映画『ヒトラーを欺いた黄色い星』のあらすじ・感想・評価(ネタバレなし) | MIHOシネマ

「ヒトラーを欺いた黄色い星」のあらすじ・感想・評価(ネタバレなし)

第二次世界大戦下のベルリンでゲシュタポや密告者の目を欺き、終戦後まで生き延びた4人の男女の実話を映画化した作品。実際の生還者のインタビューを挟みながら、彼らの緊迫した潜伏生活の様子を描いている。

ヒトラーを欺いた黄色い星の作品情報

ヒトラーを欺いた黄色い星

タイトル
ヒトラーを欺いた黄色い星
原題
Die Unsichtbaren
製作年
2017年
日本公開日
2018年7月28日(土)
上映時間
110分
ジャンル
戦争
ヒューマンドラマ
監督
クラウス・レーフレ
脚本
クラウス・レーフレ
アレハンドラ・ロペス
製作
クラウス・レーフレ
フランク・エバーズ
製作総指揮
なし
キャスト
マックス・マウフ
アリス・ドワイヤー
ルビー・O・フィー
アーロン・アレタラス
ビクトリア・シュルツ
フロリアン・ルーカス
アンドレアス・シュミット
ロベルト・フンガー=ビューラー
製作国
ドイツ
配給
アルバトロス・フィルム

ヒトラーを欺いた黄色い星の作品概要

テレビの世界で数多くの長編ドキュメンタリー番組を監督してきたクラウス・レーフレが、第二次世界大戦下のベルリンで生き延びたユダヤ人の人々に念密な取材を重ね、特に印象に残った4人の潜伏生活を実録ドラマ風の映画にした。当時16歳から20歳の若者だった4人の男女をドイツ・ベルリン出身のマックス・マウフ、アリス・ドワイヤー、アーロン・アレタラス、そしてコスタリカ・サンホセ出身のルビー・O・フィーがそれぞれ熱演している。

ヒトラーを欺いた黄色い星の予告動画

ヒトラーを欺いた黄色い星の登場人物(キャスト)

ツィオマ・シェーンハウス(マックス・マウフ)
幸運にも収容所行きは免れたが、両親と生き別れになり、ベルリンでドイツ人兵士を装って潜伏生活を開始する。その後、ユダヤ人のために偽造身分証を作る仕事に従事する。1942年の潜伏開始当時は20歳だった。
ハンニ・レヴィ(アリス・ドワイヤー)
孤児だったため、亡くなった母親の友人を頼って潜伏生活を開始する。髪を染めて偽名を使い、別人に成りすます。その後、親切な女性に匿ってもらう。1943年の潜伏開始当時は17歳だった。
ルート・アレント(ルビー・O・フィー)
隠れ家を失って路頭に迷っていたところ、ドイツ国防省の大佐の屋敷でメイドとして雇われる。大佐は彼女がユダヤ人であることに気づいていたが、そのまま雇い続けてくれた。1942年の潜伏開始当時は20歳だった。
オイゲン・フリーデ(アーロン・アルタラス)
母親がドイツ人と再婚していたため、16歳の時に両親と別れて潜伏生活を開始する。活動家の家で匿ってもらい、反ナチスのビラ作りなどを手伝っていたが、活動家が逮捕され、オイゲンもゲシュタポに追われる身となる。

ヒトラーを欺いた黄色い星のあらすじ(ネタバレなし)

1943年6月、ナチス宣伝相のヨーゼフ・ゲッベルスは、ベルリンには1人のユダヤ人も残っていないと正式に発表したが、現実には約7000人ものユダヤ人が様々な手段で各地に潜伏していた。

咄嗟についた嘘で収容所行きを免れた20歳のツィオマは、ドイツ人兵士を装って、ベルリン市内を転々と移動する。しばらくして親切な家主と出会い、ユダヤ人のために偽造身分証を作る仕事に専念するが、あるトラブルが発端となって指名手配されてしまう。

