「恐怖の報酬」のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

40年の封印が解け、語り継がれてきた伝説の超大作が、オリジナル完全版として4Kデジタル・リマスター版で登場する。日本では30分の短縮版でのみの放送となっていたため、今回が日本初公開となる。

恐怖の報酬の作品情報

恐怖の報酬

タイトル
恐怖の報酬
原題
Sorcerer
製作年
1977年
日本公開日
2018年11月24日(土)
上映時間
121分
ジャンル
サスペンス
監督
ウィリアム・フリードキン
脚本
ウォロン・グリーン
製作
ウィリアム・フリードキン
製作総指揮
不明
キャスト
ロイ・シャイダー
ブルーノ・クレメル
フランシスコ・ラバル
アミドウ
ラモン・ビエリ
製作国
アメリカ
配給
コピアポア・フィルム

恐怖の報酬の作品概要

エクソシスト』や『フレンチ・コネクション』の映画監督として知られている、映画界の名監督ウィリアム・フリードキンが手掛ける、渾身のサスペンス大作。1953年、フランス映画界の名作『恐怖の報酬』をリメイクしたアメリカ製作版で、1977年に発表される。だが、同時期に公開された空前の大ヒット作品『スター・ウォーズ』の影響を受け、興行的に大失敗してしまう。当時、30分の短縮版で放送された幻の映画が、デジタル・リマスター版の完全オリジナルとして再び劇場に登場する。

恐怖の報酬の予告動画

恐怖の報酬の登場人物(キャスト)

ジャッキー・スキャロン“ドミンゲス”(ロイ・シャイダー)
賭博荒らしのならず者。マフィアの幹部の弟を重傷にしてしまい、裏組織から逃げ回っている。
ヴィクトル・マンゾン“セラーノ”(ブルーノ・クレメル)
元銀行セールスマン。巨額の不正融資が発覚し、現在は銀行家を辞めて逃亡中。
ニーロ(フランシスコ・ラバル)
チーム最年長。ナチスの残党をターゲットに、殺し回っている殺し屋。
カッセム“マルティネス”(アミドウ)
過激派グループの爆弾犯で、警察に追われているところで今回の仕事に就く。

恐怖の報酬のあらすじ(ネタバレなし)

祖国を追われ、南米の奥地へ流れてきた男たちがいた。男たちだけでなく、ジャングルに囲まれたポルベニールは、犯罪者やならず者が暮らす街として有名であった。ある日、ポルベニールから300キロほど離れた山の上にある油井で、爆発事故を伴う大規模な火災が発生する。

石油会社は、沈下のために爆弾の投下を決断する。だが、倉庫にあるのはニトログリセリンのみ。ニトログリセリンは、少しの衝撃でも大爆発を起こす大変危険な薬品である。石油会社は、多額の報酬を条件にポルベニールからニトロ運搬を請け負ってくれる希望者を募った。

そこで、4人の荒くれ者が名を挙げる。ドミンゲス、セラーノ、ニーロ、マルティネスは、報酬1人当たり1万ドルを約束させ、2台に分けたトラックに乗り込み、火災現場までの道なき道を300キロ、進み始める。

ネタバレ 恐怖の報酬(オリジナル完全版)

恐怖の報酬の感想・評価

今は亡き、4人の遺作

1977年に製作公開された『恐怖の報酬』で、メインの4人組を演じたロイ・シャイダー、ブルーノ・クレメル、フランシスコ・ラバル、アミドウは、この世を去った今は亡き俳優たちである。

ロイ・シャイダーは、『JAWS/ジョーズ』で主役のブロディ署長を演じたアカデミー賞ノミネート俳優である。監督のウィリアム・フリードキンとは、『フレンチ・コネクション』でタッグを組み、『恐怖の報酬』でも主役に抜擢される。

ブルーノ・クレメルは、『パリは燃えているか』などで性格俳優として多くの作品に出演してきたフランス人俳優。テレビ映画である『新・メグレ警部』でも主役を務めていたので、その印象が強い人もいるかもしれない。

