2018年の話題作『カメラを止めるな!』で、動員数220万人、興行収入31億円を記録した監督・上田慎一郎の最新作がついにスクリーンに登場。完全オリジナル脚本で、オーディションを勝ち抜いた今後ブレイク必至の新星が、観客に再び“快感”をもたらす。
映画『イソップの思うツボ』の作品情報
- タイトル
- イソップの思うツボ
- 原題
- なし
- 製作年
- 2019年
- 日本公開日
- 2019年8月16日(金)
- 上映時間
- 87分
- ジャンル
- 青春
- 監督
- 浅沼直也
上田慎一郎
中泉裕矢 - 脚本
- 上田慎一郎
- 製作
- 井西政彦
久保田傑 - 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- 石川瑠華
井桁弘恵
紅甘
斉藤陽一郎
藤田健彦
高橋雄祐
桐生コウジ
川瀬陽太 - 製作国
- 日本
- 配給
- アスミック・エース
映画『イソップの思うツボ』の作品概要
上田慎一郎監督初の劇場作品『カメラを止めるな!』は、予算300万円のインディーズ映画から始まったが、その後口コミによって全国公開へと拡大を広げ、国内外で多大な賞を受賞し、2018年のメガヒット作品となった。その上田監督が、構想に3年を費やし、再び観客に映画を楽しむ“快感”をもたらす。今回は、上田監督に加え共同監督・共同脚本に『カメ止め』の助監督である中泉裕矢と、『カメ止め』のスチール担当であった浅沼直也が参列。キャストには、絶賛大注目中の女優・石川瑠華、11代目ゼクシィガール・井桁弘恵、ファッション界で熱い視線を集める紅甘。ブレイク必至と言われる新星3人が見せる、とんでもない物語が、幕を開ける。
映画『イソップの思うツボ』の予告動画
映画『イソップの思うツボ』の登場人物(キャスト)
- 亀田美羽(石川瑠華)
- 内気な女子大生で、学内でもボッチ。家族との仲は良いものの、友人や友達と呼べる間柄はカメだけ。
- 兎草早織(井桁弘恵)
- 恋愛体質の女子大生。テレビでも人気の日本一仲良しと評判の“タレント家族”の娘。
- 戌井小柚(紅甘)
- 奇抜なファッショをした少女。父親と2人で代行屋を営んでいるが、その内容のほとんどは“復讐代行”。現在は密かにファッション業界への夢を抱く。
映画『イソップの思うツボ』のあらすじ(ネタバレなし)
内気な性格で、友達はおらず母親とカメだけが唯一心を許せる相手。そんな様子で毎日の大学生活を送る亀田美羽。テレビに引っ張りだこで、日本一の仲良し家族として紹介されている兎草早織も、美羽と同じ大学に通う女子大生。美羽とは正反対の性格を持つ明るくて無邪気な早織は、恋愛体質でどこか上の空、夢心地のような毎日を送る。
父親とぼろぼろのバンに乗って移動する戌井小柚は、法律ギリギリアウトな“復讐代行屋”の娘。頼りなくて、娘の方を見向きもしない父親に、本当はファッション業界へ行きたいのだという夢も語れず、悶々とした日々を送る小柚。
そんな、性格も生い立ちも考え方も全く違う3人の少女が出会ったとき、打ち明けられない胸の内をこぼし、思いを寄せる人について語り合う。今この瞬間にしかない“青春”を思いきり楽しみ、かけがえのない物語の一ページが幕を開ける。
わけがない。
これは復讐か?それとも誘拐か。3人の少女が接点を持ったとき、事態はマジで最低な方向へ。家族とは何か、裏切り裏切られ≪過去≫と≪秘密≫と≪化けの皮≫が絡み合う複雑な三角関係。これは、だまし合いのバトルロワイヤルだ。
映画『イソップの思うツボ』の感想・評価
前代未聞のトリプル監督が、それぞれの個性を生かして演出を極める
上田慎一郎、浅沼直也、中泉裕矢の3人は、2015年に制作され全国公開されたオムニバス映画『4/猫 ねこぶんのよん』で各輪を担当したことから関係が始まる。この作品をきっかけに、今回の『イソップの思うツボ』の制作に対して意欲が湧き、それぞれが構想を練り3年という長い年月をかけて制作された。
