映画『噂の二人』の概要:女学校を共同経営する親友の女性2人が生徒の嘘から同性愛者であると噂され全てを失う。複雑な関係の親友同士をオードリー・ヘップバーンとシャーリー・マクレーンが演じている。1961年公開のアメリカ映画。
映画『噂の二人』 作品情報
- 製作年:1961年
- 上映時間:108分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
- 監督:ウィリアム・ワイラー
- キャスト:オードリー・ヘプバーン、シャーリー・マクレーン、ジェームズ・ガーナー、ミリアム・ホプキンス etc
映画『噂の二人』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『噂の二人』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『噂の二人』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『噂の二人』 あらすじ【起・承】
カレン・ライト(オードリー・ヘップバーン)とマーサ・ドビー(シャーリー・マクレーン)は17歳の頃から11年来の親友だ。2人で共同経営する寄宿制の「ライト・ドビー女学校」もようやく軌道に乗り始め、多忙だが充実した日々を過ごしていた。
カレンには医者をしているジョー・カーディン(ジェームズ・ガーナー)という婚約者がおり、次の休暇中に結婚することが決まる。それを聞いたマーサは、なぜかとても苛立つ。
学校で一番の問題児はわがまま育ちで嘘つきなメアリーだ。彼女は金持ちの権力者であるティルフォード夫人(フェイ・ベインター)の孫で、自分のわがままが通らない学校を嫌っていた。
カレンとマーサを悩ましている人物はもう1人おり、それはマーサの伯母で学校を手伝っているモーター(ミリアム・ホプキンズ)だった。モーターは元女優だが今はすっかり落ちぶれており、金銭的にマーサへ依存していた。
また嘘をついたメアリーはカレンに怒られ仮病を使う。ジョーが往診に来ている間、マーサとモーターは口論になる。モーターは、マーサがジョーに嫉妬してイラついている、マーサのカレンへの執着は異常だと彼女を侮辱する。その喧嘩を生徒が盗み聞きしていた。
メアリーはロザリーがヘレンのブレスレットを盗んだ事実を掴み、彼女からお金を脅し取る。そのお金で勝手に家へ帰り、ティルフォード夫人に怒られる。どうしても学校が嫌なメアリーは、モーターの“異常だ”という発言を勝手に膨らませ、カレンとマーサが同性愛者であるかのような話をでっち上げる。それを聞いたティルフォード夫人は驚き、すぐに他の父兄にもそのことを知らせる。
映画『噂の二人』 結末・ラスト(ネタバレ)
学校では理由もわからないまま父兄が次々と生徒を連れ帰ってしまい、カレンとマーサは混乱する。ようやく事情を聞き出した2人は、ティルフォード夫人の屋敷へ抗議に行く。
カレンとマーサが屋敷へ行くと、ジョーもいた。夫人の甥であるジョーはカレンとの結婚をやめるように説得されていたのだ。3人はこの話が事実無根であることを訴える。しかし夫人はそれを認めない。そしてついにメアリーが呼ばれる。
“2人が変なことをしているのを見た”とメアリーは嘘をつき続けるが、その嘘はすぐにバレる。しかし“実は見たのはロザリーだ”とさらに彼女は嘘を重ねる。ロザリーもメアリーの陰湿な脅しに屈して“メアリーの言うことは本当だ”と嘘をついてしまう。
カレンとマーサの噂は町中に広がり、さらに裁判をしたことで新聞にまで書かれてしまう。裁判は重要な証人であるモーターが証言を断ったことで敗訴し、2人は家から出られない日々を送っていた。そこへ金に困ったモーターが図々しく帰ってくる。マーサは伯母の無神経さに追いつめられる。
カレンのことで病院を辞職したジョーは、3人でどこか遠くへ行ってやり直そうと言いに来る。マーサはこの申し出を前向きに考えようとするが、カレンはジョーの変化に気づいていた。どこかで自分たちを疑っているジョーを信頼できなくなっていたカレンは、彼と別れる。
それを聞いたマーサは激しく動揺し、自分がカレンのことを愛しているのだと打ち明ける。マーサは17歳の時からカレンに恋愛感情を抱き、そんな自分を責め続けてきた。
そこへティルフォード夫人がやってくる。子供たちの嘘がついに判明したのだ。謝罪をしたいという夫人を、2人は冷たく追い返す。
カレンはマーサを励まし、1人で散歩に出る。しかしモーターがマーサを探す声を聞いて急いで家に戻る。マーサは自室で首を吊って自殺していた。
