『パルプ・フィクション』や『ジャンゴ 繋がれざる者』などのプロデューサーが、次に手掛ける話題作。リーアム・ニーソン主演で送る、模範市民賞を受賞したマジメな男の復讐劇。息子を殺された父親の無念が、2つのマフィアと警察を巻き込む大騒動に発展する。
映画『スノー・ロワイヤル』の作品情報
- タイトル
- スノー・ロワイヤル
- 原題
- Cold Pursuit
- 製作年
- 2019年
- 日本公開日
- 2019年6月7日(金)
- 上映時間
- 119分
- ジャンル
- アクション
フィルムノワール - 監督
- ハンス・ペテル・モランド
- 脚本
- フランク・ボールドウィン
- 製作
- マイケル・シャンバーグ
アミート・シュクラ
スタイン・B・クワエ
フィン・イェンドルム - 製作総指揮
- ポール・シュワルツマン
マイケル・ドライヤー
ロン・ハルパーン
ディディエ・ルプファー
シャナ・エディ=グラウフ - キャスト
- リーアム・ニーソン
ローラ・ダーン
トム・ベイトマン
エミー・ロッサム
ジュリア・ジョーンズ
ウィリアム・フォーサイス
トム・ジャクソン
ドメニク・ランバルドッツィ - 製作国
- アメリカ
- 配給
- KADOKAWA
映画『スノー・ロワイヤル』の作品概要
模範市民賞を受賞するほどまじめな男が、息子の死をきっかけに豹変し、2つのマフィアと警察を巻き込んだ復讐劇を展開する壮絶な物語。主演は『シンドラーのリスト』や『バットマン ビギンズ』などのリーアム・ニーソン。監督は、ノルウェーの鬼才と言われるハンス・ペテル・モランド。自身が2014年にステラン・スカルスガルド主演で撮影したクライム映画、『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』をセルフリメイクする。製作には、1994年にメガヒットを記録した『パルプ・フィクション』や『ジャンゴ 繋がれざる者』のマイケル・シャンバーグが名を連ねる。
映画『スノー・ロワイヤル』の予告動画
映画『スノー・ロワイヤル』の登場人物(キャスト)
- ネルズ・コックスマン(リーアム・ニーソン)
- アメリカコロラド州のキーホーで除雪作業員として働く真面目な男。つい最近、模範市民賞を受賞したばかり。
- バイキング(トム・ベイトマン)
- キーホーで名の知られる麻薬王。だが、健康志向でデスクには青汁が常に置いてある。
- ホワイトブル(トム・ジャクソン)
- バイキングの治めるマフィアと敵対しているもう1つのマフィア。ネイティブアメリカンの麻薬王。
- キム・ダッシュ(エミー・ロッサム)
- キーホーの警察署に勤務する女性巡査。2つのマフィアが始めた抗争の解決のために奔走する。
映画『スノー・ロワイヤル』のあらすじ(ネタバレなし)
マジメが取りえで、除雪作業員という仕事をきっちりこなすコックスマン。彼が住んでいるのは、アメリカのコロラド州にあるスキー・リゾートとして知られる田舎町のキーホー。夥しい量の雪が降る街で、コックスマンの除雪作業車は日夜フル活動をしていた。
そんなコックスマンは、田舎町の交通事情が絶たれることのないよう懸命に働き、街に貢献する姿が称えられ模範市民賞を受賞したばかりだった。だがその傍らで、ドラッグの行方を巡って、大切な1人息子が地元のギャングに殺されてしまっていた。天国から地獄へ突き落とされたコックスマンは、その日から復讐に身を焦がす。
息子を殺したのがギャングだと分かると、コックスマンは犯罪小説で学んだ付け焼刃の知識で、お手製の猟銃を作り犯人探しに躍起になる。しかし、コックスマンのその行動が、雪に囲まれた田舎町で縄張り争いをしているギャングたちを始めとし、予想外の出来事を次々と引き起こしていくのだった。
映画『スノー・ロワイヤル』の感想・評価
真面目な除雪作業員と愉快な仲間たち
この作品の見どころは、登場するキャラクターたちの個性が異様に際立っているところにある。主人公は、筋骨隆々で数多の死線を潜り抜けてきた凄腕の元軍人、などではない。主人公は、至って真面目な雪国には欠かせない除雪作業員。だが、息子が殺されたことで復讐の鬼と化す。これまで、復讐に燃える主人公の職業が除雪作業員だった映画を、見たことがあるだろうか。
そして、主人公が暮らしている街で縄張り争いをしている2つのギャング。その片方は麻薬で稼いできたにも関わらず、健康志向で青汁が手放せない。もう片方は、ネイティブの誇りを持っている生粋の麻薬王。その他にも、マスタングやスモークなどの奇妙な呼び方で呼び合う手下たち。
映画に登場するのは、男性たちばかりではない。女性警察官キムは聡明な女性で、町を守る使命に燃えるが、彼女を始め警察たちは町で起きた大きな殺人事件に浮かれてテンションが上がりまくっている。また、主人公の苦しみを支える妻や麻薬王を夫に持ち、ネイティブであることで苦労し苦しんできた妻もいる。様々な立場や視点から町を見つめ、男たちの留まることのない感情的な争いごとを、観客たちはただただ静観する。何ともシュールで面白可笑しな映画である。
