今野秋一は転勤することになり、岩手県に引っ越した。孤独な日々を送る中、同僚の日浅典博と出会う。今野は唯一の友として、日浅と交流を持ち仲を深めた。そんなある日、日浅の行方が分からなくなる。
映画『影裏』の作品情報
- タイトル
- 影裏
- 原題
- なし
- 製作年
- 2020年
- 日本公開日
- 2020年2月14日(金)
- 上映時間
- 134分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
ミステリー - 監督
- 大友啓史
- 脚本
- 澤井香織
- 製作
- 榧野信治
藤田浩幸
中部嘉人
岩上敦宏
松田美由紀
安部順一
五十嵐真志
吉田憲一 - 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- 綾野剛
松田龍平
筒井真理子
中村倫也
平埜生成
國村隼
永島暎子
安田顕 - 製作国
- 日本
- 配給
- ソニー・ミュージックエンタテインメント
映画『影裏』の作品概要
「第157回芥川賞」を受賞した作家・沼田真佑原作の小説を元に制作された作品。映画『るろうに剣心』シリーズや映画『ミュージアム』(16)などヒット作を手がけてきた大友啓史がメガホンを取った。主人公の今野秋一は、転勤先で同僚の日浅典博と仲良くなる。だがある日突然、日浅が行方不明になってしまう。今野は日浅を探す過程で、自分が知らなかった彼の裏の顔を知ることになる。綾野剛、松田龍平、中村倫也、平埜生成、國村隼など、実力派俳優が集結している。
映画『影裏』の予告動画
映画『影裏』の登場人物(キャスト)
- 今野秋一(綾野剛)
- 30代。会社の転勤により、岩手県盛岡市に引っ越す。日浅と出会い、友達として距離を縮めていく。
- 日浅典博(松田龍平)
- 30代、今野と同い年。今野の同僚。ある日、突然行方が分からなくなる。裏の顔を持つ。
映画『影裏』のあらすじ(ネタバレなし)
今野秋一は転勤することになり、岩手県盛岡市に引っ越した。家族も知り合いもおらず孤独な日々を送っていたある日、同僚の日浅典博と出会う。今野は日浅と交流を深め、友情を育んでいった。
今野と日浅は夜釣りに出かけ、いつものように楽しんでいた。しかし、ひょんなことをきっかけに、2人の間に亀裂が入ってしまう。険悪な雰囲気を変えることができないまま、2人は帰宅した。そして、日浅の行方が分からなくなってしまう。
数か月後、今野は日浅の行方を探そうと、彼の父・征吾に会いに行った。だが、征吾は縁を切ったと言って、典博のことを探そうとはしなかった。今野は諦めることができず、彼の手がかりを求めた。そして、明らかになったのは、今野が知らない日浅の裏の顔だった。
映画『影裏』の感想・評価
芥川賞受賞作を実写映画化
沼田真佑原作の短編小説を元に制作された作品。沼田は小説『影裏』でデビューし、「第122回文學界・新人賞」と「第157回芥川賞」を受賞している。短い作品ながらも人の思いや関係性が丁寧に描かれていることから、純文学の中でも特に高い評価を受けている作品である。
物語の主人公である今野秋一は転勤をきっかけに岩手県盛岡市に引っ越し、友達や家族がいない環境で孤独な日々を送っている。そんな時に出会ったのが、同僚の日浅典博だった。今野は日浅と交流を持ち、親友と思えるほど心の距離を縮めていった。しかし、ある日突然日浅が行方不明になってしまう。なぜ日浅が行方不明になったか分からず、今野は捜索を開始した。そこで分かってきたのは、今野の知らない日浅の裏の顔だった。日浅はなぜ姿を消したのか、彼の本当の思いは何処にあるのか、最後まで引き込まれるストーリーになっている。
ヒットメーカー・大友啓史監督
メガホンを取ったのは、数々のヒット作を世に送り出してきた大友啓史監督。今までに映画『るろうに剣心』シリーズや映画『ミュージアム』(16)など、アクションからミステリーまで幅広いジャンルの作品を手がけてきた。
脚本を執筆したのは、脚本家の澤井香織。作家アンソニー・ドーアの短編小説を元に制作された『シェル・コレクター』(16)やアラサー女性の片想いを描いた『愛がなんだ』(19)などの作品を手がけている。
音楽を担当したのは、作曲家だけでなくギタリストとしても活躍している大友良英。NHK連続テレビ小説『あまちゃん』や映画『鈴木先生』(12)などの作品を手がけている。NHK連続テレビ小説『あまちゃん』の際には、「東京ドラマアウォード2013・特別賞」や「第78回ザテレビジョンドラマアカデミー賞・特別賞」などの賞も受賞している実力者である。
俳優、綾野剛×松田龍平
主人公の今野秋一を演じたのは、俳優の綾野剛。『クローズZERO II』(09)や『新宿スワン』シリーズなどに出演しており、不良やスカウトマンなど個性豊かなキャラクターを演じてきた。今回演じた今野は今まで演じたキャラクターとは一味違い、孤独を抱える男性で平凡ながらもどこか影を感じる人物である。
もう1人の主人公と言える日浅典博を演じたのは、俳優の松田龍平。裏の顔を持つ日浅を見事に表現している。さらに、國村隼、筒井真理子、中村倫也、安田顕など重厚な物語にピッタリと合う、演技派俳優達が集結している。
彼らの演技だけでなく、美しい風景にも注目してもらいたい。岩手県盛岡市が物語の舞台になっており、懐かしさが感じられる街並みや綺麗な木々などを見ることができる。
映画『影裏』の公開前に見ておきたい映画
ミュージアム