監督に名が連なることは、往々にして珍しいことではないが、それらはほとんどの場合『オムニバス映画』と言われるジャンルで、制作されている。オムニバス映画とは、いくつかの短編からなっている集合映画のことで、『ねこぶんのよん』はまさにその集合映画である。だが、今回の『イソップの思うツボ』は、1つのストーリーに対して3人の映画監督が名を連ねている。これは、世界でもあまり類を見ない制作方法で、故にそれぞれの個性が際立った演出が期待されている。
『カメラを止めるな!』で、騙される快感に味を占めた観客は、今回の映画にももちろんそうした快感を求めている。ヒット作の次の制作は、どの監督にとっても大きなプレッシャーになるだろうが、試写会では既に多くの観客がものの見事に引っかかり、騙され、映画について高い評価を下している。個性豊かな3人の映画監督に、期待値は高まるばかりである。
ヒロインには、ブレイク必至の3人がオーディションを勝ち抜く
今回、物語に欠かせない3人のヒロインを決めるにあたって、オーディションが開催された。それには、多くの女性たちが名乗りを上げ、狭き門を勝ち抜いたのは現在大注目を浴び、ブレイク必至と言われている3人の女性たち。
第2回未完成映画予告大賞でグランプリを獲得した『猿楽町で会いましょう』の主演を務め、多くの審査員から太鼓判をもらった石川瑠華。映画だけでなく舞台でも活躍し、演技は各審査員からの折り紙つき。
大人気タレント家族の娘で、恋愛体質な女子大生・兎草早織を演じる井桁弘恵は、11代目ゼクシィガールに抜擢されたタレントである。朝の人気ニュース番組『ZIP!』でも、アシスタントをしており、現在は女優としてのキャリアを積んでいる。
3人目のヒロイン・戌井小柚役の紅甘は、本人もファッション業界でモデル活動をしているタレント。俳優の貴山侑哉と、漫画家・内田春菊の娘でもあり、モデル活動の他にも多くの映画やドラマに出演している。それぞれの実力は申し分なく、映画は、3人のヒロインの個性を生かした作品に仕上がった。
映画『イソップの思うツボ』の公開前に見ておきたい映画
カメラを止めるな!
2018年邦画興行収入ランキング7位に食い込み、国内にとどまらず海外でも多くの映画賞を受賞した話題作。監督である上田慎一郎にとっては、初の劇場公開作品であったが、口コミで全国へ広まり話題を呼び、上田の代表作となった。
映画の内容は、前半と後半にわかれており、前半37分は作中で制作されたB級ホラーテイストのゾンビドラマが流れる。そして後半の60分は、そのドラマが製作されている過程をコメディタッチで描く2段構想になっている。この2段構えの変わった映画の制作については、上田監督が小劇場で実際に見た劇に着想を得て企画しているものである。
観客が、予告で伝えられていたのは前半37分のゾンビドラマの部分だけで、映画を見て初めて観客は後半のメイキング内容を知るという仕掛けになっている。
これには、多くの観客たちが騙され、低予算ながらに口コミで全国に広まり、話題作となった。前半の37分は、安っぽい30分程度のB級ゾンビドラマなだけに、内容もお粗末なものであるが、後半のメイキング部は主人公の日暮隆之監督のがんばりや、その娘・真央とのやりとり、業界慣れしたアイドル女優に今どきのイケメン俳優、一癖も二癖もある大御所役者などが見せるコメディタッチの物語には、目を見張る。変わった映画や面白い映画、映画に騙されたいと思っている人はぜひこの映画を見てみるのをおすすめする。ちなみに、この映画にはスピンオフが2019年に制作されている。興味のある人は、こちらもおすすめである。
詳細 カメラを止めるな!
