江戸時代。幕府は世を乱すものとして、読み物や浮世絵を厳しく取り締まっていた。絵師の葛飾北斎の元に、人気絵師を育てる名プロデューサーの蔦屋重三郎が訪ねてくる。北斎は蔦屋との出会いを通して、自分が描きたい絵とは何か苦悩する。
映画『HOKUSAI』の作品情報
- タイトル
- HOKUSAI
- 原題
- なし
- 製作年
- 2020年
- 日本公開日
- 2021年5月28日（金）
- 上映時間
- 129分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
伝記 - 監督
- 橋本一
- 脚本
- 河原れん
- 製作
- 中山賢一
- 製作総指揮
- 細野義朗
- キャスト
- 柳楽優弥
田中泯
阿部寛
永山瑛太
玉木宏
瀧本美織
津田寛治
青木崇高 - 製作国
- 日本
- 配給
- S・D・P
映画『HOKUSAI』の作品概要
「第33回東京国際映画祭」特別招待作品。現在も多くの人を魅了し続けている人気浮世絵師、葛飾北斎の半生を描いた作品。柳楽優弥×田中泯が主演を務めており、柳楽優弥が葛飾北斎の青年期～壮年期、田中泯が老年期を演じている。阿部寛、玉木宏、瀧本美織、津田寛治、青木崇高らが出演している。映画『探偵はBARにいる』シリーズを手掛けたことで有名な橋本一が監督を務め、作家としても活躍する河原れんが脚本＆企画を担当した。
映画『HOKUSAI』の予告動画
映画『HOKUSAI』の登場人物（キャスト）
- 葛飾北斎（少年期：城桧吏 / 青年期～壮年期：柳楽優弥 / 老年期：田中泯）
- 浮世絵師。自らを「画狂人」と呼ぶ。挫折や困難を乗り越えながら絵を描き続け、多くの人を魅了する。
- 蔦屋重三郎（阿部寛）
- 本や絵の版元（出版人）。人気絵師を育てている。葛飾北斎の才能に気づき、目を掛けるようになる。
- 柳亭種彦（永山瑛太）
- 武家の出身。文才に溢れる人物。身分を隠し、戯作者として秘密裏に活動する。葛飾北斎と交流を深めるようになる。
- 喜多川歌麿（玉木宏）
- 浮世絵師。美を追求し、美人画で有名になる。蔦屋重三郎の助けを借り、遊郭で暮らしながら絵を描いている。
映画『HOKUSAI』のあらすじ（ネタバレなし）
江戸時代。葛飾北斎は貧しい暮らしの中、絵を描いていた。そんな彼の元に、本や絵の版元（出版人）である蔦屋重三郎が訪ねてくる。蔦屋は北斎の才能を見抜き、自分の下で絵を描かないかと誘いをかけた。
蔦屋は人気絵師を育てる名プロデューサーだった。喜多川歌麿は蔦屋の助けを借りながら遊郭で暮らし、美人画を描いていた。東洲斎写楽は役者絵を描き、蔦屋の店を介して出版していた。北斎は歌麿と写楽の才能に嫉妬し、自分が描きたい絵について見失っていく。
幕府は世を乱すものとして、読み物や浮世絵を厳しく取り締まっていた。そんな中、北斎は武士の柳亭種彦と出会う。柳亭は秘密裏に戯作者として活躍している人物だった。北斎と柳亭は親睦を深め、良き相棒となる。
映画『HOKUSAI』の感想・評価
人気浮世絵師、葛飾北斎の半生
本作では江戸時代に活躍した実在の人物、浮世絵師・葛飾北斎の半生が描かれている。『冨嶽三十六景』や『北斎漫画』など、現在も北斎の作品は人気が高く多くの人に愛されている。オランダの画家フィンセント・ファン・ゴッホを始め、芸術に携わるたくさんの人が北斎の絵に影響を受けた。1999年にはアメリカの雑誌『ライフ』の記事では、「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」で86位にランクイン入りしている。