パコの愛称で親しまれていたフランシスコ・ラバルは、スペインで知らぬ人はいないスター俳優であった。60年代から80年代にかけて、多くの映画作品に出演し、1984年の『無垢なる聖者』では、カンヌ映画祭男優賞を受賞している。

1969年公開の『愛と死と』の主演を務めたアミドウは、この映画によってウィリアム・フリードキンに名が知られ、『恐怖の報酬』に出演するきっかけとなった。クロード・ルルーシュ監督の作品の常連俳優として知られている

残念ながら、4人とも既にこの世を去り、『恐怖の報酬』は彼らの遺作となった訳だが、若かりし頃の彼らの全盛期の演技を、ぜひ堪能したい。

多くの利権が絡み、お蔵入りとなっていた40年

1977年に公開されて以降、40年の月日が経っているが、この映画の40年はまさに激動ともいえる。77年の初公開時、奇しくもジョージ・ルーカスの名作『スター・ウォーズ』と被ってしまい、興行は大失敗。当時投資した100億円ほどの予算とは程遠い1.1億円の興行収入で幕を閉じた。

元々、1953年にフランスで製作公開された『恐怖の報酬(Le Salaire de la peru)』のリメイクでもある今作は、53年の監督クルーゾー氏の傑作には敵わないと否定的な評価に終わる。

北米で先行して公開され、失敗に終わったため、当初121分だった本編は、ウィリアム・フリードキン監督に無断で編集され121分から92分の短縮版として公開される。また、リメイク版であることも強調し、クルーゾー監督との比較に終始言及された。

2011年に、フリードキン監督は状況の打開を図り、配給会社を提訴。裁判で利権が明らかとなり、監督は配給会社と交渉し上映権を正式に決め、2013年ようやくヴェネツィア映画祭でプレミア上映される。

フリードキン監督の功労が、認められた瞬間である。

多くの逸話のある映画

製作当時の1970年代では、まだ映画にCGなどは存在しない。全てが手作りであり、全て本物である。クライマックスに登場する巨大な倒木に始まり、爆発も全てが本物で、それもフリードキン監督の手配した「友人」によるものらしい。

元放火犯や爆破魔などが手掛けた爆発や、エルサレムでのテロ場面では本物のテロリストたちが爆発を起こした話など、嘘のような本当の話が多く残っている。それだけ、監督のウィリアム・フリードキンが映画に情熱を注いでいたということである。

映画を撮るためなら、犯罪者であろうと本物のテロリストだろうと、映画の材料として活用する。普通では至らない発想であり、巨匠だからこそなせる業なのかもしれない。

2018年、デジタル・リマスター版でオリジナル映画がいよいよ公開されるが、現在83歳となった監督は、当然喜びを噛み締めているだろう。多くの逸話と、多くの思い出と、多くの情熱の詰まった、漢たちの戦いを、劇場で堪能したい。

恐怖の報酬の公開前に見ておきたい映画

映画『恐怖の報酬』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。『恐怖の報酬』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

恐怖の報酬(1953)

アンリ=ジョルジュ・クルーゾー氏が、監督・脚本を手掛けた中米を舞台にしたサスペンス映画。第6回カンヌ国際映画祭ではグランプリと男優賞を受賞し、第3回ベルリン国際映画祭では金熊賞を受賞した名作。

日本でも劇場公開され、1967年・1972年・2000年とテレビ放送もされているほどの人気映画である。

クルーゾー監督の『恐怖の報酬』では、舞台は南米のベネズエラで、爆発の危険性のあるニトログリセリンを500キロ先の油田まで運送する。大規模な長距離移動の割に、報酬は2000ドルと今ではなんとも破格な値段である。

主人公マリオとジョーが、運搬途中で話すセリフに「2000ドルの報酬は、恐怖に対する報酬でもあるのだ」と言う言葉の通り、道中はとても危険でいつ爆発してもおかしくない状況である。監督はその状況を、観客も一緒に楽しんで欲しいのだと感じる。多くの恐怖ポイントが登場するクルーゾー版『恐怖の報酬』も、なかなかに見どころが満載である。

