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映画『ある少年の告白』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

アカデミー賞ノミネートの若手俳優ルーカス・ヘッジズ初主演で送る、NYタイムズ紙がベストセラーに選ぶ衝撃の実話。アメリカでたびたび話題となる、70万人が受けるセラピーが孕む<危険>を描く。

映画『ある少年の告白』の作品情報

ある少年の告白

タイトル
ある少年の告白
原題
Boy Erased
製作年
2018年
日本公開日
2019年4月19日(金)
上映時間
115分
ジャンル
ヒューマンドラマ
青春
監督
ジョエル・エドガートン
脚本
ジョエル・エドガートン
製作
ケリー・コハンスキー=ロバーツ
スティーブ・ゴリン
ジョエル・エドガートン
製作総指揮
レベッカ・イェルダム
ナッシュ・エドガートン
トニー・リップ
アン・ロアク
キャスト
ルーカス・ヘッジズ
ニコール・キッドマン
ジョエル・エドガートン
ラッセル・クロウ
フリー
ジョー・アルウィン
グザビエ・ドラン
トロイ・シバン
デビッド・ジョセフ・クレイグ
製作国
アメリカ
配給
ビターズ・エンド
パルコ

映画『ある少年の告白』の作品概要

俳優ジョエル・エドガートンの待望の監督第2作品目は、全米で大きな反響を呼ぶ実話をもとに描かれたドラマ。原作者のガラルド・コンリーが実際に体験し、その記録を回顧録として告白し、全米に知られることとなった「矯正治療」の内容を、エドガートン自ら脚本に起こす。自らも俳優として出演し、主演には『マンチェスター・バイ・ザ・シー』などで知られる実力派の若手俳優ルーカス・ヘッジズを迎える。脇を固めるのは、アメリカが誇る名優ニコール・キッドマンにラッセル・クロウ。

映画『ある少年の告白』の予告動画

映画『ある少年の告白』の登場人物(キャスト)

ジャレッド・エモンズ(ルーカス・ヘッジズ)
大学生になったばかりの19歳の青年。ある日の出来事をきっかけに、自身がゲイであることを思い知る。
ナンシー・エモンズ(ニコール・キッドマン)
ジャレッドの母親で、マーシャルの妻。一人息子のジャレッドをとても大切に育ててきた。
マーシャル・エモンズ(ラッセル・クロウ)
ジャレッドの父親で、ナンシーの夫。厳格なところがあり、余り融通が利かない。熱心なキリスト教信者であり、牧師でもある。
ヴィクター・サイクス(ジョエル・エドガートン)
キリスト教のバプテスト派の教会が運営する施設で、同性愛者を対象とした12日間の「救済プログラム」を指導する。

映画『ある少年の告白』のあらすじ(ネタバレなし)

19歳になり、大学生となったジャネットは、キリスト教のプロテスタント系の厳格な家で育つ。父は牧師で、母親もジャネットを大切にしながらキリストの教えを深く信仰していた。

そんな中、青春を謳歌していたジャネットは、ある大学のパーティーに参加する。そして、そのパーティーに参加していた1人の青年との出会いが、ジャネットの運命を大きく変える。

自分の内に秘められたものがあったと知り、ジャネットは深く悩む。両親に打ち明けるかどうか迷い、ついにジャネットはある夜、両親に自分自身の胸の内を告白する。「理由は分からないけれど、男に惹かれてしまう」と。

息子からの突然の告白に、両親が言葉を失うのも無理はなかった。キリスト教において、同性愛は認められていなかったからである。牧師の立場である父親は、そんな息子のことが受け入れられず、家族は次第にバラバラになっていく。

自分を認めてくれない父親に受け入れてもらいたくて、ジャネットは母の運転する車に乗る。自分自身を見つめなおすために、ジャネットは12日にも及ぶ「救済プログラム」を受けることになったのだった。

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映画『ある少年の告白』のネタバレあらすじ結末と感想
映画『ある少年の告白』のネタバレあらすじと感想。ストーリーを結末まで起承転結で分かりやすく簡単に解説しています。映画ライターや読者による映画感想も数多く掲載。

