お正月に観たいおすすめ映画ランキング10選 | MIHOシネマ

お正月に観たいおすすめ映画ランキング10選

家族や故郷のことを思い出しがちなお正月。お年玉をもらった子供たちはおじいちゃんやおばあちゃんと買い物へ出かけ、意外にやることのないお父さんやお母さん。はたまた、実家へ帰省せず、ひとりでゴロゴロしているような人におすすめの、家族をテーマにした映画を集めてみた。

お正月に観たいおすすめ映画ランキング10選

第1位 東京物語(1953)


東京で暮らす子供たちに会うため、広島の尾道から上京してきた老夫婦は、独立した子供たちとの埋められない心の距離を痛感する。そんな中、夫婦の救いとなったのは、戦死した息子の妻だった。

現在でも世界中から高い評価を得ている、小津安二郎監督の名作中の名作。しかし日本人でも未見の人は意外に多く、“若い頃に見たけれど、何だか退屈な映画だった”という感想もよく耳にする。確かに、この映画の深さは、10代では理解しにくい。しかし、親から独立して改めて見ると、ジワーンと込み上げてくるものが必ずある。特に自分も家庭を持ち、親になった人には是非とも見てほしい。

笠智衆の演じる父親と東山千栄子の演じる母親の親心。そして漠とした寂しさ。杉村春子の演じる長女に思わず自分を重ねてしまった時の気まずさ…。30代頃から数年おきに見ると、毎回違った感想が生まれてくる。この家族の有り様を通して、考えることは多い。

詳細 東京物語(1953)

第2位 ゴッドファーザー


マフィア組織コルレオーネ一家を率いるドン・ビト・コルレオーネは、周囲の人々から畏怖の念を持って“ゴッド・ファーザー”と呼ばれていた。フランシス・フォード・コッポラ監督が、血なまぐさいマフィアの抗争に巻き込まれていく家族の姿を通して、ドンの苦悩とファミリーの栄枯を描く。

これも超ド級の名作なので、作品の素晴らしさについて語るには、文字数がいくらあっても足りない。そこで今回は、この映画を楽しむための基本知識を書こう。

主人公のドンはシチリア島出身の移民で、愛妻のカルメラは貧困時代からドンを支えてきた。夫婦の実子は長男ソニー、次男フレド、三男マイケルと娘のコニー。ファミリーの相談役であるトムはドイツ系の孤児だが、我が子同然に育ててくれたドンへの忠誠心は厚い。ドンもトムを信頼している。家族の中でマイケルだけがドンに反発している。

クレメンザとテッシオは、ファミリーを立ち上げる前からドンと友人であり、日本の組織でいうところの若頭。表立って対立しているファミリーはタッタリアだが、黒幕はバルジーニ。抗争のきっかけを作ったソロッツォは、特定の組織に属していない麻薬密売人。ドンは昔気質のマフィアで、麻薬ビジネスは嫌い。

イタリア系マフィアは血へのこだわりが強く、原則としてイタリア人以外を正式なファミリーとして認めない。そのため、イタリア系以外の下っ端が幹部クラスにのし上がることは非常に難しい。

さて、これだけ予習すれば大丈夫。たっぷり時間の取れる正月休みこそ、この超大作に挑戦するチャンスだ。

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第3位 歩いても 歩いても


長男の命日に集まった家族のある夏の一日を描いたヒューマンドラマ。

是枝裕和監督は、リアルな演出が非常にうまい。母と娘が台所に立っている冒頭部分から、親子の会話は妙にリアルだ。樹木希林とYOUがアドリブで会話しているのかと思うほど、2人の会話は自然そのもの。今は老夫婦だけで暮らしている家の佇まいや、さりげなく置かれた小道具まで、多くの人が共感できる「実家」を再現している。

