1940年代の日本。戦火は東京まで広がろうとしており、人々は不安な日々を送っていた。戸越保育所の主任保母・板倉楓は別の保育所の助けを借り、子供達を連れて疎開することにした。
映画『あの日のオルガン』の作品情報
- タイトル
- あの日のオルガン
- 原題
- なし
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2019年2月22日(金)
- 上映時間
- 119分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
戦争 - 監督
- 平松恵美子
- 脚本
- 平松恵美子
- 製作
- 三宅はるえ
- 製作総指揮
- 李鳳宇
- キャスト
- 戸田恵梨香
大原櫻子
佐久間由衣
三浦透子
堀田真由
福地桃子
白石糸
奥村佳恵 - 製作国
- 日本
- 配給
- マンシーズエンターテインメント
映画『あの日のオルガン』の作品概要
太平洋戦争末期に実際にあった「疎開保育園」を描いた作品。数多くの映画やドラマで主役を経験している戸田恵梨香を中心に、1000人を超えるオーディションを勝ち抜いた若手女優や歌手としても活躍している大原櫻子が、子供達と一緒に疎開した保母を演じている。山田洋次監督の下で助監督・共同脚本家として経験を積んできた平松恵美子が、本作の監督・脚本を担当している。アン・サリーが主題歌を担当しており、『満月の夕』をカバーしている。アン・サリーは『おおかみこどもの雨と雪』(12)の主題歌を担当した人物である。
映画『あの日のオルガン』の予告動画
映画『あの日のオルガン』の登場人物(キャスト)
- 板倉楓(戸田恵梨香)
- 戸越保育所に勤める保母。保母達の中でもリーダー的存在。戦火から逃れるために、子供達と一緒に疎開することを提案する。
- 野々宮光枝(大原櫻子)
- 愛育隣保館に勤める保母。板倉達と一緒に疎開することになる。みっちゃん先生の愛称で親しまれている。オルガンの演奏と歌で子供達を元気づける。
映画『あの日のオルガン』のあらすじ(ネタバレなし)
1940年代の日本。戦火は東京まで広がろうとしており、人々は不安な日々を送っていた。そんな中、戸越保育所の主任保母・板倉楓は、預かっている子供達を連れて疎開することを考えていた。子供達は親の傍を離れるのを嫌がり、親もまた子供と離れるのを嫌がった。しかし、親達は我が子の命を守るため、板倉を始めとした保母達に預けることを決意する。
保母達は3歳から6歳までの53人の園児達と共に疎開することになった。彼女達が暮らすことになったのは、荒れ果てたボロ寺だった。保母達は子供達を起こして洗顔させ、朝食を食べさせ、寺の掃除をし、洗濯・薪割りをし、寝る間を惜しんで動くことになった。
親も保母達も、家族で安全に暮らせる日が来ると信じていた。しかし、疎開先にも戦火は広がろうとしていた。怒り・泣き・笑い、必死に生きた保母と園児達の真実の物語がここにあった。
映画『あの日のオルガン』の感想・評価
日本初・疎開保育園
太平洋戦争末期、東京も安全とは言えないほど戦火は広がっていた。空襲警報が鳴り響き、いつ命を落とすかも知れない場所で子供達は生活を送っていた。そんな子供達を救おうとしたのは、20代を中心とした若手の保母達である。国もまだ指示を出していない内から疎開先を探し、反対する親達を説得して動いている。
原作は久保つぎこの小説『あの日のオルガン』である。「疎開保育園」の話は実際にあったことで、日本で初めて行われたものをベースに物語は作られている。戦争をテーマに勉強するとき、どうしても他の国と戦ったことや町の様子に目が向きがちである。しかし、明日への命を繋ごうと懸命に動いていた彼女達のような姿も、戦争を語る上では忘れてはならないものである。
1000人を超えるオーディション
保母達のリーダーとして奮闘していた板倉楓役は、2019年のNHK連続テレビ小説『スカーレット』のヒロイン役にも抜擢されている戸田恵梨香である。また、園児達にオルガンの弾き語りを聞かせ、物語のキーパーソンとも言える保母の野々宮光枝役を演じるのは、「第56回日本レコード大賞・新人賞」にも輝いたことがある歌手で女優の大原櫻子である。
板倉と野々宮以外にも、6人の保母が物語に登場する。そんな保母達を演じることになったのは、1000人を超えるオーディションを勝ち抜いた佐久間由衣、三浦透子、堀田真由、福地桃子、白石糸、奥村佳恵である。佐久間は女性雑誌『ViVi』の専属モデルとしても活躍しており、三浦は6歳のときに「サントリー なっちゃん」のCMに出演して一躍話題になった人物である。若手女優ではあるが、オーディションを勝ち抜いた彼女達の演技にも注目してもらいたい。
監督・脚本、平松恵美子
監督・脚本を務めたのは平松恵美子である。名前だけ聞いてもピンとこない方も多いかもしれない。平松は山田洋次監督の下で、助監督・共同脚本を担当したことで有名な人物である。最近の作品では、橋爪功や蒼井優など豪華な有名俳優が出演している『家族はつらいよ』シリーズのヒットが有名である。平松はこのシリーズで山田監督と共に「第40回日本アカデミー賞・優秀脚本賞」と「第41回日本アカデミー賞・優秀脚本賞」を受賞している。
平松が監督を務めたのは、監督デビュー作でもある『ひまわりと子犬の7日間』(13)以来で、本作品で2作目となる。そんな平松の元に集結したのは、日本アカデミー賞で優秀撮影賞を受賞したことがある近森眞史や優秀美術賞を受賞したことがある小林久之など素晴らしいスタッフ達である。現在日本の映画界を牽引している者達が集まって作られた作品のため、ストーリーや背景など隅々まで注目しながら見て欲しい。
