映画『喜望峰の風に乗せて』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし) | MIHOシネマ

「喜望峰の風に乗せて」のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

アカデミー賞に輝く才能溢れるイギリスの名優コリン・ファースが主演で、過酷な単独無寄港世界一周ヨットレースに挑戦した実在の人物を熱演する。イギリス人なら誰もが知っているレースに秘められたヒューマンドラマが、新年早々海の波に乗ってやってくる。

喜望峰の風に乗せての作品情報

喜望峰の風に乗せて

タイトル
喜望峰の風に乗せて
原題
The Mercy
製作年
2017年
日本公開日
2019年1月11日(金)
上映時間
101分
ジャンル
ヒューマンドラマ
監督
ジェームズ・マーシュ
脚本
スコット・Z・バーンズ
製作
グレアム・ブロードベント
ピート・チャーニン
スコット・Z・バーンズ
ニコラ・モベルネ
ジャック・ペラン
製作総指揮
オリビエ・クールソン
ロン・ハルパーン
ジェニー・ボーガーズ
ダン・マクレイ
クリスティーン・ランガン
ダーモット・マキヨン
ジョニー・パーシー
キャスト
コリン・ファース
レイチェル・ワイズ
デビッド・シューリス
ケン・ストット
製作国
イギリス
配給
キノフィルムズ

喜望峰の風に乗せての作品概要

イギリスで有名な単独無寄港世界一周ヨットレースを、『博士と彼女のセオリー』のジェームズ・マーシュ監督と、イギリスの名優『英国王のスピーチ』のコリン・ファース主演で描く。1968年のイギリスで開催された、ゴールデン・グローブ・レース。そのレースに参加するのは、電気技師として会社を経営するベンチャー・ビジネスマンのドナルド・クローハースト。世界中が注目していたレースに1人の無名ヨット乗りが、果敢にもたった1人で行うヨットレースに名乗りを上げる。

喜望峰の風に乗せての予告動画

喜望峰の風に乗せての登場人物(キャスト)

ドナルド・クローハースト(コリン・ファース)
船舶用の測定器を開発し、自身の会社を経営する実業家。だが、会社は少々傾きかけている。
クレア(レイチェル・ワイズ)
ドナルド・クローハーストの妻で、幼い子供を3人持つ母親でもある。無名ながらも果敢にレースに参加する夫を、見守っている。

喜望峰の風に乗せてのあらすじ(ネタバレなし)

20世紀も半ばを過ぎた1968年のイギリスでは、海洋冒険ブームの真っただ中であった。ロビン・ノックス・ジョンストン、ナイジェル・テトリー、チェイ・ブライスなどの名は、イギリス人では知らない人のいない冒険家であった。

もはや地上に冒険する場所などないとされ、アメリカやロシアでは宇宙開発が盛んになっている時分、イギリスのサンデー・タイムズ社は大胆なやり方で偉大な冒険の記録を更新しようと、ゴールデン・グローブ・レースの開催を決定する。

1人乗りのヨットに乗り世界を一周するヨットレースで、およそ9か月間一度も港や街にヨットを寄港してはいけないという過酷なレースである。名のある冒険家たちが名乗りを上げる中、1人の無名の男がレースの参加を表明する。男の名はドナルド・クローハースト。イギリスの船舶用測定器の会社を経営するドナルドは、ヨットに乗るのが趣味であった。

日曜大工ならぬ、日曜ヨット乗りが名のある海のプロたちを相手に過酷なレースに参加するとあってスポンサーが殺到し、レースは異様な盛り上がりを見せる。愛する妻に5,000ポンドの賞金を、幼いドナルドの3人の子供たちに名誉を送るため、ドナルドの挑戦が始まる。

ネタバレ 喜望峰の風に乗せて

喜望峰の風に乗せての感想・評価

ドナルド・クローハースト失踪事件

イギリスにあるティンマス市を、1月1日から8月31日までの間に出発すると、1人ぼっちの航海が始まる。イギリスのサンデー・タイムズ社が1968年に開催したゴールデン・グローブ・レース。ルールは簡単、出発後どこの港に寄港することもせず、公開中他の船からの支援を受けることもなく、たった1人で世界を一周し誰よりも早くティンマス市の港に戻ってくること。

