「老人ファーム」のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

和彦は母が病気になったのをきっかけに、実家に帰って「老人ホーム」の介護職員として働くことにした。介護の仕事は大変で、施設管理者の後藤とも考え方が合わなかった。そんな中、和彦は自分とは対照的な、気が強い入居者のアイコに興味を持つ。

老人ファームの作品情報

老人ファーム

タイトル
老人ファーム
原題
なし
製作年
2019年
日本公開日
2019年4月13日(土)
上映時間
82分
ジャンル
ヒューマンドラマ
監督
三野龍一
脚本
三野和比古
製作
不明
製作総指揮
不明
キャスト
半田周平
麻生瑛子
村上隆文
合田基樹
山田明奈
堤満美
亀岡園子
白畑真逸
製作国
日本
配給
不明

老人ファームの作品概要

兄・三野龍一と弟・三野和比古がタッグを組んだ映画制作チーム「Mino Brothers」が手がけた作品。龍一が監督を務め、和比古が脚本を担当した。「Mino Brothers」にとって初めての劇場公開作品でありながら、「カナザワ映画祭2018・観客賞」など様々な賞を受賞している。老人ホームで働くことになった青年の日々が描かれており、渋谷ユーロスペースにて4月13日から2 週間のレイトショーの公開が予定されている。

老人ファームの予告動画

老人ファームの登場人物(キャスト)

和彦(半田周平)
母が病気になったのをきっかけに、実家へと帰って老人ホームで働く。優しい性格。思っている考えや不満を口に出すのが苦手。
アイコ(麻生瑛子)
老人ホームに入居している。気が強い性格で、自分の意見や不満をズバズバ言う。施設管理者の後藤に反発している。
後藤(村上隆文)
老人ホームの施設管理者。ルールに厳しい。入居者達に対して心を許しておらず、深く関わろうとはしない。

老人ファームのあらすじ(ネタバレなし)

和彦は母が病気になったのをきっかけに、実家に帰って老人ホームの介護職員として働くことを考えた。老人ホームに面接に行き、他の男性が面接している間施設の様子を眺めた。

和彦は介護職員として採用され、働き始めた。汚れたトイレを掃除することや食事の介助など、やることが多くて大変だった。そして、家に帰れば母の話し相手になった。母から仕事のことを聞かれるが、愚痴を零すことはなかった。唯一心が安らぐのは、彼女と一緒にいるときだった。だが、母から2人の関係を反対されていた。

施設管理者の後藤はルールに厳しく、入居者の男性が自由にプリンを食べることさえ許さなかった。和彦は入居者の男性が不憫に思い、後日プリンを購入してきた。すると、後藤から勝手なことをするなと注意される。後藤は入居者のことを動物みたいなものだと言い、つけ込む隙を与えるのは良くないと考えていた。和彦は後藤の考えに共感できなかったが、何も言うことはできなかった。後藤に反発していたのは、入居者のアイコだけだった。

和彦は自分の意見をしっかり述べるアイコに関心を持つ。だが、そのアイコが突然部屋からいなくなってしまう。

ネタバレ 老人ファーム

老人ファームの感想・評価

シミュレーション映画

和彦は一見すると優しい青年だが、本心を明かすことができない内気な性格でもある。母に対しても施設管理者の後藤に対しても意見を言うことができず、不満を貯め込んだままじっと黙っている姿が印象的である。

ドキュメンタリー作品ではないため、現実の老人ホームを忠実に再現しているわけではない。しかし、だからと言ってリアリティがないわけでもない。どこにでもありそうな老人ホームが物語の舞台となっており、介護をする側の感情や介護される側の感情なども丁寧に描かれている。自分が主人公の立場だったらどのように動くのか、実際に母に何かあればどう動くのか、作られた物語だからこそ考える隙間が与えられていると言える。介護問題について考えるきっかけとなる作品になっている。

映画制作チーム「Mino Brothers」

『老人ファーム』を手がけているのは、映画制作チーム「Mino Brothers」である。「Mino Brothers」は兄の三野龍一と弟の三野和比古がタッグを組んだチームで、龍一が監督を和比古が脚本をそれぞれ担当している。「Mino Brothers」にとって、本作が初の劇場公開作品となった。

初の劇場公開作品でありながら、「カナザワ映画祭2018・観客賞」受賞や「日本芸術センター映像グランプリ審査員特別賞」受賞など、『老人ファーム』は数多くの映画賞で高い評価を受けている。「踊る大捜査線シリーズ」の本広克之監督がディレクションを担当する「さぬき映画祭」にも招待されており、多くの業界人を魅了している。映画ファンにとっては必見の作品である。