映画『あの日のオルガン』の公開前に見ておきたい映画
劇場版 SPEC 天
戸田恵梨香が主演を務めた作品で、彼女の代表作。2010年に『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』の題名でTBS系列で放送されていたドラマの劇場版作品第1弾。2013年には映画の続編で物語の完結編とも言える、『劇場版 SPEC 結 漸ノ篇』と『劇場版 SPEC 結 爻ノ篇』が公開された。堤幸彦が監督を務めており、現在も根強いファンが多い作品である。
「警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係」(通称、未詳)は、捜査一課では手に負えない特殊な犯罪の捜査を行っていた。そんな未詳にある事件が持ち込まれる。それは、海上を漂流するクルーザー内に、ミイラ化した乗客全員の遺体があったというものだった。
詳細 劇場版 SPEC 天
カノジョは嘘を愛しすぎてる
大原櫻子の映画デビュー作。青木琴美原作の人気漫画を元に制作されており、主演を佐藤健が務めた。大原はヒロインの小枝理子役を決めるオーディション「リコを探せ!オーディション」に参加し、勝ち抜いて芸能界デビューすることになった。ロックバンド「東京事変」のベーシストとしても活躍していた亀田誠治が、音楽プロデューサーとして制作に関わっている。
歌が大好きな女子高生・リコは、ひょんなことで知り合ったアキに恋をする。アキの正体は超人気バンド「クリュードプレイ」の天才サウンドクリエイターだった。リコはアキの正体を知らないまま、付き合うことを決める。アキは始めリコに対して何の感情も抱いていなかった。だが、彼女と接する内に、気持ちに変化が生まれる。そんな時、リコが所属するバンドのデビューが決まり、様々な困難が2人を襲う。
ひまわりと子犬の7日間
平松恵美子の監督デビュー作。平松は脚本も担当している。物語は山下由美著書の『奇跡の母子犬』から着想を得ている。堺雅人が主演を務めた。お笑い芸人「オードリー」のツッコミ担当である若林正恭も保健所の若手職員として出演しており、「第37回日本アカデミー賞・話題賞俳優部門」を受賞している。ソナーポケットの『花』が主題歌に起用されている。
宮崎県・東部動物保護管理所(保健所)。犬達がそこにいれるのは7日間だけだった。その間に新しい飼い主を見つけなければ、犬達は処分されることになった。元動物園飼育員で現在保健所で働く神崎彰司は、期間を勝手に伸ばして犬達が処分されないよう心を砕いていた。そんなある日、市民から苦情があり、母犬と子犬を捕まえることになる。母犬は人間に敵意を向け、吠えて手がつけられない状態だった。神崎は母犬が安全だと証明するため、寄り添い続けた。
詳細 ひまわりと子犬の7日間
映画『あの日のオルガン』の評判・口コミ・レビュー
あの日のオルガン
53人の小さな命を守った疎開保育園を発案した板倉楓の責任感と行動力に感銘。
光枝が笑顔で奏でるオルガンの音色は子供達や周りを笑顔にする素敵な音色。
戸田恵梨香の強い感じ、大原櫻子の天然だけど頑張り屋な感じと笑顔が良かった。
アンサリーの満月の夕良い曲です。 pic.twitter.com/KYbL4whlox— ディーン・フクヤマ (@masuyou1005) 2019年2月23日
あの日のオルガン観てきました。
戦争中に、幼い命を守り抜く保母さんたちの姿がとても印象に残りました!
戦争というものは、一瞬にして町や命を簡単に奪ってしまう、恐ろしいものだと改めて実感しました!
私も保育士を目指しています!いつか、
強い心を持つ楓先生と— 優心 (@Nk88zDeFWBCwI0s) 2019年2月24日
あの日のオルガン本当に素敵な映画でした。
今生きていられる事にすごく意味があるんだってことを新ためて理解する事ができました。
保母さんが子供たちを守る姿が本当に格好よく涙が何度も流れました。本当にたくさんの人に観てもらいたい映画。#あの日のオルガン
— emisaku (@emi25484661) 2019年2月24日
あの日のオルガンみてきました。
保母さんたちの偉大さを感じました。
つらくて挫けそうになっても負けないことの大切さを学ぶことができました。
得るものが多く、たくさんの人が見るべき素敵な映画だと思いました。@anohinoorugan
#あの日のオルガン pic.twitter.com/09ZbPiM4jW— ヒロト (@os39_hiroto) 2019年2月24日
あの日のオルガン見てきました。
戦争は何もうみださない。
悲しみ、憤りなどありますが、強く生きてきた、先生や子供たち、人々はすごい。
昔の人たちは、本当にすごい。
広島に住んでいるせいか、戦争に関して敏感かもしれない。
あの日のオルガン、見て良かった。 pic.twitter.com/07o0dDWazU— サスケ (@U67V3emNSwR3N7S) 2019年2月22日
映画『あの日のオルガン』のまとめ
戦争を題材にした作品は、悲しくなるのが嫌で見たくないという人も多いかもしれない。しかし、戦争がない平和な日本で生活しているからこそ、忘れてはいけないことだと思う。血が繋がった我が子ではなく、預かった子供達を救うために奮闘する保母達の姿は純粋に凄いなと尊敬の念を抱く。しかも、登場する保母達は、ほとんど若い年齢の女性ばかりである。自分の生活もままならないのに人のために頑張る彼女達の姿は、現代を生きる自分達もきっと勇気をもらえるはずである。
みんなの感想・レビュー