4/猫 ねこぶんのよん
『カメラを止めるな!』で制作を共にした上田慎一郎、浅沼直也、中泉裕矢と、早坂亮輔が「猫」をテーマに制作したオムニバス映画。上田慎一郎が担当する「猫まんま」は、解散危機を迎えた漫才コンビが主人公として登場する。浅沼直也の監督した作品は「一円の神様」でスリをしている母親が、新しい土地にやってきて生活する様を描く。「ホテル菜の花」の監督である中泉の作品は、ワケありの女性が休業中のホテルにやってきて、そこに住み込んでいる支配人と3人の男性とのやり取りを切り取っている。
映画に設けられた「1匹の住みついた猫と、とある駅を利用する市井の人々を描く」というルールによってそれぞれの作品は描かれ、やがて1匹の猫が4つの独立した物語を繋ぎ合せていく。それぞれの監督の良さがにじみ出て、猫の可愛さと相まって、ほっこりとした気持ちにさせてくれる作品である。
詳細 4/猫 ねこぶんのよん
君がまた走り出すとき
『カメラを止めるな!』で助監督を務めた中泉裕矢。彼はその後、『カメラを止めるな!』のスピンオフ映画であるハリウッド版も手掛けている。また、先に紹介した『ねこぶんのよん』でも監督を務め、上田慎一郎監督に劣らないほどのクリエイターぶりを発揮する。
中泉監督は2019年3月に、自身の原案・監督で人生を諦めた青年が再び走り出す様を描いた映画を公開。世界6大マラソンを走破した川口市に住む市民ランナーの実話に焦点が当てられ、人生と向き合う再生のエピソードが込められたヒューマンドラマとなった。この映画は、2018年のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭15周年記念オープニング作品に選ばれた。
映画の主人公を演じたのは、『心が叫びたがってるんだ。』や『ナミヤ雑貨店の奇蹟』などの話題映画に出演し、ドラマやCMでも活躍中の若手俳優・筧一郎。ヒロインは、モデルやCMで活躍し、多くの映画やドラマにも参加、女優のキャリアを伸ばしている山下リオである。マラソンがきっかけで、励まし合い、支え合い、ゴールに向かって走り出す。時間の止まっていた6人が、目標に向かって動き出した瞬間。人が何かに向かってひたむきになっている姿は、きっと誰かをまた励ましてくれる。
詳細 君がまた走り出すとき
映画『イソップの思うツボ』の評判・口コミ・レビュー
『イソップの思うツボ』
確かに、この展開は予測不能。しかしそれが面白いかどうかはまた別の話。物語に説得力がないし、登場人物の誰にも同調できない為、後半の展開に気持ち良くなれないのだ。
アクションやバイオレンス、エロなど総てが中途半端に感じるのは、“安全装置が解除されてない”からか。 pic.twitter.com/qffpNxf2Eq
— Hidezou (@hidezou777) 2019年8月17日
『イソップの思うツボ』映画館にて130本目。
カメ止め上田監督・脚本最新作。ミスリードを誘う巧みな演出に唸ったものの、やはりカメ止めの成功がチラついて正当に評価が難しい。3人の監督の知恵を絞った内容は面白いが期待値が上がりすぎたのが玉に瑕。兎の井桁弘恵が可愛い! #EDDIE映画2019 pic.twitter.com/Ior9dkOWw7— EDDIE@来季こそKingsPlayoffいこう (@eddie2yuji) 2019年8月17日
『イソップの思うツボ』
家族をテーマにした寓話としてならこの突飛で強引な転換の数々もゴールは見据えてるのでまあ良い。現代ならではな世知辛さを絡めた文字通り狡猾なイソップが導く兎と亀、そして戌。ただ教訓じみたものに新鮮さはあまり無く凡庸なのが残念。けどまあ少女3様の鮮度は弾けて良い! pic.twitter.com/glKf7hrQBo— コーディー (@_co_dy) 2019年8月16日
イソップの思うツボは、噂通りのドンデン返し系ムービーで、どうしてもカメラを止めるな!と比較されてしまうけど、テイストは結構違ってて、その捉え方次第で評価が二分しそうな作品だった。個人的には全然ありで「ほほう、そう来たか!」の連続で単純に楽しかったし好みでした。 #イソップ賛否の賛 pic.twitter.com/w4FJKE0Br3
— Nozomi (@mininon) 2019年8月16日
『イソップの思うツボ』絶賛はしない
ただ余計なものにとらわれて、この作品が本来持っている魅力を見逃してしまうのは、あまりにももったいない!
3人のヒロインをはじめ、役者陣が全員魅力的💮
『カメ止め』の時と同様、皆さん知名度が上がり、お仕事も増えていくことでしょう😄#イソップ賛否の賛 pic.twitter.com/pzp8aeEShh— 映画先輩 (@eigasenpai) 2019年8月17日
「イソップの思うツボ」。うーん。これはもうカメ止めで魅せた「インディーズ映画離れ」ではなく、「インディーズ映画そのもの」でした。「そういう映画」としての魅力はあるんですが、こういうメタ仕掛けありきの作劇なら今年古沢良太が一万倍うまくやってしまったんで、印象としては非常に薄い。 pic.twitter.com/PNWu6jDch4
— 窓の外 (@madosoto) 2019年8月16日
映画『イソップの思うツボ』のまとめ
『イソップの思うツボ』では、有名な寓話の「イソップ物語」に登場するウサギやカメ、イヌがモチーフとなり、家族同士が見せる予想不能の騙し合いバトルロワイヤルが行われる。現場では、監督が3人おり、それぞれのシーンで担当する監督が違うため、ヒロインを演じた3人はもとより、共演のベテラン役者たちも口を揃えて「大変な現場だった」と語る。しかし、その甲斐あってか映画はそれぞれの思いのこもった熱い作品となったようだ。大変だった分、3人の監督の熱量が合わさった映画に、圧倒されそうである。
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