老人介護問題

『老人ファーム』の物語の中核にあるのは、介護問題である。現実の世界でも介護の問題は、見て見ぬふりができないほど大きな社会問題となっている。2014年に起きた川崎老人ホーム連続殺人事件を筆頭に、入居者に対しての暴行・殺人事件は後を絶たない。若い人にとってはまだピンと来ないかもしれないが、介護・支援を必要としている人は増加し続けており2014年の時点では約584万人にも上っている。65歳以上の約5人に1人が介護・支援を必要としているのだ。

三野龍一と和比古兄弟はこの介護問題に注目した。そして、介護問題について考えるきっかけになればという思いから、『老人ファーム』を制作した。実際に介護を行った人にしか分からない問題や介護に関わる様々な人の思いなど、物語として視覚化されている。

老人ファームの公開前に見ておきたい映画

映画『老人ファーム』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。『老人ファーム』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

ペコロスの母に会いに行く

岡野雄一原作の漫画を元に制作されており、認知症を患っている母と息子の関係が描かれている。赤木春恵がその母親を演じており、世界最高齢で映画初主演を果たした女優としてギネス世界記録に認定された。一青窈が主題歌を担当しており、映画のために書き下ろしている。原作の漫画は「第42回日本漫画家協会賞優秀賞」を受賞している。介護の大変さだけではなく笑いや感動に溢れた日々の様子も描かれているため、新しい介護体験漫画として大きな話題を集めた。

父が亡くなってから母のみつえは認知症を患うようになった。息子のゆういちは、母をグループホームに入居させた。母は息子の顔を忘れてしまい、ゆういちが面会に行っても混乱するだけだった。だが、なぜか禿げ頭を見せると、息子だと思い出すのだった。少しずつ記憶をなくしていく母とゆういちの温かくも優しい日々がそこにはあった。

詳細 ペコロスの母に会いに行く

アウェイ・フロム・ハー君を想う

アルツハイマーを患った妻と夫の日々が描かれている。「2006年トロント国際映画祭」と「2007年サンダンス映画祭」で上映されており、「カナダ脚本家組合賞・映画部門・脚本賞」など様々な賞を受賞している。アリス・マンロー原作の短編小説『クマが山を越えてきた』を元に制作されており、サラ・ポーリーの長編映画監督デビュー作となった。

妻のフィオナがアルツハイマーを発症した。フィオナは記憶を失っていくことを自覚しており、自らグループホームに入ることを決意する。そのグループホームでは施設に慣れるため、30日間面会が禁止されていた。グラントは不満を抱くが、妻のために我慢した。その後、グラントが面会に行くと、フィオナは自分のことを忘れてしまっていた。しかも、フィオナは別の男性に恋をしていた。

詳細 アウェイ・フロム・ハー君を想う

メゾン・ド・ヒミコ

老人ホームを舞台にした作品。オダギリジョー×柴咲コウが共演しており、オダギリジョーがゲイの男性(岸本春彦役)を演じたことでも話題を集めた。犬童一心が監督を務め、渡辺あやが脚本を手がけた。犬童と渡辺は『ジョゼと虎と魚たち』(03)でコンビを組んだことがある。

沙織の元に岸本春彦という男が訪ねてきて、老人ホームで働いて欲しいと頼んできた。その男は沙織の父である照雄の恋人だった。そして、その老人ホームは照雄がゲイのために作った施設だった。沙織は家族を捨てた父のことを恨んでいたが、お金が必要だったため働きに行くことを受け入れた。始めは入居者や父に対して距離を置いていた沙織だったが、彼らと接する内に心に変化が生まれる。

詳細 メゾン・ド・ヒミコ

老人ファームの評判・口コミ・レビュー

老人ファームのまとめ

本作は映画制作チーム「Mino Brothers」にとって初の劇場公開作品となったが、主人公を演じた半田周平にとっても映画初主演作となった。主人公の和彦はどちらかと言えば寡黙な人間で、感情があまり表に出てこない人物である。だからこそ、観客達は物語を見ながら和彦の心情や思考を自由に想像することができる。ロケは香川県高松市塩江町で行われており、のどかな景色やひっそりと佇むダム湖などが登場する。物語だけでなく、風景にも注目しながら見て欲しい作品となっている。

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