映画『きっと、星のせいじゃない。』の概要:原作『さよならを待つふたりのために』の映画化。主演にこれからの活躍に期待を持てるシャイリーン・ウッドリーとアンセル・エルゴート。前作『ダイバージェント』からの再共演。誰にでも起こりうる難病ガンと闘う10代の男女に焦点を当てながらも、決して暗くなく、ティーンエイジャーは放つ明るさを持ち合わせた異色青春映画。
映画『きっと、星のせいじゃない。』 作品情報
- 製作年:2014年
- 上映時間:126分
- ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、青春
- 監督:ジョシュ・ブーン
- キャスト:シャイリーン・ウッドリー、アンセル・エルゴート、ローラ・ダーン、ナット・ウルフ etc
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映画『きっと、星のせいじゃない。』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『きっと、星のせいじゃない。』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『きっと、星のせいじゃない。』のあらすじを紹介します。
インディアナポリスに住む17歳のヘイゼル・グレイス・ランカスター(シャイリーン・ウッドリー)は、10代前半で甲状腺ガンを患い、肺にまで転移してしまっている。逆境にも負けず、彼女は人一倍明るく、知的で賢いけれど、どこか皮肉っぽいところがある、どこにでもいる普通の女の子。肺の転移で落ち込んでいるかと思い、彼女の母親フラニー(ローラ・ダーン)は、娘にガン患者が集う支援団体に参加することを強く薦めるのだった。今は薬でなんとか症状を抑えて家にいることができるが、ヘイゼルの肺はもう使いものにならない“ポンコツ”で、どこへ行くにも酸素ボンベが必要な身体なのだ。幼い頃から入退院を繰り返す彼女は、友だちもできず、毎日自室で同じ本を読むばかりだった。両親を安心させるためには、ヘイゼルは渋々ガン患者の支援団体に参加するのだった。
ヘイゼルは、その集会で知り合った少年オーガスタス・ウォーターズ(アンセル・エルゴート)と仲良くなる。1つ年上で18歳のオーガスタス“ガス”は、高校のバスケットボール部のスター選手だったが、片足に骨肉腫を発症。彼はバスケットボールと別れを告げて、片足を切断し、克服していた。この日は親友アイザックに連れられて、サポートグループに参加していた。アイザックもまた眼球のガンに苦しむ青年だった。
集会では、それぞれの自己紹介が行われ、リーダーが一人一人に何が不安なのか尋ねる。ガスは尋ねられて「忘れられること」と答える。その答えに反論するように、ヘイゼルは「人はいつかみんな死に絶えて、クレオパトラもアリもモーツァルトも忘れられる。不安なら無視すれば?」とガスに向かって発言する。
初めて会ったのにガスは、クールでどことなく大人びたヘイゼルに惹かれてしまう。集会後、外でタバコを吸うガスに対してイラついたヘイゼルだが「これは象徴(メタファー)なんだ。自分を殺す凶器をくわえ、火をつけないことで殺す力は与えない」と説明するガスのシニカルなユーモアセンスを気に入るヘイゼルだった。
初対面でありながら、惹かれ合う2人。彼らは大好きな本を貸し合う。ヘイゼルは、オランダ在住の作家ピーター・ヴァン・ホーテンの「大いなる痛み」をガスに貸した。後日読み終えたガスから「どういう仕打ちだ!!」とメールが届く。その本の主人公の少女はガンを患っているのだが、小説は物語の途中で突然終わっていたのだ。ヘイゼルは物語の続きが知りたくて、その作家に手紙を書いたが、返事はなかったと言う。
数日後、ガスはヘイゼルに最高のプレゼントを用意していた。ガスは作家ヴァン・ホーテンにメールを送っていた。小説の続きが知りたいと。秘書からの返信は「No」だったが、あとがきに「アムステルダム来訪の際、お立ち寄りを」と一言、締めくくられていた。大喜びする彼女だが、度重なる治療費のおかげで、家庭にはアムステルダムに行く余裕はないと、落ち込む。病気の子どもたちのために願いを叶えてくれるジーニー財団の願い“ウィッシュ”をまだ使ってないガスが、彼の願いを使って、一緒にアムステルダムに付いて来てくれるというのだ。
ヘイゼルとガスの2人は、付き添いのヘイゼルの母と共に遠路遥々、アムステルダム行きの飛行機に搭乗するのだった。その先に待つ彼らの行く末は、想像を裏切るヴァン・ホーテンとの対面と、予想もしなかったか過酷な運命だった…。
映画『きっと、星のせいじゃない。』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『きっと、星のせいじゃない。』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
運命はどこまで過酷なのか?
