キャサリン・ガンはイギリスの諜報機関GCHQ(政府通信本部)の職員として働いていた。ある日、アメリカの諜報機関NSA(国家安全保障局)からメールが届き、イラクに戦争を有利に仕掛けるために違法なスパイ活動をするよう指示される。
映画『オフィシャル・シークレット』の作品情報
- タイトル
- オフィシャル・シークレット
- 原題
- Official Secrets
- 製作年
- 2019年
- 日本公開日
- 2020年8月28日(金)
- 上映時間
- 112分
- ジャンル
- サスペンス
- 監督
- ギャビン・フッド
- 脚本
- サラ・バーンスタイン
グレゴリー・バーンスタイン
ギャビン・フッド - 製作
- ジェド・ドハーティ
エリザベス・フォウラー - 製作総指揮
- マーク・ゴードン
マット・ジャクソン
サラ・スミス
ギャビン・フッド
クローディア・ブリュームフーバー
アン・シーアン
ヒューゴ・ヘッペル - キャスト
- キーラ・ナイトレイ
マット・スミス
マシュー・グード
リス・エバンス
アダム・バクリ
レイフ・ファインズ - 製作国
- イギリス・アメリカ合作
- 配給
- 東北新社、STAR CHANNEL MOVIES
映画『オフィシャル・シークレット』の作品概要
マルシア・ミッチェルとトーマス・ミッチェル原作のノンフィクション本『The Spy Who Tried to Stop a War』を元に制作されている。イラク戦争の開戦を阻止するため、国家の違法なスパイ活動をマスコミにリークした実在の女性の活躍が描かれている。数々の話題作に出演しているキーラ・ナイトレイが主演を務め、マット・スミス、マシュー・グード、リス・エバンスなど実力派俳優達が脇を固めた。
映画『オフィシャル・シークレット』の予告動画
映画『オフィシャル・シークレット』の登場人物(キャスト)
- キャサリン・ガン(キーラ・ナイトレイ)
- イギリスの諜報機関GCHQ(政府通信本部)の職員。イラク戦争を止めるため、国家の違法なスパイ活動をマスコミにリークする。
- マーティン・ブライト(マット・スミス)
- ジャーナリスト。キャサリンがリークした告発文を記事にする。
- ベン・エマーソン(レイフ・ファインズ)
- 人権派の弁護士。キャサリンの弁護を担当し、政府を相手に戦う。
映画『オフィシャル・シークレット』のあらすじ(ネタバレなし)
2003年1月。キャサリン・ガンはイギリスの諜報機関GCHQ(政府通信本部)の職員として働いていた。パソコンにアメリカの諜報機関NSA(国家安全保障局)からメールが届く。そこには、イギリスとアメリカが有利にイラクに戦争を仕掛けるため、国連安全保障理事会のメンバーを盗聴するよう指示することが書かれていた。キャサリンはイラク戦争を疑問視し、違法なスパイ活動に憤る。
キャサリンは違法なスパイ活動のことをマスコミにリークした。ジャーナリストのマーティンはそれを新聞「オブザーバー」の紙面に載せる。諜報機関GCHQは内部に裏切り者がいるとし、職員達を厳しく取り調べた。キャサリンは関係のない同僚達が取り調べを受けている状況に耐えられず、自分が告発したことを明かす。
キャサリンは機密法違反で逮捕されることになった。人権派の弁護士であるベンは、キャサリンの弁護を担当した。キャサリンの運命は!?
