小説家の乙坂鏡史郎は、執筆活動が上手くいっていなかった。そんなある日、初恋の相手である遠野未咲から手紙が届く。実は、未咲は他界しており、妹の裕里が未咲の振りをして手紙を送っていた。
映画『ラストレター』の作品情報
- タイトル
- ラストレター
- 原題
- なし
- 製作年
- 2020年
- 日本公開日
- 2020年1月17日(金)
- 上映時間
- 120分
- ジャンル
- ラブストーリー
- 監督
- 岩井俊二
- 脚本
- 岩井俊二
- 製作
- 市川南
水野昌
臼井真之介 - 製作総指揮
- 山内章弘
- キャスト
- 松たか子
広瀬すず
庵野秀明
森七菜
小室等
水越けいこ
木内みどり
鈴木慶一 - 製作国
- 日本
- 配給
- 東宝
映画『ラストレター』の作品概要
『Love Letter』(1995)で長編映画監督デビューを果たした岩井俊二が、監督・原作・脚本・共同製作・編集・主題歌の作詞を担当した作品。松たか子、広瀬すず、森七菜、福山雅治、神木隆之介など豪華なキャストが集結した。初恋の記憶を軸に描かれた珠玉のラブストーリー映画となっており、「手紙」が物語のキーポイントとなっている。主人公・岸辺野裕里の高校時代を演じた森七菜は、主題歌も担当している。
映画『ラストレター』の予告動画
映画『ラストレター』の登場人物(キャスト)
- 岸辺野裕里(大人:松たか子 / 高校時代:森七菜)
- 旧姓、遠野裕里。高校生時代、乙坂鏡史郎に密かに思いを寄せていた。現在は結婚しており、2人の子供がいる。
- 遠野未咲(広瀬すず)
- 裕里の姉。高校生時代、学校のマドンナ的存在だった。娘・鮎美がいる。他界した。
- 岸辺野宗二郎(庵野秀明)
- 裕里の夫。漫画家。裕里と鏡史郎が浮気しているのではないかと疑っている。
- 乙坂鏡史郎(大人:福山雅治 / 高校時代:神木隆之介)
- 高校生時代、未咲に思いを寄せていた。小説家としてデビューするが、執筆活動は上手くいっていない。
映画『ラストレター』のあらすじ(ネタバレなし)
「君にまだずっと恋してるって言ったら、信じますか?」
乙坂鏡史郎は小説家としてデビューするものの、執筆活動は上手くいっていなかった。そんなある日、初恋の相手である遠野未咲から手紙が届く。1992年夏。鏡史郎は転校先の高校で未咲に出会い、一目惚れをする。未咲は学校のマドンナ的存在だった。鏡史郎は未咲に宛てた手紙を、未咲の妹の裕里に頼んで渡してもらっていた。
大人になった鏡史郎に手紙を送ったのは、裕里だった。裕里は未咲が亡くなったことを知らせるために同窓会に参加した。そこで、未咲に間違えられてしまう。そのまま鏡史郎と再会し、未咲の振りをして手紙のやり取りをすることにしたのだ。実は、鏡史郎は裕里の初恋の相手だった。
鏡史郎は今も未咲のことを忘れることができないでいた。そして、裕里は姉を失った悲しみを引き摺っていた。
映画『ラストレター』の感想・評価
海外からも高い評価を受けている、岩井俊二監督作品
本作の監督を務めたのは、『Love Letter』(1995)で長編映画監督デビューを果たし数々の人気作を世に送り出してきた岩井俊二。『Love Letter』は海外での人気も高く、大勢の韓国人観光客が映画の舞台になった小樽を訪れたほどである。その他に、鈴木杏×蒼井優が共演した『花とアリス』(04)や近未来の架空都市を舞台に移民達の姿を描いた『スワロウテイル』(1996)などの作品を手がけている。
岩井俊二は本作で監督の他に、原作・脚本・共同製作・編集・主題歌の作詞を担当している。岩井監督の出身地である宮城県が物語の舞台になっており、複雑に絡み合う2つの世代の恋愛模様が描かれた。題名の通り「手紙」に重きを置いた物語で、『Love Letter』に対するアンサー映画にもなっている。
豪華キャストが集結
