映画『イット・カムズ・アット・ナイト』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし) | MIHOシネマ

「イット・カムズ・アット・ナイト」のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

夜、「それ」はやって来る。正体不明の何かから逃れるため、森の中の一軒家に一家は隠れて暮らす。『ザ・ギフト』で監督・製作・脚本を務めた俳優ジョエル・エドガートンが製作総指揮を務めた、心理スリラー映画。

イット・カムズ・アット・ナイトの作品情報

イット・カムズ・アット・ナイト

タイトル
イット・カムズ・アット・ナイト
原題
It Comes at Night
製作年
2017年
日本公開日
2018年11月23日(金)
上映時間
92分
ジャンル
ホラー
監督
トレイ・エドワード・シュルツ
脚本
トレイ・エドワード・シュルツ
製作
デビッド・カプラン
アンドレア・ロア
製作総指揮
ジョエル・エドガートン
キャスト
ジョエル・エドガートン
クリストファー・アボット
カルメン・イジョゴ
ケルビン・ハリソン・Jr
ライリー・キーオ
製作国
アメリカ
配給
ギャガ・プラス

イット・カムズ・アット・ナイトの作品概要

2016年に公開された『ザ・ギフト』で、初長編映画監督を務めた俳優のジョエル・エドガートンが、製作総指揮を担当する『イット・カムズ・アット・ナイト』。夜にやって来る「それ」から逃れるため、エドガートン演じるポール一家。そこへやって来る突然の来訪者・ウィルとその家族。2つの家族の共同生活が、更なる恐怖を煽る。監督は、2016年の『Krisha』でアメリカのインディペンデント映画賞受賞歴を持つ、新進気鋭のトレイ・エドワード・シュルツが務める。

イット・カムズ・アット・ナイトの予告動画

イット・カムズ・アット・ナイトの登場人物(キャスト)

ポール(ジョエル・エドガートン)
森の中で暮らすポール家の家長。家族を未知の病原体が蔓延る世界から守るため、ルールを徹底させ、安寧を生み出す。
ウィル(クリストファー・アボット)
外の世界から、ポール一家の家に迷い込んだ来訪者。ルールに従い、ポール一家と暮らすうちに徐々に異変に気付いていく。

イット・カムズ・アット・ナイトのあらすじ(ネタバレなし)

今日も、生き延びられたことを神に感謝します。日の落ちた暗い森の中にポツンと建つ一軒家に、ポール一家は住んでいる。そして、毎夜3人で食卓を囲む際に、手を合わせ神に祈りを捧げ、生きていることに感謝する。

原因不明の未知の病原体が蔓延り、世界が震撼する中ポールは家族を守るために人知れず森の中で暮らす生活を選択する。そして、妻と17歳になる息子の3人で慎ましくも幸せに暮らしていた。

毎晩、欠かさず寝る前に入口の“赤いドア”を閉めること。これだけを守れば、「それ」は侵入して来ず、平和に暮らせる。はずだった。ある日の深夜、妻に起こされてポールは赤いドアが開いていることを知る。そこには、突然の来訪者・ウィルがいた。

ウィルは妻と小さな息子を抱えて、ポール一家に助けを求める。ポールは、毎晩の赤いドアの施錠を条件に、ウィル一家を迎え入れることに。そして2つの家族は、奇妙な共同生活を始めることとなった。

イット・カムズ・アット・ナイトの感想・評価

「それ」とは何か

これが、この映画の原点にして終点である。世界が震撼している未知の病原体がもたらす「それ」の正体とは何なのか。ポールが必死になって守る、その病原体を宿した「それ」は、なぜ赤いドアからしかやって来ないのか。

そのドアが開かれたとき、やって来る「それ」に、この映画の見どころが詰まっているのだろう。どのホラー映画でも、ホラーゲームでも、ドアを開ける瞬間に恐怖が高まるものである。この映画の予告を見ても、開かれるドアの暗闇から何かがやってくる気配がありありと見て取れる。

奇妙なほどに目立ち、印象的な赤いドアが、恐怖の象徴であることは説明するまでもない。狂気が孕んでいることを印象付けるために赤くしたのか、もともと赤い色のドアだったのかは定かではないが、これだけ目立つドアなので、鑑賞中も目を背けることはできなさそうである。

絶対にルールを破る同居人

こうした共同生活系のホラー映画に必要不可欠な要素の一つに、決められたルールを破る人間がいることが挙げられる。突然の来訪者・ウィルからすれば、ポールの異常とまで取れる赤いドアの施錠に掛ける執念は、恐怖の対象になりかねない。

そして、もし本当に夜、赤いドアの施錠を怠ったら狂気が舞い込んでくるのか、もしそうであるなら寧ろ対処した方が良いのではないか。きっと、新参者のウィルはそうしたことを思案し、行動に移そうとする。

だが、人は環境を変えることを極端に嫌う生物である。これまで3人で慎ましく安心して生活してきたポールには、ウィル一家を受け入れるだけでも覚悟を決めることなのに、その上ルールに従わないとなると、状況は変わってくる。

