アメリカメディアに大絶賛された、空前絶後の斬新な映画手法が話題となり、既に多くの注目を集めている新感覚サスペンススリラー映画。失踪した娘を探すため、父親が目を付けたのは娘のパソコン。映し出される画面の中から、父親と一緒に娘の行方を探し出せ!
映画『search サーチ』の作品情報
- タイトル
- Search サーチ
- 原題
- Searching
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2018年10月26日(金)
- 上映時間
- 102分
- ジャンル
- サスペンス
- 監督
- アニーシュ・チャガンディ
- 脚本
- アニーシュ・チャガンディ
セブ・オハニアン - 製作
- ティムール・ベクマンベトフ
セブ・オハニアン
アダム・シドマン - 製作総指揮
- マリヤ・ザトゥロフスカヤ
- キャスト
- ジョン・チョウ
テブラ・メッシング
ジョセフ・リー
ミシェル・ラー - 製作国
- アメリカ
- 配給
- ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
映画『search サーチ』の作品概要
ある日、16歳の女子高生マーゴットが姿を消す。父親デビッドは、消えた娘の消息を探るため、マーゴットのパソコンに目を付ける。娘が普段活用していると思われるInstagram、Facebook、TwitterなどのSNSにアクセスし、娘の足取りを追う。監督は、Googleグラスの身で撮影されたYouTube動画で注目を浴びた27歳のインド系アメリカ人、アニーシュ・チャガンディが抜擢。パソコンの画面がいくつもスクリーンに映し出され、進行していく新感覚サスペンススリラー映画。マーゴットの父親デビッドには、『スター・トレック』シリーズのスールー役、ジョン・チョーが演じる。
映画『search サーチ』の予告動画
映画『search サーチ』の登場人物(キャスト)
- デビッド(ジョン・チョー)
- 娘、マーゴットが突然行方不明となり、その消息を辿るために娘のパソコンでSNSにアクセスし、娘を探す。
- マーゴット(ミシェル・ラー)
- 16歳の女子高生。ある日突然失踪し、父親の前から姿を消す。Instagram、Facebook、Twitterなど多くのSNSにアカウントを持っている。
映画『search サーチ』のあらすじ(ネタバレなし)
母を病気で亡くして以来、デビッドとマーゴットは父娘の二人三脚で生活してきた。デビッドはマーゴットをピアノに通わせ、幸せな家庭を築いていると思っていた。父親から見る娘のマーゴットは、頭が良く友人も多い子供で、明るく活発な女の子。
そんなたった1人の家族である娘が、ある日突然消息を絶ってしまう。警察に届け出ると、行方不明事件として捜査されることに。しかし、37時間経ってもマーゴットの行方は不明なまま。居ても立ってもいられないデビッドは、担当の捜査官の勧めで娘のパソコンからSNSにアクセスしてみることに。
これでマーゴットの行方の手がかりが掴めれば・・・。そんな期待を胸に、アクセスしたデビッドの前に映し出されたのは、普段のマーゴットからは想像もつかない内容の数々。娘とはいい関係を築いてきていたはずだった、分かり合っていたとさえ思っていたのに、デビッドのショックは隠しきれず、苛立ちを覚える。
明るく振る舞っていたマーゴットは、父親に見せるための仮の姿で、本当の彼女は友達もおらず、窃盗や犯罪まがいのことを行い、知らない連中とつるんでいる。浮き彫りになるマーゴットの闇と、ソーシャルネットワーキングの中に孕んでいる闇が、デビッドの気持ちを引き裂いていく。
映画『search サーチ』の感想・評価
史上初、画面上のみで構成される映画手法
27歳で今作の映画監督として抜擢されたアニーシュ・チャガンディは、Googleグラスだけを使って作り出した映像“Seeds”をYouTubeに上げ、インターネット上でセンセーションを巻き起こし映画界に堂々のデビューを果たした期待の新生。2018年はアイディアを効かせた映画が数多く発表され、今回の『search サーチ』はその中でも群を抜いて注目されている。
2018年のサンダス映画祭観客賞を受賞した他、アメリカメディアでも多くの称賛を得ている。更に映画評論家の町田智浩氏は、スピルバーグやシャマランに次ぐ天才と称し、アニーシュ・チャガンディの才能を「死ぬほど怖い」とコメントしている。
公開されている予告では、「この映画は100%全てPC画面の中で展開する」の文字に続き、父親デビッドと娘マーゴットのテレビ電話がパソコン画面に現れる。そして、その画面で次々と巻き起こる事件の数々。画面から切り替わらないので、単調かと思えばサスペンス要素はきちんと押さえ外さない。