主人公の岸辺野裕里を演じたのは、『告白』(10)や『HERO』(07)など数々の話題作に出演している女優の松たか子。裕里の高校生時代と裕里の娘の颯香を演じたのは、若手女優の森七菜。オーディションを勝ち抜き、本作に出演することになった。森は作品に出演しているだけでなく、主題歌も担当している。
岸辺野裕里が高校時代に思いを寄せていた乙坂鏡史郎を演じたのは、歌手としても活躍している福山雅治。鏡史郎の高校時代を、子役から活躍している神木隆之介が演じた。物語のキーパーソンとも言える遠野未咲を演じたのは、広瀬すず。さらに、裕里の夫の岸辺野宗二郎役でアニメーターの庵野秀明、未咲の元恋人・阿藤陽市役で豊川悦司、陽市の同居人役で中山美穂が出演しており、豪華キャストが一堂に会した。
初恋の記憶を軸に描かれた珠玉のラブストーリー
岸辺野裕里の姉の未咲が他界し、葬儀の場で未咲の娘の鮎美に出会うところから物語は始まる。鮎美は未咲宛てに届いた同窓会の案内と、未咲が残した手紙を持っていた。裕里は未咲の死を知らせるために同窓会に参加し、密かに思いを寄せていた乙坂鏡史郎と再会する。そんな鏡史郎には思いを寄せている相手がいた。その相手は未咲で、学生時代に裕里に未咲への手紙を託していたこともあった。裕里は美咲と間違えられていることに気づきながら、鏡史郎と手紙のやり取りを始めた。
学生時代の淡い初恋を軸に、2つの世代の恋愛模様が描かれている。またそれだけではなく、姉の死に傷ついている裕里や初恋が叶わず引き摺っている鏡史郎の心の再生と成長についても描かれている。裕里や鏡史郎の思いの行方をぜひ見届けて欲しい。
映画『ラストレター』の公開前に見ておきたい映画
告白(2010)
松たか子の代表作。湊かなえ原作の小説を元に制作されたサスペンス映画。松たか子が主演を務め、娘を殺された中学教師の森口悠子を演じた。「第34回日本アカデミー賞・最優秀作品賞」を始め、数々の賞を受賞している。過激なストーリーが描かれていることから、社会的にも大きな話題を集めた作品である。
終業式の日、教師の森口悠子は娘の愛美が殺されたことを生徒達に話した。警察は事故死として処理していたが、それは誤りだった。愛美を殺したのは、悠子が今いるクラスの生徒だった。悠子は犯人の名前は明かさなかったが、誰のことを言っているのか話を聞いている生徒達はすぐに分かった。悠子は犯人のAとBの牛乳にHIV感染者の血を混ぜたことを話し、学校を去っていった。
詳細 告白(2010)
Love Letter
岩井俊二監督の長編映画第一作目で、脚本も執筆している。中山美穂や豊川悦司が主演を務めたラブストーリー映画。中山美穂は婚約者を亡くした渡辺博子と婚約者と同姓同名の女性・藤井樹の二役を演じた。豊川悦司は博子に片想いしている秋葉茂を演じた。冬の小樽と神戸を舞台にしており、美しい景色が印象的な作品。
2年前、渡辺博子は山の遭難事故で婚約者の藤井樹を亡くした。博子は今も藤井のことを忘れることができずにいた。彼が幼い頃に住んでいた小樽の家は、今は国道になっていた。博子は届くことがないと分かっていながらも、その住所に手紙を書いた。すると、返事が返ってきた。返事を書いたのは、藤井と同姓同名の女性・藤井樹だった。藤井樹は博子の婚約者の藤井の中学生の頃の同級生だった。
詳細 Love Letter
るろうに剣心 伝説の最期編
福山雅治と神木隆之介の代表作。和月伸宏原作の漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』を元に制作された作品。映画『るろうに剣心』シリーズの第三作目。佐藤健が主演を務め、大友啓史が監督を務めた。福山雅治は主人公である緋村剣心の師匠・比古清十郎を演じ、神木隆之介は緋村剣心の敵である瀬田宗次郎を演じた。
