中国の都市を舞台に、「陽だまりの朝食」「小さなファッションショー」「上海恋」という3つの物語が描かれている。自分自身の現状に不満を抱きつつ、家族との関係や初恋について悩みを抱えている人達が登場する。
映画『詩季織々』の作品情報
- タイトル
- 詩季織々
- 原題
- なし
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2018年8月4日(土)
- 上映時間
- 74分
- ジャンル
- ラブストーリー
ヒューマンドラマ
アニメ - 監督
- イシャオシン
竹内良貴
リ・ハオリン - 脚本
- 永川成基
- 製作
- 不明
- 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- 坂泰斗
伊瀬茉莉也
定岡小百合
寿美菜子
白石晴香
安元洋貴
大塚剛央
長谷川育美 - 製作国
- 日本
- 配給
- 東京テアトル
映画『詩季織々』の作品概要
中国の3つの都市を舞台に、家族や初恋の間で悩む人々の姿を描いたオムニバス映画。イシャオシン・竹内良貴・リ・ハオリンが監督を担当しており、3つの短編作品が収録されている。コミックス・ウェーブ・フィルムと中国のアニメ業界でも有名なHaolinersがコラボレーションして制作されたアニメで、中国で大切にしている「衣食住行」という教えを元に作られている。コミックス・ウェーブ・フィルムは、新海誠が所属するアニメ制作会社として有名である。
映画『詩季織々』の予告動画
映画『詩季織々』の登場人物(キャスト)
- シャオミン(青年期:坂泰斗 / 少年期:伊瀬茉莉也)
- 「陽だまりの朝食」の登場人物。湘南省出身。幼少期は祖母と暮らしていた。北京で働いている。無味乾燥な日々を過ごしている。
- イリン(寿美菜子)
- 「小さなファッションショー」の登場人物。広州出身。モデルとして活躍している。幼い頃に両親を亡くしている。人気が下降しつつあることに悩んでいる。
- ルル(白石晴香)
- 「小さなファッションショー」の登場人物。服飾の専門学校に通う学生。イリンの妹。内向的な性格。
- リモ(大塚剛央)
- 「上海恋」の登場人物。上海出身。シャオユに思いを寄せていたが、気持ちが伝えられないまま疎遠になる。
- シャオユ(長谷川育美)
- 「上海恋」の登場人物。リモの幼馴染。
映画『詩季織々』のあらすじ(ネタバレなし)
中国の都市を舞台に、「陽だまりの朝食」「小さなファッションショー」「上海恋」という3つの物語が描かれている。「陽だまりの朝食」。シャオミンは日常生活に何の楽しさも見いだせず、ただなんとなく日々を過ごしていた。そんな時、ふとしたことをきっかけに故郷で祖母と過ごした日々を思い出す。ある日、祖母の具合がよくないとシャオミンの元に連絡が入る。
「小さなファッションショー」。イリンと妹のルルは、幼い頃に両親を亡くしてから助け合って生きてきた。イリンはファッションモデルとして活躍していたが、人気が下降しつつあることに最近悩んでいた。そのせいで人間関係が悪化し、恋も上手くいかず、憂鬱な日々を過ごした。しかも、ルルにまで当たってしまい、2人の間に溝ができてしまう。
「上海恋」。1990年代の上海が舞台になっている。リモは幼馴染のシャオユに思いを寄せていたが、打ち明けることができずにいた。しかも、高校受験をきっかけに、2人の関係はだんだん疎遠になってしまう。それから月日が流れ、社会人になったリモは、部屋でシャオユと交換し合っていたカセットテープを発見する。
映画『詩季織々』の感想・評価
日本×中国の共作
本作品は、コミックス・ウェーブ・フィルムと中国のアニメ業界でも有名なHaolinersがコラボレーションして制作されたアニメである。コミックス・ウェーブ・フィルムは『君の名は。』(16)で250.3億円の興行収入を得るほど爆発的なヒットを飛ばした、新海誠が所属するアニメ制作会社である。
Haolinersは村山慶原作の漫画『セントールの悩み』のアニメーション制作を担当したことでも有名である。そんなコミックス・ウェーブ・フィルムとHaolinersが共同して制作した『詩季織々』は、中国の暮らしの基本である「衣食住行」をテーマに作られている。3つの物語は、どれもどこか懐かしくて暖かい作品に仕上がっている。
3人の監督×3つの短編
イシャオシンは「陽だまりの朝食」の監督をしており、自身が書いた短文が元になっている。イシャオシンが経験した家族との思い出が、実際に物語に生かされている。また、イシャオシンは今まで実写映画に携わっており、この作品がアニメ映画初挑戦となる。
竹内良貴は長年CGチーフとして活躍してきた人物である。彼が監督を担当した「小さなファッションショー」は、「服」がキーワードになっており、喧嘩をして溝ができてしまう姉妹について描かれている。
リ・ハオリンはHaolinersの代表であり、「上海恋」の監督を担当している。この物語は『秒速5センチメートル』(07)をオマージュして作られており、青年が幼馴染に抱いた淡い初恋についての思いが描かれている。
衣食住
今作品は中国で大切にしている「衣食住行」という教えを元に作られており、「陽だまりの朝食」は「食」、「小さなファッションショー」は「衣」、「上海恋」は「住」がテーマとして描かれている。「衣食住行」の最後の行は、「交通」を表す言葉である。