血塗られたアメリカ史
復讐に燃える主人公、縄張り争いをしている2つのマフィア、地元警察。珍しい4つ巴の戦いに、ネイティブアメリカンのマフィアを登場させたのは、モランド監督が映画を撮る前からアメリカの先住民族に関する歴史や、彼らの住んでいた土地などに興味を持っていたからだ。
モランド監督は、彼らのこれまでの物語を映画の中に取り入れるために脚本を担当したフランクと話し合い、ネイティブアメリカンについて更にいろいろと知っていったと言う。そのおかげで、それぞれのキャラクターによりリアリティが生じ、どんなことを感じるのか、どんな行動をしそうなのかを予測できたそうだ。
この映画の面白いところは、映画自体はサイコスリラー映画なので一部フィクションにしてあるものの、ネイティブアメリカン人口が衰退している事実などにもきちんと触れている。更に、白人のマフィアであるバイキングが、ネイティブアメリカンのマフィアであるホワイトブルを馬鹿にする様子も注目したい。バイキングは白人だが、元妻がネイティブでもあったので、彼らの人間模様は多くの要素を孕んで複雑化しており、そのおかげで登場する人物たちの人間味がより増している。
コメディセンスも外さない復讐劇
『スノー・ロワイヤル』に登場する人物らについて、先にも記述した通りどこか「ぶっ飛んだ」ところが多い。通常、ギャングやマフィアとして登場するボスは威厳があり、上段の通じないシリアスな人物像が思い浮かぶ。しかし、この映画に登場する人物らは例外なく全てネタにされ、いじられる。それはお互いのボスも相違ない。
その点に、きっと観客は驚き思わず口元を緩めるかもしれない。更に、バイキングとホワイトブルのそれぞれのマフィアの違いもこの映画の魅力である。バイキング率いるギャングらは、あらゆる人や物を見下すことに優越感を感じている。そして、自分が欲しいものは必ず手に入れるという、いわゆる「普通」のマフィアである。一方で、地元に根を下ろすホワイトブル率いるギャングらは、とても自由な生活を送っており、傍から見たら脅威を感じない。リーダーであるホワイトブルの人間性や手腕もさることながら、彼らは雪の中をはしゃぎまわりスキーをしたり雪合戦をしたり、大の大人がじゃれ合っている。
ロッキー山脈が望める雪山から、広大な自然の中優雅に暮らす生活を送っているホワイトブルらを見ていると、これが本当にサイコスリラー映画なのかと思わずにはいられない。そしたコメディ要素も余すところなく盛り込んでいるところが、この映画の魅力である。だが、そんな彼らの生活に忍び寄る除雪作業員のコックスマンの復讐心が、「報復はいずれ自分に跳ね返る」ということを思い出させてくれる。
映画『スノー・ロワイヤル』の公開前に見ておきたい映画
ファイティング・ダディ 怒りの除雪車
今回の『スノー・ロワイヤル』のリメイクのきっかけになった2014年ノルウェーとスウェーデン合作の映画である。監督は、今回と同じハンス・ペテル・モランド監督で、『スノー・ロワイヤル』はモランド監督のセルフリメイク作品となる。
物語の大筋は特に変わらず、息子を殺された除雪作業員の父親が息子の報復のために、犯罪組織の構成員らを手に掛け、抗争に巻き込まれていくストーリー。主人公の初老の男性ニルスを演じるのは、『マイティー・ソ』シリーズにも出演しているステラン・スカルスガルド。脇を固めるのは、ブルーノ・ガンツやポール・スベーレ・ハーゲンなど有名どころが並ぶ。
事件は北欧の雪が積もる街で起こり、アメリカのブラックジョークとはまた一味違ったブラックユーモアが映画のそこかしこに散りばめられている。美しい北欧の国で起きる凄惨な事件と、映画に加味された北欧のブラックユーモアは、なかなか普段見ることのできない貴重なテイストなので、ぜひそれぞれの映画の違いを堪能してもらいたい。
詳細 ファイティング・ダディ 怒りの除雪車
パルプ・フィクション
映画界に数多くあるクライム映画の中でも、特に有名で1994年アカデミー賞では7部門ノミネートの『パルプ・フィクション』。今回の『スノー・ロワイヤル』にも登場するギャングマフィアに所属している人物の短編物語の複合体となっている。
プロローグとエピローグがあり、それ以外に3つの副題からなっている。アメリカの名優・ジョン・トラボルタやサミュエル・L・ジャクソン、ブルース・ウィリスやユマ・サーマンなど、大御所の名前ばかりが並ぶ。ジョン・トラボルタ演じるヴィンセント・ベガとブルース・ウィリス演じるブッチ・クーリッジがメインの主人公となっている。
ベガはギャングのボスの部下の殺し屋で、クーリッジはプロボクサーである。彼らに接点はないが、クーリッジはボクシングの試合でベガのボスから八百長試合の依頼をされる立場にある。物語が進むにつれてそれぞれと関わりを持っていくが、この映画では普通の時間軸とは違う物語の流れになっているのも面白い。アカデミー賞で7部門ノミネートした後、脚本賞を受賞したことも、映画を見たら納得できるだろう。この映画には、『スノー・ロワイヤル』の制作にも名を連ねているマイケル・シャンバーグも関わっており、『スノー・ロワイヤル』にはシャンバーグの経験が生かされていると言ってもいい。
