愛情も、行き過ぎれば犯罪となる。ただの一ファンだった筈なのに、気がつけば狂気を帯びたストーカーへと転じていた。誰もが皆、この主人公になり得る。ジョン・トラボルタの狂気が光る一作。
映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』の作品情報
- タイトル
- ファナティック ハリウッドの狂愛者
- 原題
- The Fanatic
- 製作年
- 2019年
- 日本公開日
- 2020年9月4日(金)
- 上映時間
- 88分
- ジャンル
- サスペンス
- 監督
- フレッド・ダースト
- 脚本
- デイブ・ビーカーマン
フレッド・ダースト - 製作
- オスカー・ジェネラル
ダニエル・グロドニック
ビル・ケンライト
フレッド・ダースト
ジョン・トラボルタ - 製作総指揮
- デビッド・ギルベリー
チャールズ・ドーフマン
カーク・ショウ
ブレット・サクソン
ジェフ・ボウラー - キャスト
- ジョン・トラボルタ
デボン・サワ
アナ・ゴーリャ
ジェイコブ・グロドニック
ジェームズ・パクストン - 製作国
- アメリカ
- 配給
- イオンエンターテイメント
映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』の作品概要
かつて若者文化に大きな影響を与え、若者にとって憧れの存在であったジョン・トラボルタ。そんな彼も、今年で66歳を迎えた。未だに第一線で精力的に活動している彼が今回挑むのは、とある俳優を熱狂的に愛する冴えないファン。平凡なファンが、狂気のストーカーへと転じていく姿を巧みに演じきっている。年齢を重ねるにつれ、かつての2枚目俳優のイメージから脱却し、より多くのキャラクターを演じることができるようになったジョン・トラボルタ。本作でも、今まで見たことがない彼の姿を見ることができる。トラボルタ演じるムースの歪んだ愛情は、果たして届くのか。
映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』の予告動画
映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』の登場人物(キャスト)
- ムース(ジョン・トラボルタ)
- ハリウッド大通りで、パフォーマーをしている冴えない男性。俳優への愛が悪化し、狂気のストーカーと化していく。
- ハンター・ダイバー(デボン・サワ)
- ハリウッドで活躍する人気俳優。ムースを冷たくあしらってしまったことで、人生を狂わせることになる。
映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』のあらすじ(ネタバレなし)
ムースは、心から映画を愛する映画オタク。そんな彼は、ハリウッド大通りでパフォーマーをしながら、冴えない日々を送っていた。そんな彼が、熱狂的な熱量で応援しているのが、人気俳優であるハンター・ダンバー。そして、ある日ムースは念願がない、ハンターのサイン会に参加するチャンスを得る。しかし、喜びも束の間、ハンターはムースを冷たくあしらうのだった。その時から、ムースのハンターへの愛情は少しずつ歪んでいく。ムースはハンターの自宅の場所を特定し、何度も家へと押しかける。当然のことながら、ハンターはそんなムースを君悪がり、さらに邪険に扱う。そして、ムースのストーカー行為は徐々に過激になっていき…?
映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』の感想・評価
タガが外れた愛
ニュースなどでもよく目にする機会のある、ストーカー事件。誰しもが、そんなストーカー行為をする人間を見下し、なぜそんなことをするか分からない、と言うだろう。しかし、一歩間違えば、誰しもがストーカーになってしまう可能性を秘めているのだ。よく芸能人の自宅を特定している人をネット上で見かける。例え自宅に押し掛けなかったとしても、これもまた、立派なストーカー行為。さらに、好きなアイドルを出待ちし、挙げ句の果てにはタクシーなどで追跡しているファンもいる。本人からすれば、好きと言う気持ちの延長戦なのであるが、これもまた、ストーカーに当てはまる。このように、好きと言う気持ちとストーカー行為はまさに紙一重なのだ。自分が行っているのが、ストーカー行為ではないのか、時折冷静になって振り返ってみよう。
ゴールデンラズベリー賞!?
ゴールデンラズベリー賞、通常ラジー賞とは、アメリカで開催されている映画賞の一つ。しかし、通常の映画賞が優れた作品をノミネートするものであることに対し、ラジー賞は「最低」の映画がノミネートされている。つまり、受賞したくないという、珍しい賞レースなのである。そして、なんと本作で主演を演じたジョン・トラボルタが、最低主演男優賞を獲得してしまったのだ。しかし、ラジー賞ノミネート作品を全て見ているというマニアも存在する。また、ラジー賞にノミネートされた作品が必ずしもつまらないとは限らない。人々によく知られるあの名作が、実はラジー賞ノミネート作品だったということもあるのだ。ラジー賞受賞作品だからと言って避けていては損をするかもしれない。
ハリウッドという華やかな世界
ハリウッド、誰もが知る映画の聖地。カリフォルニアのロサンゼルスにあるそこは、映画の聖地、エンターテイメントの聖地として、その世界を志す人達の憧れの場所。日本からも、真田広之や渡辺謙など、優れた役者がハリウッドデビューを果たしている。主人公が活動しているハリウッド大通りは、あの『ウォーク・オブ・フェーム』がある場所。そんなハリウッドには、日々多くの観光客、役者、製作陣が行き来している。そして、あまりの知名度故、時には主人公のように危険な思想を持った人物が近づいてくることも、実際にあるだろう。もしかすると、最新作のような内容は、ハリウッドで活躍するスター達が当たり前のように経験していることなのかもしれない。
映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』の公開前に見ておきたい映画
ストーカー(2002)
ロビン・ウィリアムズと言えば、誰もが知るコメディ界の帝王。2014年に惜しまれつつもこの世を去ったが、1976年のデビュー以降、数多くの作品に出演してきた。しかし、実は彼は、コメディ映画以外でも高い評価を得ている。最新作同様、ストーカーをテーマに扱った本作もその一つ。本作で高い演技力を発揮したロビンは、サターン賞主演男優賞を獲得した。ロビン演じるサイは、写真現像の仕事をしている孤独な男性。そんな彼の趣味は、常連客であるヨーキン一家の写真を焼き増しし、自身の家に飾ること。しかし、次第にそれだけでは我慢できなくなった彼は、ヨーキン一家の息子に接触を図る、車を追跡するなど行為をエスカレートさせていき…?