「衣食住行」は人が生きていく上で欠かせないものであり、中国人に限らず日本人の方でもこの言葉を理解することはできるのではないだろうか。そんな馴染のある言葉が物語のテーマとして設定されているため、見ている人達も感情移入しやすい物語になっていると思う。この作品を見れば、家族や恋人や友人など、自分の大切な人が脳裏を過り思わず会いたくなってしまうと思う。それほど生活に密接で、心温まる物語になっている。
映画『詩季織々』の公開前に見ておきたい映画
君の名は。
竹内良貴が3DCGチーフを担当した作品。250.3億円の興行収入を得た、大ヒットアニメ映画。日本以外にもイギリスやアメリカなどで公開され、いずれも大ヒットを記録した。劇中歌はロックバンドのRADWIMPSが担当しており、挿入歌の『前前前世』は日本中で親しまれた。
東京に暮らす男子高校生の立花瀧は、自分が見知らぬ女子高生の姿になっている夢を見ていた。一方、岐阜県の田舎町に暮らす女子高生の宮水三葉もまた、自分が見知らぬ男子高校生の姿になる夢を見ていた。宮水は何もない田舎での暮らしに嫌気がさしており、都会での暮らしを満喫した。それからも、体が入れ替わる出来事は続いた。しかも、それがただの夢ではないことに気づく。
詳細 君の名は。
ユメ十夜
夏目漱石原作の『夢十夜』を元に、11人の監督によって制作されたオムニバス映画。プロローグと第一夜~第十夜とエピローグから構成されており、戸田恵梨香や山本耕史や香椎由宇など、錚々たる俳優や女優達が出演している。「夢の世界」がテーマになっており、幻想的でどこかつかみどころがない物語が楽しめる。
第一夜ではある夫妻が登場する。妻は死ぬ間際、100年待って欲しいと呟いた。夫がその言葉に戸惑っている間に、いつの間にか100年経っていた。第二夜では和尚と、和尚から侍だと指摘される男が登場し、第三夜では夏目漱石が登場する。第四夜でも夏目漱石が登場するが、第三夜とはまた異なった話になっている。そんな不可思議な物語が、第十夜収録されている。
詳細 ユメ十夜
ハウルの動く城
ラブストーリー×ファンタジーアニメ映画。ダイアナ・ウィン・ジョーンズ原作の小説『魔法使いハウルと火の悪魔』が元になって制作されている。原作者からハウルの性格を変えないよう注文があったため、そこを注意しながら戦争などの要素が付け加えられている。宮崎駿が監督・脚本を担当しており、「第61回ヴェネツィア国際映画祭・オゼッラ賞」など多数の賞を受賞している。
18歳のソフィーは帽子を制作して生計を立てていた。ある日、街中にいるときに兵隊に絡まれてしまうが、不思議な男性に助けられる。彼は魔法使いのハウルだった。そのハウルは、「荒地の魔女」と呼ばれる、王宮を追放された魔女に追われていた。ソフィーはハウルと関わりを持ったがために、荒地の魔女から90歳の老婆に姿を変える呪いをかけられてしまう。
詳細 ハウルの動く城
映画『詩季織々』の評判・口コミ・レビュー
『詩季織々』感想:現代中国の普通の人々の個人事情にスポットを当てたオムニバスアニメ。作風が新海作品っぽいけども、接点あるのかな…?(;・∀・) 短編3話構成で、ちょっといい話っぽい感じの…まぁ新海っぽい感じです。3話目が切ない感じで良かったかな。
— yos (@yoxxxy) 2018年8月5日
公開2日目の詩季織々を見てきました!1話と3話で感動して涙が出そうでした。東京も中国も全然変わらないんだな…って思った!そして最初に出てきた さんせんビーフンがおいしそうすぎ♪
とてもステキな映画!
テアトル新宿もとても素敵な映画館だった♪
中国って…2002年頃はMDじゃなかったのかなぁ? pic.twitter.com/eAYEbvYccJ— りょうこ96 (@96kuma46kuma) 2018年8月5日
映画「詩季織々」鑑賞。
ああ…
日々の暮らしがせわしなく過ぎていく。
雑事に追われ、幾つかの思い出も置き去りにしたまま。それでも、ふとしたことで
記憶に残る
匂い、色、音、景色がある。私たちは、
それらをどれだけ
忘れずに覚えていられるのだろう。そんな事を思った作品。#しきおり pic.twitter.com/6DQD0mu8TH
— 渡津海基希 (@kitchen_kuma) 2018年8月5日
詩季織々鑑賞。
新海作品ほど凝った映像美ではないけど、美しいシーンが多い。
大人向けの夏休みアニメとしても楽しめる。#詩季織々#しきおり感想— ノウスウ (@nousu_u) 2018年8月5日
今日は詩季織々観てきました。派手さやドラマチックさのある映画ではないですが、素朴な暖かさを感じられて僕は好きでした。あと、時々僕に刺さる部分があって涙腺が緩みました。
ヒロインの小雨(シャオユ)ちゃんが可愛かったです。 pic.twitter.com/WykYF85FbO
— 落単マン Returns↩️ (@kamos03668733) 2018年8月5日
映画『詩季織々』のまとめ
中国を舞台にしているため、風景や建物などは少し目新しく感じると思う。だが、登場している人達の思いは、国の違いなど関係なく伝わってくるものがある。大人になってから思い出す祖母と過ごした日々や、仕事に躓いたことで半分八つ当たりのようにできてしまう姉妹の溝、思いを伝えられなかった幼馴染に対しての初恋。皆これにぴったりの境遇がなかったとしても、似たようなことを一度は経験したことがあるのではないだろうか。昔の少し切なくて苦い思い出を思い起こさせてくれるような、そんな大人のためのアニメだと思う。
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