家族と共にキリスト教徒の夫人に匿われた20歳のルートは、紆余曲折を経てドイツ国防軍の大佐にメイドとして雇われ、彼の邸宅で働き始める。大佐はルートがユダヤ人であることを黙認し、彼女を守ってくれた。しかし、ベルリン市内の空襲は激化していく。

家庭の事情で両親と別れ、1人で潜伏生活を始めた16歳のオイゲンは、活動家の家に身を寄せ、反ナチスのビラ作りを手伝う。しかし、密告があって活動家が逮捕され、オイゲンにもゲシュタポの追跡が迫る。

早くに両親を亡くし、孤児として育ったハンニは、髪をブロンドに染めて別人になっていたが、潜伏先の隠れ家を失ってしまう。孤独なハンニを救ってくれたのは彼女に好意を持つ男性の母親で、彼女がハンニを守ってくれる。しかし、終戦間近のベルリンにはソ連軍が侵攻してきていた。

ヒトラーを欺いた黄色い星の感想・評価

生還者の実話を映画化するということ

この作品の監督・製作・脚本を務めているクラウス・レーフレは、長らくテレビ向けのドキュメンタリー番組を作ってきた人だ。日本では知られていないが、レーフレ監督のドキュメンタリー番組は母国のドイツやヨーロッパで高く評価されており、1992年にはグリム賞の年間最優秀TVジャーナリズム大賞を受賞している。

レーフレ監督はその経験を活かし、本作を作り上げた。文字になった史実を映像化するのではなく、生還した人たちに取材を重ね、第二次世界大戦下のベルリンの様子や彼らがどんな工夫をして潜伏生活を続けたのかという具体的な話を聞き出している。第二次世界大戦終結から70年以上が経過し、当時を知る人も少なくなっているので、彼らの話をしっかりと記録して、映画として残しておくというのはとても意義のあることだ。レーフレ監督もきっとそう考えて、今回の映画製作に踏み切ったのではないだろうか。

悲惨なホロコーストから見えてくる人間ドラマ

ナチス・ドイツがユダヤ人に対して行った非人道的な迫害や虐殺行為はよく知られており、その悲惨な歴史を描いた映画は数多い。具体的には、ロマン・ポランスキー監督の『戦場のピアニスト』(02)、メリル・ストリープがアカデミー主演女優賞を手にした『ソフィーの選択』(82)、強制収容所で幼い息子を守ろうとする父親の姿に世界中が涙したロベルト・ベニーニ脚本・監督・主演の『ライフ・イズ・ビューティフル』(97)などの名作が生まれている。

『ヒトラーを欺いた黄色い星』でも、ホロコーストの恐怖に晒され、潜伏生活を送らなければならなかった4人の男女が描かれているのだが、注目して欲しいのは命懸けで彼らを守ってくれた善意の人たちの存在だ。そういう人の存在がなければ、恐らく4人は生き延びることができなかっただろう。そこに本作の人間ドラマがある。

新鮮なキャストと出会える喜び

4つの物語でそれぞれの主人公を演じるキャスト陣は、日本ではまだそれほど知られていない。日本で公開される洋画は、興行収入が見込めそうなハリウッド映画や大きな映画賞を受賞した外国映画が多いため、意外と出会える俳優も限られている。しかし、名前も知らなかった俳優の演技に胸を打たれることは多い。

例えば、第79回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したドイツ映画『善き人のためのソナタ』(06)で主人公のヴィースラー大尉を演じたウルリッヒ・ミューエを、この作品を見る前からご存知だった人は少ないのではないだろうか。ウルリッヒ・ミューエは、冷徹な諜報員が美しい音楽に心を奪われ、人間らしい感情を取り戻していく様子を繊細に表現し、私たちに静かな感動を与えてくれた。ウルリッヒ・ミューエは残念ながら公開の翌年に54歳の若さで他界してしまったが、初めて彼の演技を見た時の新鮮な感動は忘れられない。『ヒトラーを欺いた黄色い星』にも、そんな出会いがあることを期待したい。