映画『ある少年の告白』の感想・評価

アカデミー賞俳優らが奏でる、驚愕の実話

主人公のジャレッド・エモンズを演じるのは、今作が映画初主演となるアカデミー賞ノミネートの若手俳優・ルーカス・ヘッジズ。彼の出演した『マンチェスター・バイ・ザ・シー』では、20歳と言う若さながら、世界中からその演技力の高さで脚光を浴びることとなった。

今作では、戸惑いながらも自分を偽ることなく両親に告白し、自分自身を見つめ葛藤を続けるジャネットを熱演したルーカス。己を否定されながらも、信念を貫こうとした強さが演技の中に垣間見える作品に仕上がっている。

また、ジャネットの母親役には、オーストラリア人女優として初めてアカデミー賞主演女優賞を受賞したニコール・キッドマン。ノミネートは4度に渡り、ゴールデングローブ賞には14度ノミネート、5度の受賞歴を誇るなど、ハリウッドきってのスターである。

父のマーシャル・エモンズには、『グラディエーター』で有名なラッセル・クロウ。彼もまた、『グラディエーター』でアカデミー賞主演男優賞を受賞した多彩な演技力の持ち主である。豪華に固められた俳優たちが奏でるのは、アメリカでも何度も問題に上った“性”の救済プログラムについて。日本でもデリケートに扱われる問題なだけに、名優たちの演技には多くの期待が寄せられる。

“危険すぎる”セラピーの真の顔

問題の「救済プログラム」は、「コンバージョン・セラピー」と呼ばれ、アメリカでは約70万人にも及ぶ人々に影響があると言われている。コンバージョンとは、日本でもwebマーケティングにおいて欠かすことのできない言葉である。直訳すると、「変化」「転換」というような意味で、元々は「顧客転換」と言われ今日まで使われてきた。

救済プログラムでの「コンバージョン」は、まさに“性”思考の転換(コンバート)を目的としている。原作者のガラルド・コンリーが実際に体験し、その体験を記録した回顧録を元に、この映画は制作された。

プログラム内の出来事は全て口外禁止で、全て内密にするように細かな禁止事項が設けられ、謎に包まれた施設内での出来事。ジェンダー・アイデンティティを強制的に“修正”し、変更しようとさせるプログラムには、科学的な根拠はなく、全て教会や施設の一存によって行われている。

プログラムを受けたことで、トラウマになったり、うつ病を発症したり、果ては自殺するものまで出ていると言われているプログラムについて、監督のジョエル・エドガートンが鋭く切り込みを入れる。

ジェンダーフリーが世界中で認められる時代に作り上げられる物語

世界では、同性愛や同性婚が合法として認められるようになって久しいが、日本ではまだまだ法の整備までは至っていない。そういった意味では、日本は諸外国から幾ばくかの後れを取っているとも言えるが、日本でもジェンダーレスなどの言葉が徐々に浸透してきている。

LGBTについての見識を広く取り入れ、各学校でも校則や制服の見直しがされるなど、誰もが住みやすい環境が整いつつある。だが、まだどこか“他人事”のように受け取られがちで、意を決して告白をしたがために家族の間に亀裂が入ってしまうことも。

その中で、こうした“性”や“アイデンティティ”について言及する映画が製作され、日本でも広く公開されることは喜ばしいことである。誰もが自分自身を否定することなく、否定されることもなく、真実の愛を求めるために生きていて良いのだと、背中を押してくれる。

誰かが誰かを愛するとき、そこに“性”は関係なく、ただその“人”にどうしようもなく惹かれたのだと、皆が笑い合える世界こそ、美しいと感じてならない。

映画『ある少年の告白』の公開前に見ておきたい映画

映画『ある少年の告白』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『ある少年の告白』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

ザ・ギフト

長編映画監督2作品目にして、衝撃の話題作のメガホンを取るのは、自身も俳優として活躍するジョエル・エドガートン。44歳と言う若さながら、『ある少年の告白』では監督・製作の他にも脚本を手掛けるなどマルチな才能を見せつけるエドガートン。

彼が初めて監督として作品を世に送り出したのは、2015年のことである。『ザ・ギフト』でも監督の他に製作と脚本を手掛け、人間の狂気が見せるサイコスリラー映画を作り上げた。