詳細 恐怖の報酬(1953)

エクソシスト

監督・ウィリアム・フリードキンと言えば、この作品をまず紹介したい。1973年のホラー映画だが、ホラー映画が苦手な人でも、この映画の名を知らない人はいないのではないだろうか。

少女に憑依した悪魔と、それを祓うために奮闘する神父のオカルト映画の代表作である。アメリカでは、興行収入1位を記録し、第46回アカデミー賞脚色賞と音響賞を受賞している。また、ゴールデングローブ賞では、作品賞(ドラマ部門)・監督賞・助演女優賞・脚本賞を受賞している。

有名なシーンでは、悪魔が乗り移っている少女がブリッジした状態で迫ってくる場面だろうか。小さな子供で、このシーンがトラウマになった人も少なくない。

この映画でも、フリードキン監督の逸話は多く残っており、緊張感を高めるために拳銃やショットガンを持ち込んでいたとか、ホラー映画の撮影によくある事故を大げさに話していたとか、話題に尽きない。

エンディングの変更も幾度となく検討され、後に公開される記念版や続編で別のエンディングを見ることができる。多くの恐怖の他に、多くの楽しみが詰まっているホラー映画である。

詳細 エクソシスト

フレンチ・コネクション

フリードキン監督の作品で、1971年公開後、第44回アカデミー賞に8部門ノミネートし、作品賞・監督賞・主演男優賞・脚色賞・編集賞を受賞する。この映画の主役であるポパイ刑事の相棒クラウディを演じたのが、『恐怖の報酬』でも出演しているロイ・シャイダーである。

ロイ・シャイダーと言えば、多くの人が『JAWS/ジョーズ』を思い浮かべるだろうが、『フレンチ・コネクション』で、アカデミー賞の助演男優賞にノミネートされている。そして、『JAWS/ジョーズ』の主演を経て、その実績が認められ『恐怖の報酬』にも出演することとなる。

『フレンチ・コネクション』自体のストーリーは、アメリカの実在の事件がモデルになっている。1961年にニューヨーク市警察本部薬物対策課の警察官が、フランスから密輸されたおよそ40Kgの麻を薬押収した事件である。

この事件の警察官であるエドワード・イーガンと、その相棒サルヴァトーレ・グロッソは、アドバイザーとして製作に協力している。この辺りが、ウィリアム・フリードキン監督の映画にかける情熱の塊のような熱意を感じ得る部分である。

詳細 フレンチ・コネクション

恐怖の報酬の評判・口コミ・レビュー

恐怖の報酬のまとめ

失われた傑作として謳われ、長らく日の目を見なかった映画が、長い年月を経て人々に認められ再びスクリーンに登場するとは、望外の喜びである。それまでの長い時間、製作に携わってきた人たちの無念は、計り知れない。出演していた4人も、この日が来るのをどれだけ待ち詫びていただろうか。せめて、ご存命のウィリアム・フリードキン監督に、日の目を浴びることとなった『恐怖の報酬』を、存分にスクリーンで楽しんでもらいたい。

みんなの感想・レビュー

  1. カイベヤショウノジョウ より:

    恐怖の報酬(1977年版)をノーカット版で見たいと思い観に行ってきましたが、小学生の頃に観た時に観ていた場面がカットされてました、記憶では洗濯板の様なガタガタ道を猛スピードで走る場面、大きな水たまりを探り探り通り越す場面などがカットされてる。非常に残念です。

  2. OSATO より:

    仙台ではようやく21日から公開となりました(しかもたった1週間だけ)。
    この映画一番のスピードシーンでもある「洗濯板爆走」シーンがばっさりカットされているのが残念でなりません。
    オリジナルクルーゾー版でも、あのシーンは先行するトラックに追突しそうになるというハラハラ場面で、一番印象に残るものでした。
    今回「完全版」と言いながら、何ゆえこのシーンがカットされたのか理由が知りたくて仕方ありません。