっただろう。それだけの偉業を成したのが、発明王と呼ばれるトーマス・エジソンである。そんなエジソンの知られざる戦いに注目。
映画『エジソンズ・ゲーム』の作品情報
- タイトル
- エジソンズ・ゲーム
- 原題
- The Current War: Director’s Cut
- 製作年
- 2019年
- 日本公開日
- 2020年6月19日(金)
- 上映時間
- 108分
- ジャンル
- 伝記
- 監督
- アルフォンソ・ゴメス=レホン
- 脚本
- マイケル・ミトニック
- 製作
- ティムール・ベクマンベトフ
ベイジル・イバニク - 製作総指揮
- マーティン・スコセッシ
スティーブン・ザイリアン
ギャレット・バッシュ
マイケル・ミトニック
アン・ロアク
ミシェル・ウォーコフ
ベネディクト・カンバーバッチ
アダム・アクランド
デビッド・C・グラッサー
デビッド・ハッキン
ボブ・ヤーリ
アダム・シドマン - キャスト
- ベネディクト・カンバーバッチ
マイケル・シャノン
ニコラス・ホルト
キャサリン・ウォーターストン
トム・ホランド
タペンス・ミドルトン
スタンリー・タウンゼント
マシュー・マグファディン - 製作国
- アメリカ
- 配給
- KADOKAWA
映画『エジソンズ・ゲーム』の作品概要
『電流戦争』、それは1880年台のアメリカで実際に起きた事件の名前である。その事件に大きく関わっているのが、誰もが知る発明家のトーマス・エジソンと、同じく有名な実業家、ジョージ・ウェスティングハウス。稀代の天才である二人が争った内容は、なんと『電力システム』の違い。常人にはとてもではないが理解できないこの事件を、『SHERLOCK』シリーズのベネディクト・カンバーバッチ、『シェイプ・オブ・ウォーター』のマイケル・シャノンという大人気俳優が見事に演じ切る。
映画『エジソンズ・ゲーム』の予告動画
映画『エジソンズ・ゲーム』の登場人物(キャスト)
- トーマス・エジソン(ベネディクト・カンバーバッチ)
- 発明王と呼ばれる、アメリカの発明家。蓄音器や発熱電球、活動写真など様々な発明を世に残した。自分に自信があり、傲慢な人物。
- ジョージ・ウェスティングズハウス(マイケル・シャノン)
- 科学者で実業家。穏やかな人物だが、電流を巡ってエジソンと全面戦争を繰り広げることになる。
映画『エジソンズ・ゲーム』のあらすじ(ネタバレなし)
19世紀のアメリカ。当時、世界の科学技術は変革の時を迎えていた。そんな変革期を牽引したのが、天才発明家として、その後世に名を残すこととなるトーマス・エジソンである。白熱電球の事業化という偉業を成し遂げたエジソンは、最早国の至宝と呼ぶべき人物になっていた。しかし、そんなエジソンは実に傲慢な人物だった。ホワイトハウスからの仕事も無視をするという肝の座ったエジソンだったが、そんな頃とあるニュースが世間を賑やかせる。それは、実業家のウェスティングハウスが交流式送電の実演会を成功させたというものだった。そのニュースが気に食わなかったエジソンは、世間をうまく誘導してネガティブキャンペーンを開始する。そして、後世に語り継ぐビジネスバトルが幕を開けるのだった。
映画『エジソンズ・ゲーム』の感想・評価
実はほとんど知らない相手!?
後世に語り継がれるほどの激しい戦いを繰り広げたトーマス・エジソンとジョージ・ウェスティングハウス。傲慢で周囲を困らせていたエジソンに対して、穏やかで周囲からも好かれていたウェスティングハウス。性格も正反対の二人は、きっと全く馬が合わなかったに違いない。しかし、なんとこの二人は生涯あまり顔を突き合わせることはなかったというのだ。電流戦争真っ只中でも、二人は顔を合わせることなく紙面上でその頭脳戦を繰り広げた。つまり、二人は互いのことを殆ど何も知らないのである。紙面で行われたというそんな二人の戦いに、読者は巻き込まれていった。顔を合わせずに行われる戦争という、不思議な形を取った今回の戦いの行方は如何に。
意外と知らない、トーマス・エジソン
トーマス・エジソン、その名前は、例え科学に精通した者でなくとも必ず耳にしたことがあるだろう。私達が現在便利な生活を当たり前のように過ごせているのも、彼が残した功績が大きい。授業などでも必ず習う存在、だが、実は彼がどういった人物であったかは、案外知らない人が多いのではないだろうか。イメージとしては、発明王、稀代の天才、白熱電球や蓄音器の生みの親などが先行するが、実は彼は非常に傲慢な人物だった。これだけ才能のある場合仕方がないことかもしれないが、自分の気に入らないことがあると全力で相手を潰しにかかる、など少し子供っぽいところもあった彼。これまでの完璧なイメージとはかけ離れた行動であり、本作を見ることで今までのトーマス・エジソン像が一度バラバラになるかもしれない。しかし、本作でエジソンを少し身近に感じることもできるのではないだろうか。
ハイレベルの戦い
言うまでもないが、トーマス・エジソンという人物は紛れもない天才である。幼い頃から様々な事情で義務教育をまともに受けられなかったにも関わらず、彼の残した発明品は1000を優に超え、今の科学技術を支えている。そして、本作のもう一人の主人公であるジョージ・ウェスティングハウスも、エジソンほど知られてはいないものの、紛れもない天才の一人。現在も電気産業の先駆者として、その筋には広く知られている人物である。本作は、そんなトーマス・エジソンと、ジョージ・ウェスティングハウスの全面対決を描いた作品。天才同士の超ハイレベルなやりとりに、果たして視聴者はついていけるのか。現在も歴史に名を残す、正規の頭脳戦から目が離せない。
映画『エジソンズ・ゲーム』の公開前に見ておきたい映画
イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密
最新作と同じく、ベネディクト・カンバーバッチが主演を務めた映画であり、実際に起こった史実をテーマにしているという点も共通している作品。本作でベネディクトが演じたのは、天才数学者アラン・チューリング。最新作では天才発明家を演じ、本作では天才数学者を演じるという、なにかと天才に縁がある役者である。様々な偉業を成してきたアラン・チューリングだが、その中でも最も有名なのが、第二次世界大戦の際に発明した、エニグマ暗号機の解読ではないだろうか。彼の発明のおかげで、連合国側は戦争において最も重要な手札、情報を手に入れることができた。しかし、彼の人生は決して順風満帆なものではなかった。そんな、苦悩の人生を送ったアラン・チューリングの人生に迫った伝記作品。
ぼくとアールと彼女のさよなら
本作は、2015年にアメリカで製作されたコメディ作品。最新作の監督を務めたアルフォンソ・ゴメス=レホンが手掛けた作品である。元々はジェシー・アンドリューズが執筆した小説であり、筆者は劇場版において脚本としても参加している。グレッグは、冴えない男子高校生で学校でも他人と深く関わることを極力避けていた。そんなグレッグには、唯一と言っていい友人がいた。それが、幼馴染みのアール。二人は名作映画のパロディを製作しては、日々二人で過ごしていた。そんな中、グレッグの同級生、レイチェルが白血病に罹ってしまう。そして、母親の命令で、グレッグはレイチェルの話し相手になることになったのだ。日に日に病状が悪化していく彼女を励ますため、グレッグとアールは、映画の制作にとりかかる。
シェイプ・オブ・ウォーター
主演であるベネディクト・カンバーバッチは、ドラマ『SHERLOCK』でその人気に火がつき、それ以降ビッグタイトルに次々と出演している人気俳優。しかし、もう一人の主演であるマイケル・シャノンも、近年注目されている俳優なのだ。彼が近年出演し大きな話題となったのが本作。第90回アカデミー賞では作品賞を含めた4部門で賞を獲得した大ヒット作。舞台は冷戦下真っ只中のアメリカ。発話障害に苦しむイライザは、仲間に支えられながらもどこか孤独に暮らしていた。そんなある日、彼女の勤務する宇宙センターに、ある日半魚人がやってきた。異形の存在であるその半魚人と、イライザは少しずつ距離を縮めていく。しかし、その半魚人がセンターへとやってきたのは、とある理由があったのだった。
映画『エジソンズ・ゲーム』の評判・口コミ・レビュー
『エジソンズ・ゲーム』
創作愛に溢れた良作。発明家vs実業家、電力を巡る両陣営の戦いは胸熱。勝敗が分かれるシビアな世界だけど、それが新たな発明に繋がる終幕には感動した。
直流と交流、双方の視点から「電流戦争」を掘り下げる構成が良い。ただ唯一残念なのは映画的カタルシスが皆無なところ。 pic.twitter.com/Pd8XvVSGUx
— なまたまご (@Ace_r_kaede) June 20, 2020
『エジソンズ・ゲーム』映画館にて69本目。
エジソンとウェスティングハウス、テスラの三つ巴の“電流戦争”を描いた作品で、エジソンの成功物語ではない。商業主義の憎たらしさと愚かさをある意味表現した邦題。こだわられた撮影は一見の価値ありだが、全体的に盛り上がりに欠けるか。 #EDDIE映画2020 pic.twitter.com/YWKupN1OdL— EDDIE@Kings28-36👑 (@eddie2yuji) June 20, 2020
『エジソンズ・ゲーム』初日劇場鑑賞。理系ではないので専門用語を噛み砕くのにやや苦戦したけれど、手堅く丁寧に綴られる物語はとても見応えがあったと思えるし、何よりも「電流戦争」の如く演者の「演技合戦」を大いに楽しむことができたのが嬉しい。 pic.twitter.com/gw8ia1E6en
— Elijah (@Elijah090817) June 19, 2020
「エジソンズ・ゲーム」(2020)
アルフォンソ・ゴメス=レホン監督物語がダイジェスト的で”速い”作品。知識有る無しを一切介さない作りにして、あくまで人の執念や誇りに焦点を絞っている。
彼らが居たからこその世界、”電流戦争”の産んだ進歩、”映画”という媒体故にそれらを強く意識させられる。 pic.twitter.com/5zcAO8eqEw— Arch (@Arch_Stanton23) June 19, 2020
『エジソンズ・ゲーム』鑑賞
天才とカリスマの駆け引きはどこに着地するのか。ベネディクト・カンバーバッチはこの手の役柄が本当に良く似合う!
発明家や投資家の頭脳戦というよりは思いのほか泥臭さがあって人間的ではある。どういった作劇を期待するかによって感じ方は変わるかもなぁ。 pic.twitter.com/DK2IXjBAVk
— くぅさん (@kuh10doit) June 20, 2020
映画『エジソンズ・ゲーム』のまとめ
1880年代、『電流戦争』といった一風変わった戦争がアメリカで勃発した。しかし、その戦争は銃や兵士を使うわけではなく、天才同士がその頭脳をぶつけ合った、ハイレベルな情報戦。『電流戦争』と銘打たれているだけあって、そのテーマは送電方法の違い。直流電流を推進するトーマス・エジソンに対し、交流送電を新たに提案するジョージ・ウェスティングハウスが全面対決。あまりに難解なテーマについていけるかが不安なところだが、この戦争無くしては現在の科学技術は存在しない。その恩恵を受けているものの責任として、この前代未聞の戦いの行く末を見守ろう。
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