詳細 パルプ・フィクション
スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス
北アイルランドを代表する俳優・リーアム・ニーソンの代表作。これまで多くの賞を受賞する実力のある俳優で、1999年に公開された『スター・ウォーズ エピソード1』では、主役のクワイ=ガン・ジンを演じる。クワイ=ガン・ジンは、オビ=ワン・ケノービの師匠であり、ジェダイ・マスターでもある人物。
『スター・ウォーズ エピソード1』は、『スター・ウォーズ』シリーズの第4作品目に当たり、前作の『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』後16年ぶりとなる政策となった。スター・ウォーズファンにとっては待ち焦がれた瞬間であり、更に監督が『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』以来22年ぶりとなるジョージ・ルーカスであったことも、嬉しい知らせとなった。
今でも世界中にファンを持ち、スピンオフ作品や関連作品を含めると多くの作品を世に送り出した『スター・ウォーズ』シリーズ。リーアム・ニーソンの活躍を振り返るのと同時に、思わず『スター・ウォーズ』シリーズまで振り返ってしまいそうになる。
詳細 スター・ウォーズ エピソード1 / ファントム・メナス
映画『スノー・ロワイヤル』の評判・口コミ・レビュー
#スノー・ロワイヤル
無関係な事件に巻き込まれた息子のために復讐の鬼となるリーアム・ニーソン演じる”コックスマン”がかっこよすぎる…!
模範市民が麻薬組織を除雪駆除
モブキャラすら魅力的で所々にクスッと笑えるブラックユーモア溢れる作品
こういう映画のラストはあっさりしていて気持ちがいい pic.twitter.com/S3vVZkAC0j— ぐさり (@ajems_s) 2019年6月8日
スノー・ロワイヤル
観てきました!
この男に目を付けられたら終わりだ!暴れ出すリーアムパパ!
明らかに一般人には見えない除雪作業員リーアムパパが息子の復讐で麻薬ギャングを全員除雪!
とにかく片っ端から人が死ぬ!流れ作業で人が死ぬ!こんなにも人の命が軽い映画は96時間以来でしたよ! pic.twitter.com/hBdKrzWc1S— ハランベック (@ksZpsezG9HWCLBS) 2019年6月8日
「#スノー・ロワイヤル」
勘違いで殺害された息子への復讐をブラックユーモア仕立てでテンポ良くみせてくれるのだが…復讐劇にしては悲愴感皆無序盤のシリアス差は何処へやらで終盤に向けて死人が出れば出る程シュールな笑いに包まれる謎な作品ww
色々な意味で、かなり賛否両論な映画ではないかな pic.twitter.com/24WPrQVdwY— 零@映画垢 (@silentwater04) 2019年6月7日
『スノー・ロワイヤル』
年間ベストを決める時に10位に入れておきたい映画。
「怒れるリーアム」はひとつのジャンルとして確立されていて監督の技量が試される。薄氷の上に存在していた危うい対立関係にリーアムが亀裂を入れたら後は勝手に死んでいく!
リーアムとキアヌは怒らせたらダメ!絶対! pic.twitter.com/GRDs23zXsl— メトロポリタン (@redsoil3) 2019年6月8日
『スノー・ロワイヤル』
キレた相手がリーアム・ニーソンとは不運が過ぎる!悪人、全員、除雪!確認不足甚だしい勘違いの連鎖は、収拾のつかない抗争を生み、クセもの揃いの噛み合わなさが滑稽過ぎる。派手さは無いが、死の演出などシュールなブラックユーモアに溢れ、近年のリーアム作品の中でNo.1! pic.twitter.com/Cct5OJXZto— じょび (@moviejovi0116) 2019年6月7日
「 スノー・ロワイヤル 」鑑賞。
いつも通りとんでもないリーアム・ニーソンでした。田舎の雪街って本当無法地帯で草。テンポよく人が死んでいって所々笑わせてくる映画でした。そして除雪車が戦車みたいにカッコよかったです。最後1番笑えるので是非観てください。 pic.twitter.com/jozBOcR5MW— しんのすけ (@ogt_tm) 2019年6月7日
映画『スノー・ロワイヤル』のまとめ
今回の作品は、復讐劇がメインとなっているがやはりコメディ的な要素が入っているので、予告やポスターもとにかく面白おかしく作られている。映画のオフィシャルサイトや宣伝サイトを見ても、「模範市民賞受賞男、ブチギレ」や、「リーアム・ニーソン、ブチギレ」などの単発的でとても分かりやすい説明が並ぶ。後先考えず「全員、除雪だ」とキレたリーアム・ニーソンの表情は、迫力がある。嫌なものや不要なものを排除することを指す言葉として、「除雪する」がトレンドワードにもなりそうである。
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