普段は3つのパーツに分かれて暮らしている家族が、1つのパーツになろうとする時、微妙な歪みや力関係の変化が生じる。時間の経過とともに隠してきた本音が飛び出し、綺麗事だけでは済まされない、夫婦や親子の問題が露わになってくる。樹木希林の演じる母親は、鬱陶しいけれどやはり切ない。原田芳雄の演じる父親もしかり。子供はあれこれ思うのだが、その気持ちを口にすることなく日常へ帰る。おそらく誰もが味わったことのある家族に対する“この感じ”を、見事に再現している。

詳細 歩いても 歩いても

第4位 お葬式


正月早々、お葬式とは縁起でもないと思われるだろうが、家族や親戚と接する機会の多いお正月こそ、この映画の面白さが倍増する。テーマはお葬式だが、この映画は秀悦なコメディなので安心して見てほしい。

突然義父の葬式を出すことになった俳優の井上侘助とその家族は、初めての経験にてんやわんや。悲しみに浸る間もなく通夜や告別式の段取りに追われ、集まってきた親戚や愛人に翻弄される。

伊丹十三監督がお葬式という厳粛な儀式の中にある笑いを抽出し、人間のリアルな無様さや愛しさを描いている。伊丹十三監督はこの作品で本格的な映画監督デビューを果たし、いきなり大ヒットを飛ばして日本映画界を背負う革命児となった。

とにかく切り口が斬新で、陰鬱さがないのがいい。この作品を見た後なら、家族で親の終活について明るく語り合えるだろう。ただし、かなり際どい濡れ場があるので、家族揃って見るには少々気まずい時間があるかもしれない。

詳細 お葬式

第5位 男はつらいよ


1969年から95年にかけて、全48作が作られた「男はつらいよ」シリーズはここから始まった。お正月映画の定番だったこのシリーズは、家族で見るのにぴったりの人情喜劇だ。

シリーズの1作目ということで、中学の時に家出した寅さんが、20年ぶりに故郷の柴又へ帰ってくるところから始まる。そこからはいつも通り、寅さんがひと騒動起こし、恋をする。この流れは、これ以降のシリーズにも受け継がれていく。

この作品の見どころは、寅さんの妹・さくらと印刷工場で働く博の結婚式だ。長年、息子とわだかまりのあった父親を志村喬がしみじみと演じており、息子を支えてくれる人々に深々と頭を下げる親の姿に泣かされる。

ちびちびお酒を飲みながら、寅さん三昧で過ごすお正月なんて…ちょっといい。

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第6位 リトル・ミス・サンシャイン


様々な問題を抱える一家が、美人コンテストに出場する娘のため、オンボロバスでニューメキシコからカリフォルニアまで旅をするロード・ムービー。低予算で製作された作品だが、脚本や演出が非常に秀悦で、映画は大ヒットした。

フーヴァー家は現在6人家族。母親のシェリル、夫のリチャード。子供はシュリルの前夫との息子ウェーンと異父妹のオリーヴ。同居中のシェリルの実兄はゲイで情緒不安定。さらに薬物の使用で老人ホームを追われたリチャードの父親エドウィン。この破天荒なおじいちゃんが、物語のキーマンになる。

冴えない一家の光はぽっちゃり気味のメガネっ娘オリーヴで、彼女は天真爛漫でとにかく前向き。オリーヴはキュートな少女だが、お世辞にも美人とは言えない。しかし彼女は超前向きに美人コンテスト「リトル・ミス・サンシャイン」での優勝を目指す。

この作品は家族で楽しめる良作なので、みんなでワイワイと鑑賞してほしい。大いに笑って、ちょっと泣ける。

詳細 リトル・ミス・サンシャイン

第7位 ギルバート・グレイプ


超肥満体の母親、失業中の長女、反抗期の次女、さらには重度の知的障害を持つ弟の面倒を見ながら、一家の大黒柱として労働を続ける長男のギルバート。彼はすでに自分の人生をあきらめていた。そんなギルバートの前に自由な心を持ったベッキーという女性が現れ、2人は恋に落ちる。