最も早い記録を出した人に賞金5,000ポンドが送られることとなったこの大会に、数多くの海の冒険家たちが名乗りを上げ、我こそはとヨットを海に出す。そんな中、船舶用の測定器を主な仕事としているドナルド・クローハーストが、大会への参加を決意する。

ドナルド・クローハーストは、実業家ではあるが経営難に陥っており、愛する家族のために素人ながらヨットレースに参加を決めたのだった。無名の素人ヨット乗りも参加するとあって、多くのスポンサーが付き、クローハーストは8月31日の期限ぎりぎりにヨットを港から出航させた。

だが、彼の考えはとても甘く、厳しい海上で素人がたった1人航海するには、とても危険すぎた。昼夜構わず訪れるヨットの不具合と襲い掛かる海の恐怖は、クローハーストの精神を侵し、出向から約1年が経とうとしていた7月10日、海上で一隻の無人ヨットが発見され、そこに残されていた航海日誌からクローハーストの船だと断定される。遺体は見つからず、航海日誌の記録からクローハーストは海へ身を投げて自殺したのだとされた。

富みと名声に眩む、愚かな船乗り

見つかったクローハーストの航海日誌には、クローハーストが毎日無線で報告していた公開の順調を裏付けるものではなく、逆にクローハーストがどれだけ無謀な航海をしていたのかが克明に記録されていた。

素人のヨット乗りは、他のプロたちと違い自分のヨットを持っていなかった。そのため、優勝するために乗りこなすのが難しいヨットを、参加表明してから準備し出した。これは、明らかに準備不足であり、また、ヨットが破損してもいいように準備していた予備の部品は、自宅の倉庫に残されていた。

更に、素人が整備したヨットは出航後すぐに不調を訴え、海上で彼はパニックに陥ってしまう。だが、多くのスポンサーと地元の喚起する声が耳から離れないクローハーストは、陸にいる全ての人たちを欺き、自分自身さえも欺いてしまう。航海は順調で、問題は1つもなく計画通りに進んでいる。

その自己欺瞞が、最悪の結果を招いてしまうのだった。

2018年現在、再び注目され湧き上がるヨットレース

ゴールデン・グローブ・レースが行われたのは、1968年のことである。あれから50年経った2018年7月現在、2度目のヨットレースがイギリスで開催されている。ゴールデン・グローブ・レースの50周年を記念しての、レース開催である。

そして、それと同時に50年前に起きた忘れられない出来事が、スクリーンに登場するのだ。人々は50年前の出来事を悲劇だと呼ぶのかもしれない。だが、これは明らかにドナルド・クローハーストの無謀な挑戦であり、また欺瞞や浅はかさが招いた事態である。更に、スポンサーやニュースに踊らされて煽った民衆の犯した罪でもある。

クローハーストは悲劇の主人公ではない。クローハーストは過酷なレースから逃げ出した逃亡者であり、ルールを破ってレースを行っていた違反者でもある。だが、彼の最初の思いは純粋なものであった。ほころびつつある事業に再び光をともすため、愛する家族に夢と希望を届けるため、クローハーストがレースに参加した理由は、自分よりも誰かのためであった。

そのクローハーストの純粋な思いが、全ての命の源でもある海に飲み込まれ、還っていってしまったのは、仕方のないことだったのかもしれない。

喜望峰の風に乗せての公開前に見ておきたい映画

映画『喜望峰の風に乗せて』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。『喜望峰の風に乗せて』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

英国王のスピーチ

第83回アカデミー賞で作品賞などの4部門の賞に輝く、2010年公開のイギリスの歴史ドラマ映画。この作品に出演している、主演のコリン・ファースは主演男優賞を受賞し、イギリス映画界の人気スターの名を不動のものにしている。