マーサの葬儀の日。多くの人が遠巻きにカレンを見つめる中、彼女はマーサに別れを告げる。そして誰にも声をかけることなく、1人でその場から去っていく。
映画『噂の二人』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『噂の二人』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
豪華キャストによる問題作
この映画が公開された1961年当時、オードリー・ヘップバーンとシャーリー・マクレーンはすでに超売れっ子の実力派女優だった。オードリー・ヘップバーンは同年に公開された「ティファニーで朝食を」でも主演をつとめているし、シャーリー・マクレーンはこの前年に出演した「アパートの鍵貸します」で多数の賞を受賞している。
そんな旬の女優2人をキャスティングしてこの映画を製作したのは、アカデミー監督賞を3回も受賞している名監督のウィリアム・ワイラーである。この映画が公開当時どれほどの話題になったのかは知らないが、様々な意味で問題作であったことは確かだろう。
複雑な事情
この作品で描かれているのは同性愛の問題だ。今では社会的認知度の高い同性愛も、この当時はまだまだ強い差別の対象であり、周囲の偏見と本人の苦しみは相当なものだったはず。だからこの作品もかなり暗いし重い。しかも結末に救いはない。
マーサはカレンを愛し、カレンはノーマルであることも物語を複雑にしている。2人の愛を貫くために世間と戦うのではなく、あくまでマーサの片想いが続いている状態なのだ。カレンに長年の想いを告白し、マーサは自殺する。自己嫌悪し続けることにも、この報われない恋にも疲れ果てたのだろう。このマーサの行動は単に同性愛への差別が原因ではないので、受け止め方が非常に難しい。
できればカレンがマーサのことをどう考えていたのか…彼女の本音が聞きたかった。
史上最強に憎たらしい子役
カレンとマーサが追いつめられる原因となったのはメアリーという生徒の嘘だ。このメアリーという少女の憎たらしさが半端ではない。顔も態度も何もかもがムカつく。ここまで腹が立つということは、彼女が物語の枷となる悪役として素晴らしい機能を果たしているということでもある。
よくぞこれほど憎々しい顔つきの子役を見つけてきたものだと感心した。あの底意地の悪そうな目つきや、わざとらしい嘘泣きや、ロザリーを脅すときの腹の据わった感じなど、メアリーには子供らしさが全くない。無邪気な子供の嘘というレベルではなく、悪徳政治家レベルにこいつは腹黒い。そして無慈悲だ。その邪悪さは強烈である。
つまりこの子役は上手いのだ。上手いところがまたイラっとする。オードリー・ヘップバーンやシャーリー・マクレーンよりメアリーの憎たらしさが一番印象に残ってしまった。ある意味すごい子役だ。
なんでこんなことになってしまったのだろうと非常に悲しくなると同時に、嘘をつき続け大人を苦しめたメアリーに対する苛立ちが隠せませんでした。演技であってもここまで見ている人をイラつかせるのは素晴らしいと思います。
同性愛者と言うだけで街から孤立してしまうなんて現代では考えられませんが、それが1人の生徒の軽はずみな嘘のせいだったなんて可哀想すぎました。
カレンとジョーの関係が終わってしまったのも悲しかったですが、マーサの気持ちを考えるとなんとも言えない哀れな気持ちになりました。
オードリーよりも、とにかくメアリーに注目してイライラしながら見て欲しい作品です。(女性 30代)
映画『噂の二人』 まとめ
「噂の二人」という邦題は何となく軽いし、話のイメージからずれる。原作となったリリアン・ヘルマンの小説「子供の時間」というタイトルの方がしっくりくる。
正直言って同性愛云々よりも“子供って怖い”という印象の方が強く、さらに子供の嘘に振り回される大人の浅はかさとバカさ加減に呆れてしまう。マーサは本気でカレンを愛していたので噂はまんざら全てが嘘でもなかったわけで、そこも混沌としている。
カレンの本音も最後まで見えないし、どうなっていてもマーサはいつか自殺したのではないかと思えてしまう。そうなると何が言いたいのかよくわからなくなる。
というわけで、役者の演技は良かったけれど映画としてはイマイチ。しかし子供の残酷さの描き方には容赦がなく、その点には素晴らしいリアリティーがあった。メアリーの凄さはちょっと見て欲しい。きっと最高にイライラできる。
みんなの感想・レビュー
メアリー役の子役の名前教えて。出演作品も
ラストの花をバックにしたヘップバーンの表情が美しくて、マーサの苦しみに共感できました。私は同性愛者ではありませんが。