1993年公開の作品なので、主人公のギルバートを演じるジョニー・デップも、障害を持った弟アーニーを演じるレオナルド・ディカプリオも非常に初々しい。特に、19歳のディカプリオがアーニーを熱演しており、この映画に繊細な光を与えている。

多くの問題を抱える家族をリアルに描いているので、前半は少々憂鬱だ。そしてクライマックスもある意味で衝撃的。しかし鑑賞後には、切ないけれど心地のいい余韻が残る。

詳細 ギルバート・グレイプ

第8位 クレイマー、クレイマー


仕事人間だったテッド・クレイマーは、突然妻のジョアンナに家出され、5歳の息子ビリーと2人きりになる。テッドは慣れない育児や家事に戸惑い、仕事にも支障が出始める。ようやく2人の生活が落ち着いてきた頃、ジョアンナが姿を現わし、ビリーの養育権を主張し始める。テッドとジョアンナはビリーの養育権を巡り、法廷で戦うことになる。

家のことは妻に任せきりだったテッドが、少しずつ父親としての自覚を持つようになり、仕事よりもビリーの幸せを考えるようになっていく。この父親の心情変化を繊細に表現したダスティ・ホフマンは、この役で第52回アカデミー賞主演男優賞を獲得している。アカデミー賞では、作品賞、監督賞、脚色賞、助演女優賞(メリル・ストリープ)も受賞。さらにビリーを演じたジャスティン・ヘンリーも名演技を見せ、助演男優賞にノミネートされている。

ジョアンナも決して悪い母親だったわけではなく、ビリーのことを心から愛している。だから2人が養育権を争う法廷シーンはとてもつらい。そんなことにならないよう、この作品を見たお父さん方は、妻と子供を大切にしましょう。

詳細 クレイマー、クレイマー

第9位 愛と追憶の日々


衝突を繰り返しながらも、深い絆で結ばれた母と娘の30年間を追った珠玉のヒューマンドラマ。シャーリー・マクレーンとデブラ・ウィンガーがダブル主演を務め、共に第56回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。受賞したのは母親役のシャーリー・マクレーンだが、10代から30代までの娘役を見事に演じ切ったデブラ・ウィンガーの演技も素晴らしい。母親の恋人役を務めたジャック・ニコルソンも助演男優賞を受賞。他にも、作品賞、監督賞、脚色賞を受賞した名作。

この母親と娘はどちらも個性的な女性でかなりの毒舌家。それでも2人ともチャーミングで、実に魅力的。どんなに離れていても長電話を欠かさず、本音を語り合う。この親子は、白々しい馴れ合いの言葉を一切使わない。それでも、いかにお互いを愛しているかが、ひしひしと伝わってくる。特にクライマックスでは、無言のやりとりにその愛情が凝縮されており、込み上げてくるものを抑えきれない。

お正月からグッとくる映画を鑑賞したい人には猛烈におすすめする。

詳細 愛と追憶の日々

第10位 チョコレートドーナツ


最初に断っておくが、この映画の結末は大変に悲しい。しかし、血がつながっているから家族なのではなく、大切なのは愛で結ばれていることなのだと、この映画は心がヒリヒリするほど痛感させてくれる。ある意味では、最も純粋に愛だけで結ばれた家族の物語なので、このランキングに入れることにした。

ゲイ・カップルのルディとポールは、薬物中毒の母親に育児放棄されたダウン症の少年マルコを自宅に引き取る。3人に血のつながりはないが、ルディとポールはマルコに惜しみない愛情を注ぐ。そしてマルコも、生まれて初めての幸せと安らぎを感じていた。ところが、世間はこの異質な家族を許さず、無理矢理彼らを引き裂く。そしてマルコは、悲しい運命をたどることになる…。

ルディ役を演じたアラン・カミングがラストに熱唱するボブ・ディランの「I shall be released」が胸に突き刺さる。この作品は、互いを慈しむという家族の原点を教えてくれる。悲しい気持ちにはなるけれど、多くの人に見てほしい秀作。

詳細 チョコレートドーナツ