とある2つの家族を巡る、人間関係の内に秘められた恐怖は、知らず知らずのうちに映画に引き込んでいく。主人公サイモンとその妻ロビンは、新たな家に引っ越し幸せな生活を送る。だが、高校生時代の同級生ゴードン・モズリーと関りを持ったことで、その生活に影が落ち始める。

自宅に贈られてくる謎の「ギフト」。サイモンは、特別中の良かったわけではないゴードンからの贈り物に、段々と疲弊していく。だが、それは妻のロビンも同じであった。サイモンとゴードンの間には、高校時代に何かあったのではないか。ロビンのその予感が的中するように、それ以降サイモンの“嘘”で塗り固められた人生の化けの皮がはがれていくのであった。

詳細 ザ・ギフト

マンチェスター・バイ・ザ・シー

これは、2017年第89回アカデミー賞助演男優賞に、ルーカス・ヘッジズがノミネートされた作品である。ボストンで便利屋として生計を立てていた血の気の多い短気で粗暴な男、リー・チャンドラー(ケイシー・アフレック)が、突然兄を亡くし、故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻って来る。

幾年ぶりかに故郷の土を踏んだリーを待ち受けていたのは、兄の遺した甥のパトリック・チャンドラーであった。リーはパトリックの後見人に選出され、断ることもできず、兄を亡くした悲しみに暮れるティーンエージャー期真っ只中のパトリックと向き合うのであった。

ボストンのさらに北にある港町、太陽は陰ることが多く、どんよりとした雲が空を覆う街マンチェスター・バイ・ザ・シー。余りにも辛い過去のため、町から出て故郷に背を向け続けてきたリーは、何の前触れもなく過去の悲劇と向き合わなくてはならなくなる。

ルーカスのアカデミー賞ノミネートだけでなく、ケイシー・アフレックがアカデミー賞主演男優賞を受賞し、その他でも多くの賞を受賞したこの作品は、ルーカスの代表作として相応しい。キャッチコピーの“癒えない傷も、忘れられない痛みも、その心ごと、生きていく”とある通り、彼らの抱える痛みを、お互いで支え合い補い合い、懸命に生きていく姿に感銘を受ける。

詳細 マンチェスター・バイ・ザ・シー

ムーンライト

『ある少年の告白』と同じ2016年に公開され、第89回アカデミー賞では、『ある少年の告白』を押さえて作品賞を受賞した。更に、ルーカスがノミネートされた助演男優賞では、『ムーンライトに出演していたマハーシャラ・アリが受賞している。

1人の人間の物語を、3部構成で製作し、成長の過程を描くヒューマンドラマ。内気な少年シャロンは、仲の良いケヴィンに支えられながら生き、しかしティーンエージャー期で決別し、大人になっても理解し合えないでいた。

しかし、大人になったことで憎かった母や歩み寄れなかったケヴィンに胸の内を吐露することができ、シャロンは少しずつ生き辛いながらも自分の人生が幸せなものであると理解する。同じようにケヴィンも、自分が理想としていた人生ではなかったが、生きることに喜びを感じており、2人は和解することになる。

自分の感情を押さえられずに、相手に刃のようにぶつけてしまうティーンエージャー期を乗り越え、ようやく手を取り合えた最後のラストシーンは、感動的である。そして、『ある少年の告白』とはまた違った性的マイノリティについて、人生の葛藤と喜びを教えてくれる作品でもある。

詳細 ムーンライト

映画『ある少年の告白』の評判・口コミ・レビュー

映画『ある少年の告白』のまとめ

この映画が多くのメディアで話題を呼んでいるのは、アカデミー賞俳優たちの活躍だけではない。この映画で、ジャネットが自身の性について見つめるきっかけとなった少年や青年たちが、あまりにも美しいと話題なのだ。主題歌を手掛けるシンガーソングライターのトロイ・シバンを始め、カリスマ的人気の映画監督グザビエ・ドランや、テイラー・スウィフトと交際中と囁かれるジョー・アルウィンなど。ジャネットが心奪われるのも無理はないと思ってしまう程、彼らは物憂げな表情・端正な顔立ち・放たれる存在感の全てで魅了してくる。

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