17歳のエスペンは家の仕事も手伝わず、自由に遊んで兄達を困らせてばかりいた。一方、王宮で暮らすキリステン王女は、父からの命令で王子と結婚させられそうになっていた。そんな2人が、森で出会い恋に落ちた。
映画『キング・オブ・トロール 勇者と山の巨神』の作品情報
- タイトル
- キング・オブ・トロール 勇者と山の巨神
- 原題
- The Ash Lad: In the Hall of the Mountain King
- 製作年
- 2017年
- 日本公開日
- 2018年8月1日(水)
- 上映時間
- 104分
- ジャンル
- ファンタジー
アドベンチャー
ラブストーリー - 監督
- ミケル・ブレネ・サンデモーセ
- 脚本
- アレクサンダー・カークウッド・ブラウン
エスペン・イェーガー - 製作
- アシルド・ランボルグ
チェラ・ホースダル - 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- ベビヨルン・エンガー
マッツ・ショーゴード・ペテルセン
エリアス・ホルメン・ソーレンセン
エイリ・ハーボー
アラン・ハイド - 製作国
- ノルウェー
- 配給
- インターフィルム
映画『キング・オブ・トロール 勇者と山の巨神』の作品概要
19世紀半ばのノルウェーが物語の舞台となっており、北欧神話に出てくる魔物「トロール」が登場する。政略結婚が嫌で逃げ出した王女が、この「トロール」に捕まってしまう。王女に恋をした青年は、貧しい家の出で真面目な性格とも言い難かった。しかし、王女を救おうと諦めることなく奮闘する。本作品はノルウェー本国で大ヒットを記録しており、多くの観客から愛される作品となった。ミケル・ブレネ・サンデモーセ監督は、『ラグナロク オーディン神話伝説』(13)の監督を務めたことで一躍有名になった。
映画『キング・オブ・トロール 勇者と山の巨神』の予告動画
映画『キング・オブ・トロール 勇者と山の巨神』の登場人物(キャスト)
- エスペン(ベビヨルン・エンガー)
- 貧しい家で生まれた、3人兄弟の末っ子。悪戯ばかりして、兄達を困らせている。
- キリステン(エイリ・ハーボー)
- 王女。政略結婚が嫌で、王宮を飛び出す。勝ち気な性格。
映画『キング・オブ・トロール 勇者と山の巨神』のあらすじ(ネタバレなし)
19世紀半ばのノルウェー。17歳のエスペンは家の仕事も手伝わず、悪戯をして兄達を困らせてばかりいた。一方、王宮で暮らすキリステン王女は、父からの命令でシグール王子と結婚させられそうになっていた。だが、キリステン王女はシグール王子と結婚するのがどうしても嫌で、王宮を飛び出し馬に乗って逃亡した。そんなエスペンとキリステン王女が森の中で出会い、恋に落ちる。
キリステン王女は山にいる魔王、「トロール」に連れ去られてしまう。王は報奨金を用意し、王女を救い出すよう国民達に呼びかけた。エスペンもキリステン王女の捜索に乗り出した。しかし、兄達は過酷な旅に嫌気が差し、捜索を止めたいと思うようになった。例え見つけたとしても結婚できるわけではないと弟を諭すが、エスペンは諦めようとはしなかった。果たして、エスペンはキリステン王女を無事に見つけることができるのか。
映画『キング・オブ・トロール 勇者と山の巨神』の感想・評価
トロール
トロールとは北欧の国の伝承に登場する魔物で、妖精の一種と言われている。特にノルウェーの国が、トロール伝承の発祥の地ではないかと言われている。国によって、トロールの姿は大きく変わる。最初の頃は、悪意に満ちた巨人の姿がトロールとして認識されていたが、時代と共に身長が小さくなっていった。そして、変身能力を持っており、どんな姿にでも変わることができると言われている。