一般観客投票では90%が「観てみたい」と回答するほどの、2018年公開作品上トップクラスの期待度で、公開日までが待ち遠しい。
スタートレックシリーズのジョン・チョーが演じる、娘の姿に苦悩する父
ジョン・チョーは、『スター・トレック』シリーズのヒカリ・スルー役で有名な人気のアジア系俳優。2004年に主役を務めた『Harold&Kumar Go to White Castle』で大ヒットを収め、俳優として頭角を現して以降、アメリカだけでなく母国韓国でも人気が上昇している。
今回演じるのは、シングルファーザーのデビッド。一人娘のマーゴットが幼い頃に妻を亡くし、それ以来娘と二人三脚でやってきた。娘には厳しすぎず過保護過ぎず、母親の代わりも務めながら父でもありながら、でも一番近い距離で見守ってきた、「はずだった」。
明るくて活発的で、友達も多くて勉強もできる自慢の娘。父の目には、娘はそう映っている。だが、マーゴットのSNSを確認して発覚する彼女の闇。マーゴットは父に隠していた「闇」を持っていた。真実を知らされた父の苦悩する表情が映画ポスターにもなり、デビッド演じるジョン・チョーの演技力が見どころだと高評価を得ている。
ジョン・チョーの鋭い目つきで、事件は解決に導かれるのか。そして、娘とは無事に再会を果たせるのか。真実に戸惑い、時には声を荒げ、僅かな手掛かりを求めてパソコン画面を食い入るように見つめる姿に、父の深い愛を感じる。
ソーシャルネットワークサービスが孕んでいる「闇」
思春期の子供なら、誰しも親に秘密の内容の1つどころか100も200もあるだろう。真面目で明るく活発だと思われていた少女、マーゴットでさえたった1人の家族である父親に、自らの闇を隠してきた。
それが、インターネット上の友達なら打ち明けることができる。学校の友人などのリアルな友達ではなく、全世界のこれまで全く見たこともない、行ったこともない場所の人と繋がれるのがSNSの魅力。そんな、相手が誰だか分からない、画面上に表示されている情報でしか知ることのできない人に、本当の自分を曝け出す人は多い。
全く知ることのない他人だからこそ、現実世界で溜め込んでいる不満や苦痛を本音で語り合うことができる。それで救われる人もいるだろう。だが、不用意に曝け出してしまったことで、事件に巻き込まれてしまう人もいる。「悪いこと」への意識の低下も、ソーシャルネットワークサービスが孕んでいる闇の一1つ。
集団心理や同調意識が働き、「誰かがやっているなら自分も大丈夫」と安易に思い込む。特に善悪の判断が付きにくい幼少の子供たちは、悪い大人の格好の餌食になることも。今回のマーゴットの行方不明事件が、そうした悪い人たちに利用された被害者でないことを祈りたい。
映画『search サーチ』の公開前に見ておきたい映画
ハードコア
『search サーチ』のように、画面が固定されて進行する映画の手法はとても珍しく、2015年に公開された映画、『ハードコア』もまた、そう言った意味では注目を集めた作品。観客の目線が、劇中の主人公の視点で固定され、さながらFPSゲームなどをプレイしている感覚に陥る。
映画自体は多国籍の言語が飛び交い、主人公の設定などが全く分からないままストーリーが進み、主人公と同じ視点で物事を把握する。これがゲームと違うところは、映画ならではの臨場感やリアルさがあり、更にゲームではなくリアルであることから「どうやって撮影しているの?」と思わず疑問が浮かんでしまうことも。
カメラワークがないので、視点はころころと動き回り躍動感に溢れるため、観ている人は多少疲れてしまうこともあったようだが、その分ストーリーが単純明快化されているのでバランスが取れているとも言える。多少グロテスクな表現もあり、車酔いしやすい人や過激な表現が苦手な方にはお勧めできないが、ゲームの完全実写映画化と評価され、ゲーム好きには馴染みやすい映画と言える。
詳細 ハードコア
スター・トレック/スター・トレック イントゥ・ダークネス
1966年アメリカのテレビドラマ『宇宙大戦争』から始まったこの映画は、1969年にドラマの3シーズンが終了した後に製作される。その後、1979年に、映画版の第1作品目となる『スター・トレック』が公開される。
ジョン・チョーの出演している作品は、2009年に公開された劇場版の第11作品目に当たる新しい設定のもの。それまでのキャストを一新し、『宇宙大戦争』キャラクターの若年期を描いている。ジョン・チョー演じるスールーは、主人公カークの宇宙艦隊アカデミーの同期生。