映画『オフィシャル・シークレット』の感想・評価
キャサリン・ガン事件
本作品はマルシア・ミッチェルとトーマス・ミッチェル原作のノンフィクション本『The Spy Who Tried to Stop a War』を元に制作されている。本の中で描かれているのは、イラク戦争の開戦前に起きた実際の事件「キャサリン・ガン事件」である。それは、イギリスの諜報機関GCHQ(政府通信本部)の職員だったキャサリン・ガンが、アメリカの諜報機関NSA(国家安全保障局)から届いたメールをマスコミにリークした事件である。メールには、国際連合安全保障理事会・理事国代表を盗聴することによって、アメリカとイギリスが優位な立場でイラクに戦争を仕掛けようとしていることが書かれていた。
キャサリンがこのメールをマスコミにリークしたのは、イラク戦争に反対しているからだった。キャサリンは機密法違反で逮捕され、起訴されることになる。イギリス国民はリークの内容に衝撃を受け、裁判は大きな注目を集めた。キャサリンがどのような運命を辿ることになるのか、ぜひ映画で見届けて欲しい。
日本でも人気の女優、キーラ・ナイトレイが主演を務めた
主人公のキャサリン・ガンを演じたのは、美しい美貌と高い演技力を兼ね備えた女優のキーラ・ナイトレイである。キーラ・ナイトレイは映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(14)など日本でも人気の作品に多数出演しており、女性を中心に支持を集めている。今回、アメリカの諜報機関NSA(国家安全保障局)から届いた情報をマスコミにリークし、政府と戦うことになった女性という難しい役に挑戦している。
その他に、テレビドラマ『ドクター・フー』の11代目ドクター役で一躍有名になったマット・スミス、「エミー賞ドラマシリーズ部門・最優秀ゲスト男優賞」にノミネートされたことがあるマシュー・グッドなど、実力派俳優達が出演している。
ギャビン・フッドがメガホンを取った
メガホンを取ったのは、映画『ツォツィ』(05)で「第78回アカデミー賞・外国語映画賞」を受賞したギャビン・フッド。日本では映画『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』(09)の監督として有名である。ギャビン・フッドはグレゴリー・バーンスタインやサラ・バーンスタインと共に、本作の脚本も手掛けている。
アメリカでは2019年8月30日に、イギリスでは2019年10月18日にそれぞれ公開されている。観客だけでなく批評家からの評価も高く、実際に起きた政治問題の衝撃とその事件に関わった様々な人達の心情が体感できるような物語になっている。イラク戦争が起きる前に一体イギリスで何が起きていたのか、興味深い作品に仕上がっている。
映画『オフィシャル・シークレット』の公開前に見ておきたい映画
ウルヴァリン:X-MEN ZERO
ギャビン・フッド監督の代表作。映画『X-MEN』シリーズのスピンオフ作品。ミュータントのウルヴァリンを主人公にした物語で、ヒーローになるまでと兄のビクターと袂を分かつ様子が描かれている。ウルヴァリンを演じたのは、日本でも人気の俳優であるヒュー・ジャックマン。
幼い頃、ジェームズ・ハウレットはトーマス・ローガンという人物によって父が殺害される現場を目撃する。そのショックからミュータントの力が覚醒し、ローガンを刺殺した。その時、ローガンは実の父であることをジェームズに教えた。その後、ジェームズは兄のビクターと行動を共にし、何度も戦争を経験した。二人はミュータント達で結成された特殊部隊『チームX』に所属するが、ジェームズはチームの考えと任務に馴染むことができずに脱退する。
イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密
キーラ・ナイトレイの代表作。第二次世界大戦中にエニグマ暗号の解読に取り組んだ実在の人物、アラン・チューリングの姿を描いた作品。主演を務めたのは、テレビドラマ『SHERLOCK(シャーロック)』シリーズでお馴染みのベネディクト・カンバーバッチ。キーラ・ナイトレイは暗号解読者のジョーン・クラークを演じ、「第87回アカデミー賞・助演女優賞」にノミネートされた。