これは一例であるが、地域によって一つ目の巨人だったり、赤い帽子を被った老人の姿だったりとトロールの姿に違いがある。本作品ではノルウェーの伝承を元に作成されており、巨大な体躯が採用されている。物語の随所に現れる、不気味で恐ろしいトロールの気配に注目しながら映画を楽しんで欲しい。
19世紀のノルウェーについて
19世紀にノルウェーでは、フランス革命やナポレオン戦争の影響で独立が模索されていた。しかし、なかなか上手くいかず、スウェーデンの支配を受けることになる。それでも、ノルウェーは自立の道を諦めなかった。その結果、国民からの圧倒的な支持と、スウェーデンとの交渉を経て、1905年に無血で独立を果たすことになる。
1814年に言論・表現の自由が憲法に明記されたが、スウェーデンの支配下にあったせいで、意味をなさなかった。きちんと言論・表現の自由が生かされるようになったのは、それから約25年後の1840年頃である。
恋愛面において、身分の差は大いに関係していた。本作品でエスペンとキリステン王女は恋に落ちるが、身分の差が大きすぎて、周りに関係が認められるようなものではなかった。
北欧神話×映画が得意なミケル・ブレネ・サンデモーセ監督
ミケル・ブレネ・サンデモーセは『ラグナロク オーディン神話伝説』(13)の監督を務めており、アドベンチャー×神話の物語を作るのが上手いと言える。『ラグナロク オーディン神話伝説』では北欧神話の「世界の終末」を題材にしており、その謎を解明しようと奮闘する考古学者の姿が描かれている。
本作品では、トロールの巨大な足跡や鼻の長い不気味な老婆などが登場する。自分が物語の世界に足を踏み入れたのかのような、ワクワクドキドキする気持ちが味わえる。テンポのいい音楽が美しい森林や川の映像と合わさることで、より自然を広大に感じることができる。本作品はノルウェーで大ヒットを記録しており、日常では味わえない迫力と興奮を体感することができる。
映画『キング・オブ・トロール 勇者と山の巨神』の公開前に見ておきたい映画
ラグナロク オーディン神話伝説
ミケル・ブレネ・サンデモーセ監督作品。北欧神話のラグナロク(終末の日)を題材にした、アドベンチャー映画。主役のシーグルを演じたのは、ノルウェー出身の俳優ポール・スヴェーレ・ハーゲンである。
考古学者のシーグルは、長年ヴァイキング船の研究を行っていた。ある日、ヴァイキング船が発掘され、シーグルも確認に向かった。その船内で、ルーン文字が発見される。それは、「リーテル・ヴィス・マーダル」と書かれていた。意味は「人に知り得ることは、わずかである」。シーグルがさらに調査をしていると、同僚がルーン文字が彫られた石版を持って現れる。シーグル達の調べにより、ルーン文字は「ラグナロク」について書かれており、どこかの地図を表していることが分かった。シーグルは子供や仲間と共に、その地図の場所に向かうことにした。
詳細 ラグナロク オーディン神話伝説
ヴァルハラ・ライジング
デンマーク×イギリスの合作。ヴァイキングの時代と北欧神話を元に作られているアドベンチャー映画。粗野で無骨な主人公を演じたのは、連続テレビドラマ『ハンニバル』でハンニバル・レクターを演じたことで話題にもなったマッツ・ミケルセンである。物々しい雰囲気と、息を呑むような迫力あるアクションシーンが特徴の作品となっている。
片目の男は奴隷として殺し合いをさせられていた。彼を生かしているのは、果てしなく深い憎悪だった。男には秘密の能力があった。それは、少し先の未来を予知する力だった。男はその力で川底にあった矢尻を発見し、こっそりと口に入れて隠し持った。そして、自分を奴隷として戦わせていた男達を倒し、自由を手に入れた。男が少年奴隷と共に歩いていると、ヴァイキングの戦士達がいた。
詳細 ヴァルハラ・ライジング
マイティ・ソー
アメリカのマーベル・コミックから出版された『マイティ・ソー』を元に作られている。北欧神話の神トールをベースにしている。ソーとはトールを英語で表記した名である。トールとは巨人と対決する戦神のことで、雷神・農耕神として人々から信仰を集めてきた。地上へと落とされたソーが、人間の女性に惹かれ、地球を守るために奮闘する姿が描かれている。