操舵手が主な仕事で、腕は見事だがどこかおっちょこちょいな面もある憎めないキャラクターを、オリジナルのジョージ・タケイに負けず劣らず見事に演じている。戦う際には得意の日本刀で敵をなぎ倒すなど、アクション要素もきちんと押さえており、見どころのある映画。続く2013年の続編『スター・トレック イントゥ・ダークネス』でも、同じ役で出演し、1年後のストーリーで主人公カークと共に再び宇宙や地球を脅かす敵と戦う。
この作品は、60年代からの名作であるだけにファンも多く、ストーリーやキャストだけでなく映画自体も丁寧に作りこまれているので、ジョン・チョーの作品初見としては見やすい映画である。
詳細 スター・トレック
詳細 スター・トレック イントゥ・ダークネス
アンフレンデッド
今作の製作にも携わっているティムール・ベクマンベトフが製作を担当した、新感覚ホラー映画。27歳の鬼才、アニーシュ・チャガンディを抜擢したその手腕は、この作品よりも以前にいかんなく発揮され、これまでにない全く新しいホラー映画を作り出した。
裏話だが、『search サーチ』の監督にアニーシュ・チャガンディを指名した際、ティムール・ベクマンベトフはチャガンディに『アンフレンデッド』の続編の製作を考えていると伝えたそう。『search サーチ』がサスペンススリラー映画なのは、その名残かもしれない。
紹介する『アンフレンデッド』は、インターネットでのいじめを苦に自殺した女子高生のアカウントが、死後1年経ってから同級生たちを襲うというストーリー。同級生らが恐怖にひきつった表情でパソコン画面を凝視している様がとても印象的なホラー映画である。
携帯電話が普及した頃に日本で公開されたホラー映画『着信アリ』も、新しいホラー映画として一世を風靡したが、SNSが人々の中でなくてはならないツールとして確立された現代で、この映画はまさに起きてもおかしくない現象として受け止められている。
呪われた女子高生の怨念から、同級生たちがいかにして生き延びるのか、恐怖のほどは他のホラー映画と何の遜色もなく感じることができる。
詳細 アンフレンデッド
映画『search サーチ』の評判・口コミ・レビュー
「search/サーチ」を鑑賞!全編PCの画面上で物語が進行するという面白さがありつつ、そのアイディアだけでは終わらず二転三転するスリリングでサスペンスフルな物語展開と「親と子の絆」を描いた感動的な物語が素晴らしかった。監督天才かよ…
— Keita (@movielove0328) 2018年10月28日
『search サーチ』鑑賞。失踪した娘を探す父親を描いたアニーシュ・チャガンティ監督作品。パソコンの画面上だけで物語が進行するストーリーテリングに痺れた。同じ手法を用いた『アンフレンデッド』の方が好みではあるものの結末の読めない展開が最高。『放送禁止』を彷彿させる伏線の数々にご注目。 pic.twitter.com/7oGOiXjFYC
— だよしぃ (@purity_hair) 2018年10月28日
昨日、DCアンバサダーオフ会の帰りに、「search」見に行った。
ネットの評価が高かったからって理由で特に事前情報なく行ったんだけど、これが正解だった!!!
面白いし引き込まれるし何と言っても映像展開の新しさね。劇場のスクリーンでさらに画面の映像を見るって感じだね。
おすすめです!!! pic.twitter.com/t5kZ7AP5dA— yu:ma🏁 (@goal_way) 2018年10月28日
久々の映画館day!まずはsearch観た!
PC画面上でストーリー展開してくのに臨場感感じまくりで不思議な感じ😳伏線散りばめ過ぎで全然気付けないよ、すごい!!これはネタバレなしで観るべき!!
観る前はネットの恐さ再認識かなって思ってたけど、私はそれよりネットすご!!!が勝った😇— 恋奈 (@517_favor_la) 2018年10月28日
『search/サーチ』鑑賞。
超面白かった。アイディア以上に普通にサスペンスとして超良く出来てる。ふとした瞬間ただのSNSの電子文字や画像から向こう側に居る人間の悪意や気持ち悪さが滲み出て来るのがたまらない。この設定が生んだライブ感があるからこそ終盤は本気で登場人物の無事を祈ってた。— せぜあき (@sezeaki3) 2018年10月28日
映画『search サーチ』のまとめ
映画が始まってから最後の最後まで、パソコン画面から視点が動くことのない映画。と言われただけでは誰も見る気はしない。監督・脚本を担当した若き女性チャガンディも、同じことを思ったそうだ。しかし、製作のティムール・ベクマンベトフとミーティングを重ね、彼らの思いをすり合わせるにつれ、とても面白くて新しい映画ができると確信する。その言葉通り、メディアや人々の期待値は高まるばかり。失踪した娘の行方を知るために、劇場まで探しに行こうではないか。
みんなの感想・レビュー