大友啓史監督の代表作。巴亮介原作のサスペンス・ホラー漫画を元に制作された作品。WOWOW開局25周年を記念に制作され、小栗旬が主演を務めた。猟奇殺人を繰り返す通称・カエル男と、彼を追う警視庁捜査一課の刑事・沢村久志の姿が描かれている。海外からも人気が高いロックバンド「ONE OK ROCK」の楽曲『Taking Off』が主題歌に起用されている。
雨の日だけ現れる猟奇殺人鬼。立て続けに起こる殺人事件では、いずれも雨合羽を着た不審人物が目撃されていた。しかも、その不審人物は、カエルの被り物を被っていた。警視庁捜査一課の刑事・沢村久志は事件の調査を開始するが、逆に犯人の罠に嵌り追い詰められている。カエルの被り物をした人物は何者なのか、犯人の意図とは?沢村は事件を解決することができるのだろうか。
詳細 ミュージアム
クローズZERO II
綾野剛の出演作。高橋ヒロシ原作の少年漫画『クローズ』を元に制作されている。原作の漫画は累計発行部数4000万部を超える超人気作。劇場版第一弾目は2007年10月に公開されており、25億円の興行収入を得ている。綾野剛は鳳仙学園2年の狂戦士・漆原凌を演じた。
不良達が集まっている鈴蘭男子高等学校。滝谷源治は鈴蘭のトップに立つため、最強の男・林田恵に戦いを挑んだ。その時は負けてしまうが、滝谷は勝つことを諦めたわけではなかった。数か月後、鈴蘭とライバル校の鳳仙学園は、とある理由から休戦協定が敷かれていた。しかし、刑務所に服役していた鈴蘭の川西昇が出所したことにより、再び鈴蘭と鳳仙学園の抗争が始まってしまう。
詳細 クローズZERO II
ぼくのおじさん
松田龍平の出演作。北杜夫原作の児童文学を元に制作された作品。松田龍平は屁理屈ばかりこねる、ぐうたらなおじさんを演じた。松田にとっておじさん役を演じるのは、本作が初めてである。物語の後半の展開や時代設定など、原作とは異なる部分が多数ある。山下敦弘が監督を務め、須藤泰司が脚本を執筆している。
小学生の春山雪男のおじさんは、我が家に居候していた。おじさんはインテリだったがボンクラで、家で一番の役立たずだった。そんなおじさんが、ある日恋をした。恋をした相手は、日系4世の稲葉エリー。エリーは実家のコーヒー園を継ぐため、ハワイに帰っていった。おじさんはエリーを追いかけ、雪男を連れてハワイに出発した。果たして、ダメ男のおじさんの恋の行方とは!?
詳細 ぼくのおじさん
映画『影裏』の評判・口コミ・レビュー
大友啓史監督「影裏」@新宿バルト9。沼田真佑原作のミステリー。原作未読だが、想定外のLGBT映画だ。これは一人のゲイの青年の静かで激しいラブストーリーだ。演じる綾野剛がひたすら素晴らしい。自分とは真逆の自由な不良性に惹かれる心情はよくわかる。繊細で在ることは、時にとても、強い。必見。 pic.twitter.com/tE2NPZ1FTp
— shinichi A BE-AR (@purissima_bear) 2020年2月15日
『影裏』
『羊の木』を思い浮かべながら見えない部分を探る。淡々と繊細に丁寧に、行間が多くて正直長さは感じるけど、映像美や演者の表情で充分楽しめる。観る文学、的な。と思ったら芥川賞か。
にしても1番印象深いのが綾野剛の下半身というのは作品としてどうなんだ。そして中村倫也が可愛すぎる。 pic.twitter.com/83cEJzpPfz— るそん。 (@Lecon_3606) 2020年2月15日
『影裏』
原作未読。綾野剛のセクシーショット連発は一体なんぞと思ったらなる程そう来たか。単なる友情ものとは毛色が違いかつポスト震災という独自性は確かに面白い。なるほど芥川賞だ。川釣りやキャンプのシーンは今の年齢の綾野剛と松田龍平だからこそと感じたし、いい映画だと思う。 pic.twitter.com/FgrureTGkA— エンバ (@enba_mitsuyoshi) 2020年2月14日
#影裏 綾野剛さんは『届かない想い』を表現させたら他に敵う俳優はいないと思う。がんぜない子供のような横顔。もの問いたげな唇。見詰めていても、逸らしていても雄弁な瞳。消えそうに儚く薄い身体。語る言葉の最初の音が、すぅ、と足下に落ちて消えてゆくかすれた声。秋一が綾野剛さんで、良かった。
— 二千翔@アグレッシ部顧問 (@TENNSYO_NICHIKA) 2020年2月14日
2/14公開『#影裏』感想。心で感じ、感性で読み解く映画だ。風景や陰影…画面の全要素が、心情を表している。
消えた親友の謎、主人公の秘密、癒えない喪失感。よくぞここまで繊細に、丹念に、美しく紡げたものだと思う。
表面的な正しさとは違う、深遠なラスト。人間の心奥を確かに描いていた。 pic.twitter.com/F7zNAYzxdx
— SYO(映画ライター/編集者) (@SyoCinema) 2020年2月12日
映画『影裏』のまとめ
本作は芥川賞を受賞した作家・沼田真佑のデビュー作を元に制作された。人の内面だけでなく現代社会が抱える問題についてもさりげなく触れられており、文学界の中でも高い支持を集めている作品である。主人公が突然行方不明になった友人を捜索する過程で、自分が知らなかった彼の裏の顔を知っていく様子を描いたヒューマンミステリー。メガホンを取った大友啓史監督自身の出身地でもある岩手県盛岡市が物語の舞台になっている。
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