強暴ゆえに力を奪われ、神々に見捨てられた傲慢な戦士ソー。ソーが神の世界「アスガルド」から落とされた先にあったのは、人々が暮らす地球だった。女性達は空から落ちてきたソーを発見し、病院へと運んだ。一方、ソーの弟のロキが、眠りについた父の代わりに玉座へと就いた。そして、自分が父の実子ではないことを知ってしまう。ロキは父や兄に対して憎しみを募らせていく。
詳細 マイティ・ソー
パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々
ギリシャ神話をモチーフにした、ファンタジーアドベンチャー映画。リック・リオーダン原作の『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』シリーズの第1部『盗まれた雷撃』を元に作られている。監督のクリス・コロンバスは、他に『ホーム・アローン』(1990)や『ハリー・ポッターと賢者の石』(01)の監督を務めたことでも有名である。
17歳のパーシー・ジャクソンは、学校に通うごく普通の少年だった。ただ、他の人達とは違う特徴が1つだけあった。それは、水の中が好きで、7分間も潜水できる能力を持っていることだった。ある日、予言の神が現れたことで、パーシーの平穏な日常は終わりを告げる。予言の神は海の神「ポセイドン」と人間との間に生まれた子供であることをパーシーに教えた。実は最強の武器である「ゼウスの稲妻」が何者かに盗まれており、パーシーはその犯人として疑われて命が狙われていた。
映画『キング・オブ・トロール 勇者と山の巨神』の評判・口コミ・レビュー
『キング・オブ・トロール 勇者と山の巨神』
19世紀半ばノルウェー。政略結婚に我慢ならない王女は宮殿から抜け出すが、トロールに連れ去られてしまう。北欧ファンタジーアドベンチャー作。北欧らしい風景の綺麗さはあるが、トロールからの奪還の面白みは少なく、トロール映画の魅力は薄め。#映画館 pic.twitter.com/N2IJBzWDsT— 伊ト直 (@itonao70) 2018年8月9日
「キング・オブ・トロール~勇者と山の巨神」鑑賞。ノルウェーの伝説を映画化。18歳までに結婚しないと王女が魔物にさらわれてしまう。政略結婚を拒否して家出してトロールに捕まる王女。救おうとする貧乏な兄弟。教訓は「ガラクタでもとっておくといつか役に立つ」。王女の最後の決断が現代的。
— 竹田康一郎 (@tahtaunwa) 2018年8月3日
「キング・オブ・トロール」カリコレ。なかなか楽しい。古のノルウェーを舞台にしたフォークロアファンタジー。18歳までに結婚するという掟を破ったため、トロールに攫われたお姫様を救うため、三人の農夫の息子が冒険を繰り広げる。ハリウッド物みたいに、あまりモダナイズがされてない。#eiga #映画
— ノラネコの呑んで観るシネマ (@noraneko285) 2018年8月18日
映画『キング・オブ・トロール 勇者と山の巨神』のまとめ
北欧神話の「トロール」を題材にした映画で、青年と王女の身分違いの恋についても描かれている。「トロール」が山の魔王と恐れられているだけあって、山や森林が物語の舞台となっている。生い茂る木々や勢いよく流れる川など、豊かな自然は見ているだけでも気持ちが良い。そんな場所で、青年は必死に王女の行方を追う。身分の差があるせいで、王女を見つけたとしても結婚できることはない。それでも一途に王女を思う、青年の心が素敵だなと感じる作品である。王女も大人しい性格ではなく、嫌な結婚相手から逃亡するお転婆なところが好感が持てる。
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