ヒトラーを欺いた黄色い星の公開前に見ておきたい映画

映画『ヒトラーを欺いた黄色い星』の公開前に見ておきたい映画をピックアップしています。『ヒトラーを欺いた黄色い星』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

あの日 あの時 愛の記憶

第二次世界大戦時、ユダヤ人女性のハンナ(アリス・ドワイヤー)とポーランド人の活動家トマシュ(マテウス・ダミエッキ)は、ポーランドの強制収容所内で出会って恋に落ち、2人で収容所から脱走する。その後、様々な障害によって生き別れてしまうのだが、30年の時を経て、2人は劇的な再会を果たす。

実話を基にした2011年公開のドイツ映画で、生き別れた男女の過去と現在を描いて、ホロコーストの悲劇を伝えている。この作品でヒロイン・ハンナの娘時代を演じているのが『ヒトラーを欺いた黄色い星』でハンニ役を演じるアリス・ドワイヤー。過酷な現実に翻弄されるヒロインを演じたアリス・ドワイヤーの存在感が光る作品なので、『ヒトラーを欺いた黄色い星』と合わせての鑑賞をオススメする。

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シンドラーのリスト

1940年初頭のポーランド。ナチス党員のドイツ人実業家オスカー・シンドラー(リーアム・ニーソン)は、ポーランドでドイツ軍相手に厨房用品を作る商売を始める。最初は利益のためにユダヤ人を雇っていたシンドラーだったが、時間が経つにつれ、どうにかして彼らを救えないかと考えるようになる。

巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督が、第二次世界大戦中のポーランドで1100人以上のユダヤ人を救ったオスカー・シンドラーの実話を映画化した作品。ユダヤ系アメリカ人のスピルバーグ監督にとって、この映画を完成させることは悲願であり、構想期間に10年近くを要している。スピルバーグ監督の意気込みが伝わってくる完成度の高い作品なので、多くの人に見てもらいたい。そして、人間の愚かさと尊さを改めて感じて欲しい。

詳細 シンドラーのリスト

ミケランジェロ・プロジェクト

第二次世界大戦の最中、ナチス・ドイツはヨーロッパ各地の歴史的な美術品を数多く奪い、どこかに隠していた。ハーバード大学の美術館館長をしていたストークス(ジョージ・クルーニー)は、貴重な美術品や文化財を守るべきだとアメリカ大統領に訴え、それを奪還する命令を出してもらう。ストークスは美術関係者で「モニュメント・メン」と呼ばれるチームを結成し、ナチス・ドイツが隠した美術品を探し始める。

俳優のジョージ・クルーニーが監督・脚本・製作・主演を務め、命懸けでヨーロッパ各地の美術品を守った男たちの実話を映画化した作品。ヒトラーの率いるナチス・ドイツが、ヨーロッパの人々にどれほどの苦痛を与えたのか、違った視点から見ることができる。この作品ができるまで、この史実を知る人は少なかった。しかし、ジョージ・クルーニーが映画化したことで、モニュメント・メンの功績は世界中に知られることになる。歴史に埋もれそうな史実を後世に伝えるという意味でも、この実話が映画化された意義は大きい。

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ヒトラーを欺いた黄色い星のレビュー・評判・口コミ(Twitterの反応)

ヒトラーを欺いた黄色い星のまとめ

クラウス・レーフレ監督は有名な映画監督ではないし、本作に出演しているキャストも日本ではほとんど無名に近い。しかし、このドイツ映画をわざわざ日本の配給会社が買い取り、日本で公開するということは、それだけ内容の濃い作品なのだろう。ゲシュタポや密告者の目が光っている当時のベルリンで、ユダヤ人の若者たちがどんな風にヒトラーの目を欺き、生き延びたのか。そして、若者たちの支えになってくれたのはどんな人たちだったのか。7月28日から全国の劇場を順次公開予定なので、お住いの地域の劇場情報をチェックして、この史実を見届けて欲しい。

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