ガンを題材にしている映画はたくさんある。『みなさん、さようなら』『死ぬまでにしたい10のこと』『最高の人生の見つけ方』『ザ・テノール 真実の物語』『マイ・ライフ』『50/50 フィフティ・フィフティ』『17歳のエンディング・ノート』『ジョーイ』『マイ・ルーム』など、どれも良作が多い。ガンだけあって作品的には、少し暗いが・・・。これらの作品群にまた一つ名作が加わった。それが、本作『きっと、星のせいじゃない』私たちは、まだ若い10代の男女が経験する予想にもしない運命に直面しながらも、どこまでも明るい主人公から生きる意味を見出せそうだ。恋に落ちる2人ヘイゼルとガス。ヘイゼルは末期の肺ガン患者。ガスは膝から下に骨肉腫が見つかり、やむなく片足切断をしてしまう。
近頃、難病のガンに苦しむ10代の少年少女を描く作品が増えてきた。『私の中のあなた』や『17歳のエンディング・ノート』もティーンエイジャーがガンで苦しみながら、前向きに生きようとする姿を活写する。一昔前なら大人がガンと闘いながらも、力強く生き希望を見出してゆく様を描く作品が多かった。『死ぬまでにしたい10のこと』『最高の人生の見つけ方』『マイ・ライフ』などが、そうであろう。その少し前の映画では、難病を主題にしたメロドラマが流行り、一世代を築いていたのは確かだ。たとえば『クリスマス・ツリー』『ある愛の詩』『天使の詩』『ラストコンサート』『フィーリング・ラブ』など、難病に冒されながらも、懸命に生きる姿に涙を誘う難病系の映画の公開が相次いだ70年代の作品に比べれば、近年の作品はより現実的すぎて、あまりにも残酷だ。
本作の主人公ヘイゼルはステージ4の末期ガン患者。ガスは膝下の切断。10代の男女なら、あまりにも過酷な現実だ。その上さらに、物語の終盤、ガンの再発が30%以下だったガスが、余命宣告を受ける。前記事の『君が生きた証』の中でも話したように、映画はもう夢や希望を見せてはくれない。映画が現実を映す鏡であるなら、10代という若さで亡くなってしまうのは、観る側にとってあまりにも酷過ぎる現実だ。もし、映画の中の主人公が、私だとすれば、君たちだとすれば、一体どのような想いを抱くだろうか?志し半ばでこの世を去ってしまうと分かれば、きっと平穏な日々は過ごせない。でも物語の中の彼らは、死への恐怖心や焦燥感を表には出さず、どこまでも底抜けに明るく、ある意味健気なのだが、死ぬと分かっているからこそ、生きることを大切に思い、限られた時間の中で青春を謳歌する姿は、他の10代の若者よりも生と死に向き合う彼らから、教えられることがたくさんありそうだ。私たちの運命は過酷だ。いつ、どこで、何が起きるか分からない。予測なんてできない。ある日突然、何か困難に巻き込まれたり、もしくは苦渋の選択に迫られた時、必ずこの映画の主人公、ヘイゼルとガスを思い出したくなる。たとえ、この先にどんな困難が待ち受けようとも、彼らのような姿勢で受け入れることが大切だと、教えてくれる。
期待の新人のW主演
主演の2人、アンセル・エルゴートとシャイリーン・ウッドリーは、これからの活動に期待が寄せられているティーン俳優だ。過去にジェニファー・ローレンス、クリステン・スチュワート、ザック・エフロンなど、ハリウッドで活躍する10代、20代の若手俳優として2人は既に認知されている。“アメリカ若手俳優”と検索すれば、現在ハリウッドで活躍、今後の注目されるであろう若手俳優のリストを見ることができる。
シャイリーン・ウッドリーは、ポスト・ジェニファー・ローレンスと向こうでは呼ばれ、大いに期待が集まっている。その人気は、もうすぐ日本にも到来するでしょう。元々、子役からテレビドラマ界で活躍していた彼女。その当時から、テレビ関係の賞などで新人賞を受賞していた経歴がある。映画の世界に活躍の場を移すようになったきっかけは、2012年に公開されたジョージ・クルーニー主演の『ファミリー・ツリー』にて、クルーニー演じる父親の長女役で映画デビューを果たす。この作品での演技力が評価を受け、新人でありながら、各方面の映画祭でノミネート、もしくは受賞を果たし、一気に次世代の若手女優として注目されることに。その後SF映画の4部作『ダイバージェント』にて初主演を務める。この作品には後述もするが、アンセル・エルゴートとも共演している。シャイリーン・ウッドリーは、ジェニファー・ローレンスと活躍が似ているから、ポスト・ジェニファー・ローレンスと呼ばれている。ジェニファー・ローレンスはデビュー作『ウィンターズ・ボーン』と『あの日、欲望の大地で』で新人として注目をうけるようになり、その後アクション映画3部作『ハンガーゲーム』シリーズで主演を務めている。この流れがシャイリーン・ウッドリーと似ているらしい。いずれ、ジェニファー・ローレンスのように、シャイリーン・ウッドリーもアカデミー賞を受賞するような若手の大女優に成長することを、今から楽しみにしている。