第二次世界大戦時。天才数学者アラン・チューリングはデニストン中佐の面接を受け、エニグマ暗号の解読に名乗りを上げた。それはドイツ軍が主要な通信に使用している暗号で、解読不能と言われているものだった。周囲の理解が得られない中、アランは暗号を解読するための装置を開発した。
バグダッド・スキャンダル
ポリティカル・サスペンス作品。元国連職員マイケル・スーサン原作の自伝的小説『Backstabbing for Beginners』を元に制作された作品。国連史上最悪の政治スキャンダルを描いた物語で、社会的に大きな注目を集めた。映画『ダイバージェント』(14)に出演して一躍有名になったテオ・ジェームズが主演を務めた。
マイケルは国務省の外交官だった父のようになるべく、国連本部の採用試験を受けた。その結果、四度目の受験で採用が決まる。マイケルは「石油・食料交換計画」を担当することになった。それは、国連がイラクの石油販売を管理し、利益を人道援助に充てる計画だった。そんなある日、CIAのジャスティンがマイケルの元を訪ねて来る。ジャスティンは「石油・食料交換計画」が悪用されているため、調査に協力して欲しいとマイケルに頼んだ。
詳細 バグダッド・スキャンダル
映画『オフィシャル・シークレット』の評判・口コミ・レビュー
映画館での今年82本目の映画として『オフィシャル・シークレット』鑑賞。
最初は向こう見ずな正義感で突っ走ったような主人公が、国家と対峙するようになって成長していく。
そういう変化をK・ナイトレイが凛とした演技で見せてくれます。
腰砕けな裁判の顛末も含め、緊張感が途切れない作品でした。 pic.twitter.com/Qdv3VofSkm— tetu (@tetutetu1962) August 30, 2020
『オフィシャル・シークレット』
スパイである私は何のため働くのか。政府か、国民か、家族か。
嘘に基づくイラク戦争開戦の気運の下、己が責務を問いリークへ至る英国諜報部員演じるキーラ・ナイトレイの、繊細な声音と強靭な瞳に惹き込まれる。法の使命を体現するレイフ・ファインズの迫力も圧巻。 pic.twitter.com/dlZu4hIqSF
— pherim⚓ (@pherim) August 25, 2020
正義を盾にイラク戦争を強行した米英政府のとんでもない”犯罪”を暴く実話。真実と正義を語る諜報員が追い込まれる恐ろしさ。圧倒的不利な状況に挑む大胆な法廷戦略は見もの。その結末は力強い光か強大な闇か。些か上品な映像の中で反骨精神を滾らせる社会派の傑作。 pic.twitter.com/1T4nsKQWDE
— シネマン(映画好き) (@cineman_0727) August 29, 2020
『オフィシャル・シークレット』(8月映画館⑰)
イラク戦争開戦前夜に英米政府を揺るがせた告発事件。実話に基づく作品だけれど知らなかったためラストは予想外だった。人ごととは思えず最後まで緊張感が続く素晴らしい作品。彼女の告発で様々な弊害も起こり揺らぐ彼女を支える人々の言葉も心に残る。— Lita (@Lita1224710) August 30, 2020
『 オフィシャル・シークレット』鑑賞
国家機密を漏洩した英国諜報職員の女性の実話に基づく物語
かなり興味深い作品で見応えあり
主人公の女性の揺れ動く心や決意
移民である彼女の夫
サポートする弁護士
皆の気持ちに心を揺さぶられる
ラストの裁判シーンはちょっと鳥肌
ギュッと詰まった112分 pic.twitter.com/lckTnDATIL— yokito (@yogini_yokito) August 28, 2020
映画『オフィシャル・シークレット』のまとめ
国家と戦った女性キャサリン・ガンは、実在の人物である。広島で英語を指導していたことがあり、その時に原爆と戦争の恐ろしさを見聞きしている。イラク戦争を止めようとした彼女は、勇気を胸に違法な工作活動を促すメールの内容を告発した。内部告発は誰にでもできるものではない。きっと逮捕される恐怖や政府と戦う恐怖を感じたはずである。勇敢なキャサリン・ガンの行動と、そのことによって国がどのように動いたのか見届けて欲しい。
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