異なった考え方の人間が同居を始めたことで、物語は進展を始め、ルールを破ることで面白さを増していく。安定や安寧の崩壊を目の当たりにする人間が、どのような反応を示し恐怖におののくのか、まさに見ものである。

外には恐怖。中には狂気。

『イット・カムズ・アット・ナイト』の公式サイトで記載されている文言、「外には恐怖。中には狂気。」の言葉。これは、ずっと内側に籠り立て籠もっているポールが、外に対して感じているものと、突然やってきて内側に入り込んだウィルが中に対して感じているものとの相対する感情の表れとの見解もある。

内側にいるポールは、外に恐怖を感じ、外側にいるウィルは、中に狂気を感じる。この相対する考え方こそ、この映画の神髄でもあり映画を理解する上で必要不可欠な要素となる。

外の何に恐怖を感じるのか、中の何に狂気を感じるのか。それを結びつけるのが、映画のポイントである「それ」の役割。自分の常識とは、こうも人には理解されがたく共有できないものであると、語っているようでもある。

イット・カムズ・アット・ナイトの公開前に見ておきたい映画

映画『イット・カムズ・アット・ナイト』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。『イット・カムズ・アット・ナイト』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

ザ・ギフト

2015年に製作され、日本では2016年に公開された、ジョエル・エドガートンが手掛けるスリラー映画。エドガートン演じる主人公・サイモンは、妻のロビンと共に新しい町に引っ越し、豪華な自宅に住み、幸せな日々を送る。

だが、新しい町で偶然高校時代の同級生ゴードンに出会ったことで、サイモンとロビンの幸せは徐々に影を落としていく。夫サイモンと、ゴードンの間に起きた出来事を知ったロビンは、夫に疑心暗鬼になっていく。

嘘を並べ、嘘を重ね、得た名誉やポストと引き換えに、サイモンは大切なものを失い始める。それに気づかせてくれるかのように送られてくる謎の「ギフト」。このギフトを送ってくれる人物は、ゴードンなのか、それとも第3の人物のなのか。

最後に送られてくるギフトの中にあるものが、更にサイモンを追い詰めていく。過去、自分がしでかしてきたツケが、最悪の形で訪れる教訓ともなるギフトは、恐怖におののきながらも自分の行いを顧みるきっかけともなる映画である。

詳細 ザ・ギフト

イット・フォローズ

今作、『イット・カムズ・アット・ナイト』の制作陣が手掛ける、青春ホラームービー。全米で4館のみの上映から、1600館まで増えた驚異の話題作。

あまりにも恐ろしく、余りにも面白いため、ボックスオフィスTOP10に3週連続ランクインし、更に、辛口批評家サイトとして知られている「Rotten Tomatoes」では、驚愕の96%をキープする結果を叩き出す。

気になっている男性とデートをし、性行為をした主人公・ジェイは、性行為の相手からあるものを「移した」と告げられる。それが移されると、その日からジェイは自分に向かってゆっくり歩いてくる人の姿をした「何か」を目撃するようになる。

性行為をすることで相手に移すことのできるホラー設定に、驚きの声と同時に新感覚ホラーを楽しむ声が上がる。夢の中で、一度は誰しも何かに追いかけられた悪夢を見たことがあるだろう。それが、現実となって現れたとき、決して捕まってはいけない。捕まれば、二度と目を覚ますことができなくなるからだ。

詳細 イット・フォローズ

10クローバーフィールド・レーン

宇宙からやって来る巨大な怪獣が、大都市を襲うSFパニック・ホラー映画で有名な『クローバーフィールド/HAKAISHA』は、その古典的な内容とは裏腹に、多くのファンを魅了している。

直接の繋がりはないが、その続編とも言える映画が、2016年に公開されたSF・サスペンス映画の『10クローバーフィールド・レーン』だ。この物語の始まりは、1人の女性が地下室で目が覚めるところから進んでいく。主人公のミシェルは、婚約者と喧嘩をして家を出て夜道で車を走らせる。

だが、途中で交通事故に遭い意識を失い、次に目が覚めるとそこは地下室で、ケガは治療されていたものの監禁状態にあった。地下室の持ち主の男・ハワードが助け、運んで来たと話すがその日からミシェルとハワードと、ハワードの知り合いのエメットの3人による共同生活が始まる。

しかし、恐怖で縛り付けられた他人同士の共同生活は決してうまくいくことがない。この映画でも、望まない共同生活が破滅を連れてくる。

詳細 10クローバーフィールド・レーン

イット・カムズ・アット・ナイトの評判・口コミ・レビュー

イット・カムズ・アット・ナイトのまとめ

姿の見えないものに恐怖するのは、人間の心理として自然なことであるし、防衛本能的にも理に適っていると言える。また、そこに集団心理も作用してくると、恐怖のあまり本人に狂気が宿ることもある。そうして人間の心理の面白さや脆さが、ホラー映画の醍醐味とも言える。また、子供の頃はタンスの隙間や、壁のシミなど特定の物を怖がることもあるが、それは一般的に大人になるにつれて解消されていく。今回はそれが“赤いドア”だが、自然と解消されない恐怖に遭遇したら、誰かに壊してもらうしか、方法はないのかもしれない。

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