詳細 ストーカー(2002)
サタデー・ナイト・フィーバー
ジョン・トラボルタの代表作と聞かれれば、『グリース』や本作の名前を挙げる人が多いだろう。本作では、人気俳優の熱狂的ストーカーを演じている彼だが、元々は2枚目俳優の代名詞だったと言ってもいいほどのイケメンだった。そんな彼の人気絶頂期を支えることになる、出世作が本作。トニーは、ペンキ屋で働くしがない青年。そんな彼の唯一の楽しみは、土曜の夜、ディスコで踊り明かすこと。そのディスコで、彼はステファニーという女性と出会う。自分とは違い、自立し将来の夢に向かって努力を続けているステファニーに感化されたトニーは、自らの生活をより良いものとするために動き出す。ステファニーとの未来を夢見るようになったトニー。その未来のため、トニーはディスコで開催される、賞金付きのダンスコンテストへの出場を決めるのだった。
ランボー 怒りの脱出
映画好きなら誰もが知っているであろう、シルベスター・スタローンの代表シリーズ『ランボー』。そんな『ランボー』シリーズの第2弾にあたる本作も、実はラズベリー賞受賞作品なのだ。前作のランボー第一弾が、スタローンの代表作となった一方で、興行的収入はあまり多くはない。しかし、本作はラズベリー賞こそ受賞しているものの、興行収入としてはその年の興行収入第2位を獲得するなど爆発的ヒットとなっている。やはり、ラズベリー賞を獲得したからと言って、人々から評価されないというわけではないのだ。ラジー賞なんてなんのその、作品の勢いと熱量は見ている者を圧倒する。ラジー賞受賞作だからといって、見ることを避けていては勿体無いことを教えてくれる一本。
詳細 ランボー 怒りの脱出
映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』の評判・口コミ・レビュー
映画「#ファナティック ハリウッドの狂愛者」#映画秘宝 様のオンライン試写にて🎦
熱狂的なファンとストーカーの境界線を考えさせられる本作
ファン側の節度、俳優側の思いやり、双方があってこそ成り立つ関係性の重要さを認識させてくれる
とにかくトラボルタの挙動不審な演技は素晴らしかった😌 pic.twitter.com/W77uKTCTfo— ザキシマ@映画垢 (@zakishima_movie) August 25, 2020
157.『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
とにかくトラヴォルタの怪演がマジ凄まじい。それを見る為だけの映画。YouTubeでたまにこういう挙動のアメリカのオタク見るよな…。笑うつもりで行ったのに、あまりのガチ狂人ぶりにこれ笑っちゃいけないやつなのでは…と心配になる映画でした。#365映画 pic.twitter.com/0G0zBcsERa
— 365映画 (@365_cinema) September 5, 2020
『ファナティック ハリウッドの狂愛者』
ジョン・トラボルタ主演新作は、惨劇起こすストーカーへと変貌しゆく純真な映画オタクを熱演、ハリウッドの狂瀾を鋭く風刺する。
偏愛する当人の前で挙動不審となり警戒されるコミュ障あるあるは物悲しく、正常/異常を巡る終幕の着地点は不思議と清々しい。 pic.twitter.com/qVkSBv7pQF
— pherim⚓ (@pherim) August 31, 2020
『ファナティック ハリウッドの狂愛者』試写で鑑賞。熱狂的な映画ファンの男が崇拝する俳優に冷たく扱われたことから狂気のストーカー行為に走る。ジョン・トラボルタの巨体と甲高い声を活かしたオタク演技が凄まじい。でも愛ゆえに狂ってしまう姿にどこか同情してしまう…でもやっぱりヤバ怖いよ! pic.twitter.com/OnB9dHvZOg
— ビニールタッキー (@vinyl_tackey) August 18, 2020
試写で『ファナティック ハリウッドの狂愛者』を一足先に拝見しました。映画オタクの男が熱狂的なファンである俳優に冷たくされたことでストーカー化する…。世間の強い当たりがストーカーを加速させる。無邪気すぎる狂気を魅せるジョン・トラボルタが凄く良く、罪に対して無自覚なのもより恐ろしい pic.twitter.com/GgKwJLPYAg
— 共食いゾンビ (@MOGUMOGU_shark) August 11, 2020
映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』のまとめ
愛の形は人それぞれ、といった言葉を近年よく耳にする。愛の多様化が認められている現代、愛の示し方も人それぞれ。愛を言葉で表す人もいるし、言葉は苦手だが行動で示すという人もいる。いかなる手段を用いてもよい。しかし、それは人に迷惑をかけないということが前提の上。法律に触れるようなことは勿論だが、相手がその行為を迷惑だと感じれば、それは大抵の場合、褒められたことではないのである。自分が、自分の愛する人達に対してどのように愛を示しているか。その愛の形が誰かを傷つけていないか。今一度考えてみよう。
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