江戸時代、幕府は世を乱すものとして、読み物や浮世絵を厳しく取り締まっていた。北斎は幕府に負けず、絵師として活躍し続けている。本作には北斎を語る上で忘れてはならない、本や絵の版元の蔦屋重三郎、武士の柳亭種彦、浮世絵師の喜多川歌麿や東洲斎写楽などが登場する。彼の人生に一体何があったのか、ぜひその目で確かめてみて欲しい。
葛飾北斎を演じた三人の俳優
主演を務めたのは、俳優の柳楽優弥×俳優の田中泯。柳楽優弥は葛飾北斎の青年期～壮年期を演じている。是枝裕和監督が手掛けた映画『誰も知らない』（04）で俳優デビューを飾り、大きな話題を集めた。映画『銀魂』シリーズや映画『夜明け』（19）などの作品に出演しており、コミカルな役からシリアスな役まで幅広いキャラクターを演じ分けることができる俳優である。
田中泯は葛飾北斎の老年期を演じた。俳優として活躍する一方で、ダンサー、舞踏家としても活躍している。ルーヴル美術館やアムステルダム市立美術館などで、独舞講演を行っている。そして、葛飾北斎の少年期を演じたのが、若手俳優の城桧吏。映画『約束のネバーランド』（20）で主要人物のレイ役を務め、一躍有名になった人物である。
ヒット作を連発する橋本一監督×マルチな活躍を見せる脚本家・河原れん
監督を務めたのは、橋本一。沢口靖子が主演を務めたテレビドラマ『御宿かわせみ』（1997～1998）で監督デビューを果たす。映画『探偵はBARにいる』シリーズや映画『相棒 -劇場版IV- 首都クライシス 人質は50万人！ 特命係 最後の決断』（17）などのヒット作を世に送り出してきた。
企画＆脚本を担当したのは、河原れん。幻冬舎から刊行された小説『瞬』（07）で作家デビューを果たす。その他、テレビドラマ化もされた医療ミステリー小説『聖なる怪物たち』を刊行したり、映画『余命』（09）の脚本などを手掛けたりしている。作家、脚本家としてマルチな活躍を見せている。さらに、葛飾北斎の三女で、絵師として優れた才能を持つ・お栄役で映画に出演している。
映画『HOKUSAI』の公開前に見ておきたい映画
探偵はBARにいる
橋本一が監督を務めた作品で、「第35回日本アカデミー賞」7部門にノミネートされた。東直己原作の推理小説『ススキノ探偵』シリーズを元に制作された作品。俳優の大泉洋が主人公で探偵の「俺」を演じている。相棒の高田を演じたのは、俳優の松田龍平。女優の小雪が、謎の女性・沙織役で出演している。
札幌、ススキノ。「俺」はそこで探偵をしている。ある日、コンドウキョウコと名乗る女性から電話がかかってきて、ある仕事を依頼される。仕事を受ける前に着手金が振り込まれていたことから、「俺」はコンドウキョウコのことを怪しむ。悩んだ末、「俺」は仕事を受けることを決め、相棒の高田と調査を開始した。簡単な仕事だったはずが、予想外の事態に巻き込まれていく。
詳細 探偵はBARにいる
夜明け(2018)
柳楽優弥が主演を務めており、謎の青年「シンイチ」を演じている。是枝裕和や西川美和の下で助監督を務めてきた広瀬奈々子の監督デビュー作品。広瀬奈々子が脚本も手掛けた。「第19回東京フィルメックスコンペティション部門 スペシャル・メンション」を受賞している。ヒップホップミュージシャンのYOUNG DAIS、俳優の小林薫、音楽バンド「セメントミキサーズ」のメンバーである鈴木常吉が出演している。
木工所の社長を務める哲郎は、ある日川辺で倒れている少年を見つける。少年を自宅に連れて帰り、世話をした。少年はシンイチと名乗った。シンイチは哲郎の助けを借りながら、木工所で働き始めた。シンイチは何か秘密を抱えている様子だった。一方、哲郎はシンイチに、亡くなった息子の面影を重ねていた。