緋村剣心はかつて「人斬り抜刀斎」として周囲から恐れられていたが、誰もが安心して暮らせる新時代を夢見て刀を振るい続けていた。明治維新後は二度と人を殺さない誓いを立て、人を救いながら穏やかに暮らしていた。そんな時、維新政府の転覆を狙う男・志々雄真実が現れる。緋村剣心は平和な世を守るため、再び戦いの世界に身を投じることになった。
映画『ラストレター』の評判・口コミ・レビュー
『ラストレター』
とまぁ、こんなポエティックな感想を書きたくもなるくらい甘美!浜辺美波にとっての『膵臓』、広瀬すずにとっての『海街』のように、森七菜の今この瞬間を閉じ込めることに成功した傑作。驚くべきことに庵野秀明も名演!!ショットの切り取り方、カメラの動き、すべてが最高です。 pic.twitter.com/7d2Zh6JavO— 伏兵SQUAD (@squad_movie) 2020年1月18日
『#ラストレター』
全編にわたって森七菜が素晴らしいんだけど、それ以上に驚くのが広瀬すずの進化だ。少し前まで森七菜のポジションで作品を彩る役回りだったが、彼女はすでに次のステージにいた。
気配を消していた前半から一転して覚醒する後半、『ラストレター』は完全に彼女の映画となる。 pic.twitter.com/z7olhN268O— 背骨 (@sebone1126) 2020年1月18日
#ラストレター
物凄くよかった。好きに一直線になることが恋。その初々しさも甘酸っぱさも盲目さも奥深さも全て描かれている。その表現は変わるが、好きであることは変わらない恋の描かれ方が本当によい。多面的でありながらも本質は揺るがない。そして恋は一方通行でも救い/救われる力を秘めている。 pic.twitter.com/5FxPKaD4gW— 岡田拓朗@Cinema Life Career (@takuro901) 2020年1月18日
『ラストレター』
岩井俊二畢生の大名作。
「50過ぎのおっさんが、どうしたらこんな甘酸っぱい物語を生み出せるんだ」という驚きが、「50過ぎのおっさんにしか生み出せない苦く奥深い物語」へと変貌していく時の感動。
今年のベストどころか生涯のベストテン入りかも。
震えが止まらない。 pic.twitter.com/MQ3VAVTFvK
— ぼのぼの (@masato009) 2020年1月17日
“ラストレター”
新海誠監督をして、岩井俊二ほど、ロマンチックな作家は知らないと言わしめる、監督らしい、20数年の時を越えて、初恋と向き合う大人達の物語に癒される。そして、ラストレターに込められた思いに、今を生きる大人達へのエールを感じる、素晴らしくロマンチックな、秀作です。 pic.twitter.com/J23OQN9moe— 常山の住職 (@CinemaCLAIRfan) 2020年1月17日
#ラストレター
岩井俊二監督の「Loveletter」が帰ってきた。一見ロマンチックな作風ながらもそれを凌駕する現実。
そうした二面性を初恋という題材を軸に時を超え巡り巡くって映し出す。
初恋の呪縛に囚われた二人の男女が想う心情を汲み取れば感傷的にならざるを得ない、甘酸っぱくもビターな作品。 pic.twitter.com/qKH4nSbrg7— りょーた@Movie🎬 (@Ryota_daze27) 2020年1月18日
映画『ラストレター』のまとめ
高校生時代の初恋を軸に、複雑な恋愛模様と心の成長を描いたラブストーリー映画。主題歌の作曲と映画音楽を担当したのは、音楽プロデューサーとして数々の名曲を世に送り出してきた小林武史。切ない思いを抱える岸辺野裕里達の物語をどんな音楽が彩っているのか、注目しながら聞いて欲しい。松たか子を始め、実力派俳優達が集結している。そんな中、アニメーターの庵野秀明が俳優として作品に参加している。庵野秀明がどのような演技を見せてくれるのかも楽しみにして欲しい。
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