日本でも人気のあるイギリス王室を映画の題材にし、登場するコリン・ファース扮するイギリス王ジョージ6世と言語療法士の史実を元に友情ドラマを描いた作品。時代背景は1925年のイギリス。ドイツのナチス党政権が、世界中を賑わせている頃の時分、大英帝国博覧会の閉会式でスピーチすることになっていたヨーク公アルバート王子(コリン・ファース)は、吃音症を抱えながらもエリザベス妃の見守る中、演説を行う。

だが演説は失敗し、エリザベス妃の勧めでアルバート王子は言語療法士ローグの元を訪れ、いっぱしの平民であるはずの言語療法士に王子への礼儀作法を無視されたことで腹を立てるも、ローグの巧みな治療に心を開いていく。王子から国王へ着任し、重責を抱えながらも「ジョージ6世」となったアルバート王子は、ローグと愛する妻と共に治療を続ける。

自らも吃音症を抱えていた脚本家のデヴィッド・サイドラーの各シナリオの中には、吃音に苦しむ主人公や、時代背景から吃音などの症状の理解の無さをありありと描き出している。

詳細 英国王のスピーチ

博士と彼女のセオリー

コリン・ファースと同じく、アカデミー賞主演男優賞を受賞した2014年公開のイギリスの伝記映画である。1960年代のイギリス・ケンブリッジ大学で、物理学を学ぶ主人公のスティーヴン・ホーキングは、ALSに侵され余命2年と診断されながらもブラックホールに関する研究を進めている。

病気に侵され、闘病生活を強いられながらも愛する人と結婚し、研究を進める。だが、病気が進行して気管切開をすると声は出なくなってしまう。その後、埋め込みの音声合成器の成功と、出版した本の成功で名声を得るが、その代わりに妻とも離婚してしまう事態に。

2人は別々の道を歩き、お互いに別の人と新たな人生の選択をします。しかし、離婚してからも連絡を取り合う程に仲の良さが滲み出る映画であり、夫婦の純愛を考えさせられる映画である。

これは、ホーキング博士の1人目の妻であるジェーンが書いたノンフィクション小説を元に制作されているので、実際にどれだけジェーンがホーキング博士を支えていたかは定かではない。それでも、この映画にはただの浮気や不倫で片付けられない人の愛が溢れている。

詳細 博士と彼女のセオリー

マンマ・ミーア!

2018年8月に、続編『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』が上映され、再びファンを熱狂させた『マンマ・ミーア!』。2008年にイギリスとアメリカ・スウェーデンの合同により制作されたロマンティック・コメディ・ミュージカル。

世界的に有名なスウェーデンのポップアーティストABBAの曲をふんだんに使った、大注目のブロードウェイ・ミュージカルを映画化したものである。

主人公のドナ・シェリダンは、ホテルを経営しながらシングルマザーとして1人娘ソフィを大切に育て上げる。ソフィが20歳の誕生日を迎えると、初恋の相手スカイとの結婚を決める。母親のドナは喜び準備に大忙しの日々を送るが、ソフィは母親に内緒で自分の父親を捜し、結婚式に父親の候補者3名を招待する。

アメリカの大女優メリル・ストリープが主人公・ドナを演じ、父親候補の3名には『007』俳優ピアース・ブロスナン、『喜望峰の風に乗せて』にも出演するコリン・ファース、マーベルシリーズで知られているステラン・スカルスガルドと豪華俳優陣を揃える。

歌と恋と、ちょっぴり苦い大人の人生をコメディ調に仕上げたミュージカル映画は、観客を笑顔と希望で魅了する。

詳細 マンマ・ミーア!

喜望峰の風に乗せての評判・口コミ・レビュー

喜望峰の風に乗せてのまとめ

イギリス人なら、50年前に起きた1人のアマチュアヨットレーサーの顛末を知っているだろう。映画の予告には、厳しい自然と狂いそうなほどの孤独に苦しみ、追い込まれていくクローハーストの姿が描かれている。夢を追い、乗り越えられない壁に阻まれ、自らの幕を閉じたクローハーストの人生は、多くの教訓を人々に残している。そして、素人であるクローハーストの参加に沸き立ち、煽り、図らずも彼を追い詰めた民衆たちが、50年ぶりにこの映画を見て何を感じ取るのか、実に興味深い。

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