詳細 夜明け(2018)
るろうに剣心 京都大火編
田中泯が御庭番京都探索方の頭領である翁・柏崎念至役で出演している。和月伸宏原作の漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』を元に制作された作品で、実写映画シリーズの第二作目。主演を務めた俳優の佐藤健を始め、武井咲、神木隆之介、青木崇高、蒼井優など豪華なキャストが集結している。
緋村剣心はかつて人斬り抜刀斎と呼ばれる凄腕の剣客だった。新時代に変わってからは「不殺の誓い」を胸に、逆刃刀を使って困っている人達を助けていた。一方で、人斬り抜刀斎の後継者である志々雄真実が、仲間と共に暗躍していた。志々雄真実の狙いはただ一つ、維新政府の転覆だった。緋村剣心は志々雄真実を止めるため、仲間の制止を振り切って京都に向かった。果たして、緋村剣心と志々雄真実の戦いの行方は！？
詳細 るろうに剣心 京都大火編
映画『HOKUSAI』の評判・口コミ・レビュー
#HOKUSAI
自分の好きなものを創造したい欲求に正直にぶつかっていく迫力が凄まじい。
承認欲求が強くライバルとの戦いから限界を感じて苦悩する若かりし時代から自己表現を貫く晩年までずっと惹きつけられる。
柳楽優弥、田中泯だけでなく、阿部寛、玉木宏、瑛太の役所もパワフルでみな素晴らしい。 pic.twitter.com/vaBAfcTqPO— センタ (@UdonsukiMimiu) May 29, 2021
#HOKUSAI
幕府から芸術が禁じられ、娯楽が罪とされていた時代に、自分の目の奥に感じた景色を描き、世に残した北斎。
認められずにいた若年期から、描き方を見つけた絶頂期、成熟期、晩年。
老いてもなお芸術は悪とされたままだったが、北斎の絵への執念は、打ちつける波のように留まることを知らない pic.twitter.com/er9PeVAfnM— (@xx3sss) May 29, 2021
#HOKUSAI 面白かった。淡々と展開するのだけど、不思議と引き込まれた。青年期のギラギラと粗削りな様は柳楽優弥さんに合っていたし、壮年期の内から湧き上がる衝動を感じられるのは田中泯さんだからこそ。北斎は目でみた瞬間そのものを追求し続けたのかな。静かなのに荒々しさを感じる映画だった。
— 四十川 (@aikawa_40) May 29, 2021
“HOKUSAI”
柳楽優弥演じる、若き北斎、彼が出会いの中で、大切な絵の向き合い方と、自身の絵の有り様を見つけ出し、そこに真っ直ぐ向き合う姿は、人間ドラマとして今の社会に繋がり、田中泯が演じる老境には、社会、家族の中での自身の思いの積もった物語は、北斎の長い人生を、見事に切り取った作品。 pic.twitter.com/UyuAEh2Uhg— 常山の住職 (@CinemaCLAIRfan) May 28, 2021
映画『HOKUSAI』のまとめ
海外の有名な芸術家達にも多大な影響を与えている、人気浮世絵師・葛飾北斎。彼の人生は順風満帆とは言い難く、多くの苦悩と挫折に満ちている。本や絵の版元の蔦屋重三郎と武士の柳亭種彦、二人の人物を軸に、葛飾北斎の波乱万丈な人生を垣間見ることができる。主演を務めた柳楽優弥と田中泯を始め、玉木宏、瀧本美織、津田寛治、青木崇高、阿部寛など、日本の映画・テレビ業界を代表する豪華なキャストが集結している。見応えがある作品に仕上がっているはずである。
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