またもう一人の主役アンセル・エルゴートもハリウッドで次世代の若手俳優として注目を浴びている。10代までは演劇学校に通い、そこで演技の勉強をした彼のデビュー作はスティーブン・キングの初期の傑作『キャリー』のリメイク版で、クロエ・グレース・モレッツ、ジュリアン・ムーアと共演を果たす。デビューから大作映画に恵まれた彼は、次も大作映画『ダイバージェント』にシャイリーン・ウッドリー演じるトリスの兄役ケイレブを演じる。今年日本でも公開予定の『ダイバージェント』の続編『サイバージェント』でも同役でシャイリーン・ウッドリーと再々共演。2人が共演を果たした3作『きっと、星のせいじゃない』『ダイバージェント』『サイバージェント』は、全米初登場で興行成績を1位になる快挙を得ている。新人でありながら、軒並みならぬヒット作の立て続けの出演。これからどのような作品に出演し、どのような役者に成長できるか、楽しみな新人俳優の一人なのは間違いない。
また、彼らシャイリーン・ウッドリーとアンセル・エルゴートを支えるベテランの俳優たちの演技も安定している。シャイリーン・ウッドリー演じるヘイゼルの母親役には、ローラ・ダーン。オランダ・アムステルダム在住の作家ヴァン・ホーテン演じるのは、悪役がお似合いのウィレム・デフォー。彼ら2人の安定した演技力が、主演の若手を支える原動力にもなっている。若手からベテランまでが揃った見事なアンサンブルが、この映画を輝かせているのだろう。
病気をテーマにした作品は正直、苦手です。そういう現実があることから目を背けたい気持ちもあるし、悲しくなる映画をわざわざ見たくないからです。
しかし、この作品は良い意味で病気を患う若者を包み隠さず、リアルに映し出していて、病気だから可哀想、余命が残り僅かだから変に気を使ってしまうと考えていた自分が恥ずかしくなりました。
他人が考えているほど彼らは弱くないし、前しか向いていませんでした。そんな彼らの姿に勇気や希望を見せてもらったし、今自分が置かれている現状がどれほど恵まれていて、幸せなことなのかを改めて考えさせられました。(女性 30代)
テーマは病気ですが、それを重苦しくなく前向きに描いているので観ると元気がもらえる不思議な作品です。中盤からラストは泣けます。
片方だけ病気になって苦しむパターンの映画はたくさんありますが、2人とも病気というのが珍しい設定です。バックミュージックもおしゃれですが、セリフで使われる言葉が秀逸ですべてが名言に見えてしまいます。
泣くことが分かっているので、軽い気持ちで観るよりも気合を入れて観る必要のある映画です。(女性 30代)
本作は、不治の病と戦うティーンエイジャーの2人の純愛を描いた青春ラブストーリー作品。
末期がんで酸素ボンベが手放せないヘイゼルと、片足を切断して骨肉腫を克服したガス。難病を抱える2人の苦しみや、お互いを想い合い支え合う気持ちに涙が止まらなかった。
心に刺さる台詞が多くて沢山のときめきがあった。
限られた時間の中で一日一日を大切に希望を捨てずに生きる2人に考えさせられた。
随所にジョークがあって明るい雰囲気なところも良かった。(女性 20代)
映画『きっと、星のせいじゃない。』 まとめ
ガンや難病を扱う映画と言えば、暗くて重いイメージのある作品を思い浮かべてしまうだろう。確かに、この作品も病との闘いを描いている点は、少し重く感じるかもしれませんが、どちらかと言えば、病や死の恐怖を乗り越え、前向きに明るく残りの人生を過ごそうと懸命に生きる若者の姿を克明に描いている。眼球のガンが原因で、失明した青年が恋人に振られた腹いせに彼女の車に生卵を投げるシーンや自分が死ぬ前に親友の弔辞を聞きたいから生前葬を執り行ったり、彼らの奇抜な行動が、観る側に勇気を与えてくれる。現実なら、余命宣告を受けたその時から、落ち込み生きる気力を失ってしまうだろう。けれど、彼らが一生懸命限られた時間、人生を大切に過ごそうとするその姿に、私たちは励まされる。現代の日本の10代、20代中心に観て欲しい。そして、感じて欲しい。今自分自身が置かれている立場が、どれほど恵まれているかを…。
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